××
×

わが子にあう中学校をえらぶサイト

東京・神奈川・千葉・埼玉の私立中学校・国立中高一貫校342校の情報を掲載/小学校の保護者約50,000名が登録

取材日:2016年8月17日

インタビュイー:生徒募集入試対策委員長 岸本行生先生

インタビュイー:総合企画部 環境防災委員会主任 杉本晋先生

インタビュアー:教育図鑑編集部 田口亮太

イントロダクション「女性も働きやすい職場でない女子校は意味がない。」インタビューを受けてくださったお二人の先生方は言い切られました。かっこいい。このような先生方だからか、豊島岡女子は“運動会は本気”で“文化祭も生徒が仕切る”。そして「体育のバレーでサーブのテストがあったら、サーブが入るまでテストをさせますから」。ついて来られない生徒を作らない信念と自信が伝わる爽快なインタビューです。



1. 授業ではどんな教材を使っていますか?



岸本先生:教科書はもちろん、持たせているのですが、教科書だけで終わっている教科はほとんどないです。教員たちでプリントを作ってそのプリントを使うことが多いですね。


2. 理系の実験の特徴を教えてくだい。

編集部:御校は医学部の現役合格率が非常に高いのですが、何か特別な対策とかはされているのですか。

岸本先生:特にないです。高2・高3で理系は6割ほどいて、医学部や理系に進む生徒が多いのですが、そのための特別なカリキュラムはありません。実験も、特別に医学部や理系対策として、それに合わせてやるということもないです。もちろん実験はあります。中学校では実験室を利用することも多いのですが、すべて実験だけをやるのではありません。

また、実験もただ実験をするのではなくて、なんでその実験をするのかという前段階があって、予想させて、その上で確認させるという意図で実験することが多いです。だから、実験で新たなことを見つけようというよりは、あくまでも自分たちで実証しようという姿勢がメインかと思いますね。

編集部:文系理系が分かれるのはいつからですか。

岸本先生:高校2年生からです。


3. 選抜・レベル別クラスの制度はありますか。

岸本先生:それもありません。あくまでも、文系・理系というのは高校2年生で決まりますが、自分の意思なので、学力レベルで分けるということはしていないです。


4. 小テストが多いと聞いたのですが。

岸本先生:そうですね、学校全体の小テストとしては、私たちは月例テストと呼んでいるのですが、月に3回。英単語、漢字、数学(計算など)などを週一回とり入れていて、行事などが重なる時は時期をずらしたりしてやっています。やり方としては、テキストを渡して範囲を指定して、何ページから何ページの単語を書けるようにしようとか、そういうレベルです。基本的には、合格するまで追試があります。

ただ、次の週まで追試がまたがらないように、試験が終わった後、夏休み入るまでの間とか、冬休み入るまでのところで呼んで補習をしたり、追試をしたりということをしています。


5. 留学制度はありますか。

岸本先生:短期で3ヶ月の留学制度があります。行き先はニュージーランドです。行けるのは、学校の代表としてなので5名を選んで留学させているというかたちです。


編集部:希望される生徒は多いと思うのですが、留学に行くためにはテストなどあるのですか。

岸本先生:テストは特にしていないです。あとは、担任からの推薦、本人たちの意気込み、親からの推薦などを書いてもらって、それを見ながら面接をして決めます。

ワイカト・ダイオセサン女子校(Waikato Diocesan School for Girls)に受け入れていただくのですが、その学校の生徒の家にホームステイをして3ヶ月間学んで帰って来るというかたちです。


編集部:帰国後の生徒の英語力に変化はありますか?

岸本先生:もちろん、英語力の向上もありますが、そもそも3ヶ月の短期留学の主たる目的が、英語力の向上ではないんです。異文化に触れて、向こうの(ニュージーランドの)授業とか、人々の考え方を学んでくるということの方がずっと大きいですかね。

もちろん、全く英語力のない子を行かせるわけではないですけど、すごく英語力が高くないとダメというわけでもないです。やはり、その辺りはみんな意識を持っているので、すごく努力していると思います。英語で会話するようになるというメリットももちろんですが、向こうでは質問された時に、日本では「分からない」と言っても許される面がありますけど、外国では許されないことが多いですね。授業で。だから自分で発言しなくてはいけないという、当たり前のことを学んで帰って来るとか、その時にみんなでどういうふうに学び合うかとかという姿勢を学んで帰って来てくれるというのが、一番大きいですね。


編集部:御校は学習指導要領よりもかなり多くの英語の授業の時間がありますが、多読、ネイティブとの会話など重視しているプログラムはありますか?

