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2016年11月15日

「先輩の姿を見て紳士になりたい子たちが集まってくる」

取材日:2016年11月15日
インタビュイー:国語科(現代文) 卓球部顧問 かるた会顧問 巳波輝行先生
インタビュアー:早稲田大学教育学部2年 上杉直矢

上杉:よろしくお願いします。

巳波先生:よろしくお願いします。

上杉:まず、先生のお名前やニックネーム、担当教科とか顧問のクラブ活動を教えてください。

巳波先生:えっと、巳波輝行(みなみてるゆき)といいます。で、ニックネーム。ニックネームは、何かありましたかね? 特にはなさそうですが、だいたいその「巳波さん」とか、陰で「ミナミちゃん」とか言われてるんじゃないかなという風には思うんですけど…

上杉:はい。(笑)

巳波先生:で、担当教科は国語。中でも現代文です。今は高校1年生と2年生の現代文をやっています。担当のクラブに関しては、卓球部の顧問をやってて。あと、部活とは違って公認団体っていうのがうちにはあるんですが、まぁ同好会的なもので、生徒の有志で希望して集まってやってるもので、その公認団体の、「かるた会」の顧問もやってます。

上杉:なるほど、先生になられてからどれくらいですか?

巳波先生:42期生が高校1年生の時。で、今(2016年度)は56期生が高校1年生なので、ちょうど15年目になります。

上杉:先生は授業ではどのような教材を使って授業されていますか?

巳波先生:プリントを作って配ってます。で、時々、教科書も読んでいて。この間は森鴎外の『舞姫』を。まぁ、やっぱりこれは読んでおこうと思って。

Link:「舞姫」森鴎外著

上杉:はは。

巳波先生:上杉さんの頃は多分読んでなかったと思うんですけど。気が変わって、今年は読んでます。

上杉:あーなるほど。

巳波先生:他には『山月記』も。

Link:「山月記」中島敦著

上杉:ふむふむ

巳波先生:教科書に載っているものでは、「これはちょっと考えるポイントになるかな」っていうものを特に取り上げる感じですね。

上杉:なるほど。

編集部:森鴎外を選ばれたのはなぜですか?

巳波先生:はい。まぁ、端的に言うと教科書に入ってたからなんですけど。でも、森鴎外はなぜか、僕は初めて勤めた時から、やっぱり高校2年生では『舞姫』を読むもんだよねみたいなのが。うちの国語科では言われていて。

編集部:あぁ、こちら(聖光学院の国語科の方針)のですか?

巳波先生:はい。方針というほどではないのですが。それで、僕はあまりそれを守らずに、彼らの時(インタビュアー上杉さんの在校時)にもやってないんですけど。『舞姫』は比較的多くの教科書に入っていて。で、高校生が読んで、ちんぷんかんぷんで終わるっていう感じで。(笑)

編集部:(笑)なるほどなるほど。

巳波先生:それでもこういうの読んだぞっていう経験を、他の学校の子たちとも共有できるかなと考え直しまして。

編集部:うんうん。

巳波先生:あと、内容的なところで言うと「近代の国家を背負って」というような感じでドイツ行った人が、そこでいろんな苦悩を経て、というような。(舞姫のストーリーには)そういうところがあるので、それはある意味、生徒たちが今考えておくポイントというか、考えきれなくても、そういう話があるんだとか知っておいて欲しいと思いまして。それから、こんなビックリの話が教科書に載っちゃっていいのかとか。(笑)

編集部:ビックリな点というのは?

巳波先生:主人公の太田豊太郎がドイツに行って、留学生として留学しているのに、クビになって。ドイツの女性(エリス)と子供ができる。けれども最終的には日本に帰るという。

編集部:はい、しかも国費(留学)で。(笑)

巳波先生:そう(笑)。で、残ったエリスがおかしくなってしまうという話って、とても教科書的ではないと思うんですね。だから生徒たちも読みながら察知していって、結局は「えーーっ」ってびっくりしてるんですよね。

編集部:なるほどなるほど。

巳波先生:だからこそその後に、じゃあ、舞姫について思ったことや分析を書こうってことで書いてもらったら、いろいろな意見が出てくるんですよね。

中島敦の『山月記』だと、主人公の自意識が、虎になることとつながっていて、そこまではわかるんですが、実感としては生徒はなかなかつかめなくて。

編集部:うんうん。

巳波先生:でも、その実体がなんだか分かんないけど、“なんだか怖いぞ”みたいな感じは多分残ってると思うんですね。それが、今後の、これからの人生の中で、こう「あれ、なんか、こういう感じは…」っていうのを、いつか感じて思い出してもらったらっていいかなっていう。

編集部:なるほど!

巳波先生:ちょっと、時限爆弾的な。(笑)

編集部:おお。

巳波先生:今は「虎になっちゃったんだ、へぇー」みたいな理解でも構わないんですが、それでも読んどいた方がいいんだなって思っています。52期の時(インタビュアー上杉さんの在校時)はそう思ってはいなかったんですけど。

上杉:私の時は『こころ』とか『舞姫』とか、いわゆる普通の高校生がやってるやつを全然やってなかったので。大学に行って、私は特に国文系なので、「舞姫が~」とか、「こころが~」と言われても、まぁ、高校でやったからって皆なるんですけど、私は「えっ何それ、やってない」みたいな。文学作品自体は知ってるけど読んだことはないんで、という感じだったので。

Link:「こころ」夏目漱石著

編集部:先生はその頃はどういう種を蒔かれてたんですか?

巳波先生:その頃は、もう、ひたすら、評論と向き合う感じでやってたんですけど。そうですね、中学を受け持ったりすると、小説寄りに気持ちがなってくるんですかね。

編集部:ほー。

巳波先生:中学生だと、評論をかっちりやっていくよりも、多分色々感受性の豊かな時期なので、色々読んで感じるってことに重点を置きたいなっていう気持ちになって。

編集部:ほう。

巳波先生:それで、その後また高校の担当になると、中学からの連続を意識して小説寄りになったり。だからとてもいい加減なんですけど、その時々の意識で扱うものが変わっちゃってて。

編集部:いえいえ。対象に合わせて対応を変えておられるのですね。ありがとうございました。

上杉:授業のクラスとかは、選抜とかレベル別制度っていうのがあったりするんですか?

