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2016-12-20

「大自然の中に学校があり、人がたくさんいて校舎が広い。一つひとつは珍しいものではないけれど、トータルで括ると桐蔭学園唯一のものになるんです。」

取材日:2016-12-20
インタビュイー:理科(化学) 弦楽部顧問 大山夕先生
インタビュアー:日本女子大学人間社会学部教育学科2年 酒井珠里

※中学校(女子部)は、2019年度より男女共学化される中等教育学校へ統合されます。(予定)

インタビュイー:大山夕先生
インタビュアー:酒井珠里

酒井:先生になった一番の動機はなんですか?

大山先生:私は幼稚園児の頃から、学校の先生になりたいと思っていました。なぜかというと、同じことを教えたとしても、生徒によって受け止め方が違うし、毎日新しいことと出会い、同じ事が繰り返されない。そういう仕事だと思っていたからです。

酒井:幼稚園の頃からずっと先生になりたいという思いは変わらなかったのですか?

大山先生:そうですね。とにかく幼稚園の頃に学校ごっこをして遊んだ時は必ず先生役をしていました。あと、家でも黒板を買ってもらったり、チョークを買ってもらったりしていましたし、近所の人にも「学校の先生になるんだ」と触れて回っていました。

酒井:これまで習った中で尊敬できた先生を具体的に教えてください。

大山先生:今でも尊敬しているのは、小学校5年生の時の担任の先生です。私が今の教育スタイルになったきっかけを作ってくれたのがこちらの先生なんですよ。私の良い面を見つけたり、これまでやってきたことを認めてくれたり、「中学校は私立に行ったらいいんじゃないの?」というアドバイスもしてくれました。

酒井:中学受験の相談をしたんですか?

大山先生:いや、自分ではそういう考えをしたことがなかったので、相談というよりも先生が中学受験を薦めて次のステップに進むきっかけをくれたという感じですね。

酒井:じゃあ将来のことをアドバイスしてくれたおかげで今の自分があるというわけですね。そちらの先生には今でもお会いしますか?

大山先生:何年かに1回は会っています。

大山先生:初めの頃は自分が今まで習ってきた先生のやり方を真似ていたんですけど、やっているうちにだんだん自分の特性を出していきたいなと思い始めて、今までのやり方に自分なりのアクセントを入れるようになりました。

酒井:ちなみに、最初に思い描いていた先生像というのはどういうものでしたか?

大山先生:以前は「すごく素敵だな」とか「こういうところがいいな」と生徒から常にそう思われる先生になりたいと思っていました。しかし、中学高校だと本音で戦わなきゃいけない部分があるので、必ずしも理想通りにはならないということがここ5年10年で分かりましたね。

酒井:好きな本、影響を受けた本について教えてください。

大山先生:フランクルの「夜と霧」という、アウシュビッツ強制収容所での人々の生活や心の変化を描いた本があるんですけど、これは影響というよりもすごく衝撃を受けました。この本を中学1年生の時に読む機会があって、「人は極限状態だとこうなってしまうんだ」とか「こんなに素晴らしい人がいるんだ」とさまざまなことを考えさせられましたね。

酒井:その本を生徒にも読ませることはしていますか?

大山先生:もちろん、生徒にも紹介していますし、この間中学1年生の授業でもたまたま「ハンナのかばん」というアウシュビッツ収容所の話を題材にした本を取り上げる機会があったので、そこでもこの本の話は少しだけしました。けれど、紹介してみたものの、今の生徒達に読んでもらうのはなかなか難しい。(笑)

酒井:中学1年生だと少し難しいかもしれないですね。

大山先生:そうですね。「アンネの日記」は少し分かるみたいなんだけれども。

「夜と霧」ヴィクトール・E・フランクル(著)

「アンネの日記」アンネ・フランク(著)

「ハンナのかばん」カレン・レビン(著)

大山先生:生徒に質問されたら、大学生は、お金もある程度自由にできるし、時間もあるし、まだ学生という身分なので親御さんに守ってもらえる、こんなにいい時はないよとは話していますね。そう思いませんか?

酒井:思いますね。大学生は本当に自由に使える時間が多い。

大山先生:本当に一番楽しい時ですよね。だからこそ一番大事に、フルに活動して欲しいなと思います。

酒井:でも、中学1年生だと大学受験のことであまり相談されることはないんじゃないですか?

大山先生:うん。中学1年生ではまだ大学というところがよく分からないだろうしね。

酒井:そうですよね。私が中学1年生の時も、大学受験のことはあまり考えていませんでした。

酒井:中高一貫校にあって、一般の中学にないものといったら何ですか?

