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    取材日:2017年3月17日

    インタビュイー:英語科・英語部顧問 佐滝弘美先生
    インタビュアー:立教大学現代心理学部映像身体学科1年生 加登谷美琴


    1. 先生になった一番の動機



    加登谷:佐滝先生が先生になられた一番の動機は何でしょうか?

    佐滝先生:はい。まず、子どもが好きということです。それから、私は英語を担当しているのですが、英語を使って外国人の方とコミュニケーションする喜びや楽しさを味わってもらいたいと思いました。とにかく、子どもたちの役に立てれば、私もちょっと嬉しいかなという気持ちで教師を目指しました。
    加登谷:子どもが好きと仰られましたが、幼稚園や小学生ではなく、中学・高校の先生になられたのは何か理由がありますか?
    佐滝先生:これは、尊敬している先生の話にもつながるのですが、私は小学校1年生から3年生まで担任だった女性の先生を尊敬していたんです。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:当時私は喘息を患っていて、とにかく体の弱い児童でした。学校も休みがちで、消極的な子どもだったんですね。ところがその女性の先生は、厳しくとても凛としている方で、私の消極的なところを常に励ましてくださいました。読書をたくさんしたり、「勉強は絶対あなたを裏切らない。しっかり勉強してればプラスになって財産になるって」常に励ましてくださいました。その時、漠然とですが「先生っていいな」と思っていました。ただ「先生」であって、小学校か中学校か高校かなんて、何にも考えていませんでした。でも、小学生の頃はもしかしたら小学校の先生を目指してたのかもしれません。
    加登谷:はい。あ、いいお言葉ですね。
    佐滝先生:はは。いいです。はは(笑)。
    加登谷:はい(笑)。今の私にも響くので、すごい良いお言葉だなと思いました。
    佐滝先生:小学校6年生の時に、たまたま知り合いのつてで、福生にある横田エアベースで、ネイティブの先生の授業を受けるチャンスがありました。そこから英語への興味が湧いて、英語を教えるということは、中学生か高校生ということになるので、自然と中高の先生になれたらなという思いが強くなったのだと思います。
    加登谷:はい。


    2. 教師になった直後と現在の先生ご自身の変化

    加登谷:佐滝先生が教師になられた直後と現在とで、ご自身で大きく変わったことはありますか?
    佐滝先生:プロフィールにも書きましたが、私は22歳の新卒でこの明星中学・高等学校に入りました。今年52歳なのでもう29年。来年で30年目を迎えるという、すごく長い年月、明星学苑でお世話になってるんです。新卒のときに担当したクラスは高校1年生と2年生だったんですね。自分とほとんど年が変わらない生徒たちでした。
    加登谷:そうですね。
    佐滝先生:新卒の頃は本当にドキドキしていました。明星中学・高等学校は共学化してもう10数年経ちますが、以前は女子部と男子部に分かれていました。女子は女子、男子は男子、それぞれの特性を生かした教育をしていました。すごく生徒がしっかりしていましたね。特に女子生徒が。それで「明星はこういう学校ですよ」と、本当に手取り足取り教えてくれました。むしろ、こちらの方が生徒のような状態で・・・。
    加登谷:ふふふ。
    佐滝先生:当時の生徒たちに「教師がどうあるべきか」ということを教えてもらいました。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:とにかく学年主任や学年の先生方の動きを見て、真似てました。ちょっと盗むというか、あからさまに聞けないこともありますよね。当然知っておかなければいけないことがわからない場合は、その先生方がお帰りになったあとに、ちょっとプリントを見せてもらうとか・・・。ほかの先生方を真似て、良いものを自分のものにしようと思っていました。ただ、実は「自分らしさ」という部分にはずっと自信がなかったんですよ。でも、やっと今になって、自分の価値観が分かってきたんですね。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:生徒には、私自身の経験や価値観をきちんと話さない限り、説得力がないということに気づきまして。今の私の価値観は、英語で“Gather ye rosebuds while ye may.”という詩があって、「あなたが出来るうちにバラの花のつぼみを摘みなさい」という言葉です。今風に言うと「命短し恋せよ乙女」です。私はこの言葉がとても好きなんです。
    【編集部注釈:「Gather ye rosebuds while ye may.」・・・英国の詩人、ロバート・へリック(Robert Herric)1591年が書いた詩の冒頭部分にあたり、英語のことわざにもなっている。「ye」というのは、古英語で「you」のことを指す。】
    加登谷:はい。
    佐滝先生:これは、恋愛を推奨する言葉ではなく、「鉄は熱いうちに打て」のように、「今やるべきときに何かをするって、とっても大切だよ」と言いたいのです。それから、日本人の謙虚さ。日本人の「三歩下がってついていく」のような謙虚さが美徳だと思っています。もっと「Yes」「No」をはっきりしたほうが良いという意見もあると思うのですが、私は「能ある鷹は爪を隠す」という言葉を生徒に話してます。あとは、人に迷惑かけないこと、集団生活をするにあたっての自己管理ですね。自分の時間を管理すること、遅刻や提出物の期限を守ること。特に私のクラスでは「1日前ルール」とか「5分前ルール」というのがあります。提
    出とか期限を決めて守れなかったら、どんなに遠くても、どんなに遅くなっても、家に取りに帰らせるという厳しい指導をしてます。まとめると、「命短し恋せよ乙女」、「能ある鷹は爪を隠す」、「自己管理の徹底」の3点は、最近はずっと言い続けています。