岸本先生:英語の4技能(聞く、話す、読む、書く)が注目されていますから、もちろん、4技能が十分満たされるカリキュラムにはなっています。あとは、授業時間が十分にあるので、普通に授業をしていても、中学校3年生の間に高校生の内容まで進みます。多読であれば「リーディングマラソン」というイベントがあって、生徒たちにある期間を区切って多読を推奨して、読んだワードを距離に換算して、どれだけ長く距離を走ることができたかっていうのを競わせるものです。

あとは、「English Language Table」といって、ネイティブの教員と放課後自由に話せるチャンスがあります。あとは、高校生になれば、模擬国連に関心を持っている生徒たちもいますし、そういう生徒たちを集めて、講義したりとか実際に模擬国連に連れて行って、他校と交流したり。

6. キャリア教育はいつごろからどんなことをしていますか。

岸本先生:キャリア教育としては、中学2年生から取り組んでいて、特に中学2年生は全員に対して、企業インターンのプログラムを導入しています。道徳の時間などを使いながら、1学期ちょっとの期間をかけて、インターンプログラムに取り組んで、企業の方たちと交流したり、発表したりします。「働くとは何か」とか「仕事ではどういうことが大事なのか」というのを学んでいくようになります。

全体としては、子どもたちの遠い将来からはじめて、少しずつ現実に近づけていくというキャリア教育ですね。だから、中3になると、もうちょっと具体的になり、働いている卒業生にインタビューをする機会があります。「働くとは何か」とか、その人が在学時代にどんなことを考えていたとか、どんなことを努力して今の就職につなげたのかなど。さらにいえば、女性なので結婚するとか出産するといったライフイベントでキャリアが大きく転換することもあるので、「それがどういうことなのか」ということを学んでくれる大きなチャンスになっていると思いますね。

編集部:進路とか受験校を決めるのはいつ頃なんですか?

岸本先生:受験校は本当に高3ですね。一応、どの大学がいいかなどは、高校生になったときから考えるようになりますが、高校1年生はいろいろな大学のオープンキャンパスなどに行って、大学では何を学べるのかということを学んでいます。その上で、2年生で文系なのか、理系なのかということを意識させる。2年生になれば勉強をしながら、どういう方面のことを自分はやりたいのかっていうのを考えさせていく。分野の研究を中心にして大学を選ぶのは、高3になって、模試の結果を考慮しながら考えていくというスタイルでしょうか。


7. 模試の頻度はどれくらいですか。

岸本先生:中2からなんですが、中2、中3は年に1回。高校になって年に3回。高3になると学校だけで7回。あとは、外部の模試も紹介したりするので、高2、高3になればある程度の数は自分で選んでいくようになったり。特に高3になると冠模試から基礎的なものまで自分で選んで行ってます。


8. 塾に通っている人はいますか。

岸本先生:塾に通っている生徒はいます。割合でいうと中学の間は20%前半くらいです。高校になっても1年生は同じくらい。2年生くらいから増えますかね。高2の秋から冬、3学期の時期から3年生の夏ぐらいは8割弱はいるのではないかと思います。

ただ、まるまる塾に行っているという生徒はほとんどいない気がします。まあ学校でもいろいろ講習とかあるのでそれを使えば良いのですが、例えば、クラブとかの関係で学校の講習が取れない場合は、自分の苦手な教科を選んで塾に行くこともあります。あと本校は下校が早くて、クラブがあっても5時20分には下校です。そのため、高3生が自習したくても5時20分には下校しなくてはいけません。早く家に帰れるというメリットはありますが、さすがにその時間だと早すぎるという生徒もいるんです。家に帰っても、弟や妹がいてなかなか勉強に集中できないとかいろいろな事情があるので、自習室として塾を利用しているという生徒が多い気がします。塾の自習室を使うためには講座は取らないといけないので、週1回だけ塾で授業を受けて後の5日間は自習室に通ってる生徒もいます。


9. 塾に通うことについてはどう思いますか。

岸本先生:積極的には勧めていないです。特に中学校では勧めていないです。最初は予習・復習の課題も多くあるので、それと塾でいっぱいいっぱいになっている生徒は見かけます。実際中学生だと2割くらいは塾に行ってて、塾をうまく使えているのはその中の一部。生徒全体から見ると数%しかうまく使えていないのかなと私はみていますね。

