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    1. 本のリクエストについて

    中川:生徒からリクエストがあった本の発注サービスはありますか。


    二井先生:もちろんあります。読みたいという気持ちに応えるのが図書館なので、リクエストも受け付けてます。ただ・・・
    中川:ただ?
    二井先生:学校図書館なので、学校にふさわしくないと思った本は入れていません。
    中川:例えば?
    二井先生:例えば、残虐なものだったとか、
    中川:あぁ。
    二井先生:あと、性的描写が激しいものですとか。でもそれも文学の1つとして必要だなと思うものはもちろんあるので、性とかそういうもの抜きに文化と考えるのも難しいので、全てを入れないというわけではないのですが、特に残虐なものとか、自殺の方法だとか。
    中川:あぁー。
    二井先生:そういう、ただ単に興味があって知りたいなというようなものは入れていないというのと、あとラノベって言われる・・・
    中川:あぁ。
    二井先生:ライトノベルは、安価だし自分のお小遣いでも買えるようなものが多いし、あと10年後20年後それが生き残って皆が読むものになるかなという目でいつも選書をして・・・
    中川:へぇ。
    二井先生:その本の人気や価値が一過性のものだなと思えば、申し訳ないけど、図書館には入れられません。「お小遣いで買ってね」っていうメッセージを付けてリクエスト結果を掲示しています。
    中川:多分リクエストする時に紙に書くんですよね?
    二井先生:そうそう、紙に書いてそれに可否を書くんだけど、「リクエストOKです、いつ頃入荷します」みたいなのを書いてそれを張り出します。
    中川:ほぉほぉほぉ。
    二井先生:それを見て生徒たちは「あっこれは買ってもらえないんだ」っていうのが分かってくるみたいで。
    中川:あぁ、でも確かに、大事ですよね。
    二井先生:うん、そういうのをリクエストしてくる生徒は、今はあまりいないですね。
    中川:リクエストする時って、自分の名前とかって書かなくてもいいんでしたっけ?
    二井先生:いえ、書いてもらってます。
    中川:一応責任を持って、私がほしいものを・・・
    二井先生:そう、書いてもらってます。というのも、リクエストした人が優先的に一番に借りられるので。
    中川:あぁ。
    二井先生:お名前がないとそれが使えないんですよね。
    中川:確かに。
    二井先生:予約第一号になるために、あとはどうしてその本がほしいのかという一言メッセージも書いてもらってるから、そこを熱く書いてねっていつも言ってるんだけど。
    中川:あぁ、入荷してほしかったらそこに気持ちを表してねって。
    二井先生:そうそうそう、気持ちを表す。どうしてそれがほしいのかを書いてもらってます。
    中川:じゃあ、闇雲に、漫画がほしいとかそういう理由でポンポンポンポンリクエストされるのではなく、この本がほしいんだっていう責任持って・・・
    二井先生:そう、その理由を・・・
    中川:リクエストするために名前も書かせるし、一言メッセージも書いてもらう。
    二井先生:うんうん。
    中川:それが、二井先生の御眼鏡にかなえば、あははは。
    二井先生:私だけじゃなくて、もう一人の司書の松井先生と、あと実は全部の教科の先生の代表者が集まって、選書会議をやっているんですよ。
    中川:えっえっ。
    二井先生:それは、年に2回集まってるんですけど、あとは随時必要に応じて呼びかけて集まってもらったりしてるんだけど、図書館では決め切れない時には、選書会議にかけて、選定委員の先生にも意見を貰ったりしてます。
    中川:へぇ、意外と入荷する時って図書館の先生だけじゃなくていろんな先生も・・・
    二井先生:基本は図書館の職員で決めてるんだけど、そこで決めきれない時とかあと全集とか、高価で何年もずっと使うようなものがリクエストされたりした時、あと雑誌のリクエストがあった時かな。
    中川:あぁ。
    二井先生:雑誌は年間購読を基本としてるから。
    中川:あぁ。
    二井先生:そういう時には出来るだけ授業で使ってもらう内容とタイアップした方がいいので、そういうものの時には先生に話を聞いたりしてますね。
    中川:そうだったんだ、リクエストにもこんな裏話があったとは。
    二井先生:そっか、知らなかったか。
    中川:あんまり知らなかったです。

    2. 貸出ベスト3

    中川:貸出ベスト3、一番借りられるのが多い本って・・・
    二井先生:はい、さっき調べてきました。
    中川:おっ。
    二井先生:それは、「基礎英語」でした。
    中川:あははは。
    二井先生:あはは、CDです。CDは本と違って2週間ではなく、一日貸出なんですけれども、やっぱり家で聞くっていうのが基本なんですが、どうしても聞けない人のために準備してあって、それがよく動いてますね。というのも、もうすぐ試験が近いからでしょうね。
    中川:あぁ、なるほど、なるほど。
    二井先生:それで2番目が、今は『漢文を学ぶ』っていう例の中学1年生の読書ノートの課題本でした。
    中川:確かに自分で買うってなるとちょっとっていう・・・
    二井先生:あとはあまり、公共図書館では置いていない本なんですよ。
    中川:あぁ、意外と手に入りにくいんですか?
