××
×
    教育図鑑
    編集部

    取材日:2016年12月22日

    インタビュイー:図書館司書 佐々木先生 

    インタビュアー:2006年度栄東高校卒業生 教育図鑑編集部 田口亮太

    1. 在庫書籍数

    田口:まず在庫書籍数を教えてください。

    佐々木先生:系列校との相互貸借が可能なので、10万冊程度になります。

    田口:どういう分野が揃えられていますか? 

    佐々木先生:文学だけでなく、調べ学習に使える本があります。特に最近多く集めているのは医学関連本。先生方も、医学を志す生徒たちに、中学生の時から小説ばかりではなくて、医学に
    関連する本、いろんな本を読みなさいと案内しているみたいです。だから中学生ぐらいの生徒が、人体の仕組みとか医者の生活とか、そういう本を借りたりしています。


    2. 同一書目が一クラス分用意されているもの


    「栄東読書百選」

    田口:同一書目で、1クラス分用意されているものはありますか?

    佐々木先生:1クラス分は買っていないです。ただ図書館とは別の管轄で、先生が選んだ「読書百選」という、中高生に読んで欲しい100冊の本、100種類の本があります。これまでは学級に
    置いてあったのを、今は図書館で一括管理しています。各5冊から10冊ぐらいあるので、読書会的なイベントならできますね。それ以外に図書館が個別で買っている本は、通常複数は買いません。「火花」のような話題作は人気が集中するため、2冊買うこともありますが。

    「火花」又吉直樹著

    田口:「読書百選」は先生全員が推薦されるんですか?

    男性:いろんな教員が相談して、それぞれ割り振りました。

    田口:貸し出し上位はその中にある本が多くなりますか?

    佐々木先生:そうですね。けっこう注目して借りて行きます。やっぱり名著が多いので、読んでみようかなと思うみたいです。

    【※編集部注釈:栄東読書百選・・・生徒が先人の知恵を吸収し、未知の 問題に対処する能力を身につけるため に、教師が精選した「自然科学 に関する 40 選」「人文科学に関する 30 選」「社会科学に関する 30 選」の 計 100 冊の本を生徒に推奨するとともに、要約文提出を求めています。】

    田口:授業で図書館を使うことはありますか?

    佐々木先生:校外アクティブ・ラーニングの事前学習で、行先になるアメリカやオーストラリア、京都などの文化とか食とかの資料をいろいろ集めて、そこから自分たちの班のテーマに合う物を選ぶ。
    そういうことをやりました。また、最近だと、中学校の美術の時間に粘土で和菓子を作ろうという授業があり、和菓子の写真を用意する際に使いました。

    田口:アクティブ・ラーニングの授業は、図書館と連携することが多いですか?

    佐々木先生:先生からの呼びかけがあったり、あとはこちらから提案して出来る限りサポートするかたちでやっています。あとは、小説を書く授業や作家について調べる授業などでは、よく図書館を使います。

    田口:小説を書く授業というのは、国語科の中であるんですか?

    佐々木先生:それもアクティブ・ラーニングなんですけど、土曜日に科目にとらわれない講座をやっているんです。「AL・土曜講座」というのが40講座ぐらいあって、高1と高2がクラス関係なく受講し
    たいものを取る。その中の、「芥川賞作家に俺はなる」という講座の中で小説を書いたり、作家について調べたりします。

    【※編集部注釈:AL・土曜講座・・・高校1年生・2年生を対象にした特別授業です。『科目・教科の枠を越えた』全39講座を設定しています。講座はすべて教員の企画で立ち上げられたもの。生徒個々が自身の希望により選択し、1年間受講します。『懐かしのハリウッド映画』『落語を語る』『J-ROCK研究からの音楽制作&発表』『GFPの分子生物学』など、講座のジャンルもさまざまです。】


    3. 座席数・広さ


    2階自習室・・・ひろい!


    田口:座席数を教えてください。

    佐々木先生:ここは2階建てで、1階の図書室は閲覧席が32席。2階が全部自習室で180席あります。

    田口:増えました?

    佐々木先生:ちょっと増えたかな?自習室は変わってないかも知れないですけど、閲覧席は少し増やしました。

    田口:自習席が180席というのは多いですよね。

    佐々木先生:けっこう広いですからね。


    4. 利用頻度

    田口:生徒の利用頻度ですが、月に何冊ぐらい借りていますか。

    佐々木先生:機械的に月平均の貸出数を人数で割ると、中学が1人当たり月1、2冊です。

    田口:多い人だとどれくらいですか?

    佐々木先生:中1で今、8ヶ月くらいしか経ってないんですけども、1人で300冊とか。

    田口:300冊?

    佐々木先生:月でいうと、30~40冊ぐらい。毎日1冊以上は借りていく生徒も、ちらほらいます。一方で、ほんとに1年に1回来るか来ないかという生徒もいますが、でもそれも読んでいないわけ
    じゃなくて、自分で買うから図書館に来ない場合もある。まあ、平均すると1、2冊です。


    5. リクエスト本の発注サービス

    田口:生徒からリクエストがあった本の発注サービスはありますか?

    佐々木先生:あります。出来るだけリクエストには応えるようにしていて、9割以上買っています。購入が難しい場合は、埼玉栄や花咲徳栄などの系列校と相互に貸し借りをしています。系列校
    の蔵書は総合で10万冊程度です。

    田口:通らない1割はどんな本ですか?