    加登谷:明星学苑に長く勤められている中で、そういった価値観が形成されて、先生ご自身が大きく変わられたということですね。
    佐滝先生:はい。


    3. 好きな本・影響を受けた本

    加登谷:先生の好きな本や、影響を受けた本がありましたら教えてください。
    佐滝先生:好きなジャンルは、推理小説やSF小説です。その中でも好きな作家さんは、北村薫さんです。ご存知ですか?
    加登谷:すみません。(笑)
    佐滝先生:直木賞も受賞された、北村薫さんの作品が大好きなんです。代表作はたくさんあるんですが、「時と人三部作」、「ターン(Turn)」、「スキップ(Skip)」、リセット(Reset)」という3つの小説が大好きです。


    link:「ターン」北村薫著(新潮文庫)
    link: 「スキップ」北村薫著(新潮文庫)

    link:「リセット」北村薫著(新潮文庫)


    加登谷:はい。
    佐滝先生:それと「バック・トゥー・ザ・フューチャー」という映画が大好きで、タイムスリップとかタイムリープ、時空を飛んだりするのってやっぱりワクワクしますよね。
    【※編集部注釈:「バック・トゥー・ザ・フューチャー」マイケル・J・フォックス 
    主演、ロバート・ゼメキス 監督 自動車型のタイムマシンで時空移動した高校生が騒動を巻き起こす、SFアドベンチャー傑作。】

    加登谷:はい。
    佐滝先生:北村さんの作品はSFというよりも、日常生活にうまく溶け込んでいて、もしかしたら本当にそんなことあったんじゃないかって思えるようなタイムスリップ、タイムリープの話なんですね。物語の中で翻弄される人の描き方が、とっても素晴らしくて素敵なんです。ぜひみなさんに読んでほしいと思います。三作とも女性が主人公です。
    加登谷:私も結構本が好きですが、推理小説はあまり読まないので・・・。推理小説よりミステリーっていうんですかね。
    佐滝先生:そうですね。そんな感じですね。
    加登谷:ですよね。ミステリー、読んでみたいと思います。
    佐滝先生:余談なんですが、実は北村薫先生というのは、明星高校にいる柏木先生の大学の先生だったそうです。
    加登谷:えー!(笑)
    佐滝先生:そのときは覆面作家として、名前を伏せて書かれていました。「北村薫」という名前は、男性か女性か分からないじゃない?実は男性なんですが、大学の先生で、恩師なんだそうです。私がたまたま「生徒におすすめの本」を聞かれたときに、北村薫さんについての記事を書いたんですね。それを柏木先生に見せたら、「え!? 実は北村先生は僕の先生だった」とおっしゃっていました。
    加登谷:そうなんですね!(笑)
    佐滝先生:余計に身近に感じますよね。ぜひ加登谷さんも北村薫さん本を読んでいただければと思います。
    加登谷:はい。ぜひ!ありがとうございます。