    二井先生:そうそう。そういう本は図書館で準備してあげて図書館に来れば借りられるってなっていれば安心じゃない。
    中川:安心ですね、レポート書く時に本がないのは絶望的なのでほんとに。
    二井先生:そうだよね、本当にね。3番は『君の膵臓をたべたい』っていう、よく売れてる本だよね。
    中川:あぁ。
    4番は有川浩の『植物図鑑』。
    中川:『植物図鑑』。
    二井先生:第5位が太宰治の『人間失格』でした。
    中川:えぇー!
    二井先生:これは中学3年生の授業で太宰治をやってたから、その時に紹介したんですよね。
    中川:はい。
    二井先生:そのあとコーナーを作ってたからだと思うんですよね。太宰治が意外と人気でした。
    中川:人気ですか。中3の時にやる国語の授業の文章って人間失格でしたっけ?
    二井先生:『走れメロス』だと思う。『走れメロス』をやった時に、同じ太宰ということで、太宰治の本を読んでみませんかみたいな感じで小さいコーナーを作ったんですね、そうしたら借りられていて。
    中川:じゃあ、学校の国語の授業にも合わせて、置く図書をちょっと変えていると。
    二井先生:そうなの、そうなの。実は先生達に今「何やってますか」って聞いて、「今は理科Ⅰで恐竜をやってるんだよ、脊椎動物なんだ」とかって言われたので、この前も・・・
    中川:はい。
    二井先生:伊藤昌晴先生に聞いて、本棚に並んでた背表紙しか見えていなかった『恐竜図鑑』というのをザーって広げてみたの。そうしたら、「うわー、これ今授業でやってる!」とかって言って借りられたりするんで。
    中川:なるほど、じゃあそういうとこも各科目の先生と連携とって。
    二井先生:そうそう。
    中川:授業に関係してるというか、授業プラスアルファのことが載っていそうな本を置くことで、国語の授業で扱った太宰治の本がもっとどんどん自分の教養として自然に手に取ってもらえるように。
    二井先生:そうそう。
    中川:へぇー。
    二井先生:そうだね、授業だけではなくて、京都奈良の学習体験旅行の前なんかも、この前松井先生がブックトークで授業に行って、川端康成とか芥川龍之介の本を一節だけ読みました。続きが知りたかったらここにあるよって言ったら、借りに来てくれたんだよね。
    中川:ブックトークっていうのは?