編集部:学校の講習だけでもかなりの数がありますもんね。


10. 説明会ではどんなことをしますか。

岸本先生:最近は、学校説明会と入試説明会を分けて実施しています。学校説明会では、カリキュラムや教育方針、あとは学校の取り組み、授業以外のことの話をして、最後にクラブ活動の話などをしていますね。実は中学校の説明会では進学の話は資料を見てもらっています。全員どこの大学とか学部に行ったかはホームページにも全部載せてますから、それを見ていただいてご判断くださいと言っています。入試説明会は本当に説明がメインです。保護者対象です。入試の要項の話と、各教科の担当の先生からどういう入試問題を出したいかという入試のポイントの説明と、それから当日の様子や出願とか具体的な作業の説明の3本立てが入試説明会です。入試説明会の時は個別の相談はありますが、校内案内はありません。本当に入試のことだけというかたちです。学校説明会では、説明会のあと校内案内もあります。


11. 説明会でよく聞かれる質問はありますか。

岸本先生:入試説明会だと、本校は2月の2、3、4日と3回入試をしていますが、「3回出願すると有利ですか?」と聞かれます。回答は「ありません」とお答えしています。ただ、繰上げ合格候補者は、受験回数が多ければ多いほどお声掛けしやすいですねという話をしています。

学校説明会でよく聞かれるのは、「授業についていけますか?」というのをよく聞かれます。あの、本校は逆なんです。「ついていけないというのを放っておかない」とう学校なんです。小テストもそうですが、「できなくて終わって良い」という考え方が私たち教員にはないので、「できるまでおいでよ」という感じです。「できないから、放っておいて良い」とか、「後で塾に行って追いつけば良い」ということは一つもないと思っているんです。特に中学校は基礎的なことで社会に出てから必要なことばかりを学ぶのだから、できなくて良い、放っておくという事を良しとしないんです。それは、5教科だけでなくて、家庭科だって体育だってなんだって全部。体育のバレーの授業でサーブのテストがあったら、サーブが入るまでテストをさせます。決めたことを当たり前にみんなでしようって、しなくて良いって誰も言ってくれないだけです。だから、そういうやり方が嫌なら考えていただいた方が良いのであって、心配をあえてする必要がないですよと言ってます。


12. 文化祭の特徴はありますか。

岸本先生:本校の文化祭は桃李祭という名前なんですけど、基本的にはクラブの発表の場と位置付けています。そのため、クラス単位の模擬店みたいなものはありません。1年間のクラブの活動の成果を見せる場なので、比較的レベルの高い展示や演劇は見せられると思います。桃李祭の企画・運営も全部生徒たちが今はやるようになってくれて、目玉の出し物というのがあるわけではないのですが、生徒たちを見ていただければと。

展示を説明している生徒もいれば、裏方たっだり、講堂を取り仕切ったりとか、さまざまなことを生徒がやっています。その生徒が一番の目玉というか、見てもらいたいですね。一年間かけて準備してくるので、そこに懸けてくる生徒も多いです。企画運営も自分たちで行い、今はバザー部門とか受付部門とかチケットパンフレット部門など11の部門に分かれています。チケットとかパンフレットをどんなデザインにしたら見やすいかということを一生懸命半年以上かけて考えるし、受付はどうやったら上手くスムーズに受付できるかっていうことを考えて当日頑張っています。このような運営委員は、高校2年生がメインで高1がその下にサブでおり、さらに全部で600人近くいるんですよね。だから、3人に1人は何らかのかたちで運営委員として関わる。学校ではイベントがあるときにクラスから委員何名募集という方法もあるかと思います。本校は自発的に立候補するので、ほとんどしなくても済んでしまっています。生徒の企画・運営では、企画運営の会議などもあって、そこには教員も混ざって、教員が「それどうやってやるの?」とか突っ込むこともあります。しかし、最近は教員がやるよりも生徒同士で、「それどうやってやるの?」とか「それをやると私たちの部門に影響がでるけれどどうするの?」という生徒同士の意見の方が教員の意見よりも怖いっていう感じになっていますね。(笑)部門ごとに生徒が出す意見の方が、教員の意見より現実的で良いんですね。