    4. 大学に行くとどんな良いことがあるか

    加登谷:大学に行くとどんな良いことがあるかと生徒から質問されたら、どうお答えになりますか?
    佐滝先生:そうですね。まずは、中学・高校と違って規模が大きいということ。それから、たくさんの学部学科に様々な目標を持った学生がいて、いろんな年齢の方がいますよね。浪人されてたり。中高時代は、基本同年代の人たちと過ごしてたのが、大学では年齢や育った環境が違う人々と交流することで、自分の価値観が形成されていくというか・・・。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:あとは、私が一番勉強したなって思ったのは、実は大学なんですね。
    加登谷:そうなんですね。
    佐滝先生:私が高校生くらいのときは、今のようにオープンキャンパスや情報もないので、ただ漠然と「大学行ければ先生になれるかな?」ぐらいの知識しかなかったんです。でも実際大学に行ってみて、アカデミックな環境ってやっぱり半端ないんですよね。教授やエキスパートの方がたくさんいらっしゃるので。だからアカデミックな環境の中に身を置いて、そこで得た経験や知識をベースに、将来の自分像が発見できるのが大学なんじゃないかなと思います。
    加登谷:そうですよね。私も今大学で体育会に入ってるんですが、1浪した4年生の先輩がいらっしゃるので、私から比べれば5つ上・・・。そういう方が同じ部活にいるっていうのは、やっぱり影響がありますね。
    佐滝先生:ですよね。


    5. 中高一貫校にあって一般の中学校にないもの

    加登谷:明星学苑は中高一貫校ですが、中高一貫校にあって一般の中学校にはないものは何だとお考えになりますか?
    佐滝先生:一般の中学・高校は、それぞれ3年ですよね。本校では、6年間の成長ぶりを目の当たりにできるのがすごく感動します。中学1年生は、小学6年生の延長で子どものようだった生徒が、高校3年生で18歳になると、立派な大人に近いものがありますよね。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:6年間継続して生徒たちを見ていくので、担任や担当が変わっても「この生徒はこういう生徒だった」とか「こういう良いところがあった」とかを先生たちで共有できます。あとは、保護者との連携を密接にできるところが、中高一貫校の強みだと思います。


    6. 貴校にあって他の私立にないもの

    加登谷:明星中学・高等学校にあって、ほかの私立にないものといったら何でしょうか?
    佐滝先生:まず、「凝念」というあの“かたち”です。明星学苑の生徒に「明星ってどんなところ?」って聞くと、真っ先に挙げるのが「凝念」。
    編集部:“念を凝らす”ですね。
    佐滝先生:はい。気持ちを1点に集中させるという、心と所作がひとつになったものです。創立者の児玉九十先生は成蹊中学・高等学校の先生でいらっしゃって、そこからの流れもあるんですが・・・。なぜ・・・なぜか、落ち着くんですよね。椅子に浅く腰掛けて、おへその下あたりに力を入れて、目を軽く閉じる。頭の上から引っ張られているかのように背筋を伸ばす。そして、丹田(たんでん)に手を添えて、瞑想するのが「凝念」です。必ず、朝礼、終礼、授業の始まりと終わりに凝念という所作をします。まあ人ですから、雑念を混じらせながらこんなのめんどくさいな、早く終わればいいなとか思ったりすることもあるかもしれません
    よね。そういうのは、生徒たちの顔色で分かるんです。