巳波先生:中学1年生から高校1年生までは通常の5クラス編成で。高校2年生になる時に、文系理系で分かれて。(上杉くんが)悩んでた、文系理系の選択です。文系理系で3クラスずつ、合計6クラスに分かれて。そのうちの、1つずつが選抜クラスという形で、成績上位者のクラス。それ以外の2つずつが一般クラスっていう感じになります。

上杉:それは、高校1年の成績で決まるんですか?

巳波先生:高校2年生のクラスは高校1年生の時の成績で。高校2年生のうちは学期ごとに入れ替えがあって、最終的には、高校2年生の成績で高校3年生のクラスが決まる形です。

上杉:なるほど。

上杉:留学制度とかってっていうのはあったりするんですか?

巳波先生:学校自体の留学制度そのものは、今のところはないですね。ただ、留学を希望している生徒が最近増えてきているので、外部の機関による説明会をいくつか開いたりとかしてますよ。

上杉:へぇー。

巳波先生:そういった形で留学に行っている生徒もだいたい1学年で何人かずつ、いますね。

上杉:それはだいたい、何年生ぐらいで行く人が多いんですか?

巳波先生:だいたいは、中3とか高1とかですかね、なんとなく、高1あたりが一番機運が高まってるような気がします。

上杉:あぁ、なるほど。

上杉:じゃあ、その他進路指導について、キャリア教育っていうのはいつぐらいから、あるいは、どんな取り組みをなさっていますか?

巳波先生:キャリア教育でいうと、文理志望を決める高校1年生のときまでにいろいろと考えていく感じになります。

たとえば、聖光塾の講座で社会人に教わったり、ジョブシャドウイングで、仕事を体験するっていう形だったりとか。

【※編集部注釈:聖光塾・・・自由参加・学年非限定で授業期間中や夏休みなどの一日から数日を使って開講される、教養を高めることを目的とした講座の集まりのこと。】

【※編集部注釈:ジョブシャドウィング・プログラム・・・社会人の就業時間に一日密着し「仕事」をリアルに体感するキャリア形成支援プログラム】

巳波先生:他にも、今年は高校1年生の土曜日の3・4時間目が毎週外部の人の話を聞くって形になっています。そこで、卒業生のツテなどでお願いしていろいろな方に来ていただいて、社会人の方から仕事の話を聞いて考えるという感じです。

上杉:おぉ

巳波先生:以前は「卒業生の話を聞く会」と言って、OB、特に最近のOBが呼ばれたりとかすることが多かったんですけど。最近はそれ以外にもいろいろな人を呼ぶようになってきていますね。

上杉:なるほど。進路は皆さん、どれくらいの時期から決める生徒が多いんですかね?

巳波先生:そうですね。「文理分けだよ」って言われて、「あーどうしよう」って、高校1年生で考える子たちがまぁ、ほとんどですね。そこでもまだ決めきれなくて、高校2年生で絞り込んでいくかなぁ、っていう人もいたりする感じですかね。

上杉:なるほど。

上杉:大学受験で生徒が受ける学部、学科とかって近年の特徴はあったりしますか?

巳波先生:えっと、特に最近の動きというよりも、前からですけど、やっぱり医学部の子たちが一定数いる。で、あと理系は理学系・工学系をはじめとしてまんべんなくいますね。文系では、文学部はやっぱり少なくて。で、経済学部とか、法学部の子たちが多いかなっていう感じですかね。

上杉:あぁ、そうですね。(男子校なので)男の子は文学部とか人文系は興味がない子が多いんですかね。

巳波先生:うーん、なんていうか、もっとね、文学部も行こうよって言いたいところなんですけど。でも文学部に行くっていう事は、社会にやや背を向ける風になる気もするのでちょっと薦めにくいというか…。

上杉:ふふふ。

編集部:ちょっと、よろしいですか。巳波先生も上杉くんもお二人とも国語の教育に関わっていますが、先生は文学部のご出身ですか?

巳波先生:文学部です。

上杉:なるほど。実はうちの父もそうだったんですけど…

巳波先生:そうだったんですか!

編集部:あのー、そこを選ばれたのはどうしてなんですか?

巳波先生:僕は教員になりたかったので。で、何をやろうかなって考えたとき、数学は得意だったんですけど、数学は、こうだからこうなるって割り切れちゃうっていうか。で、国語だとやっぱり、分からないもの、モヤモヤするものをどう説明していくかとか、分かりにくいものをどう分かりやすく言い換えるかっていうところが頑張りどころかなと思ったので。

編集部:うんうんうん。

巳波先生:それで、やりがいがあるかなって思って。

編集部:なるほど。

上杉:私も最初に教員になりたいってのが第一にあって。で、最初社会科が好きだったので、社会科の先生になろうと思ったんですね。なんですけど、色んな先生に話を伺ったところ、社会科っていうのは、就職的な面でも厳しいものがあるようで。やっぱり英数とか辺りが主力になってくるので。

あとはいろいろなことがあって、じゃあ社会科は難しいかなってなって。で、なんか、最初はやや消極的な理由で国語になったんです。でもやっぱり考えてみると、私は古典をどちらかというと教えていきたいと思っているんですけど、

編集部:うんうんうん。

上杉:やっぱり、国語を教えるっていうことが、子供たちの一番根幹の部分になると思うし、国語の教育って思考力とかそういう面での教育でもあるとは思うんですね。

編集部:なるほど。

上杉:で、そうなると、やっぱり将来就職するにしても、数学するにしても、理科するにしても、何するにしても必要になってくる一番基礎となる部分だと思うので。そこの教育に自分自身が携われるっていうことが、やっぱり非常に魅力的だなって思いました。

編集部:なるほど。お二人とも立派な。リベラルアーツ的な国語の捉え方なのかな、考える基礎のところ・・・専門のその前の素養の部分をつくる魅力でしょうか。ありがとうございました。

上杉:えっと、生徒で学習塾に通っている生徒っていうのはどれくらいいるんですか?