編集部:外部の方の入場はできますか。

岸本先生:女子校なので一般の人は自由に入れません。チケット制です。特に男性はチケットのある方しか入れないですね。あとは、保護者と受験生ですね。受験を希望する人、小学生、中学生が親子で来たりするケースが多いですかね。受験生だけで5千名くらい来ましたね。その他、保護者の方など合わせると2日間で1万4千名くらいですね。


13. 体育祭はありますか。

岸本先生:運動会があります。本校は、埼玉県の入間市に学校の芝生のグラウンドを持っています。本校は、学校が池袋で校地が狭いので、実は中1から高3までが一同に会するのはこの運動会しかないんです。そこに、1850人くらいが全員そろって、青空の下で競技をします。まあ、外からも見えちゃうんですよ。女子校にしては珍しい運動会かなっていう気はしますけど。

編集部:グランドが離れているので練習が難しいと思うのですが。

岸本先生:基本的には、池袋に体育館や、小さなグラウンドがあるのでそこで練習します。ただ、やっぱり大きなグラウンドでやることの難しさもあるので、9月から10月上旬の運動会直前に「入間体育」というのがあって、各学年で予行に行きます。そこで、学年ごとにダンスの練習をしたり、学年の競技の練習をしたり、入場の練習をしたりしています。

運動会も運営委員がいて、高校3年生がメインでやります。10月なんですけど、高校3年生がメインでやっていて、高3の命令は絶対なので、なぜかスムーズにみんなが動くんです。(笑)よく計画されているし、多くの生徒を動かすのはとても大変だと思いますが、それにみんなちゃんとついて来てるなと思いますね。いろいろな運動会のパターンがあると思いますし、女の子同士であまり競わせない女子校さんもあるかと思うのですけれど、本校の生徒から言われたのは、「本気でぶつかるんだったら紅白二色がいい」という提案があって、ここ十年近く紅白二色ですね。それまでは、四色対抗とかいろいろやっていた時期はありますが。だから、今は900対900くらいのチーム戦で、勝つと「おー!!!」ってすごく盛り上がる運動会になっていますね。本気になりすぎて、怪我とかが心配になるくらいみんな一生懸命やっています。


14. 課外授業・校外学習について

岸本先生:中学と高1では遠足があります。総合的な学習の一環と位置付けています。中1・中2は年2回、中3・高1は年1回、遠足に行きます。行き先は、中1は5月に行ったのが三浦半島、3月に行くのが上野の美術館で、これは社会科見学的なものになりますね。中2が、富岡製糸場を中心にいろんな施設を回ってくる。3月に鎌倉で班ごとに自分たちで研修させる形式です。中3で修学旅行に行くのでその前の練習のような意味合いがあります。中3は房総半島。高1は、マザー牧場でオリエンテーリングをしてきます。4月から5月に行くものは、クラスの親睦を図り、みんなで仲良くなる目的です。本校は

毎年クラス替えがあるので。あとは、林間学校が中1と高1であります。長野県の小諸というところに林間学校を持っていますので、そこにクラスごとに行って、こちらは遠足とは違って起居を共にするとことで、クラスメイトとの中も深まったり、いろんなことも分かったりしますね。活動内容は、飯盒炊爨でカレーを作るとか森林アクティビティーをしたりとか、小諸の街を散策したりとかですね。

編集部:修学旅行はどこに行きますか?

岸本先生:中学は京都奈良方面。高校は2年生で長崎を中心に、北九州ですね。平和学習を兼ねています。

編集部:行事、課外学習などでかなり忙しそうですね。

岸本先生:そうですね。中学の行事だと合唱コンクールも3学期にあるので、行事としてはかなりありますね。

編集部:応接室に合唱コンクールのトロフィーがたくさんありましたが、あれはクラスで出場してるのですか?

岸本先生:あれは、クラブとしてのコーラス部がNHKの音楽コンクールや朝日新聞主催のコンクールで、全国大会に出た時のものです。コーラスとか楽器に関心を持っている生徒たちは多いのですが、それとはまったく別に、学校行事として合唱コンクールというのをクラス対抗でやっています。もう30年以上になりますか。

自分たちで曲を決めたり、指揮者とかパートリーダーを決めたりしながら練習して、今は、規模が大きくなってしまったので、東京芸術劇場のあの大ホールをお借りしてやっています。あのホールで歌えるというのはすごくかっこいいですね。

