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【数学科主任:長岡 敬佑 先生と数学科広報室長:細野智之先生】

数学において創造性を生み出す授業というのはあまりないと思いますが、田園調布学園の授業は一味違います。今回は、そんな数学の授業について数学科主任の長岡先生と、数学科広報室長の細野先生にお話しを伺いました。長岡先生の淡々とした語り口の中にも、生徒の学びを興味・関心へつなげる直向きな熱意がひしひしと伝わってきました。一方で、数学の面白さを演出する、創意あふれる取り組みについて身振り手振りを交えてユニークに語って下さる細野先生と、個性は違えど、田園調布学園の若き精鋭である両先生からは数学に対する溢れる思いを語って頂きました。私も、高校時代にこんなアイディア満載の授業を受ける事ができれば、数学の面白さにはまり将来の進路も違っていたかもしれません。同校で、理系に進学する女子が多い事にも納得です。

数学で勉強する内容は、一見すると実社会の中でどのように役立つのかわかりにくい部分があります。学んだ知識をどのような場面で使うことができるのかということを、数学の授業の中だけでなく実生活上で体験したり、他教科と連携した総合的な学習の中で知識を活用することで、生徒の理解が深まり関心が生まれます。そんな授業を実践しているのが田園調布学園の数学の授業です。

生徒は、65分という充実した授業時間の中で、型にはまらない数学の魅力に触れ、主体的に取り組み自ら発信する力を育んでいます。そこには、生徒の興味や感心を喚起させる授業を展開する、先生方の意趣をこらしたしかけがありました。その中で、今回は数学の授業の4つのしかけについてご紹介したいと思います。

ご紹介してくださったのは、数学科主任の長岡先生と、数学科広報室長の細野先生です。


【田園調布学園の能動的な学びを育む4つのしかけ】

「統計」で学ぶ、データを分析する力、論理的プロセスで問題を解決するスキル

従来は、勘や経験に頼っていた曖昧な判断を、ビッグデータの利用が論議されるこれからの時代、データを分析し、それに基づいて論理的に物事を考え意思決定を行う力が必須の素養と考えられています。「数Ⅰ」の教科書でも、2012年より「データの分析」の単元の導入が始まっています。

同校では、そんな「データ分析」の有用性にいち早く着目して、「統計検定」への挑戦を統計授業の一つの目標として推進されています。

他校に先駆けていち早く、数学の授業に「統計」を導入された先見の明をもたらすきっかけは何だったのでしょうか。長岡先生、細野先生に具体的な取り組みについてお話を伺いました。

 統計を授業に取り入れるきっかけとは

「統計の専門家で本校の元非常勤講師の方から、新学習指導要領では統計やデータの分析が数学の内容に含まれるといった情報を教えて頂いた事が、統計に力を入れるタイミングとなりました。また本校の卒業生達が大学に入学して、統計の重要性を実感したエピソードを聞かせてくれたのもきっかけの一つです。」(細野先生)

これからの時代を生きぬく中高生にとって、様々な情報が溢れる今日,真贋交わるデータを分析し、経済や社会活動に生かすための知識や技能を身に付けておくことはとても意義深い事と考えられます。

では、どのようにしてその様なスキルを学べば良いのでしょう。

新学習指導要領では数Ⅰで「データ分析」や「確率分布と統計的な推測」といったデータを整理・分析し傾向を把握する力や確率の理論を統計に応用し,統計的な見方や考え方を活用する事が課題となっています。

なんだかとても難しそうですが、同校では、そんな統計を生活の中の身近なデータに着目して読み取る力を問う「統計検定」を推奨しています。

 統計検定で身に付ける、データを読み解き科学的に判断する力

「統計検定」で実際に扱うテーマは「インターネット利用開始時期」の調査をまとめたグラフだったり、「50点満点のテストの結果」をまとめたヒストグラムなど、学校・テレビや新聞・インターネットなど、身の回りの表やグラフを読み取り論理的な見方を問う問題となっており、生徒にとっても親しみがわき、また必要な知識だという認識も高まっているそうです。

「統計検定の問題は実生活に即した内容で、社会に出たときに役立つスキルとして、早い時期から生徒たちに触れさせておく事は、将来ビッグデータの利用や情報の活用に必要な知識だと思い、統計検定を推奨しようという流れになっていきました。」(長岡先生)