    編集部:毎時間ごとにやるんですか?
    佐滝先生:毎時間です。私なんか古い人間なので、今日実は10分ぐらいさせちゃいました。あまりにもうるさくって。(笑)
    加登谷:そういうこと結構ありますよね。(笑)
    佐滝先生:普段は大体30秒から1分ぐらい。それをすることによって気持ちが落ち着くんですよね。ちなみに加登谷さんは小学校から明星?
    加登谷:はい。私は小学校からです。
    佐滝先生:そうすると12年間ですね。それだけ長くやっていると、例えばプレゼンをするときや面接のとき、何かに出くわしたときに、「自然に凝念やっちゃいました!」というのがあるみたいです。
    加登谷:あ、そうですね!あります!
    佐滝先生:何人もの卒業生から聞いてます。瞑想というか、かたちだけかもしれないけど、無になって意識を集中させるという所作、この「凝念」は明星ならではだと思います。
    加登谷:私も大学受験のときにやってました。毎時間、毎時間。
    佐滝先生:ですよね。(笑)
    加登谷:あと、私は校訓も好きです。「健康、真面目、努力」という。
    佐滝先生:そうなんですよね。
    編集部:言葉がシンプルで明快ですよね。
    加登谷:校訓も児玉九十先生が?
    佐滝先生:そうです。「健康、真面目、努力」って、「健康」が最初にきてるじゃないですか。うまく言えないんですけど、これは児玉九十先生というお名前の由来からきているそうなんです。漢数字の九十(きゅうじゅう)と書いて九十(くじゅう)と読むのですが、なぜそういう名前がつけられたのかを聞いたところ、先生はすごい未熟児で生まれたそうなんです。90歳まで生きてくれれば、という親の願いが込められているんですって。だからやっぱり「健康」を意識されてるのかなと思いました。ただ実際は・・・。
    加登谷:100歳超えられましたよね?
    佐滝先生:はい。私、実はお会いしてるんです。お会いした年は最期の年だったんですが、真面目で努力される方というのが伝わってきました。校訓の「健康、真面目、努力」この三つはおっしゃる通り、シンプルで分かりやすいですよね。
    加登谷:はい。
    編集部:三つが組み合わさると、行間や背景に何か・・・力強い考え方があるような。社会にはいろいろ大切なことはあるけど、まずこの三つ、あるいは結局大切なのはこの三つの言葉・・・。
    佐滝先生:そうですね。一つだけでなく、三つそろっていることですね。
    加登谷:小学校は、そこに「正直なよい子の育成」とも書いてあるんです。
    編集部:ふむふむ。
    加登谷:「よい子」の概念にもいろんな意味が含まれてて、「正直なよい子」になってるんです。
    編集部:3つの言葉と同じように明快な言葉ですね。そしていろいろ大切な要素が含まれている。


    7. 勉強以外で一生懸命取り組んでほしいこと

    加登谷:中学に合格した生徒たちに、勉強以外で一生懸命取り組んで欲しいことはありますか?
    佐滝先生:はい。これも明星ならではですが「文武両道」なんです。勉強ばかりでなく、部活に所属してほしいと思います。ちなみに加登谷さん、部活は?
    加登谷:私は水泳部でした。
    佐滝先生:今、中学1年生の担任をしていますが、90%以上は部活に入ってます。先ほど年齢の上下関係の話をしましたが、今は1人っ子で兄弟がいない生徒も多いので、上下関係の中のコミュニケーションを取ることは大切ですよね。会話の術を知らなくて、タメ語を使ったり上から目線だったりするので、やはり上下関係を経験することはとても大切だと思っています。
    編集部:そうですね。
    佐滝先生:運動部でも文化部でも、何か結果を出すために、目標に向かって努力して練習しますよね。例えば水泳だったら、タイムを上げるとか、どこの大会で優勝するとか。そして、やっぱり練習は辛いですよね。楽して栄冠を得ることはないんです。そういう意味でも、部活をすることによってメンタル面が強くなると思うんですよね。今は、我慢や辛抱がちょっと苦手な生徒たちが多いので、我慢、辛抱、強さというものも培って育ってほしいです。部活には絶対に入ると、先輩後輩の絆というか、自分が次に先輩になったときに後輩たちにどうできるかの勉強にもなると思います。もちろん、外で何か習い事をしてさらに磨きをかけるの
    も、いいことだと思うんですけれど、基本的には明星学苑の部活に所属して、先輩後輩の絆を培ってほしいですね。