大山先生:6年間と3年間ではやっぱり培われるものが違うと思います。「自分」が作られる大事な時期に6年間同じ先生、同じ生徒達でやっていくということは、かけがえのない経験になるんじゃないかな。

酒井:確かに。その時期の6年間は大きいですね。長い期間一緒にいると、人との絆も深まりますし、学校の雰囲気もしっかり体に刷り込まれるというか、桐蔭カラーに染まりますよね。

大山先生:気付くと染まっているよね。中にいると分からないけど、卒業して外に出ると、「え?こんなに違うの?」と、ある意味カルチャーショックを受ける生徒が多いようです。

酒井:桐蔭にあって他の私立にないものといったらなんですか?

大山先生:大自然の中に学校があることです。あとは、人がたくさんいることと校舎が広いこと。これら1つ1つを見たらそう珍しいものではないけれど、トータルで括ると桐蔭学園にある唯一のものになるんですよね。

酒井:インパクトありますよね。人数の多さと校舎の広さ、あと自然の豊かさ。自然と言えば、紅葉もすごいですよね。

大山先生:今年は紅葉がとてもきれいですね。樹木がどんどん成長して、全く校舎が見えなくなっちゃったんだよね。すごく見通しがよかったのに。ますます大自然の中にあることを実感しますね。

酒井:中学に合格した子どもに、勉強以外で一生懸命取り組んで欲しいことはどんなことですか?

大山先生:やっぱり、いろいろな経験をしてほしいです。もちろん勉強にも通ずることがあると思いますけれども、勉強はやればできるようになるので、それ以外のところでどれだけ自分の経験値を上げることができるか、これは絶対重要ですよね。部活動だったり、今は学校でも校外学習を多く取り入れるようになったので、そういう経験を大事にしてほしいなと思っています。

酒井:そうですよね。文武両道がモットーの桐蔭学園ですからね。

酒井:生徒からの相談で印象的なものがあったら教えてください。

大山先生:印象的なものというより最近の傾向なんですけど、例えば、今までの生徒達はあまり自分のことをさらけ出さなかったんだけれど、今の中学1年生は、困っていることや悩んでいることがあればすぐ聞きに来るんですよね。その辺が今と昔とでだいぶ変わって来たのかなと思いました。

酒井:以前の生徒は、自分から相談をしてこない傾向があったんですか?

大山先生:そうですね。以前の生徒は人に頼らず、極力自分たちで解決しようとする傾向がありました。逆に、今の生徒は積極的に助言を求めてきたり報告をしてくれたりするので、いろいろな情報が入りやすくなっています。例えば、「この生徒とこの生徒が喧嘩をしています」とかね。

酒井:先生と生徒の距離が近くなったんですかね?

大山先生:近いんでしょうかね?でも、自分たちだけで解決するよりまずは先生の意見も聞いてみようと考える生徒が多くなりました。あと、「小学校の時は、大変なことがたくさんあっても、先生が何もしてくれなかったんです。」というカミングアウトをする生徒も中にはいて、もしかして私達は試されてるのかな?と思うところもあります。桐蔭の先生はみんなのために頑張るよ、とか宣言しているんだけど。

酒井:勉強の相談よりも、交友関係の相談の方が多いですか?

大山先生:そうですね。勉強面よりはそういった身の回りのことを相談されることが多いです。本当は、もっと勉強の話をしてほしいんですけれども。(笑)

酒井:(笑)私もそうですけど、中学1年生の時は、勉強で分からないことがあっても自分の中で問題を解決しようとしていましたね。高校生になってからは、どう勉強したらいいかを質問するようにはなりましたけど。

大山先生:中学生ってそういう感じに結構自分の中で悶々としているものだと思っていたのに、最近の生徒は次から次へといろいろなことを言ってきますよね。(笑)

酒井:先生が相談しやすい雰囲気を醸し出しているのかもしれませんね、近づきやすいとか。

大山先生:子ども電話相談室みたいな。(笑)

酒井:生徒の観察を日々どのようにしていますか?

大山先生:できるだけ生徒と一緒に活動して、日々の観察をしています。一番生徒の様子が分かりやすいのは、掃除の時間ですね。掃除の時間に生徒とおしゃべりをしながら、どういう風にやっているかを観察すると、ちょっとした変化でもすぐに分かります。

酒井:掃除の時間に、生徒の様子を見たり、会話を聞いたり、時にはそこに参加して、把握するんですね。

大山先生:そうですね。それが一番多いような気がします。

酒井:ちなみに、ホームルームでも今日は少し違うなというのが見えたりはしますか?

