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令和初となる2020年の首都圏中学入試が終了し、本年度の各学校の入試結果データも徐々に明らかになってきました。1都3県の児童数は昨年同様今年も前年より増加した事もあり、中学受験者数は5年連続増加、年を追うごとに中学入試は激戦となっています。

今年は2月1日から2月5日まで較的暖かく穏やかな天候のもと、大きな混乱もなく恵まれた環境で試験に臨めたのではないでしょうか。

それでは、各機関で発表された今年の中学受験に関する分析データを参考に、2020年の入試を振り返りたいと思います。


■森上教育研究所

まずは、森上展安氏が代表を務め中学受験に関わるコンサルティング・データ分析に定評のある、森上教育研究所の調査結果から見ていきます。


中学受験者数、倍率ともに増加

国の学校基本調査では東京の小学6年生の児童数は増加傾向にありますが、神奈川、千葉、埼玉は減少基調にあります。この小学6年生の児童数が中学受験人口の変化要因であり、今年も東京の受験増、神奈川の緩和傾向を反映する結果となりました。

2009年以降リーマンショックの影響で中学受験者数と共に受験率は低下していましたが、昨年に引き続き今年も受験者数は増加、受験者実数の指標となる2月1日受験者数が4万1,308人となりました。受験率(1都3県公立小卒者を分母にした上記受験者数の比率)は14.3%(森上教育研究所調べ)とリーマンショック以前の水準を取り戻し、多くの学校で「今年は非常に高いレベルでの選抜となった」との声が聞かれました。

受験者数の増加が顕著だったのが、男女ともに偏差値60~64の上位校で、男子校では巣鴨、世田谷、攻玉社が100人前後の大幅増で、女子校では東洋英和や香蘭が50人前後の増加となっています。大幅に増加した学校に共通して言えるのが男女別学校の人気の復調です。

この傾向は偏差値49~59の中堅校でも見られ、日本女子大附の84人増を筆頭に、昭和女子大昭和、女子美、跡見といった女子校や、80人増の日大豊山、60人増の高輪といった男子校でもこの傾向は顕著です。この男女別学校の躍進の背景には、同じ難度の共学校の倍率が厳しくなったことに対する警戒感が伺えます。

一方で男子校、女子校は受験がしやすく、難関大学への進学率が高いという点が人気復活の理由と考えられます。

同様の傾向は難関トップ校でも変わりません。男女ともに、御三家、駒東、豊島岡といった最難関校でもその人気は堅調で受験者数に陰りはみられません。それどころか過去最多の受験者数、またはそれに迫る受験者数となっており、上位校への不動の人気は盤石と言えるでしょう。

このように受験者数増加に伴い倍率も上昇し、2月1日の実倍率は下記の通り、限りなく3倍近い数値となっています。


【男子】

上位難度(偏差値60~64)2.8倍

中堅難度(偏差値55~59) 2.9倍

中位難度(偏差値45~59) 3倍台

【女子】

上位難度(偏差値60~64) 3倍台

中位難度(偏差値45~59) 2倍台後半

中下位難度(偏差値40~44)2倍台


プロテスタント校の入試日移動と午後入試

難関トップ校の特徴として受験回数が1回のみで募集定員は多いのですが、これらに準ずる難度の高い併願校においては、受験回数を複数回にしたり、算数午後1科入試を導入するなど、受験機会を増やすことで合格の可能性を高めるとともに、新しいのブランド力認知の向上を目指した新たな受験層の掘り起こしが活発化しています。昨年に引き続き今年も午後入試の傾向は拡大しました。

女子校でも上位併願校で算数1科入試を実施する学校が増え、かなりの受験生を集めており生徒募集の面でも成果を上げていると言えます。男子校では昨年から上位難度の巣鴨、世田谷といった学校で算数1科入試が行われ受験者が殺到し大幅増となっています。これにより、男子上位受験生の1日午後入試併願が当たり前になり、「短期決戦」志向が顕著となったのも今年の入試の特徴です。

また、今年は2月2日が日曜日に当たったことで、例年2月2日に入試を行っていたプロテスタント系女子校が入試日を移したことで、例年はぶつかる事の無い入試日が重なり受験者数が増え、中堅難度(偏差値55前後)の学校が集中する併願ベルト地帯が登場しました。