巳波先生:どれくらい……えっと、そうですね、学年によって違っていて……

上杉:えぇ、学年によってっていうのは?

巳波先生:期(その学年)によって、例えば高校3年生のときに少ない学年だと、塾に通っている子は3割4割ぐらい、多い学年で5割ぐらい、ちょっと超える時もたまにあるっていうぐらいですかね。ただ、「塾に通う」ってひと口に言っても、週に何日も通うっていうのはほんとにごく僅かで。週に1回だけ通うとか。あと自習室を使うのがメインとか。塾に通っている子のほとんどは、そういう感じの関わり方をしている印象です。

上杉:高校1年とか2年の段階で、塾に通う生徒もそういう目的が多いですか?

巳波先生:高校1・2年ではあんまり通ってないですよね。そこまで目的意識を持って通ってるっていうよりは、ずっとこう中学の頃から通ってる。そんな感じの子が何人かいるっていう感じですかね。高校1・2年生だと、塾に通ってるっていう時間があったら、その分部活やったりとか、他のことやったりとかをしたいっていう子が多いのかなって思います。

上杉:あぁなるほど。

巳波先生:塾に行くより他のことで忙しいという気持ちが高1ぐらいまであって。で、高2ぐらいで「ちょっと行こうかな?」っていう気持ちが出てくる感じかな。それで何人か塾に行く人が出てくるのかな、と思います。

上杉:なるほど。そうすると、塾に行く場合は、学習習慣作りの一環みたいなものとして(週に)1回だけ行ってるというような感じですか? 高2ぐらいまでは。

巳波先生:そうですね。小学校のときに、なんとなく「中学入試は塾と一緒にやってきた」っていう感じがあったんだと思います。で、それが今度中学に入って、「じゃあ、塾ナシだよ」っていうのはなんとなく不安だという気持ちで、まず塾も行く、っていう子がいるのかな。中1の担任をした時にそう感じました。

上杉:あぁ。

巳波先生:でもじゃあずっと続けられるかっていうと、部活とかでなんだかんだと忙しくなってきて。それに学校の授業もけっこう大変で。中1の感想をきくと塾の授業みたいだってよく言われるので。

上杉:あぁ。

巳波先生:それでだんだん両立しきれなくなって、塾を辞める子がでてくるっていう感じなのかな。

上杉:「塾みたいな授業」っていうのは、どういう授業のスタイルなんですか?

巳波先生:中学入試の塾に行ってた授業みたいに面白いから気が抜けない、ということみたいです。中1の子たちに授業どうって聞くと、「塾の授業みたいに面白い。」「塾の授業みたいに油断ができない。」なんて言ってます。

上杉:おぉなるほど、やっぱりここに来る生徒とかは、小学校時代は学校の授業よりは塾で色々学ぶ方が面白いっていう生徒が多かったんですかね。

巳波先生:なのかなっていう風に思います。多分塾の授業に対して、すごく一生懸命頑張ってきて、面白かったっていう気持ちを持ってる子が多いのかなっていう気はします。

上杉:うんうん。先生自身は、その生徒が塾に通うことに関してはどのようなお考えをお持ちですか?

巳波先生:高校生とか中学生とか?

上杉:どちらも、はい。

巳波先生:うーん、そうですね、「どうしたらいいでしょうか」って聞かれたら、同じような内容の授業をもう一度聞いても、しょうがないかなっていうか……。

上杉:うんうんうん。

巳波先生:だから、そうですね。公立の小学校の場合には、中学受験を想定してない授業なので、それで塾にも行って受験の方の勉強をするっていうのは、それはそれで理にかなってるというか。

上杉:はいはいはい。

巳波先生:まぁ、自然だと思います。でも中学校とか高校とか、うちの場合には大学入試からの逆算を考えて授業が行われているので、そこでもうひとつ、もうひとつって言うと変なんですけど、学校は受験の方を向いてる。そこに、もう1個その受験の方を向いてる塾に行く必要があるのかなっていうのは思います。

上杉:うんうんうん。

巳波先生:ただ、そうは言っても教員も人間ですし、生徒たちも人間なので、なんかあの先生嫌だとかっていう事はあると思うんですよね。

上杉:はい。

巳波先生:そういった時に、塾で勉強したらその科目の見方が変わるかも、っていう気持ちは分かるっていうか。だから個別に相談されたら、そのへんの必要性をどう考えているのかによるので、即行く意味ないよとかは思わないです。

上杉:はい。

巳波先生:例えば高校2年生とか3年生の時に、かつて学校でやってた内容を、忘れてたとかあるいは怠けてた時期もあるから、そこの部分を強化したいんだっていう時には、塾に行くっていう選択肢もアリだと思います。

ただそういう場合でも「そういう目的で行くんだ」っていうのを意識していないと生かしきれずに負担だけ増えるので、それはもったいないなって思います。

上杉:なるほど、そのある意味学校のフォローみたいな形で塾に通うとかっていうことは、そんなに否定的ではないということですか?

巳波先生:うーん、それは、勉強を進める時のそれぞれのやり方のうちの1つだと思うので。必要ですかって言われると「行かなくても十分大丈夫だよ」って断言できるんですけど。でも、「塾も含めて考えた方が自分にはよい」っていうことで、ちゃんと位置づけができるのであれば、構わないのかなっていう風に個人的には思います。

上杉:なるほど、よく分かりました。ありがとうございます。

上杉:じゃちょっと、話は変わりまして、その入試の、えっと、説明会とかなんですけれども、説明会等でその、受験生とか保護者の方によく聞かれるような質問とかっていうのはあったりするんでしょうか?