大山先生:そうですね。ホームルームも生徒の観察をするには打ってつけの時間だと思います。あと、朝のホームルームの時間に読書をしてるんですけど、本を読んでいる時の表情とか、どんな本を読んでいるかな?とか、そういうのを観察するのもすごく面白いですね。

酒井:読書時間中は、先生も生徒を観察しながら本を読んでいたりしますか?

大山先生:そうですね。自分で本を読んでてもいいし、その時の生徒の表情は面白いよね。本当に楽しそうに本を読んでいる生徒もいるし、そうかと思うと、ジーっと本じゃないどこか違うところを見ている生徒もいます。生徒の様子をウォッチングできる貴重な時間ですね。

酒井:昨日との違いとか、いつもとどう違うのかという些細な変化は、観察するだけで把握できるものなんですか?

大山先生:あとは学習カードという毎日の生活時間の内容を記録するカードも見ます。朝のホームルームで前日の放課後以降の活動内容を時間ごとに記入し、さらにひと言コメントも加わるので、生徒の様子がよくわかります。こちらもコメントを返すので、ちょっとした交換日記の役割もしています。

酒井:それは、どのくらい勉強をしているのかを見るんですか?

大山先生:それもあるけれど、コメントのところをよく見ますね。やっぱり中学1年生のうちは一生懸命書いてくれますから、それだけでいろいろなことが分かります。例えば、お母さんと喧嘩したとかね。

酒井:(笑)コメント欄は面白いですね。

酒井:いじめがあった時、どう対応しますか?ちなみに、いじめってありますか?

大山先生:どうしても避けられないところがあるというか・・・いわゆる仲間はずれみたいなものや、今だとLINEなどのSNS関係で起こったいざこざも多いですね。

酒井:中学生だとグループ内で仲間はずれにしたり、ある特定の生徒と話しただけで、無視をするということがありますよね。

大山先生:まさにそれですね。言っただの言わないだのの問答など、面と向かってやればいいことを、スマートフォンを経由してやってしまうから、ますます伝わりにくくなってしまいますし、いろいろな問題が起こってしまうんですよ。ですから、私達も生徒から情報を提供してもらった時には、まず双方の話を聞いて、状況を確認してからお互いを突き合わせる。それが一番かと思います。

酒井:では、そういった相談を受けたら、先生も介入して解決に導いていくということですか?

大山先生:そうですね、私達としても相談してくれると助かります。当事者は興奮のあまり話を誇張しがちになるので、相談を受ける時には少しずつクールダウンして、気持ちが落ち着いた頃に改めて話を聞くようにしています。ちなみに、話を聞く時は先生達も2人以上で対応します。やっぱり1人だけだとどうしても主観的になってしまうので、みんなで相談しながらやっていますね。

酒井:授業についていけない生徒にはどのような対応をしていますか?

大山先生:例えば、分からないのに努力をしようとしなければ、それでは当然できませんねと簡単に言えますが、一生懸命やっていてもいまいちコツが掴めないという場合だとそう簡単にはいかないんですよね。ですから、そういう生徒に対しては、まずどのような勉強方法をしているのかを聞き、そこから「こういう風にやってみたら?」とか「やり方を少しずつ変えてみましょう」というアドバイスをしています。やっぱり、こっちの考えを一方的に押し付けてしまうと、できるものもできなくなってしまいますので、今の状況をきちんと聞き出してあげることが大事だと思いますね。

酒井:そうですね。状況を聞けば、どんな方法で勉強をしているのかも分かりますしね。

大山先生:そうですね。聞けば、大抵はじっくり時間をかけて真面目にやっていても、それが結果に比例してこないという場合が多いのだと感じました。おそらく、要領が悪いから逆にやりすぎてしまい、先に覚えていたことがどんどん頭から押し出されているのではないかと思います。そこで上手く生徒に助け舟を出せるかどうかが重要になってくるかと。

大山先生:これは難しい質問ですね。やっぱり生徒と正面から向き合っているとぶつかる時もあるので、そこを上手くフォローできる先生は自然と生徒が集まってきますし人気があると思います。そういった面を踏まえると、自分は人気があるというか、生徒が寄って来てくれる方ではあるかな?という気はしますね。(笑)