    二井先生:本の紹介をするんだけど、一冊まるまる読むのではなくて、あるテーマに沿って本を何冊か選んで、その時は京都が舞台の本ということで、司書の松井先生がしてくださったんだけど、そこで何冊か「これはこんな本なんですよ」というあらすじをさっと紹介したり、一節だけ読んだりして、それを紹介して、「これ全部図書館にあるからいつでも借りにおいで」とかって言うと、生徒が「あの本ありますか」って借りに来てくれるんだよね。
    中川:確かに私今思い返したら、国語の授業とかのちょっとした時間に、図書館の先生が移動式の本のラックと共に教室にやって来て。
    二井先生:そうそうそう、ブックトラックをね。
    中川:ブックトラックと共にこんな本ありますって紹介を。
    二井先生:うんうんうん。やったかもしれないよね。
    中川:なるほど、確かにありましたそういうことが。
    二井先生:先生に「ちょっと終わりの10分もらっていいですか」って言って本を紹介しに行ったこともあるかもしれないよね。そういうこともやってるんです。
    中川:そっかそっか・・懐かしい、えへへ。
    Link:基礎英語
    『漢文を学ぶ〈1〉(小さな学問の書)』栗田 亘(著)
    『君の膵臓をたべたい』住野 よる(著)
    『植物図鑑』有川 浩(著)
    『人間失格』太宰治(著)
    『走れメロス』太宰治(著)
    『実物大恐竜図鑑』 デヴィッド・ベルゲン著 小峰書店

    3. 生徒に読んでほしい本

    中川:生徒に読んでほしい本を教えてください。
    二井先生:一言で言うと視野を広げる本を読んでほしいです。
    中川:具体的に、視野を広げるとは?
    二井先生:「この作家が好き」といって物語だけを読むというのも、もちろん大事な時間なんだけれども、世の中を知るというか、ここに今持って来たんですが、こういう、「生き抜く力を身につける」というふうになってますが・・・
    中川:はい。
    二井先生:ちくまプリマー新書の「中学生からの大学講義」というシリーズです。
    中川:はい。
    二井先生:いろんな大学の先生とかその道のプロが、学問ってこういうものだよとか、大学で学ぶ専門的な事がこういうふうに人間の生活に役立っているとか、文化を作っているというようなことを短い簡単な言葉で中学生から分かるように、ある学校でやった公演をまとめた本なんだけど。
    中川:へぇー。
    二井先生:これを読むと、理系とか文系とかにそんなにとらわれずに、何のために勉強するのかということが読みながら楽しみながら分かっていくので、こういう本を中高生の時に全部は読まなくていいから、気になるところだけでも拾い読みしてくれると嬉しいなって。
    中川:あっ確かにちょっと私も今ぐぐっときました、「地図の魅力とその見方(目次のタイトル)」って何だみたいな、あははは。
    二井先生:そうそうそう。
    中川:じゃあ先生的にはそういう物語のような本も読むの楽しいし、読んでもらいたいけれど、どっちかというと大学に向けて勉強してるこの時期・・・
    二井先生:大学だけじゃなくって、もっと遠い将来を見据えた、大きい言葉で言うと生涯教育っていうけど、人間として・・・
    中川:あぁ、なるほど。
    二井先生:これから生きていく時に力になっていくような。
    『中学生からの大学講義 5 生き抜く力を身につける』ちくまプリマー新書
    中川:いわゆる黒板に向かってガリガリ勉強するだけじゃなくて、生きる力っていうとすごく難しいですね。
    二井先生:すごくテーマが大きいけど、もちろんのめり込んでいくそういう時間もすごく大事だと思う。今だったらハリーポッターがすごい人気で。
    中川:あぁ、金曜ロードショーとかでもやってますからね。
    二井先生:そうそう。そういう物語にのめり込む時間、それって孤独な時間じゃない?
