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    教育図鑑
    編集部

    取材日:2016年12月19日

    インタビュイー:司書教諭 A先生

    インタビュアー:教育図鑑編集部 田口亮太

    1. 在庫書籍数

    田口:在庫書籍数を教えて下さい。

    A先生:4万5266冊です。

    2. 同一書目が一クラス分用意されているものはありますか? また、それは何の本ですか? 

    田口:同一書目が1クラス分用意されてるものはありますか?

    A先生:洋書で「Oxford Reading Tree」という、英語の多読用の教材です。

    田口:これを授業でみんなで一緒に?

    A先生:みんなで一緒に一斉にではないんですけど。シリーズでたくさん出ていて、すぐ読めてしまうので何冊も借りて次々と読んでますね。英語の授業でも、終わりの10分くらいでしょうか。

    田口:この本だと何年生ぐらいが対象ですか?

    A先生:中2です。中1でも読めますけど。このシリーズは少しずつレベルが上がっていくので、中3でも使い高1でも使うという感じです。

    田口:英語以外で同一書目が揃ってるものはありますか?

    A先生:ないです。国語科で課題図書が決められていますが、それは生徒に買ってもらって読んでいます。

    砂口先生: 1年に3冊ずつ課題図書を決めて、中学3年間は学期ごとに1冊のペースで読んでテストを受けます。それで、本を持ち込んで、読んでないと答えられないような形のテストをしています。

    田口:すごいですよね。本を読んでないと答えられない。

    A先生:生徒たちも放っておくと読書に流れがちなので、基本的な古典的名作としてこれはぜひ読んで欲しい、というものを国語科の教員で相談して挙げています。

    「オックスフォード・リーディング・ツリー Oxford Reading Tree」

    3. 座席数広さ


    光が差し込む図書館。めずらしい。

    田口:座席数はいくつですか。

    A先生:座席数は78です。

    田口:自習スペースと読書スペースを合わせてですか?

    A先生:あちらのソファーは数に入ってないです。ソファーで読む生徒もいますけど。

    田口:授業でこちらにクラスが入ることはありますか?

    A先生:ここでの授業は無いです。

    高3は選択科目の授業のない空き時間帯ができるんですけど、そのときはここで自習をすることになっています。あちらにあるパソコンスペースは授業で使われます。

    田口:何科の授業で使うんですか?

    A先生:一番多いのが家庭科です。家庭科の情報の授業で、ワードで名刺を作ったり、エクセルで料理の成分・栄養素の分布を表にしたり。

    田口:パソコンは何台揃っていますか。

    A先生:1クラス40人分あります。

    4. 生徒の利用頻度

    田口:生徒の利用頻度を教えて下さい。

    A先生:9月から11月までの3か月間で、最高363冊借りた生徒がいます。

    田口:ひとりでですか?

    A先生:はい。1カ月に100冊ですか。

    田口:少ない方だとどのくらいでしょう?

    A先生:中1中2は、現代文の最初の10分が読書の時間になっています。こちらの書棚から選ぶようになっているので、1週間に1、2冊は読んでいると思います。

    田口:月に4、5冊はみんな読んでいるという感じですか?

    A先生:もう少したくさん読んでいるかもしれません。上の学年になると洋書です。洋書だともっと多いです。冊数は1週間に4、5冊。読む生徒はもっと読みます。授業と連携している本がよく借りられるので、現代文の最初の10分間の読書と英語科の多読が大きいです。そのほかの教科でもレポートの課題が出ると、そのために借りていきます。

    田口:月100冊というと1日3冊ペースで読むことになりますけど、この生徒はどんな内容の本を読まれているんですか?

    A先生:ほとんどが洋書です。多読用教材ですね。だから冊数だけでははかれないところがあります。この本はほんとに次々と読みたくなってしまう。全部読んでしまう生徒たちもいます。

    5. リクエスト本の発注サービス

    田口:生徒からリクエストがあった本の発注サービスはありますか?

    A先生:はい。

    田口:どれくらいの割合で購入されますか?

    A先生:リクエストは8割から9割以上の割合で購入しています。

    編集部A:たとえば鉄道オタクとか歴史オタクな人たち向けの、かなりマニアックな本はどうですか?

    A先生:他の生徒も借りそうなものは多分入れます。

    編集部A:ファッション関係はどうですか?

    A先生:あまりリクエストしてこないですね。「装苑」という雑誌は入れています。

    編集部A:この学校の生徒ってすごく社会性がありますよね。だから自分でフィルターをかけて、リクエストしてこない。そんな気がします。そうでもないですか?

    砂口先生:雑誌などは自分で購入してる可能性が高いです。興味はあると思いますけど。

    A先生:割と勉強に関係のあることが多いです。

    編集部A:マンガやライトノベルはどうですか?

    A先生:リクエストで入れているのはあります。

    編集部A:マンガやライトノベルの中で、これはやめた方がいいというものはありますか?