酒井:相談をたくさん受けていると先ほどお聞きしていたので、やっぱり大山先生は生徒にとって親しみやすい雰囲気なのかもしれませんね。

大山先生:そうだといいんですけど。(笑)中には、私に跳ね返されるとそのまま引いてしまう生徒もいます。だから、一概に人気があるとは言えないかもしれませんが、小学生くらいだと、一緒に遊んでくれる先生が人気なのかもしれないけど、中学生にもなると、本当に正しいことを正しいと判断してくれる先生でないと寄ってもきてくれないと思いますし、逆に「この先生は本当に分かっているのかな?」というような評価をされてしまう場合もありますね。

酒井:学校の好きな点、もっとこうしたらいいのにという点を教えてください。

大山先生:桐蔭の良いところは、生徒や先生達みんなのパワーが満ち溢れているところだと思います。

酒井:そういうところは卒業してからもっと感じるようになりましたね。

大山先生:あと、私は1人で黙々と作業に没頭するよりも、おしゃべりしたり、みんなでわいわい走り回ったりする方が好きなので、そういう人との関わりがたくさん持てるというところも桐蔭の好きなところですね。逆に、もっとこうしたらいいなと思うところは、尻ごみせずもっと精力的に動いて欲しいなーというか、足並みをそろえて、みんなが桐蔭学園をもっと盛り上げるぞ、という気持ちで活動していけば、もっと本校が良くなっていくのではと思いますね。

酒井:では、桐蔭全体でいろいろ取り組みや活動の機会を増やしていくという感じですか?

大山先生:そうですね。あとは、今までやってきたことをみんなで協力してもっと充実させるというのも1つの手だと思いますね。

酒井:貴校に進学した子どもは、6年後どのような成長を遂げていますか?また、どんな成長を望みますか?

大山先生:年を追うごとにだんだんたくましくなってきているなとは感じますね。本校はとにかく人数が多いので、自分の存在を積極的に主張していかないとすぐ埋もれてしまいます。そんな環境だからか、自分をアピールしなければとみんなが意識するようになり、どんどん力をつけていく生徒が多いです。将来的には社会に出てからも十分に活躍できるような人になってくれたらいいなと思います。

酒井:桐蔭学園の生徒は個性があるというか、ちゃんと自分を持っている人が多いですよね。

大山先生:そうですね。中高の頃はなんとなく頼りなく見えた生徒が、大学生や社会人になってすごく立派に成長しているのを見ると、やっぱり6年間で培われた桐蔭魂がちゃんと身についているんだなーと感じますね。

酒井:自分に子供がいたとしたら、勤務している学校に入れたいと思いますか?またその理由を教えてください。

大山先生:桐蔭はとても良い学校だと思っているので、子どもが希望すれば桐蔭学園はこういう学校だと説明をして、ちゃんと自分の目で確かめてもらった上で気に入れば入学させてあげたいと思います。絶対この学校に入りなさいと押し付けるようなことはせず、ちゃんと子どもの意見を尊重したいと思いますね。

編集部:この学校にはどんな生徒が合っていると思いますか?また、どんな生徒に来てほしいですか?

大山先生:やっぱりいろいろなものをどんどん吸収して、何でも意欲的に取り組める生徒がこの学校には向いているんじゃないでしょうか。桐蔭学園では日々いろいろなことが次から次へと起こるので、それを素直に受け止めて乗り越えていけるような生徒には、ぜひこの学校に入学してもらいたいですね。

編集部:逆に、この学校が合わないのはどんな生徒ですか?

大山先生:考え方が凝り固まっているというか、内向的でなかなか自分の考えを出してくれない生徒がたまにいますが、そうすると、この中で生活していくのがだんだん苦しくなってきて悩んでしまう場合もあります。要するに、いろいろなことに挑戦してみたいという生徒がこの学校に向いていて、逆に自分を出せずにいる生徒はあまり向いていないという感じですね。

酒井:そういえば、たまに見た目はおとなしそうなのに口を開けばとてもおしゃべりな生徒もたまにいますよね。(笑)

大山先生:そうですね。でも、最近では大人しそうな見た目通りに静かな生徒もちらほらといますよ。

編集部:最近はそういう傾向が出てきたという感じですか?

大山先生:いや、結構レアなケースですね。基本は静かだなと思っていたらすごくうるさい生徒だったというケースが多いです。

編集部:それってやっぱり、男子だけ女子だけという部分も大きいですよね。

大山先生:そうなんです。そこが男女別学のいいところかなと思いますね。

編集部:共学だと、大人しい生徒はなかなか自分が出せなかったりしますよね。

大山先生:そうですね。おそらく異性がいる手前、取り繕ってしまう部分が出てくるんだと思います。やっぱり女子だけの空間は、そういう気兼ねなどはいらないので。

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