中高生にとって統計学はやや難解なのかもしれませんが、頭の柔らかい早いうちに、データを読み取り、判断し、自分の考えをまとめるプロセスは、目に見えないモノを読み解く大切な訓練であり、将来数字に騙されずデータを解析する力を身に付けてほしいとの先生方の願いがこめられておりました。

田園調布学園では、中等部1年時から統計の学習が始まります。中学校の段階で統計検定4級に合格できるようにシラバスを編成し、中等部3年の秋の段階では、4級あるいは3級レベルの約7~8割の学習内容が終了し、授業では過去問を取り扱うなど、実戦形式の演習を行っているそうです。現在、中等部3年時には統計検定4級に合格する力を養い、高等部1年で統計検定3級に合格するのは30名ほどいるそうです。

勿論、統計検定に合格する事が目的なのではなく、検定で問われるデータを分析し、統計資料に基づいて科学的に判断し、そして実生活に活用できる事こそが統計検定を推奨し、先生達が生徒に身に付けてほしいスキルなのです。そして統計検定での成功体験が数学の学習に対する意識の改善や関心につながっているのではないでしょうか。

 土曜プログラムでさらにステップアップ

「実際に生徒の統計に対する学習意欲は高く、『土曜プログラム』の統計講座では定員がいっぱいになります」と長岡先生。『土曜プログラム』とは、同校が “未来へつなぐ土曜日”をテーマに実施している、より深い学びと自発的な探により柔軟な思考力や表現力を育成し、さらに新しい大学入試にも対応できる力を育成する為のプログラムです。

数学で学習する事柄は実際にどのように役立つのかがわかりにくいという指摘を耳にしますが、この統計で培われる統計学的なアプローチは、他の教科にも取り入れる事のできるスキルであり、通常授業以外の『土曜プログラム』ではさらに広範囲の統計理論を学び、データ分析の手法を学べるそうです。

「将来社会に出た時に、膨大なデータから必要なデータを集め、傾向を探り、考察する事で真実を見極められる確かな目を中高6年間で育んでもらいたい。」(長岡先生)

「統計検定で出題される問題を授業で扱う事で数Ⅰの単元で学習する何倍ものグラフを学び、データを読み解く力を身に付けます。その結果、統計検定での合格が自信となり、将来の進路に繋げていってほしいという願いをこめて、数学科では統計の授業を推進しているのです。」(細野先生)

こうした積極的な取り組みにより、生徒は統計的な考え方を活かした問題解決のプロセスが定着し、エビデンスに裏付けされた意思決定を行う能力が養われるのですね。統計分野は大学入試のセンター試験で出題される事もあるそうで、生徒の数学に対する意欲も高まり、自然と理系分野へ進もうという生徒が増えているという点についてもなるほどと思いました。

【「統計」導入のフローチャート】


関数の自主的学習を促す「関数グラフアート」

統計以外にも、田園調布学園のユニークな数学への取組みとして、「関数グラフアート」というものがあります。「関数グラフアート」では色々な関数を用いたグラフの描画により、思い思いのアート作品を作成します。

中学に入学し算数から数学に突入すると途端に難易度がアップして、1次関数、2次関数の放物線等苦手意識を抱きがちな単元の学習が始まります。細野先生によると単純な「比例」、「反比例」、「1次関数」、「2次関数」といったグラフはほとんどの生徒が書けるようになるのですが、「定義域に制限があるグラフ」、「絶対値のグラフ」、「いくつかの関数が組み合わさったグラフ」となるとかける生徒はとても少なくなるそうです。また、グラフや図をパターンとして覚えており、考える道具として使い切れていない、どう使ったら良いのかが分からない、といった生徒の課題を目の当たりにし、どうにか克服させたいという思いから、関数グラフアートの課題を考案されました。

 関数グラフアートで苦手意識を払拭

同校では中等部2・3年生の長期休暇の課題として、グラフを沢山書き、楽しみながら関数を学べる教材として関数グラフアートがスタートしました。

数学は苦手だけれど美術は好き、という生徒や、基本的な関数の知識しか持ちえなかった生徒でも、目的の絵を描くために本来は高等部で学習する円や正弦曲線,楕円などの高度な関数を自分で調べて活用し、期待以上にハイレベルな作品を仕上げてくる生徒がいるそうです。

「年を重ねるごとに、先輩・後輩の作品など他の生徒の作品に刺激を受け、より多くの関数を使用し、工夫を凝らしたアーティスティックな作品が登場します。未学習の方程式を自ら学び作品に取り入れるなど、生徒の隠れた意欲を発見できたのも驚きでした」(長岡先生)