巳波先生:そうですね、一番多いのは、うーん。「どんな学校ですか」って漠然と聞かれます。

上杉:そうなんですね。

巳波先生:でも、保護者側に立ってみるとそれも当然で、色々細かいところはあるかもしれないけど、とにかくザックリどんな学校なのかが知りたいっていうのは、やっぱり一番大事なところだと思うので。

上杉:はい。

巳波先生:だから、そうですね。そういう質問の時には、まぁ、やっぱり来てる生徒たちを見てもらうのが一番なので、このパンフレットを見てもらうんです。表紙に、中1の生徒たちの写真が載ってるので。まぁ、こういう感じの子たちが来てますよっていう。

上杉:ふふ。

巳波先生:そこから話が始まる感じで。で、そうですね、宣伝っぽい感じにはなるんですけど、校訓が「紳士たれ」じゃないですか。

上杉:はい。

巳波先生:だから、集まって来る子たちも「紳士たれ」、つまり紳士を目指してる子たちなのかな、と。どの学校も、多分私立は特にそうだと思うんですけど、たいてい先輩の姿を見て「いいな」って思って集まって来る。

上杉:ああ。

巳波先生:でまた、それを見て「いいな」って集まって来るので、それぞれの学校の持ってる性質っていうのは、どんどん強化されていくと思うんですね。だからそう考えていくと、うちは「紳士」っていうのを旗印にしているので。

上杉:はい。

巳波先生:「紳士が集まって来る」というと言い過ぎで、そこはけっこう大事なんですけど、紳士になりたいな、なってもいいなっていう感じの子たちが集まって来る。

上杉:うんうんうん。

巳波先生:っていう感じで、どんどん、そういう子たちが集まって来ているのかなって思います。

上杉:あぁ、なるほど。この学校に来て皆紳士になってると思いますか?先生。

巳波先生:在学中は紳士になってない気がするんですけど、卒業して外に出て、また「こんにちは」って学校に顔出してくれた時に、随分立派になったなって思います。

上杉:あぁ、それはどういう例を見て思われるんですか?

巳波先生:うーん、挨拶とか、気配りとか、そういうところがちゃんとできてるんだなっていう。在学中はやっぱり身内なのでその辺の油断があるのかなって思うんですけど、その一方でちゃんとできるようになってるんだなって気づかされます。そういえば、よく卒業生が言うのが「5分前集合」の話で。

上杉:はは、はい。

巳波先生:「集合の時には5分前に集合するんだ」っていうことがよく語られていて。まあごくたまに学年によっては「5分前集合の5分前集合だ」って言われたりして……

上杉:(笑)

巳波先生:5分前に集まってんのに怒られたりしてるんですね、中学校の時に。

上杉:はい。

巳波先生:まあ、それは上杉くんたちの代だけかもしれませんが。その「5分前集合」も、「紳士たるものギリギリに駆け込んで来て、ハァハァ息切らしてるんじゃダメだろ」なんていう形で結び付けて語られたり。

上杉:なるほど。

巳波先生:あるいは文化祭で、「お客様おもてなしするんだ」っていう話の時に、先輩が「僕らは紳士だろ」なんてことを言ったりする。そういう感じで、紳士ってとても曖昧な概念だからこそ、その都度使われちゃう。なんかザックリいい人っていうイメージで。

上杉:うんうんうんうん。

巳波先生:そんなふうに、「紳士」って言葉が、なんというか、やっぱり合言葉になってるなって感じです。

上杉:いい意味でよく利用されてる感じですね。

巳波先生:そうなんですよね、利用なんですよね、まさに。

上杉:あはははは。

巳波先生:そう思います。あくまでも個人的な意見ですけど。

上杉:はい、ではその、説明会、実際に受験生とか保護者の方がたくさんいらっしゃると思うんですけれども、この学校のここを見て欲しいっていうポイントとかはあったりしますか?

巳波先生:えっと、生徒です。やっぱり、特にうちの子たちは、よその人が来ると強いんですよ。

上杉:はははは。

巳波先生:よその人が来るとあの、とてもよそいきがちゃんとできるので、日頃は、例えば着替えの途中で遊んでて上半身裸で走り回ってたりするような子も、お客さんが来るよって言ったらちゃんと着替えるようになるので。

上杉:ほぉ。

巳波先生:そうですね。

上杉:じゃその、生徒を見てもらいたいっていうのは、その生徒がしっかりしてる姿を見てもらいたいっていうことですかね。

巳波先生:そうですね。ただ、しっかりしてるというよりも、なんというか、雰囲気というか人柄というかあの、挨拶してる時の顔っていうんですかね。言い方というか、声のかけ方とか。例えば文化祭の時なんかは特におもてなし意識が先輩達からもすごく伝わって、徹底しているので。お客さんがゴミ捨てようかなって思ってウロウロしてるなんていう時には、ゴミをもらって捨てときますって言って、走って行ったりとかするじゃないですか。

上杉:あぁ。

巳波先生:なんていうかちゃんとしてるっていうよりも、そういうところに出てくる、姿勢とか雰囲気みたいなところですね。

上杉:そこがうちの一番の魅力だと。

巳波先生:かなと思います。

上杉:あぁなるほど。

編集部:先生は生徒をなんでしょう、自慢に思ってるんですね。

巳波先生:そうですね、それは自信はありますね、やっぱりね。

編集部:なるほど。

上杉:ちょっとさっき話にも出てきましたが、この聖光学院の文化祭っていうのはどのようなもの、特徴とかって挙げるとしたらどんな文化祭ですか?

巳波先生:やっぱりおもてなしの意識だと思います。で、後は、そうですね。文化祭としては特に、小学生に意識が向いてるなっていう気がします。入学してきた子の志望理由の第1位はこのところずっと文化祭なんですよ。

上杉:へぇ!

巳波先生:聖光祭(文化祭)に来たからっていうのが志望理由になってて。で、実際に来てる小学生の子たちを見ても、スライムとかもらったりとかそういうので、すごく楽しかったって顔してるんですよね。

上杉:はい。

巳波先生:交通研究部も人気で。

編集部:交通研究部はどんなことをやられるんですか?

巳波先生:交通研究部はジオラマを展開してて。それから、特製の切符なんかも、くれてるんだよね。

上杉:そうですね、入場券みたいな、ほんとの切符さながらのものを配ったりとか。

編集部:なるほどなるほど。

巳波先生:切符もちょっと古い感じの、固いやつだよね、昔あった。

上杉:車掌さんが切るタイプの。

編集部:スライムは?