    佐々木先生:例えばファンブックなどの、特定の生徒にしか意味のない本は避けます。あとは最近だとちょっと絵が過激なものがあるので、そういうのは出来る限りチェックして、これは学校では購入
    できないと説明します。

    6. 貸出ベスト3


    [貸出・予約ランキング(2016年2学期)]


    田口:貸出のベスト3を教えてください。

    佐々木先生:今学期のベストですけど、1位が小説の「カゲロウデイズ」という、アニメ化して人気になった本です。2位が芥川賞を取った「コンビニ人間」。3位が「3月のライオン」。これは漫画で
    す。最近少しだけ漫画も置いています。

    田口:人気の小説がよく借りられてるという感じですか。

    佐々木先生:そうですね。やっぱり映像化されたものと、賞を取ったものが強いです。 「貸出・予約ランキング(2016年2学期)」

    「カゲロウデイズ」シリーズ じん(自然の敵P)著

    「コンビニ人間」村田沙耶香

    「3月のライオン」羽海野チカ


    7. 生徒に読んでほしい本

    田口:生徒に読んでほしい本を教えてください。

    佐々木先生:小説だと、直木賞を受賞した辻村深月さんの「名前探しの放課後」です。これを中学生にすすめると、すごく反応がよいです。ちょっと学校で居場所がないような生徒にも寄り添う
    ような作風が、すごくいいなあと思います。

    「名前探しの放課後」辻村深月著


    8. 先生の好きな本

    田口:好きな本を教えてください。

    佐々木先生:「名前探しの放課後」も好きなんですけど、純文学の本も私は好きです。あとは作家でいうと、松田青子さんとか長嶋有さんとか、その辺りをよく読んでいます。漫画もよく読みます。

    田口:なるほど。

    佐々木先生:幼い頃に好きだった本は、「あしながおじさん」です。小学生や中学生の頃に、20回ぐらい読みました。今の自分の核みたいになっている本です。

    田口:「あしながおじさん」はどんな作品でしょうか?

    佐々木先生:「あしながおじさん」は100年くらい前のアメリカが舞台で、孤児院で育った17歳の女の子が主人公です。彼女は恵まれない境遇なんですけども、すごく文才があるんですね。それ
    に好奇心旺盛で頭の回転が速い。でも孤児院での生活で下の子の面倒もみなきゃいけないし、大学に行く余裕なんて全然ない。

    そんなときに彼女の作文を目にとめて、奨学金を出してあげようというお金持ちが現れる。でもその人は正体を明かさず、「あなたの文才を見込んでいるので手紙を毎月書きなさい。学校生活のことや勉強のことを書くことで文才を磨いて、ゆくゆくは作家になりなさい」という条件を付けるんです。

    この「あしながおじさん」は、導入部以外の全編が主人公の女の子からあしながおじさんへ宛てた手紙のみで構成されているんです。だから読者は主人公からの手紙を貰って、その生き生きとした生活を感じることができる。学ぶっていいなと思えます。

    田口:なるほど、読む人も主人公から手紙を受け取って読んでいる感覚なんですね。

    佐々木先生:はい。小学生向けにも翻訳されているので、読みやすいと思います。

    【編集部注:長嶋有 男性。デビュー作「サイドカーに犬」で第92回文學界新人賞、同作で第125回芥川賞候補。2002年「猛スピードで母は」で第126回芥川賞受賞。ブルボン小林名義
    で評論家としても知られる。】

    【編集部注:松田青子 長嶋有らが参加する同人誌に小説を寄稿。単行本「スタッキング可能」で第26回三島由紀夫賞候補、第35回野間文芸新人賞候補。】


    9. 生徒の特徴

    田口:この学校にはどんな生徒が多いですか?

    佐々木先生:夢に向かって努力する生徒が多いと思います。受験勉強とかテスト勉強とかがあって、本当はなにか別のことをしたいんだけど、「今はちょっと我慢して計画的にやっているんだ」という
    ようなことを生徒が雑談の中で話しているのを聞きますね。

    田口:なるほど。

    佐々木先生:あとは一見おとなしそうに見えても、内に秘めたパワーのある生徒が多いと思います。

    田口:あ〜。

    佐々木先生:頭の回転に表現が追いついてないというか、表現しているのは氷山の一角で、表現しきれない大きなモノを一生懸命自分の熱で溶かそうとしているという感じの生徒が多い気がします。


    10. 「来るたびに新しい発見がある図書館」



    「新着図書コーナー」:「来るたびに新しい発見がある図書館」を目指して毎月100冊以上新しい本を受け入れていれているそうです。



    2016年に買ったばかりの本で、佐々木先生おすすめの本が並んでいます。



    「大型本」:STAR WARS、ファッション、ラーメン、宇宙、世界遺産、奇怪生物など、幅広いジャンルのユニークな本がたくさん



    「本棚とニュース」:話題のニュースに関連のある本を紹介しています。



    「アニメの深淵を覗く」: 他にも「歴代本屋大賞受賞作」や「怖い本」「恋愛もの」などテーマを変えて展示!


    「数学コーナー」:『数学ガール』など読みやすいものから専門所まで!



    「部活の本: スポーツや美術、音楽など部活動に関連するテーマが多い棚は、生徒が身近に感じられるよう「部活の本」という見出しに!



    「雑誌コーナー」
    「日本文学」のコーナー
    「外国文学」のコーナー
    ×

    Document request資料請求

    各中学のパンフレットなどご請求いただくことができます。
    ご請求は下記ボタンをクリックください。

    資料請求をする

    PAGETOP