    中川:はい。
    二井先生:自分だけの時間って、そういうファンタジーの世界もそうだけれども、「物を調べるときの調べ方を学ぶ」というか「学び方を学ぶ」ということを、普段の授業でもちょっとずつ伝えていければなと思っているんだけれども、人に勧められないと読まないような本を置いて紹介して、手に取ってもらえるのが学校図書館のいいところかなぁと思いますね。
    中川:確かに、私多分この本が普通に図書館にあっても手には取らないですね。
    二井先生:そうね。この本も実はこの前高校3年生に紹介したの・・・
    中川:はい。
    二井先生:レポート書かなきゃいけないということで相談されて・・・その生徒は将来は販売員になりたいんだって。
    中川:モノを売る仕事に。
    二井先生:将来はモノを売る仕事、つまり接客業をやりたいんだけれども、「大学を出てもなかなか就職できないと今言われているけれども、学問をすることと就職をすることにはどういう関係性があるのか」ということでレポート書きなさいって大学で言われたんですって。
    中川:なるほど。
    二井先生:それについて何かいい資料ありませんかという質問だったから、その図書を紹介したんだけれど。
    中川:今、私、生き抜く力ってなんだろうって考えてたんですけど、理系だったら多分大学とかで学んだ知識がそのまま仕事に生きるかもしれないけど、例えば文系で・・・学んだこととは関係のない分野の仕事に就く人もいて、生きる力って何だろうっていうか、ただガリガリ勉強するだけが勉強じゃないというか、言葉で言い表すの難しいけど・・・
    二井先生:うんうん。
    中川:勉強っていろんな種類があるっていうことを伝えたいんですかね?
    二井先生:そうですね、さっきのフェアトレードの本の紹介なんかもそうなんだけども、目の前にある楽しいことだけじゃなくてその裏に隠れている本当のこと・・・
    中川:はい。
    二井先生:ニュースではあまり語られないかもしれないけど、そこで生きている人の写真集、ドキュメンタリー、エッセイ、そういういろんな種類の本があるのが図書館のいいところだから、しかも、自分で買わなくていいし。
    中川:そうですよね。
    二井先生:お金かからないし、例えば”12歳のあなたに伝えたいもの”っていうのを見渡せるのが図書館のいいところかなと思うので、成長段階に合った世界を広げてくれるような本と出会ってほしいなと思います。
    中川:分かりました。学年によって読む本の種類って若干違うと思うんですよ。中学生と高校生ではものの考え方が違うから同じ本を紹介しても、ちょっと心に響くかどうかは分からないですよね。
    二井先生:うんうんそうなの。
    中川:じゃあ学年に合わせて、生徒たちの将来に何かのかたちで役に立ちそうな、視野を広げてくれるような、ただの文学だけじゃなくて、エッセイとかそういうものも含めて生徒にお勧めしたいという感じですか?
    二井先生:うん、そうですね。
    中川:分かりました。(笑)深イイ話だ。
    二井先生:あはは。あとは、生徒たちの視野を広げるための手助けとして、学校で働く司書・司書教諭たちで小中高生向けのおすすめの本300冊を選んだりもしているんですよ。
    ↓ ↓ ↓
    『学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本300』
    【※編集部注釈:学校図書館で働く「本のコンシェルジュ」司書と司書教諭が自信をもっておすすめする300冊を紹介しています。 「日本十進分類法」の"0"「総記」から"9"「文学」まで分類順に掲載しています。インタビューを受けてくださった二井先生や司書の松井先生も選書に携わっているそうです。】

    『中学生からの大学講義 5 生き抜く力を身につける』
    『学校図書館の司書が選ぶ小中高生におすすめの本300』

    4. 先生が好きな本

    中川:二井先生が好きな本は何ですか。
    二井先生:色々あるけれども、1冊だけ選ぶとすると三浦綾子の『母』という本です。是非読んでみてください。
    中川:えぇ、内容についてはしゃべってもらえないんですか?
    二井先生:そうですね。小林多喜二という人を主人公にした、その人のお母さんを描いた本なんです。
    中川:母って言ってるけれど、主人公は母では・・・
    二井先生:母が語っていて母が主人公なんだけど、その母は誰の母かと言うと小林多喜二っていう人なんですね、プロレタリア文学っていう。
    中川:はい、何それ?
    編集部:「蟹工船」って、この間映画でやってましたよね。
    中川:えぇ?