    加登谷:はい。私も、明星学苑が文武両道ができる環境にあるからこそ、部活に入って勉強も頑張るというのが理想だと思います。明星に入ったからこそできることですよね。
    佐滝先生:はい。


    8. 授業について

    加登谷:佐滝先生は英語の先生ですが、普段どんな教材を使われて授業をされていますか?どんなスタイルで授業をされていますか?
    佐滝先生:今は小学生でも英語の授業が展開されていますし、アルファベットが書けたり、音声に慣れている生徒も多いんです。けれども、世界の共通語のツールとして使えるようにするべく、やはり英語4技能(聞く、話す、読む、書く)をまんべんなくやりたいと思っています。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:どうしても我々は、インプットはできてもアウトプットが苦手なんですよね。だから、英語をこれだけ長い年月をかけて勉強してもなかなか話せないというのが、ちょっと寂しいんです。なので少しでもアウトプットができるように意識的に多くやっているものがあります。まず、中学1年生だと、単語のスペリングと発音ですね。英単語は、文字と音が一致しないので、単語を見るだけでは読めなかったり、スペルを書けと言ってもなかなか書けないんです。家庭学習として、教材のCDを必ず毎日30回は音読させています。CDプレイヤーの音をリスニングして、文字を見ながら声に出して真似て、30回音読してきなさいと言います。
    さらに、授業でもずっと音読をします。英文を板書して、一通り文法事項を説明したあとに音読をするんですが、1行ずつ消していくんです。

    加登谷:あー!はい。
    佐滝先生:最終的には暗唱させるんです。私、暗唱させるのが好きなんですよ。見ないでもできるように、授業でも最低10回は繰り返します。次の日には「ディクテーション=書き取り」をします 。カッコになっている部分を埋めていく感じですね。生徒にとっては嫌なことかもしれないですが、アウトプットさせることを意識的にしていますね。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:あとは、デジタル教材ですね。どのクラスにも電子黒板的な機能がついたものが設置されているので、映像や音声なども使うんです。正直な話、私自身がまだまだICT教育がちょっと苦手で、今、一生懸命勉強中なんです。今後はさらにビジュアル的なものやオーディオ的なものも活用して、活発的な授業なるように努力を重ねていきたいと思います。古いやり方かもしれませんが、基本的には黒板にきちんとチョークで書いて、ノートもきちんと取らせてというのが定番です。ただ、和訳はさせてません。昔の英語の教え方って和訳が中心で、どうしても訳した言葉、日本語だけを意識してしまって、なんだか日本語の授業になって
    しまうので。そういうのは、もう少し学年が上がってからでいいと思ってるので、今はフィーリング、感覚的な英語をつかませるように、学習を進めている感じです。