大学附属校・系属校が人気を維持

近年高まりを見せている、大学附属校・系属校の人気傾向ですが、今年も衰えることなく継続しています。最難関附属である早慶系列は、早実については昨年の反動で減少がみられたものの、あいかわらずの高倍率・高偏差値で大きな変動はありませんでした。その他の難関有名私大では、新しく青山学院大学の系属校のなった埼玉の浦和ルーテル学院、立教系列は大幅に受験者数を増やし、中央大、明治、法政は微増にとどまり、概ね高止まりの様相を呈しています。注目すべきは女子大進学率の高い系列校の人気上昇です。附属人気は難関大学に留まらず中堅大学にも及んでおり、大学附属校の人気が続いています。


■四谷大塚

次に難関校から中堅校まで幅広いレベルの中学校に対応している四谷大塚の分析結果をみてみます。中学受験を志す生徒は一度は受けているであろう四谷大塚主催の合不合判定受験者を対象に「入試結果調査」が実施され、それに基づいた2月15日時点での偏差値速報が発表されました。今年、2次試験を新設した学校や、多くの志望者を集めた学校はかなり厳しい入試となり難易度も上昇しております。


全体受験者数の動向

1都3県の6年生が297,280人と昨年より3,000人増加し、中学受験者数も四谷大塚の推計では約51,500人(昨年比+1,000人、101.9%)となっており、中学受験率は17.3%と昨年に引き続き上昇傾向となっています。中学校全体の募集定員43,317人に対して受験者総数が51,500人と、8,183人も超過しておりこの傾向は近年上昇の一途をたどっています。


【図1】 全体受験者数の動向(図は下のスライダーにあります。)



日程別

【図2】日程別受験実施校数(図は下のスライダーにあります。)


これまで1回入試だった湘南白百合や暁星が複数回入試に踏み切った事で、1回入試の学校が23校のみとなりました。また午後入試を行う学校も増え、のべ4回以上の入試を行う学校が全体の3分の2まで増加しています。日程別にみると2月2日が日曜日のためプロテスタント系の学校が日曜日となる入試日をずらした事で2月3日に青山学院、東洋英和が移動し2月3日校がやや増えました。終盤の2月5日にも多くの受験生が集まり実質倍率の高い入試となったのは、2月前半に午後入試まで行い早めに募集をかける学校と、終盤に入試を行うことでより優秀な生徒を集めたいという学校との2極化の現れと見られます。

特筆すべきは2月1日の午後入試に受験生の5割以上が受験しているという事です。入試内容が算数、国語などの1科目受験という事で受験生の負担を減らすこともあり多くの受験生に人気となっているようです。

多くの生徒が集まる学校でも、午後入試を新設している事から、この動きが中学受験のトレンドとなっていると言えるでしょう。


居住地と出願先

【図3】居住地別の都県別出願率(図は下のスライダーにあります。)


今年は東京の受験生の埼玉県の学校への出願率がアップし、昨年の67.4%から73.1%となっています。これは神奈川、千葉でも同様の動きとなっています。逆に、神奈川、千葉、埼玉の受験生の地元での出願率が若干ながら減少しています。特に埼玉から東京への出願率は82.3%と高く、地元への出願率も98.3%と高い事から、多くの生徒が東京の学校との併願受験となっていることが伺えます。


インターネット出願

今年度はインターネットでの出願が8割を超え、窓口出願を行うのは面接試験のある一部の学校に限られました。窓口出願はほぼ初日に殆どの保護者が出願を済ませるのが一般的です。一方インターネット出願は直前まで受け付ける場合が多く、特に後半になるほど、前半での入試結果を踏まえて出願するケースが多く、直前になって受験者が倍増するといった事も起こり得ます。勿論、”とりあえず出願”ではなく、受験を決定した上での出願の為、実質倍率は高くなります。後半の試験に臨む前にしっかりと合格を確保しておくことが望ましいと言えます。



■早稲田アカデミー

続いて、近年御三家をはじめとした難関校への合格者数を着実に伸ばしている四谷大塚最大の準拠塾、早稲田アカデミーの中学入試データを見てみましょう。


中学入試熾烈化

大学入試改革が間近に迫り、中学受験熱は沈静化するどころか、空前の中学入試ブームとなり、4年連続で中学受験率は増加し、今年も熾烈な戦いが繰り広げられました。

首都圏模試センターの調べによると、今年の中学受験者数は48,800名(推定)と6年連続で増加し、中学受験率も上昇し、今年、ついに受験者数が総定員を約1,350人も上回る厳しい入試となったのです。特に男子はその割合が高く、女子においては2017年は受験者数が定員の半分強だったのですが、その差が半分に縮まってきており、女子の安全志向型受験が増えている昨今、学校選択を緻密に行うのが成功プランに繋がると言えます。男子の場合はチャレンジ志向が強く、入念な準備が必要となります。