東京芸術劇場コンサートホール

しかも、中学校だと合唱コンクールのあと、学年末試験を受けるとクラス替えになってしまうので、クラス最後の思い出作りというか、「これでクラス替わっちゃうのヤダね」という感じですごく盛り上がる行事の一つです。


15. 先生になった理由を教えて下さい。

岸本先生:小学校の時から先生になりたかったです。それは、小学校の時の先生が憧れで。すごく優しい先生だったわけではなくて、一所懸命頑張って何かをした時に、「もうちょっとどうにかならないの」というか、いつまでも止めてくれない感じの先生だったんです。「もっともっとできるでしょう?」、「まだまだやれることいっぱいあるよ!」って示してくれる先生だったので、こういうような先生に将来なれたらカッコいいなっていう思いがずっとあって。結局それが忘れられず現在に至るという感じですかね。ただ、私、ダイレクトに教員になれていなくて、紆余曲折を経ているんです。

杉本先生:私は、数学科で大学もずっと数学を勉強してきていたので、数学に関われるような職業がいいなと思っていたのですが、その一つに先生というのがあったんですね。やっぱり、中学の担任の先生が数学の先生で、その先生を見ていて「いいなあ」って思っていたというのもありますね。中学生くらいから、この職業も一つの候補として持っていましたね。

編集部:この学校の先生になった理由を教えてください。

岸本先生:この学校じゃなきゃと思っていたわけではないのですが、教員になるのは大変で、大学出た時に教員採用試験をいくつか受けたのですが、全滅でした。だから、一度メーカーに就職してメーカーで研究員を7年ぐらいやって。でも、教員になる夢が諦められないということで、そちらの方面に詳しい方にいろいろ聞いて、「教員になる道はないですか?」という話をしていた時に紹介いただいたのがこの学校です。

杉本先生:私は、大学院に行っていて、私学適性検査を受けまして、最初に決まったのがここだったのでこの学校に決めたというすごくシンプルな理由です。その時にいろいろ調べて、すごい学校だなと思いましたし、塾講師の経験もなかったので、不安に思いながら入ったという感じですね。


16. 好きな本、影響を受けた本を教えてください。

岸本先生:正直なところあまり本読んでいません。だから本でといわれると難しいのですが、もともとメーカーにいたこともあって、スティーブ・ジョブズが好きで、回想録とかあるんですけど、あれは一通り読んで「ああ、やっぱりすごい人だな」とか思いました。これが学校で何か活かせてるかわは分からないですね。メーカーにいた頃は、コンピューターでMacなども使っていたり、あとは、あの人がNeXTっていう会社に行ったので、NeXT社のCubeというパソコンも使っていたりして、「この人が考えてることってやっぱりすごいな」ってずっと思っていたので、それは読みました。それと、彼が

亡くなってから回想録とかもさらに読んでみて、さらにすごいと思いましたね。

target="window">「スティーブ・ジョブズ」ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)

杉本先生:数学が好きなので数学の本とかはよく読んだりはするのですが、それ以外だと、結構考えることが数学は大事だし、好きなので哲学書とかは好きですね。すごく専門的な哲学書ではないんですけど、一つは野矢茂樹という人が書いた「はじめて考えるときのように」というタイトルの本があって、考えることがどういうことなのかっていうのが書いてある本ですけれど、そういうのはすごく面白く読んでいました。一度、この学校の図書館で本を紹介する時があって、その時にその本を生徒にも紹介したことはあります。

あとは、絵本みたいなものでも、考えて面白いなっていうのというのは、生徒に見せたりしてます。今、実は生徒の中では、「アカデミックデー」というのがあて、教員から課題をいろいろ出して、それを夏休み中に考えさせて、発表をさせるというのが9月にあります。その中のお題の一つに挙げさせていただいた絵本というのが「おやすみ、ロジャー」という本なんですけど、まあ読み聞かせると子どもが寝てくれるという本です。どういう仕組みで読み聞かされた子どもが寝るのか考えてみましょうというお題を出したんですけど、考えるということをしてもらえるような本が好きですね。

「はじめて考えるときのように」野矢茂樹 著

「おやすみ、ロジャー」カール=ヨハン・エリーン 著


17. 趣味、特技はなんですか。

岸本先生:私は技術系の職場にいたので、コンピューター全般は好きです。それは、今の仕事でも役立っている面もあるし、自分で好きなことをコンピューターでやったりもしますね。ホームページ作ってみたりとか、映像を編集してみたりとか。あとは、それ以外では、アカデミックデーで、社会科の教員ということもあるんですが、「富士塚を調べよう」というテーマを出しました。最近は富士塚とか庚申塔という昔の遺跡というか遺物、あまり目立たないけど街にいっぱいあるものをあえて見つけようというのに凝っていて。この夏休みも3つ、10メートルとか5メートルくらいの富士塚を登ってき