    編集部:そうなんですね。
    加登谷:そうですね。高校の授業でも、レステーション(暗唱)コンテストがありました。3分くらいの文章を暗唱して、小学生、中学生、高校生で予選を勝ち上がった10人ずつが、講堂や視聴覚ホールなどで1位から3位を競う決勝戦をするんです。
    佐滝先生:そうですね。
    加登谷:私もレシテーションコンテスト結構出てました。(笑)
    佐滝先生:そうでしたね。優秀でした。
    編集部:そうなんですか!
    加登谷:それをやったおかげで、大学の英語の授業でも、英語の脳に切り替わるというか、英語で感覚をつかむというやり方が身についていると思っています。明星の英語プログラムならではと思いますね。日本語に訳さないで、英語で内容がわかるというか。
    編集部:それは、小学生から凝念をやって鍛錬されてるからなんですか?
    佐滝先生:そういうことではないと思います。
    加登谷:小学校では、意味も分からずただ暗唱してるだけだと思います。音だけを聞いているというか。
    佐滝先生:そうですよね。中高生になると、だんだん内容も分かってきて表現力も出てきますよね。
    加登谷:私も小学校の頃は全然分かってなかったです。小学校では「3匹のこぶた」や「ブレーメンの音楽隊」などを暗唱するんですけど、とにかく音を暗唱するだけでした。でも、暗唱することで、英語がさらに身にしみるというのは、すごく分かりますね。
    編集部:英語で理解して英語で考えるということを目指されているんでしょうか?
    佐滝先生:そうですね、はい。
    編集部:なるほど。それは、明星中学の生徒さんほとんどがマスターされるものなんですか?
    佐滝先生:ほとんどっていうと、それはなかなか難しいですね。例えば、英検指導をしてる際に、生徒が一番不得意な分野は「並べ替え」なんです。単語を並べ替えて英文を完成させるやつですね。あれ、日本の独特な作問らしいんですけど。
    編集部:そうですよね。
    佐滝先生:なぜかというと、日本語と英語では語順が違うじゃないですか。先ほど謙虚さの話をしましたけど、欧米の方は基本的に「Yes」「No」をはっきりさせますよね。文の最初に、否定なのか、肯定なのか、疑問なのか、過去なのか、現在なのか、未来なのか、言いたいことがきますよね。そこが日本人がなかなか慣れないとこだと思うので、英語脳にするというか、パターン・プラクティスさせながら身につけさせています。英語で一番大事なのは、動詞なので。
    【※編集部注釈:パターン・プラクティス・・・主に英文法を身につけるための学習法。基本の文法表現を、パターンを変えて学習する。主語や動詞を換える、疑問文・否定文にするなど、たくさん数をこなして、反射的に答えられるまでスピードを上げる。スピーキング力のアップにもつながる。】
    編集部:なるほど。
    佐滝先生:そういったこを中心に理解してもらおうと努力はしてますけれども、ただ4つ(聞く、話す、読む、書く)が全部そろわないと、なかなか機能しないですね。1つだけずば抜けてできても、片手落ちじゃないんですけれども・・・
    加登谷:そうですね。
    佐滝先生:私は楽器は全然できないんですが、よく言うことがあります。ピアノの初心者は、まず楽譜を見て、指を鍵盤に置く。それから指を左右同時に動かして、初めてメロディとなる。できるだけすべての感覚を使ったほうが、より脳が刺激され一層素敵な音楽を奏でることができる。
    編集部:なるほど。
    佐滝先生:だから、4つの技能をリンクさせながら、好奇心や面白いなっていうことを感じて興味を深めてもらえるように取り組んでいますね。ただ、受験となるとどうしても文法や長文読解が中心になってしまうので、そこにギャップがあるのかなという気はします。
    加登谷:私は、中学校のときにそういった授業を受けていたおかげで、大学の英語は、話す授業が多いので、ディスカッションやプレゼンテーションで、ちゃんと話すことができます。英会話の授業や、多読、多聴、そういったものの影響で、口からちゃんと英語が出てくるので、そのおかげかなと思いますね。
    佐滝先生:うん。そうだよね。
    編集部:それはうらやましいですね。


    link: 「英語で「3匹のこぶた」The Three Little Pigsを鑑賞」(出典:子どもの英語)
    link: 「The Town Musicians of Bremen (ブレーメンの音楽隊)」(出典:こども英語チャンネル)