と喜びの声を語って頂きました。

関数グラフアートの作品に使用する関数は700本に及ぶものもあるそうです。生徒は数学を通じて表現する楽しみを学び、より美しい作品を書きたいというモチベーションから関数を自主的に学ぶ、さらに数学全体への学習意欲につながる、そんな学習の好循環を見事に体現したすばらしい取組みだと思いました。グラフアレルギーの生徒も減ってきたそうです。

 関数グラフアートがもたらす成果

「教科書では習っていることがなんとなくわかるけれど、図形的にな意味合いが理解できないといった生徒でも、関数グラフアートという別のアプローチによりグラフ的、ビジュアル的な解釈が容易になり、手っ取り早く理解できる。しかも先生に教えられるのではなく、実際に自分で入力して目で見てスピーディに判断できるのが生徒の理解に貢献しています。」(長岡先生)

授業で習った理論の視覚的な裏付けと、教科書とは異なるアプローチでの理解という二つが、関数グラフアートを数学で上手に活用できるポイントになっているようです。

このように、関数グラフアートは、生徒の関数への苦手意識を払拭し、体験的に関数への理解度を深化させるとともに、予習復習といった学習への取組み姿勢にも変化をもたらしました。その成果は授業という枠組みを超えた可能性の広がりを見せています。

昨年からは中等部2年、3年の生徒による関数グラフアートの校内発表会が開催されています。これは、関数グラフアート全国コンテスト(福井高専主催)参加の予選も兼ねており、芸術的視点で選出された作品も含め校内予選を勝ち取った生徒15人によるプレゼンテーションとなっています。昨年度は、同校から3名の作品(中等部3年2名、高等部1年1名)が出品され、全国の1000作品以上の中から「虹色ギター」が優秀賞を受賞し、さらに東京理科大学神楽坂キャンパスで行われたカンファレンスでも、全国最優秀賞獲得の快挙を成し遂げました。作品の出来栄えだけでなく、プレゼンテーション能力も問われる大会なので、自分の考えを発表したり、表現するスキルの向上も期待できます。

そして、このような成果がよりよい作品作りの動機付けとなり、生徒の積極性や意欲にも繋がっているのだと思います。

校内選考の優秀作品(次年度グラフアートコンテスト応募作品)「マカロン」について語って頂きました(下部動画)。特筆すべきは、円でも楕円でもないマカロン独特の曲線を、授業では習っていない関数グラフアートを駆使して編み出した先生方も驚きの作品です。随所に生徒さんのオリジナリティを施した秀逸な関数グラフアートです。

【両先生による作品講評】


【その他の優秀作品】

「静かな夜に」

「静かな夜に」

「Lightning」

「Lightning」

「OperaHouse」

「OperaHouse」

「未来のバイオリン」

「未来のバイオリン」

「跳馬」

「跳馬」

「金閣寺」

「金閣寺」

「Croissant」

「Croissant」

「時計屋」

「時計屋」

「ピエロと愉快な動物」

「ピエロと愉快な動物」

「飛行機」

「飛行機」

「静かな夜に」
「Lightning」
「OperaHouse」
「未来のバイオリン」
「跳馬」
「金閣寺」
「Croissant」
「時計屋」
「ピエロと愉快な動物」
「飛行機」


関数グラフアートを学ぶ上で、生徒の理解に大きく貢献しているツールとして下表のような「ルーブリック評価」があるそうです。


関数グラフアートを作成する際、「ルーブリック評価」を通して課題内容をしっかり確認し、目標設定を行い、習得内容達成の自己評価を行う事ができるそうです。

統計の授業にも導入されていましたが、実際どのように活用されているのか、その具体的施策をお聞きしました。

【「関数グラフアート」導入のフローチャート】


「ルーブリック評価」で、生徒が身に付けるべき知識を可視化

「ルーブリック評価」は探究学習を積極的に推進する学校や、理数教育に力をいれている学校で活用されていると聞きますが、田園調布学園で導入したきっかけはどういったところにあったのでしょうか。

「生徒が学ぶべき公式・定理の名称とその実際の公式の内容とが点と点で繋がれていないため、今習っていることがどのような公式名のものなのかが理解できていませんでした。その為に数学の課題が与えられた時に、どのジャンルかがわからないのでどのようにアプローチしたらよいのかがわからない」(長岡先生)といった生徒の理解度に問題意識を抱かれ、打開策を探っていた所で、「ルーブリック評価」を導入されたという事です。 