ました。登った富士塚はこっそり自分で作ったホームページに載せたりしてます。名前は明かさずにですが。

【※編集部注釈:富士信仰に基づき、富士山に模して造営された人工の山や塚】

杉本先生:私は、仕事に活かされているかなというところでいうと、私、気象予報士なんですよ。だから今日も「台風が来そうだけど大丈夫か」とか学校からも聞かれてたりしたんです。だから、ちょっと未来を予測するのとかは面白いですよね。

岸本先生:だから、行事の時のお天気の問題は、すべて杉本先生が判断材料を出してくれます。(笑)運動会やるのかやらないのかとか。

編集部:気象予報士はいつ取られたんですか?

杉本先生:もう10年前ですね。ちょうど高3の担任をしていた時ですが、「みんなが入試で頑張るから自分も頑張るよ」と言って。前々から、興味があったので、中学生の時から天気図とか見ていましたし、パラパラ漫画みたいに夏休み中に自由研究でず〜と切り取って色塗っていくと、西から東に天気が移っていくのが分かったりして、そういうのがすごく面白いなと思っていたので、興味はすごくあったんです。それで、気象予報士という制度ができて、気象庁にいなくてもそういう資格が取れるようになったので、いつかは受けてみたいとは思っていました。生徒たちへのいいキッカケになればなと

思って、また自分の為にもなるしと思って、チャレンジして取ったんです。それは、自分のキャリアにもなりますし、教師生活でも活かせるところもあるので、よかったと思っています。


18. 好きな音楽は?

岸本先生:私は、フュージョン系が好きですね。F1グランプリのテーマ「TRUTH」とか、あのバンド(T-SQUARE)ももう30年以上になりますけど、自分が高校生の頃から聴いていますね。

杉本先生:私は、聞かないわけじゃないですけど、「サザンオールスターズ」とかが好きですね。


19. この学校の生徒の特徴を教えてください。

岸本先生:基本的にはすごく真面目です。真面目というか一生懸命やろうとする生徒が多いです。あと、どういう学校ですかともよく聞かれるんですが、特定のカラーがないのがカラーだとも思っています。いろんな地域から通ってきてくれる学校で、面接もないので本当に様々なタイプの、おとなしい子もいればすごく元気な子もいるんですけ。でもみんな中には真面目さであったり、何かに取り組もうという意思を持っている生徒が多いかなぁと思います。偉いですよね、そういうことに取り組もうとできるところは。自分の子どもを見ていても全然できないので、それはすごいなと思いますよ。

編集部:ちなみに自分のお子さんをこの学校に入れたいなと思いますか?

岸本先生:うちはですね、子供が男3人なんですよ。だから、女子校には入れられないのですが、女の子だったら性格的なものが合えば入れてもいいかなと思いますね。ただ、自分が教員でなければですけどね。


20. 憧れている、目標にしている先生はいますか。

岸本先生:先ほど話した、小学生のころ憧れていた先生ですね。その先生はもう現役を引退してしまいましたけど、その思いは変わらないですね。「もっともっと」生徒が前に進めるキッカケを作れる先生になりたいです。

杉本先生:そうですね、この学校の先生はみんなすごいと思いますけどね。だから、生徒のやる気とかをうまく引っ張り出していけるような授業をしていきたいですし、授業以外でもそうしていけたらいいなと思います。


21. やりがいを感じるとき、大変なときはどんな時ですか。

岸本先生:やりがいは、やっぱり生徒相手の職業なので、生徒が良い顔をしてくれたら、もうそれだけですよね。「先生やっててよかったな」って思うのはそれに尽きると思います。それは、何でも良いのです。勉強でも、クラブ活動で頑張っている姿でもいいし、さっきのいろんな課題を与えて発表しているかっこいい姿であったり。なんでも良いのですが、それを見られたら教員になってよかったなって思います。そういう面では、いっぱいやりがいをもらえる職場だと思いますね。