    二井先生:「蟹工船」。
    中川:あーはいはい、「蟹工船」。
    二井先生:小林多喜二は社会的の軋轢の中で最後は監獄に入れられて殺されてしまった人なんですけれども、この話は多喜二と母セキの生涯を描いています。私最初に読んだ時に涙が止まらなくって、2回3回と読んで、やっぱり3回読んでも涙が出るという、母性ってなんだろうとか母の存在自体を考えさせられます。人間の大きなものを考えさせられるいい本なので、是非一度ここは女子校だし・・・
    中川:そうですよね。
    二井先生:母性というものを考えさせられたり、生きるっていうことを考えさせられるとてもいい本だなと私は思うので、チャンスがあったら読んでほしいなと思います。
    中川:ちなみにその本は学校図書館にありますか?
    二井先生:あります。
    中川:あるんですか、じゃあ是非お勧めしてください生徒に。ここ女子校っていうのもあって、女の子しか生徒がいなくて、将来お母さんになる存在の人ってたぶんいっぱいいると思うんですよ。だからそういう生徒たちがいっぱいいる中で母性について考えさせるっていうか、まだ今私たちの年齢だと妊娠して子どもを産んで、母親になるっていう人は少ないと思うんですけど、でも将来お母さんになる人っていっぱいいると思うんでその時までにちょっとでもいいからなんか・・・
    二井先生:そうだね。
    中川:母親になるってどういうことかなとか、私はお母さんいるけど、お母さんて何だろうみたいな、そういうことをちょっと思う瞬間ってあってもいいのかなって思ったので、じゃあ是非。
    二井先生:そうね、中高の時は感じられなかったことが大人になってからまた読み返すとじんわり感じるものもあると思うから、だから本って素敵だよね。
    中川:そうですね、多分読む時期によって・・・
    二井先生:そうだね、感じることが変わるからね。
    中川:じゃあ生徒に推してください!
    二井先生:推してます、実はこれは先生達が生徒に勧めたい本を書いてるエッセイ集なんですけど、この中にも私は書いてます。
    中川:へぇ、これって年に一回でる?
    二井先生:これは年に一回出してたんですけれども今はちょっと休止していて、またいつか始めたいと思います。面白いことに用務員の人とか、事務の人とか、先生だけじゃなくて、この学校でその時働いているいろんな方々に書いてもらってるから、普段授業では持ってもらってない先生のおすすめ文も読んだりして、「この先生こんな本紹介してるんだ」、「先生この本私も読んだんです」とかっていって、職員室に話しに行く生徒もいるんですって。
    中川:へぇ、きっかけづくり、いいですね。
    二井先生:そうそうそう、人と人とがコミュニケーションする時のきっかけにもなったらなぁと思って。これ私が来る前から実はもう作られていて、20年ぐらい休止していたのをもう一回、私は作ってみたいなと思って図書委員さんに編集員になってもらって。
    中川:なるほど。
    二井先生:図書委員が先生に原稿依頼をしに行ったんですよ。そうすると先生達も、(私が頼んでも書いてもらえないけど、)生徒が行くとすんなり了承してもらえたのです。
    中川:えへへ。
    二井先生:生徒が、「先生提出期限が過ぎてます!」とかって言うと、普段先生達も、何日までに出しなさいよって言ってる手前、「あっごめんごめん」と書いてくれる。
    中川:確かに子どもに言われると、先生方も「お、しっかり書かなきゃな」という気になりますよね。
    二井先生:そうそう、そういう立場の逆転もね、面白くて。
    中川:あははは。
    二井先生:いい仕組みだったなと思って。
    中川:あはは。確かに、漠然とこの本がいいよって書いてあるよりは、こういうかたちで、「あの体育の先生がすすめてる」とか。
    二井先生:そうそうそう。
    中川:いつもお世話になってる、学校で一緒にいる先生、大人に本を紹介されるとちょっと読んでもいいかなって気になりますね。
    二井先生:巷にね、読書案内っていっぱい溢れているけど、顔が見える人からの紹介ってやっぱりなんか嬉しいものじゃない?