入試の多様化

今年も、昨年から続く「算数1教科型入試」を女子校でも新設する学校が増え、多くの受験生が集まりました。特に、巣鴨、世田谷学園といった男子難関進学校を目指す生徒の併願校として「算数1教科型入試」が人気となっています。学校側にとっても、算数が得意な生徒は入学後に成績が伸びる傾向にあり、大学入試の際に学校側にもメリットをもたらすwin-winの関係にある事が人気の理由ともいえます。

また、算数一教科だけではなく、午後入試の受験率が年々上昇しており、1日2校受験も中学受験の新しい常識として定着したと言えます。これまで2月1日に本命校、2月2日に抑え校、2月3日に次善策の学校という併願パターンを組んでいたところを、2月1日午後入試を受験することで、2月2日も行きたい学校を受験できるようになり、午後受験を組み入れる受験生が増え受験校数を押し上げている要因となっています。


居住地と出願先

受験校数を見てみると2020年の受験生の平均出願校数7.31校、受験校数5.65となっており、受験パターンとしては埼玉・千葉居住者であれば、2月1日~3日で3校、1月に埼玉・千葉で抑え校を1校プラス進学先として視野に入れた志望校を1校受験するパターンとなる一方、東京居住者は2月1日~3日で3校、1月の埼玉・千葉で抑え校を1校、さらに東京の午後入試を受験しているという事が伺えます。

埼玉・千葉居住者の東京校・神奈川校の受験率はこれまで上昇傾向にありましたが、2020年は88.6%から83.4%に減少しています。これは埼玉県、千葉県にも東京の学校に匹敵する進学実績を上げる学校が出てきたこがあげれらます。


大学附属校・共学校の人気

学校種別での受験者数の変化をみてみると、近年の共学校と附属校の人気が高いと言われる状況に変化はありませんが、上昇度合いは留まりをみせています。特に女子の共学校人気が高く、この傾向は女子の進学先、合格先を狭める事に繋がるので、併願校として女子校を1校でも組入れる事が受験を容易に進める対策となります。

附属校をみてみると、例えば明大中野は実質倍率3.8倍から3.4倍に、明大明治の男子は2.7倍から2.3倍へ、女子は4.1倍から3.6倍へとピーク時と比較すると緩和しています。「大学附属校だから」とか「偏差値が高いから」といった表面的な価値観に振り回されることなく、しっかりと学校の教育方針等の情報を吟味して子供の個性にあった学校を選ぶ時代になったことから、中学受験は社会状況や教育の有り様を映す鏡の役割を担っているといえるのかもしれません。

本年度の注目点は中高一貫教育への評価の高まりです。公立校では、茨城県で各地域の県立上位校が順次中高一貫化されることになり、今年は5校が募集を開始しました。東京都でも「併設型」中高一貫校が高校募集を停止し、完全中高一貫教育化されます。私立でも本郷、豊島岡女子で高校募集停止を発表しています。

このように時代の波にのり、中学入試もその姿が変容していくものと思われます。今後も変革には注目していきたいです。



最後に

多くの塾・学校関係者が言うように、2020年の首都圏中学入試は厳しい戦いとなりました。入試問題の難易度の高低に変わりが無くても、突然入試傾向が変わったり、受験者の平均点、合格最低点が予想以上にアップするなど、受験生はかなり苦戦が強いられたのではないでしょうか。

今年躍進した大宮開成(埼玉)は総出願数が前年比155.8%だったにもかかわらず、合格者数は昨年より減少しているためかなりの高倍率となりました。1月の最高倍率となったのが、同校の特待生選抜で男女ともに実質倍率が10%を超え女子は12.86%となりました。これは特に女子の安全志向を反映しており、上位層が中堅校に移行してくるケースが多く、中堅校の難易度を押し上げる結果となっています。

また、2月の午後入試では、今年から試験日を2月2日に移行するなど、大幅な入試改革を行った暁星の2回一般入試(午後)で、実質倍率20.6%という予想通りの高倍率となりました。巣鴨と世田谷学園の算数1科の1日午後入試が大人気だったことからも、なるべく前半のうちに決着をつけたいと願う短期決戦化が進んでいることが伺えます。各中学校では午前の入試後に食堂を解放し昼食をとる場を設けたり、午後入試を予定している受験生から優先的に試験会場を退室できるなどの配慮も見られました。栄東中学の控室では軽食も販売しており、試験時間中に子供の昼食を購入し慌ただしく次の会場へ移動していく親子の姿が印象的でした。