このようにルーブリックの表には、「正しく使うことができる」とか「どの場面に使うのか判別できない」、あるいは「覚えていない」といった言葉がちりばめられており、定期考査の前に配布することで、生徒はどれだけの公式定理・概念を中間考査までに把握しなければいけないのかを整理し、自分は今どの程度理解できているかを確認する事ができます。また「定期テストまでにこれだけ理解していないといけないんだ」「まだうろ覚えなので復習しないといけないな」といった生徒自身の学習のペースメーカーとしての役割も果たしてくれるのです。

こうして「これは大事な公式なんだ。名前は〇〇なんだ」という事を生徒自身がしっかりと把握する事で、学習に対する計画性が身に付き、自己評価を行う事で達成度も自覚し、生徒のメタ認知能力をも高める事につながるのではないでしょうか。

「ルーブリック評価」は基本的に生徒による自己評価であり、先生による評価の対象にはならないそうですが、先生にとっても指導する上で生徒の理解力を図る有益な情報となるそうです。

「生徒がどういった学習状況・進行具合なのかなっていうことを確認する事ができ、理解力が薄いものがでてきたら、それを授業に反映させるなど、的確なフィードバックを行う事ができます」(長岡先生)

また、生徒によるアピールポイントやこだわった部分などのコメントもあり、ペーパーテストや作品では図る事のできない生徒の資質を可視化できる点も「ルーブリック評価」の活用に積極的なポイントだそうです。

 関数グラフアートに資する「ルーブリック評価」

ルーブリック評価は、何が出来ているとどういう評価になるなのかが明確となり、これから行う学習で何が出来るようになったら評価が高くなるのかをあらかじめ確認する事ができます。それにより、生徒はルーブリックで示されている項目を意識しながら作業を進める事ができる仕組みになっています。

つまり、関数グラフアートを作成する際に、ルーブリック評価を事前に示すことで「どんなところを工夫しないといけないのか」とか、「この関数グラフアートをやることによって自分の何を高めなきゃいけないのか」という事を生徒が自覚しながら作品作りに臨めるので、レベルの高い作品を引き出す結果につながったのでしょう。

自分の作りたいグラフアートに対して自分の足りない関数の知識や欠点が浮き彫りになるので、自然と復習を促し知識の定着を図る事ができます。学習の意識付けにも効果が発揮されているという事です。

すでに同校では、全教科に導入されている「ルーブリック評価」ですが、「今後もルーブリックの内容や理解度を深める等の試行錯誤を行い、よりブラッシュアップしたものを活用していきたい」と意気込みを語って下さいました。

【「ルーブリック」導入のフローチャート】


物理・数学の教科横断型授業

このように同校では、女子にありがちな数学アレルギーを払拭する、様々なアプローチが施され、理系に進む女子が増えています。関数グラフアートしかり、統計学しかり、突き詰めて学ぶうちにすっかり数学の魅力に引き込まれ、東工大学や東京医科歯科大学といった理系の名門大学に進む生徒もおり、進学実績としてもその成果が表れています。

そんな「数学がわかる・好きになる」4つ目のしかけとして物理・数学の教科横断型授業についてお伺いしました。

 教科横断型の探究学習

「2017年度に高校3年生の『土曜プログラム』で物理と数学の教科横断型授業を始めました。きっかけは、新指導要領で「探究学習」が取り入れられる事になった時、本校で言う理数探というのはどんなものなのかの検討を始めた事でした。そこで、お互いの教科で得た知識を他教科でも使ってみることによって、得た知識の理解度がより深められるのでは、ということで教科横断型の授業を試行しました。」(長岡先生)

学習指導要領の改訂により、2019年度入学の高校1年生から「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」に変更され、自ら課題を発見し、主体的に問題を解決するプロセスを体験しながらスキルを見つける「探究」学習の強化が求められています。その中でも注目されているのが「理数探究」という選択科目の新設ではないでしょうか。

同校では、物理・数学の教科横断型授業において、新しく始まる大学入学共通テストも視野に入れ、大学教養レベルまで踏み込んだ内容の取組みが行われています。

その内容は教科横断型授業を、教科を超えて生徒と社会をつなぐ総合的な探学習ととらえ、身の回りの生活に密着したテーマを取り上げることで、一見関係のなさそうなところに「数学」の知識を使う場面があるという事に気付かせてあげることがポイントになっています。