編集部:大変なこと、つらいことはありますか。

岸本先生:結局、それらをするためには自分で準備していかなきゃいけないことがたくさんあるので、時間的にはだいぶ厳しいですね。家帰っても予習したりとか、プリント作ったりとか。あとは、今は入試広報もしているので、日曜日とかでも外に出て行かなくちゃいけないとかという点では、時間的な厳しさはありますけど、それは当たり前のことなので。

編集部:やりがいを感じるのはどんな時ですか。

杉本先生:やっぱり、生徒を見ているので生徒が「やったあ!」っていう顔した時とかはすごく嬉しいです。だから、やりがいはたくさんもらえる仕事なのかなとは思いますね。

岸本先生:大変な時というのはありますが、大変と思うかどうかによる違いなのかなと思います。


22. 最近変わってきたことはありますか。

岸本先生:この学校に来て20年ちょっとですけど、入った年は東大合格者は1人もいなかったんです。次の年に東大が1人出て。その前には合格者はいたそうですが、たままたま私が入った年はいなくて。だから、東大目指す学校とか理系を目指す学校というイメージは、当時は全然なかったんです。実際理系も半分いなくて、4割弱でした。

だから、この学校が注目してもらえるようになったのは、本当にここ10年くらいの出来事なんですよ。だから、大きく変わったと思いますよ。全体的な雰囲気も。ただ、それは何か特別なことをしたからというわけでもなく、積み上げてきたものがあって、あとは校長先生が変わって、もっともっといろんなイベントを立ち上げようという雰囲気が生まれたり。で、今はさらに校長が変わって、卒業生校長だということもあり、外に出ることを良しとする雰囲気もあって、閉じこもらずにいろんなことができる学校になってきたなっていう点では、かなり変わりましたね。

それによって生徒も、さっきの併願の話ではないですけど、20年前は桜蔭に落ちてやむなく豊島岡という生徒が残念ながらいました。今はそう思う生徒もいるのでしょうが、第一志望ではなかったとしても豊島岡でどうにか頑張っていこうと前向きに思ってくれる生徒が増えてきているかなと思います。

だから、最初からネガティブな印象で入学してくる生徒は減ってきていると思います。この学校で何かやってやろうとか、何かチャレンジしてみたいという生徒が増えてきたというのはすごく感じますね。

杉本先生:積極的な生徒が増えてきたなと感じますね。例えば、一つ課題が終わったら、「次はないんですか?」って言ってくるとか、そういう生徒が前に比べたら増えてきたなと思いますね。私としては、私が与えるのではなくて、自分で探していて欲しいとは思っているのですが、そういうふうにいろいろ自分で考えて、これが足りないから課題をと言ってくる生徒は前はあまりいなかったかなと思います。


23. 学校に対しての不満はありますか?

岸本先生:うちの学校の先生はすごく協力的な先生が多いんです。それは誇れると思うのですが、だからみんな一生懸命頑張ってしまうので、やることが多くなってしまう先生も当然出てきます。どうにかそれが分散して、いろんなところで自分の力が発揮できて、それが結果、職場環境であったり、学校全体がもっと前向きな状況になったらいいなと。

そういった面では、今ちょうど過渡期かなという気はしています。不満というよりは、今仕事が多くて大変な人が何人かいるのが現実かなと思います。これをみんなでどうやったらうまくできるかなというのが、これからの課題ですね。ねぇ杉本先生。

杉本先生:私は、まあ不満はないですよ。不満はないです。(笑)

岸本先生:ちなみに本校は、5時20分に生徒を下校させるのですが、教員も何があっても5時30分に学校を出ると決まっているんです。だから、生徒たちと関わって、それ以外の生徒たちがいない時間で何かをゆっくりとできるという時間は少ないです。それが、さっき言ったように、みんなにいろんな負荷がかかってしまう原因だと思うのですが、でも逆にそのおかげで、女性の教員は勤めやすいと思うんですね。

現状は男性教員の方が多いのですが、”女性も働きやすい職場でない女子校は意味がない”と思うので。朝は8時に始業で教員の打ち合わせがあって、4時までは勤務ですけど、ちょっと残ってクラブとか生徒の面倒見ていたとしても5時半には絶対に帰らなきゃいけないので。すごく時間的には限られているから、みんな行動が分刻みです。でもそれをうまくやる習慣がつくし、教員がそうやって動いているから生徒たちもそういう習慣がつくのかなと。