    中川:そうですね。
    二井先生:それを狙ってます。
    中川:読んだあと感想が言える人がいるってことですよね。
    二井先生:そうね。
    中川:その本を勧めてくれた先生に、「この読んだよ」って言ったら、お話が膨らむわけですよね。せっかくだから、読んだら言いたいですからね。
    二井先生:こういうのはね、夏休みの前とか冬休みの前に出したりしたの。そうすると冬休みに何読もうかなっていう人にとって、ここから選ぶってことも多かったです。
    中川:学校に本がいっぱいあると、どれ選ぶかって迷いがちですからね。確かにこれを見ると、あっ、ちょうど開いたら校長先生がお勧めした本でした、へへ。
    二井先生:おぉ。
    中川:『少年H』ですね。
    二井先生:この本の表紙を出すのに著作権の確認をするための電話とかそういう連絡なんかも図書委員と一緒にやったんです。
    中川:そうなんですか、すごいな。
    二井先生:図書委員さんがやったんです。こういうことを教えるきっかけになるなと思って。
    中川:確かに。
    編集部:これは何年からやられてたんですか?
    二井先生:復活したのは2006年です。そのずいぶん前から前任の司書がやってたんですけれども。
    編集部:先生方をはじめ、ほんとに身近な方々がきちっと書いてくださっていて、いいですね。
    中川:なるほど。図書委員さんが中心となって、作ってくれるんですよね。図書委員っていうのはもちろん生徒。
    二井先生:そうです。
    中川:ですよね、そう思うとすごいですね、生徒が先生に言われてやってるっていうよりは、生徒が自主的にいろんな著作権の事とか、この本を出版するっていう、そこも含めて全部先生にも記事お願いして期日迫ってますよとか。
    二井先生:取り立てに。編集者になってる。
    中川:ちょっとした雑誌編集者みたいな気持ちも味わえるような。
    二井先生:そうですね、校正もしますからね。自分の担当の先生のものはちゃんと。中にはパソコンじゃなくって手書きでくれる先生もいるし、その先生の原稿はその担当者が責任を持って打っていって。
    中川:あぁ、そっか。
    編集部:ちなみに三浦綾子の『母』は、高校生向きぐらいかと思うんですけど、小学校6年生とか、中学校1年生に向けてだったらどんな本がいいでしょうか?
    二井先生:そうですね・・・『マーガレットとメイゾン』というシリーズの本があるんですが、アメリカの黒人の女の子を主人公にした、成長物語のシリーズが小学校6年生とかにはいいかなあと思います。
    あとは、『十二歳』というタイトルの本があるんですが、ちょうど小学校6年生が中学生になるまでの1年間を描いています。女の子が主人公です。
    中川:へぇーそうなんですか。知らなかったな。ちょうど確かに子どもの年は12歳ですよね、小学校って言うと。
    二井先生:自分と等身大の子が主人公の物語ってすごい親近感がわくじゃない?
    中川:うん、感情移入もしやすいですよね。
    二井先生:うんうん、そうだね。
    『母』三浦 綾子(著)
    『少年H』妹尾河童(著)
    『知の技法:東京大学教養学部「基礎演習」テキスト』 小林康夫(編集),船曳建夫(編集)
    『マーガレットとメイゾン』ジャクリーン・ウッドソン(著)
    『十二歳』椰月 美智子(著)

    5. 生徒の特徴

    中川:先生から見てこの学校にはどんな生徒が多いと感じますか。
    二井先生:うーん、いろんな生徒がいますね。
    中川:ふふふ。
    二井先生:基本明るくて、楽しいことを求めてる生徒が多いなぁと思います。よく学校説明会なんかでも、ここを受けようと思ってる保護者の方に、「活動的な生徒ばかりのように見受けられますが、そうなんですか」とかって聞かれるんだけど、部活もやって勉強もやってという、そういうアクティブな生徒もいっぱいいるけれども、そうではなくクラブは入ってないけど、自分で好きな世界を追究している生徒もいますね。たとえば、イラスト画を描くのが好きとか、演劇を見るのが好きとか、私はピアノをずっとやってるんです、とかそういう生徒です。芯を持った生徒が多いなって思います。
    中川:何か一つ自分の好きな事をやってる。
    二井先生:うんうん。
    中川:部活だけじゃないと思うんですよ、学校って。部活はやってないけれど、ちっちゃい頃から続けてきた習いごととかを今も続けてるとかそういう一貫性というか、芯のある生徒というか。
    二井先生:うんうん、そうだよね。
    中川:そういう生徒が多いですか?