巳波先生:物理科学部。

編集部:それは作るんですか?

巳波先生:そうですね、作ってます。他にも、人工イクラも作ったって言ってたかなぁ。

編集部:あぁなるほど。

上杉:体験型展示で、皆で自分のスライムを作ってみようっていうコーナーがあって、皆で作って嬉しそうに持って帰るっていう。

編集部:へぇ、小学生と一緒に作るんですか?

上杉:はい。

編集部:ほぉ、なるほど。

巳波先生:他には、特に印象に残ってるのは、「天使の歌声」ですね。

上杉:おぉー。

巳波先生:これは中学校1年生のコーラスなんですけど。高校生になると歌っても決して天使ではないんですが。

上杉:はい。

巳波先生:中学校1年生だとボーイソプラノのいい声で。やっぱりそれを観た親御さんたちにしてみれば、入学して、入学してすぐの4月の終わりに文化祭があって、そこまで音楽の授業の時にずっと練習してきてて、おじいちゃんおばあちゃんまで、総出で観に来て、目の前で感動的な歌を歌ったりとかしてるのを観ると、やっぱり泣いちゃうよねっていう。

上杉:あぁ。

巳波先生:ですから、僕も初めて見た時なんかは、ほんとにもう貰い泣きしそうな。

上杉:あはははは。

巳波先生:今でも時間があったら聴きに行きたいなぁって思っています。

編集部:天使の歌声ってのは中1全員で歌うんですね。

巳波先生:全員です。

編集部:中1はその他の出しものとかには出たりしないんですか?

巳波先生:そうですね、他は出なくて、お客さんとして回る感じです。入学したのが4月でその4月の終わりから5月のちょうどゴールデンウィークの最初のところであるのが文化祭なので。

編集部:はい。

巳波先生:まだ中学校1年生では何も準備できないので、だから歌だけに絞って歌だけ参加で。後はもう自由に回っていいよ、という形です。それでいろんなところで先輩達の姿を見て、それが来年再来年に、やっぱりお客さん視点からの文化祭みたいなものが。また一段と見えてくるのかなっていうことですかね。

編集部:なるほどなるほど。

上杉:その中1でお客さん視点っていうのも、おもてなし意識に繋がってるのかもしれないですね。

巳波先生:かもしれないですね、そこまで、言い切れないですけど。

上杉:あはははは。

巳波先生:かすかに先輩から言われるから、そんなものかなっていうところがスタートかもしれないですけど(笑)。でも小学校の時に楽しい思いをさせてもらったっていうのが、今度は自分たちがって気持ちにつながってるのかな。

小学生に対しての企画を作ってる、あるいは当日に忘れ物なんかで困っている小学生を助けたりするのを、なんかイキイキやってる子が多いなっていう感じがしますね。

上杉:文化祭の他に特徴的な課題活動とか、課外授業とかっていうのはあったりしますか?

巳波先生:そうですね、夏のキャンプが印象に残ってるみたいですね。中学1年生、中学2年生、飛んで高校1年生で夏のキャンプがあって。

上杉:はい。

巳波先生:で、斑尾高原(長野県飯山市)に行ったりします。自炊をして、テントで寝て、という感じのキャンプです。中学3年生では冬にスキー教室があります。高校1年生は「家庭科教室」で、笹寿司作ったり、JA(全農・全国農業協同組合連合会)を訪れたりする、長野で行う宿泊行事があります。

上杉:へぇ。

巳波先生:他には、中学3年生で「選択総合演習」といって、全国各地に分散して何人かで行くのがあります。修学旅行は中学2年生で古都研修旅行。これは中学校の修学旅行で、高校の修学旅行は高校2年生で行く北海道です。こうして高校3年生以外は全学年で宿泊行事があるっていうのは、ひとつの特徴だと思います。

上杉:古都研修旅行ってのは京都奈良に行くんですか?

巳波先生:京都奈良ですね。

上杉:ふむふむ。その選択総合演習で全国に行くっていうのは例えばどういうことを、何をしに行くっていうのがあるんですか?

巳波先生:うーん。私は中学校3年生だけやってないんですよ、今まで。

上杉:(笑)

巳波先生:だから実感としてはよく分かんないんですけど。そうですね、四国でお遍路さんの道に行ったりとか、黒部に行ったりとか。長野で廃村になったところに行ったりしています。

上杉:おおおお。

巳波先生:そうやって現地・現場に行くのが大事なんじゃないかという考えで。ただ、どうしても学年全体で行くっていうと行く先に制限があるじゃないですか。

上杉:はい。

巳波先生:それで、小さい単位で行くって形で定着したと聞いたことがあります。

上杉:筑波のJAXA(宇宙航空研究開発機構)に行くやつとかってまだ残ってるんですか?

巳波先生:JAXA、たぶん残ってるんじゃないかな。だいたい6~7個のコースがあって、学校紹介のパンフレットには前年にやったコース一覧が出てますよ。

【※編集部注釈:選択総合演習 開講講座(2016年度) ・大平宿探訪および農家民泊体験 ・富士山の秘密を探る ・つくばサイエンスツアー ・福祉の現場を知る ・白神山地探訪および弘前郷土芸能体験と古代史ロマン ・黒部・五箇山・金沢の旅 ・お遍路の道を行く、淡路島・四国の旅】

上杉:年によって変わったりしてるんですよね。

巳波先生:ちょっとずつ変わってますね。

上杉:ふーん、なるほど。

上杉:じゃあ、すいません、学校行事はそれぐらいにしまして、入試についてなんですが、入学試験は面接というのはありますか?

巳波先生:あ、ないです。

上杉:もう、筆記の学科の試験だけ。

巳波先生:筆記のみですね。

上杉:なるほど。じゃあその、受験してくる受験生っていうのは他にどのあたりが中学校併願してくる生徒が多いかとかっていうのは、どうでしょうか?