あと、本校では「運針」といって毎朝5分間ひたすら、白い布に赤い糸で縫うことを毎朝行っています。縫って終わったら抜いてまた最初からというのを毎朝やっています。最初は5センチしか縫えなかったのが、1年間で1メートルくらい縫えて、上手な子は6年間で4メートルくらい縫えて。しかも、まるでミシンで縫ったようにきれいに縫えるようになるんですよね。「毎日コツコツやったらこうなるよ、そのコツコツはこのたった5分を大事にしていったらできるんだよ」っていうスタンスの学校なので、教員も職場もそういうスタンスになっていますね。

私が、昔メーカーで働いていた時は、忙しい時期は夜11時・12時まで残業するということは当たり前だった時期も経験しているので、残業がまったくない、しかも5時30分までというのはズゴイ職場だと思います。逆をいうと、勤務時間の密度がどうしても濃くなりますね。


24. いじめがあったときにはどういった対応をしますか?

岸本先生:まず前提として、いじめ予防について法律ができたというのもあって、学校では卒業生の弁護士から提案があり「いじめ予防授業」というのをやっています。これは中1から高1まで弁護士の先生が各クラスに1人ずつ入って、いじめの事例とか、どういうものがいじめになるのかというのをみんなに考えさせえてくれるような授業を毎年やっています。これを卒業生がサポートしてくれているというのが非常に嬉しいなと思っていますね。

ただ、起きないかと言われると、現実にはありますね。特に中学生がぶつかりあうことがありますね。やっぱり自我が芽生える、思春期なので、自分の思った事を言ってしまったが故に、衝突することはどこにいても起きるんです。それで、実際に起こった場合、基本的には何か生徒から訴えがあったらまず話を聞く事。もちろん、生徒たちの様子を注意して見ているというのもありますが。

今は担任だけで対応することは少なくて、学年団というグループで、主任を中心に担任・副担任などで分担して、関係する生徒たちにきちんと話を聞いてあげることからスタートします。それで、必要であれば保護者にも来てもらって、話をしながら対応するのが基本ですね。

個別の事例なのでルールというのはないのですが、1人で抱え込む先生はいないので、「ちょっと困ってるんです」っていう先生がいたら誰か別の先生が困っている先生の話を聞いてあげたりしながら対応しています。

もちろんいじめる側が悪いのですが、人間の成長過程で「ぶつかる」のは当たり前の事なので、本人たちも最初はいじめる気はなかったかもしれないので。そういうところをまずは話をきちんと聞いて、親にも話をしてもらう事が大事かなと思います。基本的には、それで解決できていますね。


25. 一日のスケジュールと平均勤務時間

杉本先生:私は朝7時半くらいには来て、8時から打ち合わせがあって、ホームルームですね。そのあとは、授業をするか、授業がないときは授業の予習とかして、6時間目まで終わったら帰りのホームルームをして、クラブを見てという感じ。クラブがなければ、何か他の仕事をして、基本はいつも最後までいる方なので、5時半くらいまではいます。シンプルなんですけどそんな感じです。

岸本先生:同じですね。うちは、7時開門で、まあ、7時と言いながら7時ちょっと前から門は開いていますが、私は7時過ぎくらいには来ていますね。それで、授業で使うプリントの準備をしたりしています。学校ってチャイムが鳴ってチャイムごとに動くので、1時間単位で動いていくわけですよね。8時半から授業があって、うちは校長まで授業をしていて、授業をしない教員は一人もいないんです。だから、授業を持ちながら広報の仕事もしているので、広報を含め何か会議がああります。

本校は、放課後に会議をすることはあまりなくて、職員会議以外は会議も多くが授業の時間の1時間の枠でやるスタイルなんですね。それで休み時間は生徒の対応をしていたり、放課後はクラブを見たり。どの先生もクラブは持っていて。持ってない人はいないです。本校は、49個もクラブがあるので、1人2個ずつくらいはクラブの顧問をしていますね。

だから、運動部の大会のシーズンは顧問の先生はキツいと思います。本校は、土曜日も原則第2土曜日以外は学校があります。学校は日曜日と第2土曜日は休みなのですが、その日は学校を開けてクラブをさせることは一切しないです。大会で外に出なきゃいけないとき以外を除いて、クラブはできないんです。そうじゃないと、生徒も教員も休めないので。

こちらは会員限定記事です。会員になると続きをお読みいただけます。

  • 興味あり
  • ×

PAGETOP