    二井先生:うん。最近図書館によく来る生徒がいるんだけれども、その生徒はクラスではちょっと居場所がなくって、クラスのお友達と話が合わないんだって。
    中川:へぇ。
    二井先生:だからあんまりクラスの皆でワイワイキャーキャーするのは好きじゃなくって、むしろ静かなところとか一人きりになれる場所を求めて最初ふらりと図書館に来たのね。
    中川:へぇー。
    二井先生:ずっとその生徒はピアノを習っていて、双子の妹がいるらしいんだけど、妹の話とかをぽつぽつと私に話してくれたり、ピアノのドビュッシーが好きなんだとかそういう話をしたりとか、バイオリンも習っているから、バイオリンが上手になる本ってあるんですかって聞いたりとか。
    中川:へぇー。
    二井先生:絵も好きだってことがだんだん分かってきたり、その生徒を知ると、その生徒の世界ってすごく深いんだなと思います。自分が描いた絵を見せてくれることもあったりとかして、教室ではそれを見せられるお友達は今のところいないんだけど、自分の世界っていうのを持っていて、それをとっても大事にしているなぁっていうのをすごく感じるんです。そういう生徒はその子だけじゃなくって、きっとこの1200人の中にいっぱいいると思うんだよね。個性のかたまりですから。学校は。
    中川:そうですよね、きっといると思います。自分なりの世界があって、それがたまたまそのクラスの友達とはちょっと合わなくて。
    二井先生:そうそうそう。
    中川:あんまりそういう自分の趣味とか考えを友達にはしゃべらなくって、孤立というか、別に周りもいじめてるわけじゃないけど、あんまりしゃべる友達がいない生徒も中にはいて、でもそういう生徒たちの居場所が図書館にあるって感じなんですよね。
    二井先生:そうね、そういう生徒はその子だけじゃなくって、いろんな学年で実はいるから、そういう生徒たちがふらりふらりと出会って、図書館のカウンター周りで話したら高校2年生の生徒と中学1年生の生徒が仲良く・・・
    中川:へぇー!
    二井先生:話をしてたりとかするから、そういう出会いの場にもなってるなと思う。
    中川:あぁそうか、確かにうちの学校の生徒は皆休み時間になったらギャーギャーギャーギャー、あはは、騒いでる。そういう生徒もいるけれど、中には寡黙というか、一人の時間も大切にしたいって生徒もいるし、確かに先生が最初言った通り、いろんな生徒がいますよね。
    二井先生:うんうん。
    中川:だけど、その中でうまくみんな自分の居場所を見つけて、部活に頑張ったり習い事をしたり、絵を描いたりとか本を読んだりとか、それぞれその生徒なりの過ごし方をしてるように見えますか。
    二井先生:そうだね、どうしても「田園調布学園」という名前がやっぱりきらきらしてるように見えるんだってね。お嬢様ばっかりですかとか、そういうの聞かれるんだけど、そんなことないよね、いろいろ・・・いろいろだよね、走り回ってる生徒もいるしね。
    中川:(笑)もう私みたいな、こんな感じなんで、あはは。
    二井先生:いろんな生徒がいるなって思う。
    中川:いっぱいいますね確かに、あははは、いろんな生徒がいっぱいいます。
    編集部:こちらの図書館は・・・学校内の場所もそうですが・・・本に触れるきっかけから、興味をつないでいくような工夫がされてるいるなあ、と思いました。
    二井先生:はい。安心していられる場所の一つにもなってるかな。
    編集部:そうなのでしょうね。
    二井先生:保健室だと、お腹が痛いとか何か理由がないと来れないけど。
    中川:確かに。
    二井先生:図書館は何も理由がなくても来れるんだよね。
    中川:うん確かに。
    二井先生:ぼーっと空が見たいですとかそういう人もいるし、植物の名前を調べに来ました、でもいいし。
    編集部:なるほど、分かりました、ありがとうございました。

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