巳波先生:そうですね、まぁ、2月の2日と4日の入試なので…

上杉:はい。

巳波先生:だいたい2月の1日にどこか受けていて、それから2月の3日にも受けていて、っていう感じですかね。

上杉:レベル的にはその、聖光よりも上のところを受ける生徒が多いとかっていうのはあるんですか?

巳波先生:どっちもだと思います。比較的最近は、1日でいわゆる偏差値的に上位のところも受けていて。その上でうちを2日と4日に併願、といった感じで受ける子も多いのかなっていう感じはあります。まあ何かデータを見てっていう話ではないので。個人的に、感覚としてそういうイメージ持ってますっていうところです。実は私はこういうのはとても疎くて。

編集部:なるほど(笑)。

上杉:じゃあその、いよいよ本番の、先生が普段してる授業について聞きたいんですけども、先生は授業準備としてはどのような事をされてるんですか?

巳波先生:そうですね、ほぼ添削に追われてますね。

上杉:添削。

巳波先生:授業中に書いてもらった記述を次の授業に返す。

上杉:あぁ。

巳波先生:それの添削をしていて、ほんとにギリギリで、授業の2分前ぐらいに終わったとか。

上杉:あはははは。

巳波先生:プリント作るっていうのも、もちろんやるんですけど、時間かけてる時間としては圧倒的に記述の添削をしている時間が多いです。

上杉:ほぉ、なるほど。一回の授業に対してだとどれくらいの時間それはかかるんですか?。

巳波先生:その時によってもちろん違うんですけど、1回の授業50分で出てきた、45~6人とかのやつを全部見てくと、だいたい3・4時間ぐらいはかかる感じですかね。そしてそれが高1だと5クラスとか。

上杉:そんなに…。

巳波先生:さらに高2だと6クラスとかになってきて、なんかもうそれだけで1週間が終わっちゃうみたいな感じですよね。

上杉:そうですよね、あぁ、なるほど。先生が授業中に心がけてる事とかっていうのはありますか?

巳波先生:心がけているのは、多分科目の特性もあるんですけど、できるだけ自由に発言ができる空気を作る事ですね。僕側の心構えとしては、できるだけ発言を拾っていくところですかね。

上杉:その発言っていうのは文章に関する意見とかっていうことですか?

巳波先生:そういった意見とか、思ったこととか。あるいは説明の時にこんな例もあるとかっていう子もいたり。あるいは「えぇ、本当かな?」みたいな感じの、そういう否定的な発言とかも。「そう思うよねぇ?」とかっていう感じで受けたりとか。時々それで暗礁に乗りあげるんですけど、それも含めてやっぱり発言は拾った方がいいかなって。

上杉:うんうんうん、じゃあ割と皆で議論するような感じですかね。

巳波先生:そういうのが狙いというか理想ではあるんですけど。例えばクラスによってそういう風にポンと出てくる、出してくる子が何人もいたりっていうクラスと、そうじゃないクラスがあったり。あるいは同じクラスでもなんか今日はすごい活性化してるぞとか。

上杉:はい。

巳波先生:あるいはグッタリしてたりとか。特に体育の後とか。

上杉:ふふ。

巳波先生:そんな違いがあるんですよねぇ。

上杉:はい。

巳波先生:そこら辺はまぁ、いつも上手くいくわけじゃなくて、むしろ上手くいかない事の方が多いんですけど、たまに、いい感じで発言出て、いい感じにまとまったぞ、なんていう時があると、やっぱり嬉しいなって思いますね。

上杉:では、先生自身が昔学生時代とかに習った先生とか、あるいは今の同僚の先生とかで、尊敬していらっしゃる先生とかっていうのはいらっしゃいますか?

巳波先生:ええと。たくさんいるのでどうしたらいいかなあ。例えば、小学校の時に担任だった先生は…

上杉:はい。

巳波先生:僕は小学生の時、ちょっと偉そうな事とか生意気な意見を言う子だったんですけど、それを、うんうんって聞いてくれて。で、まともに、それは違うんじゃないとか、それは確かにそうだよねとか、なんていうか対等に話をしてくれる…

上杉:うんうんうんうん。

巳波先生:と、そういう風な先生がいて、やっぱり先生っていいよなって思っていて。教員を志望した原型は多分そこにあって。それから、中学高校の時には、国語の先生で、とても分かりやすく説明をしてくれるというか。

上杉:うんうんうん。

巳波先生:ここはこういうことだよねって大きくつかんで示してくれるような感じの先生がいて。その先生からは文章を読む時の、なんかスタンスというか心構えというか、そういう面で影響を受けてて。今自分が授業をしてる時にふっと、我に返るとその先生と同じような雰囲気で話してる…

上杉:へえ。

巳波先生:ちょうど今、僕がやってるような雰囲気で。

上杉:あぁなるほど。

巳波先生:だから、そう。教わったのと同じことをやっているんだな、教員になって最初に授業やってた時に、そう感じました。

上杉:はい。

巳波先生:それで、「このままでいいのかな」って思いながら、ちょっとずつ自分で変えてみたり。でもなんとなく結局戻って来るところはそこっていうか。だから、なんかそういう自分の原型になってる先生みたいな。

上杉:そうなんですね。

巳波先生:そのお二方が一番、大きく影響受けている先生ですかね。他にも、大学院の時の先生からは、「研究って難しくないんだ」ということを教わって救われたり。

上杉:ほぉ。

巳波先生:もっと思いつきで研究しちゃっていいんだよっていうようなアドバイスをもらって。「なるほど、思いつきって大事なんだな」っていうことを教わりました。

上杉:へええ。

巳波先生:この職場だと、すごく熱心に語ってて、生徒が質問に来るとすごーく長ーく話してて、もう下校時間なんてとうに過ぎてるっていうぐらい話してる先生とかいて。それはもう退職された先生ですけど。今でもそういうタイプの先生はたくさんいるんですけど、そういう先生を最初の何年かの時に、よく見ていて、あるいは話を聞いたりしてると「やっぱりそれだよな」っていう風に思って勇気が出たりしました。

上杉:「それだよな」っていうのは?