例えばコンビニのお弁当を温める際のワット数と加熱時間は反比例するといった数学的視点や、修学旅行で訪れる京都・奈良の建築物に隠された黄金比や白銀比など、生活の中で体験・発見できるサイエンス要素を授業で取り上げる事で、教科をまたいだ知識の共有が可能となり、さらに相互の理解を深めるられるといったアプローチがとてもユニークなものだと感じました。

 理数科目の面白さを伝える授業

教科横断型授業は当初、「土曜プログラム』という特別プログラムの中で高等部3年を対象に行われ、ハイレベルな内容でしたが、今年は中等部3年を対象にした一斉研究授業の中でも数学と理科の横断型授業が実施されました。

「物理の、物体の落体や投げ上げ運動では様々なグラフが出てくるのですが、この運動だとどのグラフ?どんなグラフがかける?といった予想を生徒にしてもらいグラフの解析を行う授業をしました。」(長岡先生)

このような物理現象を、物理の知識の中だけで解こうとすると限界がありますが、数学的知識を用いたアプローチをすると正しいグラフを選択する事ができる、そういった両方の学問の視点を持つ事が大切なのだという事です。

長岡先生は「数学の知識が物理の問題を扱う時にも役立つのだという体験が、数学・物理それぞれの教科に目が向かせるきっかけとなり、生徒のモチベーションが向上します。生徒自ら物理的、数学的アプローチで考える習慣を持つことで、教科横断的な視野を身に付けてくれるようになります」と横断型授業の効果を話します。

実は、同校では数学と物理だけではなく、数学と美術の「デザイン定規」、物理と家庭科では「ブリッジコンテスト」といった、複数の教科横断型授業を実施しています。

「デザイン定規」は、歯車の穴にボールペンを指してくるくる回すとお花などのデザイン模様を描く事のできるツールですが、こういった美術的要素の強い遊びの中にも、反比例や最小公倍数といった数学的要素が潜んでいる事を教えて頂きとても驚きました。逆に言えば、数学的知識を投入すれば、あらかじめどのような模様をができるのかを描く前から計算でイメージする事ができるそうです。

女子は抽象的概念が苦手で、どうしても具体性を重視する傾向が強いので、まずはイメージを先に見せ視覚に訴えた後、なぜそのような模様になるのか、どうしたら違う模様になるのかといった考察を行い、後から理論に落とし込む方が学習プロセスとして効果的だとお聞きして、同じ女性として、女子的思考回路をよくご理解されている先生に感服致しました。

こうした教科横断型授業によって、教科の垣根を越えて自ら関心を持つ事柄を探究し、複合的なアプローチで問題解決に取り組む姿勢を身に付ける事ができるのです。さらに、横のつながりを意識した学習によって生徒の視野が広がり「大学で何を学ぶべきなのか?」「社会では何を求められているのか?」といった大学、社会とその後の進路選択にもつながる意識の向上が見られるそうです。

【「教科横断型授業」導入のフローチャート】



このように田園調布学園では理数科目において、生徒の能動的な学びを育む様々な学習の場が提供されています。思考力や表現力を育成し、さらに新しい大学入試にも対応できる力を育成する『土曜プログラム』では、新学習要領の動向にも着目した一歩先行くユニークなプログラムが多数実践されています。

その枠組みの中で「統計」「関数グラフアート」「教科横断型授業」など、新しい形の探究学習の試行が展開されていますが、ただ教育の流れの目新しさから取り入れているのではなく、先生方が常にアンテナを高くはり、研究・改良を重ねながら生徒の理解をより高める方法で効果的に授業に導入されている姿勢が素晴らしいと思いました。また、生徒に寄り添うアドバイザー的な立場で指導されているからこそ、生徒の自主性が育まれ、進路においても高い実績をおさめているのだと実感しました。

ここ田園調布学園では、実生活や実社会との関わりの中で、様々な事に関心を向ける習慣を育み、先生方の関心・意欲を引き出す工夫を凝らした授業によって、生徒は自主的に学びの領域を広げていきます。同校の「理数教科の面白さや問いを見出し解決を図る」取り組み、それこそが本来目指すべき「探究活動」だと思います。

今後もますます進化を続けるであろう田園調布学園の学びに注目していきたいと思います。

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石﨑 香
教育図鑑編集部
中学受験を控えた受験生と保護者の皆さんが本当に知りたい内容、また学校選びに必要な情報についてお伝えしていきたいと思います。
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