    A先生:娯楽としてのマンガはあまり入れてないです。学習マンガというか、何か勉強に関係のあるもの。「あさきゆめみし」とか、歴史のマンガであるとか。あとは洋書のマンガですね。学校図書館なので、娯楽ものはリクエストしても通らないと生徒が思っているかもしれないです。

    「装苑」

    「あさきゆめみし」大和和紀著

    6. 貸出ベスト3 

    田口:貸出ベスト3を教えてください。

    A先生:2学期のベストですが、110位まで洋書です。冊数をとるとそうなってしまいます。

    編集部A:こんなのまで借りられている、っていう洋書はありますか?

    砂口先生:「ハリー・ポッター」は英語で読んでいる生徒がけっこういますね。

    A先生:入り口のところにやさしめのよく借りられる本を置いて、奥にはもうちょっと難しい分厚いのを置いています。慣れてくるにつれだんだん長めのものになっていく。映画化されたものを借りていく生徒がいます。

    砂口先生:「ジェーン・エア」なんかも。

    田口:洋書を抜くと?

    A先生:日本の本で一番読まれてるのが「世界から猫が消えたなら」です。それから「二十四の瞳」。これは課題図書に入ってました。あとは生徒が自発的に読んでいるもの、生徒たちの好みのものですね。

    「Harry Potter」J.K. Rowling著

    「Jane Eyre」Charlotte Bronte著

    「世界から猫が消えたなら」川村元気著   「二十四の瞳」壺井栄著

    7. 生徒に読んでほしい本 

    「名著・名作・推薦・選定・若葉マークの分類」。生徒たちが良書に出会うための道標になっています。

    田口:生徒に読んで欲しい本を教えてください。

    A先生:今よくここに来てくれる中1や中2は、映画化されたものや、賞を受けたものに関心を持ちます。ただここでは、やはり古典や名作を読んで欲しい。ベストセラーよりもロングセラーを、というおすすめをしています。ちょっと敷居を低くして大きな字にしていたり、新しい装丁の本に買い替えたりしています。

    あとは背表紙に黄色いシールがありますけど、これは名著と言われているものに目印を貼っています。これは読んでおくべきという本に印を付けて、手に取ってもらう仕掛けです。目印には「名著」のほかに「名作」、「推薦」、「若葉マーク」、「選定」があります。国語の教科書に出ているようなものを「名作」としていています。生徒たちは、迷った時にその目印を見て選んでくれてます。「選定」は本校で使われている教科書以外の、他の教科書に載っている作品のことです。多くの良い作品を幅広く視野に入れることが出来ます。

    今の時代は情報が多すぎて何を読んでいいか分からない状態です。限られた時間に同時代のものだけを表面的に読んで人生が終わってしまうよりは昔ら読み継がれてるもの、土台になっているものに触れて卒業してもらいたいと思います。

    編集部A:面白い試みですね。いろんな学校でリストが作られていますが、こういう分類がされてるのは珍しいです。選書されるのは国語の先生ですか?

    A先生:いろんな教科の先生にお願いをしています。各教科の先生方からのリクエストを図書の方で注文したり、先生たちが買われて入れてくださるものもあります。

    編集部A:課題図書は先生方が選ぶ形でしょうか。

    A先生:国語科の先生方が選びます。

    編集部A:何か選ぶ基準はありますか?

    砂口先生:やはり長年に渡って読み継がれている古典的な名作から選んでいます。日本文学だけではなく海外の作品、たとえば「ジェーン・エア」や「アンネの日記」も入っています。

    「ジェーン・エア」シャーロット・ブロンテ著

    「アンネの日記」アンネ・フランク著

    8. 先生の好きな本

    田口:先生が好きな本を教えてください。

    A先生:中学生には特に「ナルニア国物語」とか「ゲド戦記」とか、主人公が力強く生きていくファンタジー作品を薦めていますね。困難にもめげず力強く生きていくという。

    編集部A:中学時代に好きだった本はなんですか?

    A先生:「少女パレアナ」とか「秘密の花園」とか好きでしたね。それとやっぱり「ナルニア国物語」。

    編集部A:私の一番弱いジャンルですね。「少女パレアナ」は「ポリアンナ」っていわれているものですか?

    A先生:はい。昔読んだなあと思ってもう一回読み直したら、やっぱり良くて。「こんな良いの読んでたんだ」って感動しました。こうやって支えられたんだなあって。

    「少女パレアナ」エレナ・ポーター著

    「秘密の花園」F・H・バーネット著

    「ナルニア国物語」C.S.ルイス著

    「ゲド戦記」アーシュラ・K・ル=グウィン著

    9. 生徒の特徴

    田口:この学校にはどんな生徒が多いですか?

    A先生:向上心が強い生徒が多いです。

    田口:どんなところから感じますか?

    A先生:女性の伝記がよく読まれています。立派な生き方をした方の後に続いてほしいということで洋書でも入れているんですけど、洋書であり伝記でありなので、すごく得した気になるみたいです。

    それから本を選ぶとき、より自分が高まるものを読みたいと言ってきます。”ためになるのは何か”みたいな感じです。

    編集部A:ためになるのは何かと質問してくるわけですね。それでさっきのシールに繋がるんですね。

    A先生:そうですね。目印を付けておけば一応基準になるし、分かりやすいかなと。個人的にも伝えますけど。

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