    9. 日々の生徒の観察

    加登谷:先生は、生徒の観察を日々どのようにされていますか?
    佐滝先生:生徒たちは、学校にいる時間が家庭より長いですよね。なので、いつも私は自分のクラスには「学校は家庭と一緒だよ」「家族だからね」と話しています。英語の授業は週に5時間あるので、少なくとも確実に5時間は生徒と一緒。そして、朝礼、終礼、掃除、お昼休みなどの時間があるんですが、私はやっぱりコミュニケーションを積極的に取りたいので、朝はどの先生よりも早く教室に入ってます。7時半くらいですかね。
    加登谷:ふふ。早いですね。(笑)
    佐滝先生:朝礼は8時25分なんですが、私は7時半ぐらいには教室に押しかけて、まず生徒たちの顔色を見ますね。あとは、彼らの友人関係を見たり、例えば何のテレビを見たとか、どんなゲームしたとか、そんな会話のキャッチボールをしてみたり。あと、掃除は毎日一緒にやってます。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:掃除のときにコミュニケーションを取るんですが、今の生徒ってなかなか掃除しないんですよね。「家で掃除しないの?」って聞くと「いや、ルンバがやります」みたいな。
    加登谷:ふふふふ。
    佐滝先生:雑巾もちゃんと絞れなかったり(隅々まで掃かずに真ん中だけ)丸く掃いたりするんです。私は明星に入ったときに、お掃除も教育だと教えられたんですよね。今はやってないですけど、水拭きも週に何回もやったり、黒板の桟や窓の桟も、きちんとできてないとやり直しさせられた時代もあったので。
    編集部:え、それは先生になられてから?
    佐滝先生:そうです、そうです。
    編集部:なるほど。
    佐滝先生:みんなで、かっぽう着に三角巾をしてお掃除してました。女子部の時代ですけどね。でもそれってとても大切だと思うんですよね。だからコミュニケーションを取りながらも掃除もしっかりさせて、話題づくりや体の様子、何か会話の糸口を探そうと観察をしています。見ているとやっぱり分かるんですよ。ちょっと元気がないなとか、ちょっと何かあったんじゃないかとか。物に当たっていたりするんでね。
    編集部:なるほど。
    佐滝先生:そうすると「なんかあったの?」と会話のとっかかりができるので、とにかく教室にいるようにしてます。ただ、彼らは胡散臭いなと思ってるかもしれません。
    加登谷:ふふふふふ。


    10. いじめへの対応

    加登谷:先生は、朝早くから生徒さんたちを観察されてると思うんですが、もしいじめがあるなと思ったときは、どのように対応されますか?
    佐滝先生:そうなんですよね。いじめの定義っていろいろあると思うんですが、いつも生徒に言ってるのは「自分がされて嫌なことは、人には絶対するな」ということです。ただ、いじめとは言えないまでも「いじり」のようなものは、明星の中にもありますよね。言った本人がいじり程度でも、受け取る人がいじめと思ったら、それはいじめなんだよと言っています。
    加登谷:はい。
    佐滝先生:ましてや学年が下だと、ちょっとまだ加減がわからなくて、人の心にズカズカ入ったり、残酷になっちゃうこともありますよね。なので、ちょっと変だなと思うことが、少しでも耳に入ったり、そういう様子が伺えたら、学年主任や授業担当の先生、顧問の先生、全ての先生に報告します。一人じゃなくて、とにかく学年が一丸になろうと「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」を徹底しています。
    加登谷:はい
    佐滝先生:「ちょっと様子を見てくれませんか?」と相談して、様子を見ながら誰が一番的確に対応できるかを判断していただいて、また報告してもらって、というような感じです。もしかしたら私が対応しない方がいい場合もありますよね。協力なしではできませんね。
    編集部:それは、システムになってるんですか?どの先生もそれをやられてるんですか?
    佐滝先生:基本そうです。
    編集部:ほー。
    加登谷:マニュアル化されてないけど、先生方はみなさんそうされるだろう、ということですかね?
    佐滝先生:マニュアル化・・・。学校には「教師必携」(明星中学高等学校の教諭としての心得)というものがあってその中にちゃんと書かれています。
    編集部:そうですよね。文科省のルールで、いじめへの取り組み方が決まっているんですよね。
    佐滝先生:はい。
    編集部:でもそれに加えて、明星にはどんなルールや内容があるのかと思ったんです。
    佐滝先生:はい。まだ芽のうち、育たないうちに摘み取るっていうのがすごく大切だと思います。そこは本当に意識してますね。
    編集部:はい。それもあって先生は早く教室に行かれるんですね。
    佐滝先生:そうなんです。はい。やっぱり気になりますので。


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    加登谷美琴
    卒業生
    立教大学現代心理学部映像身体学科1年生
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