巳波先生:結局、生徒の話に徹底的に付き合うというか。あと、特に現代文だからなのかもしれませんが。

上杉:はい。

巳波先生:読みに関して、僕らの方が絶対的に正しいとは言い切れない部分があって。だから生徒が言ってきたことも、決してないがしろにできないっていうか。

上杉:うんうんうん。

巳波先生:一生懸命聞かないと駄目だなっていう。だから、やっぱりじっくり話をしないとなって思います。教科面ももちろんそうだし、面談の時の心構えとしても。そう、時間が許す限りいくらでも(笑)。

上杉:ははは、私はもう何度も面談で非常にお世話になったんですけれども。

編集部:あぁなるほど、そうなんですか。

巳波先生:ずっと終わらない長い面談をもう、どちらが延ばしてるかも良く分からない、そういう長―い面談を。

編集部:えーそれは何を質問したんですか? 相談したんですか?

上杉:まぁその、普通に国語の質問とかもたまにあったんですけど。多くは、高1高2の頃の担任の先生だったので、具体的に進路をどうしていこうとかっていうことに関して、私が目指す職にいる方なので、そういう面で大学でどうするかとか、将来の道はとかっていうようなことのアドバイスをいただいたりとか。

あとはもっと前の段階では、さっきもあった文理選択の、私は非常に悩んだので、その時に、「じゃあ、どっちに行けばいいのか」とか、「じゃあ、仮に文系に行ったらどういう風にするのか」、「理系に行ったとしてもこういう道があるよ」とかっていうようなことを、ほんとにそれこそ徹底的に付き合っていただいて。

結局納得ができるというか、「あぁこれなら大丈夫そうだな」って私が思えるようなところまで、熱心に付き合ってくださったので、そこはほんとに今の私の宝になってますね。

上杉:あの、私からこんなことを聞くのもちょっとアレなんですが、先生はご自分で生徒から人気はあると思いますか?

巳波先生:うーん…多分人によってなのかなって思います。合う子は何でも話してくれる感じだけど、強力なリーダーシップで引っ張っていくようなタイプではなくて、待って聞いてる感じなので、物足りなく感じる生徒もいるようです。

上杉:あぁ。

巳波先生:まあそれぞれなのかなって気がします。

上杉:じゃあ、逆に人気のある先生っていって思い浮かべた時に、どういうような条件というか、こんな先生が人気なんだろうなっていうようなイメージとかありますか?

巳波先生:やっぱり話が分かりやすい先生だと思います。難しいことを難しく語るのは誰にもできるので。

上杉:はい。

巳波先生:難しいことを分かりやすく伝えるっていうのが、一番僕らの大事なところだと思うんですよね。僕らはどうしても、今の自分の視点で語っちゃうわけですけれど、そこから離れて、「生徒の視点だとこうだな」っていうのがちゃんと掴めてる先生。

上杉:あぁなるほど。

巳波先生:特に若い先生の方が多いと思うんですけど、そういう先生がやっぱり、分かってくれてるっていうか、共感できるっていうか。そういうことで生徒からも支持されると思います。

上杉:生徒視点を持っている先生、ということですね。

巳波先生:ということですね。

上杉:では話は変わりますが、生徒指導の面に関しては、大きく分けて子供を褒めて育てるっていうのと、厳しく叱って育てるっていうやり方があると思うんですけど、先生はどっちの方がいいと思いますか?

巳波先生:そりゃ褒めた方がいいと思います。

上杉:ほぉ。

巳波先生:そうですね。でも、例えば自分の子供なんかだと、「えぇ!」と思って叱っちゃうことがあったりするんですよね。難しいなぁ。でもまぁ、生徒は断然褒めた方がいいと思います。

上杉:それはどうしてですか?

巳波先生:自分で分かってるから。要するに何がいいか悪いかも分かるし、どうするのが望ましいかっていうのは頭では分かってるじゃないですか。だから、そこで叱っても何も発生しないので。逆に良い時に褒めたら「よし、また頑張ろう」って思うじゃないですか。

上杉:はい。

巳波先生:自分で分かってるか分かってないかっていうので変わるかもしれないですね、対応が。

上杉:なるほどぉ。

上杉:では、生徒の観察についてなのですが、この子はこういう子だなとかっていうのは、日々どのように見ていますか? 意識してることとかっていうのはありますか?

巳波先生:話を聞くっていうところですかね。ちょっとした仕草から、そういうものを見抜くとかっていうのが上手い先生もいるんですけど、私はなかなかよく分からないというか、上手くできないので、本人がなんて言ってるかっていうのを聞きたいなって思っています。

上杉:あぁ、じゃあ翻って先生の個人的な事にちょっと突っ込ませていただくんですが、先ほども憧れの先生がいたということがありましたが、教師という職業のどういう部分に惹かれたんですか?

巳波先生:うーん、人から教わるのが好きなのと、人になんか教えるというか伝えるのが好きなのと、あと学校っていう空間も好きなのと、ですね。

上杉:ほぉ。

巳波先生:知らないことを知ったとか、知らないことをこう伝えたとか。あるいは、分かりそうでモヤモヤしてた分かんなかったことを、分かりやすく伝えたとか、そういうことが行われてるじゃないですか。

上杉:はい。

巳波先生:そういう場所である学校って、すごいなっていうことをなんか、改めて思っています。

上杉:なるほど、そうですよね。

上杉:先生は国語の教師ですが、好きな本とか、この本は影響受けたなっていう本は、ありますか?

巳波先生:うーん。いつもこの質問は困るんですよ。その時々で、いいなって思ったり…

上杉:はい。

巳波先生:影響を受けたりするんですけれど、次の本を読むとまた影響を受けるので、1つに絞れない感じですかね。それでも好きな本を1つあげるとすれば、そうですね、星新一の『ショートショート』でしょうか。

星新一のショートショート

上杉:ほぉ!

巳波先生:あの、すごいなって思います。

上杉:それはどのあたりが?

巳波先生:あんなに短いのに、その世界がちゃんと伝わってるっていうか。それから、なんていうんですかね。雰囲気っていうんですかね、そのあたりが好きな理由です。

上杉:先生ご自身の趣味とか特技はなんですか?

