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大学生の2人に1人 奨学金の利用を考える

 大学生の2人に1人が利用しているといわれる「奨学金」。多くの学生らが活用する一方、子を持つ親世代はくわしい情報をもちあわせていないようです。奨学金の現状と、これからの動きを探りました。(朝日学生新聞社 編集委員・沢辺雅俊) 

イラスト・川島星河

 かつての奨学金は「家計が苦しい一部の家庭か成績抜群のエリートが利用するもの」といったイメージが強かったかもしれません。1998年の利用者は大学生の4人に1人でしたが、いまでは半数以上です。増加の理由はどこにあるのでしょうか。

 主な理由は二つあります。「学費の上昇」と「収入の減少」です。たとえば私立大学の1年目にかかる入学金と授業料の合計は1997年は平均で105万円でしたが、2014年は113万円にアップしています。一方、民間企業の平均給与は1997年の467万円がピークで、2014年は415万円にダウンしています。

 「大学進学を見すえ、小学生の保護者はお金の準備をしてほしい」。こう話すのは、奨学金アドバイザーとして1年に100回以上講演する久米忠史さんです。「現状では奨学金の大半が借金。それなら少ないほうがいい」といいます。

 奨学金利用者の多くは「日本学生支援機構」(かつての日本育英会)を活用。いまの時点でタダで支給される「給付型」はなく(海外留学をのぞく)、返済が必要な「貸与型」だけです。貸与型は利子がつかない第一種と、利子がつく第二種にわかれます。第一種は収入が低い家庭が優先されます。

 6割(人数比)を占める第二種で一番多いのは月8万円を借りるケース。4年間借りると、利子をふくめない単純計算で384万円になります。在学中に返済する必要はなく、卒業後20年以内に返します。

 第二種の利率は「上限」が3%で、ことし11月の利率固定方式は0・05%です。ほかの「教育ローン」よりお得ですが、近年増えているのが返済の「延滞」です。延滞すると年率5%の延滞金が課せられるうえに、3か月以上になると個人信用情報機関にも情報が流れ、いわゆる「ブラックリスト」にのってしまいます。久米さんは「返済を待ってもらったり、月々の返済を減額したりする制度もあるので、きびしくなったら、まず支援機構に相談を」とアドバイスします。

 奨学金制度について「有利子から無利子へ」「給付型の導入」を求める声が大きくなり、国も案を打ち出しています。

 無利子の第一種は一定の成績(評定平均3・5以上)が必要でしたが、収入が低い世帯では2017年4月の進学者から成績基準がなくなります。ただし、高校からの推薦は必要です。

 給付型を設ける動きもあります。一定以上の成績であることなどを条件に、月2万〜4万円を給付する方向で検討。18年度の入学生から導入する方針ですが、与党は学費の負担が重い人にしぼって前倒しして17年度からのスタートを求めています。

 自治体や大学が独自に設けている奨学金制度にも目をむけます。医学部に進む場合、多くの都道府県では卒業後に一定期間、その地域で働けば返済しなくてもいいという制度があります。

 大学では受験前に申請する「予約型」が増加。たとえば早稲田大(本部・東京)は首都圏(1都3県)以外の学生に対し、家庭の収入に一定の条件があるものの、4年間授業料の半額を免除します。同志社大(本部・京都)など、関西の大学でも予約型が増えているといいます。

 いまの小学生が大学などに進むころ、奨学金制度の「あり方」も変化しているかもしれません。久米さんは「大学でどのような力を身につけるか意味あいもかわっていくので、アンテナを張っておくといい」と話しています。

(2017年12月14日 LINEニュース 朝日こども新聞掲載)

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