いまや2月1日から3日まで、午後入試が設定されており、小学生にとって午前午後と連日の入試は心身ともにかなりの負担となります。特に女子校では試験中に気分の悪くなる生徒も多く、控室で待つ保護者の元に「受験番号△△の○○さんの保護者の方~」と呼び出しがかかります。トイレに15分も籠ってしまい悄然として次の教科に向かう生徒もいます。ある女子中の受験会場では、机の脇にエチケット袋が準備されている程です。朝から晩まで学校・塾と勉強に明け暮れる日々を過ごした受験生といえど、その緊張感はこれまで経験した事のない精神的疲労となってのしかかります。つまり、受験生にはこれを乗り切るための強靭な忍耐力、タフさが必要だと言えるのです。心身ともに疲弊するのは保護者も一緒で、控室のパイプ椅子に座り子どもの出来栄えを気にしながら5時間近くも待機しており、夜は遅くまでパソコンの前でいまかいまかと合格発表を待ちつづける日々が3日も続けば、体力的にも精神的にも疲労困憊です。やはり、合格切符を獲得した状態で、2月受験の後半を戦えるのは心理的にも随分有利となります。

不合格となった時の子供の精神状態というのは、落ちた時になって初めて露見するものであり、なんせ初めての入学試験ですから親と言えども予見できるものではありません。どれほど次の試験に後遺症をもたらすか計り知れません。あれほど、楽天的だった息子が見る影もなく泣き崩れて驚いた、というお母さんの言葉も耳にしますが、まだ小学生ですからチャレンジ校として受けた学校と言えど、落ちてみて初めてその打撃の大きさを知り、ましてや合格すると思って受けた抑え校に失敗したとあれば、親子共々意気消沈し子供は「もう受験なんてやめる」と言い出しかねない落胆ぶりです。受験生が「なるべく早く合格通知がもらいたい」と1日2校受験する、これが今後の中学入試の新しい流れとなるのも頷けます。

また、これまで試験日が1日だけだった学校が2月1日以外に入試日を新設する事で、第一志望ではないものの併願校として選択する受験生が増え、予想以上に学力レベルが上がってしまい想定外の不合格に涙を呑む生徒が多くみられました。直前までWEB出願が可能な学校が増えた事で、1月や2月前半の結果を踏まえての厳選した学校選択を行える、直前になっての受験校変更が可能であるなど、子どもの状況に応じた学校選択の幅が広がりました。一方でこういった受験のしやすさが実受験率の上昇、出願校の増加につながったのではないかと思います。1校で1度に複数回の入試に出願することで受験料が割引になる学校も多く、同時に2回目、3回目の出願を行ってしまう受験者も多かったのではないでしょうか。これまで1発勝負とされた入試で複数回のチャンスを設けられたことは、まだまだ幼い小学生にとっては心理的負担の軽減につながり、保護者にとっては2月1日の試験が不合格の場合には2月5日の入試に出願をしよう、といった柔軟な併願校の設定が可能になるとともに、無駄に受験料を払う必要がなくなるなど経済的負担の軽減にも繋がっていると思います。

今年新設された入試をみると算数1科型や1科または2科の選択型の他、やはり英語科目を導入する学校の増加が目を引きます。前年125校だったのが今年は141校になりました。2020年大学入試改革やグローバル化の進展の中で時代に則した英語教育のニーズを反映し、もとより英語の授業に力を入れる学校の教育姿勢が表れた結果でしょう。このようなグローバル化を肌で実感する保護者の方は、偏差値を志望校選びの指標とした知識詰め込み型の入試対策より国際感覚を磨く学習の場を求めています。そんな声に応える、学校独自の個性的な教育をアピールした入試改革に取り組む学校が受験生の人気を集め、英語入試は今後も増加していく事が予想されます。

今後は、これまでと異なる多様な尺度での学校選びが必要になってきます。保護者は早い段階で学校説明会や入試説明会を訪れ、学校のビジョンに耳を傾け子供の適性に合致した慎重な学校の選択が求められます。そして多彩な入試タイプの中から、志望校の合格に導く上手な併願校の組み合わせが笑顔で中学受験を終える鍵となりそうです。


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