巳波先生:えっと、競技かるたというものをやってます。

上杉:ほぉ。

巳波先生:はい。

上杉:それは百人一首ですか?

巳波先生:百人一首ですね。「ちはやふる」という、アニメにもなったやつです。一瞬の勝負を競うものです。

上杉:ほぉ、昔からなさってたんですか?

巳波先生:大学時代ですね。高校の時に始めて、大学の時に本格的にやって、っていう感じですかね。

上杉:ほぉ。

上杉:じゃあこの学校の生徒の特長を一言で表すとなんですか?

巳波先生:紳士を目指す人たち、でしょうか。

上杉:ほぉ、なるほど。

巳波先生:あとは、素直っていう感じですかね、一言で言うなら。あ、一言じゃないですね。(笑)

上杉:あはははは。

上杉:生徒が6年間、中1から高3までこの学校で過ごしていくと思うんですけど、6年間でこんなところが変わったなっていうところはありますか?

巳波先生:そうですね。卒業するまでの在学中は、あんまり明らかな内面の変化って見えないような気がするんですね。

上杉:はい。

巳波先生:中1のときに担任してた子なんかだと、高校生になると、外見的には大きくなったなぁとかって思って。なんていうか、親戚のおじちゃんみたいな気持ちになるんですけど。

上杉:ふふ。

巳波先生:ただ、内面的にはなんていうんですかね。もちろん色んなことができるようになったり、深い考えができたりとかするんですけど、そういうのってなかなか、分からない。中高の時って、彼らも内輪だって思って油断しているので。

上杉:はい。

巳波先生:だから、在学中には「なんか大きく変わってるな、精神的に成長したな」とかって実感することは少なくて。ごくたまに文化祭や体育祭などで大きいことを成し遂げてる子に対して、「あれ、前は全然そんな感じじゃなかったのに、立派にやってるなあ」なんていうことを感じることはありますけど。

上杉:ふむふむ。

巳波先生:多くの子はそういうものを僕には感じさせることなく卒業していくんですが、卒業後、成人式の時とかに会ったりすると、考え方とか対応とかがぐっと大人になっている感じですね。

上杉:あぁ、なるほど。

上杉:この学校に通う生徒たちのどういうところがお好きですか?

巳波先生:そうですね、こちらが一生懸命に話をしたり、一生懸命伝えたりするとそれに応えてくれる。

上杉:あぁ。

巳波先生:面談とかで話を聞いていると、一生懸命話をしてくれる、っていうところですかね。まぁ、人と向き合ったときに誠意があるっていうとなんか変な言い方ですけど、そういう気がします。

上杉:なるほど。

上杉:じゃあ逆に、ここをこういう風にしたらいいのになぁっていう改善点や気になる部分はありますか?

巳波先生:そうですね。あえて言うと、引っ込んでるところがあるかな、と思います。

上杉:ほぉ。

巳波先生:どんどん出てくっていうのが必ずしもいいという話ではないんですけど。

上杉:はい。

巳波先生:でも、例えば講演会が終わった後に「質問ある人いますか」とかっていう時にあまり出てこなかったりとか。

上杉:うーん。

巳波先生:あるいは、手を挙げる子が特定だったりとか。最近は自分の意見を表明する子も増えてきたかなって気はしますけど、そういうところの物足りなさとか、もっとこういう風にすればいいのになって思う時はあります。

上杉:じゃあそんな聖光学院ですが、お子さんをこの学校に入れたいと思いますか?

巳波先生:そうですね、うん。

上杉:自分の息子を任せてもいいようないい学校だと。

巳波先生:うん、そうですね。いい学校だと思います。

上杉:じゃあ、ちょっと暗い部分なんですが、いじめとかそういうのも、たまにはあったりすると思うんですが、そういうことが発覚した時とかっていうのは、どのような対応がなされますか?

巳波先生:そうですね。やっぱり、いじめられている側の子の話をよく聞く。どう思っているのか、何を望んでいるのかっていうのをよく聞きます。何を望んでいるかは、その子によって、その状況によって違うんですよね。だから、ドラマみたいに「何々やったのは誰だ!」みたいな感じでクラスで言うのを求めてる子ってほぼいなくて。

何を望んでるのか、とにかくこの状況がなくなればいいっていうのか、やった子に対する気持ちとかで、対応策とか話の進め方が違ってくると思うんですよね。傾向としては、大きな話にしない方が本人が満足することが多いように感じています。

上杉:うんうん。

巳波先生:だからとにかくやられた側が何を望んでるのかっていうことに合わせて動くべきだなって思います。

上杉:なるほど。

上杉:はい、じゃあ携帯電話とかを学校に持って行くことに関して、良くないと禁止する場合と、別にいいよって許容する場合があると思うんですが、先生の個人的には、持っていく事に禁止の方がいいのか、あるいは許可して逆に使い方を教えていった方がいいのかどちらがいいと思われますか?

巳波先生:そうですね、許可してた方がいいと思います。今の時代に持たずに遠距離を通学してくるのは、震災の時のようなこともありますし、ご家庭でも不安だと思います。

上杉:はい。

巳波先生:でもその一方で、じゃあ授業中に出したりしていいのかっていうと、そういうわけではないと思います。使い方は学校だけの話じゃなくて、社会に出た時にどう使うのかとも繋がってると思うので、そういう部分も学校の中で、失敗して怒られたりしながら身につけていった方がいいのかなという風に思います。

上杉:なるほど。

上杉:じゃあ最後になりますが、この学校に先生はたくさんいらっしゃると思うんですが、その中で、この聖光学院の卒業生の先生っていうのはどれくらいいらっしゃるんですか?

巳波先生:だいたい20人ちょっとくらいですかね。

上杉:先生は全体で何人くらいいらっしゃるんですか?

巳波先生:専任の先生が70人くらいいて、他には色々な分野の講師の先生がいる、

上杉:ほぉ。

巳波先生:という感じですね。

上杉:なるほど。分かりました。今回はすごく長いインタビューになってしまいましたが、いろいろありがとうございました。

巳波先生:こちらこそ、ありがとうございました。

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