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西郷雄盛
卒業生


取材日:2016年11月12日 

インタビュイー:社会科 野球部監督 椙原高文先生
インタビュアー:明治大学経営部2年生 西郷雄盛

イントロダクション:
「どうにかしてあげたいけど、思うようにならない。本人も苦しんだし、周りのみんなも苦しんだ。なかなか先が見えなし、出口も見えなかった。」インタビューを受けてくださった椙原高文先生は、時折涙で言葉を詰まらせながら、当時の様子をこう振り返りました。「彼との経験は今にすごく生きているんです。それくらい、彼にとっても、僕とっても、保護者にとってもヘビーな悩みだったんです。」インタビュアーの西郷雄盛は、中学から高校へ進学する際、馬の道に進みたいという自分の気持ちと、進学してほしいという親の気持ちとの間で苦しんでいました。悩みは深刻で、学校に行けない時期もあり、このままだと卒業すらもできなくなってしまうというほど。ちょうど、その時に彼を担任し、そして所属する野球部の監督でもあったのが椙原先生でした。椙原先生と何度も話し会いをしていく中で、「進学してからでも自分のやりたいことはできる」、そう気持ちの折り合いをつけられるようになり、徐々に学校にも行けるようになり、現在、西郷は明治大学に通いながら、大好きな馬術部の活動を続けている。そして、今日、卒業生として、お世話になった先生に、母校についてのインタビューをすることになりました。

1. 自己紹介


西郷:先生の名前と生徒からのニックネームと担当教科、担当クラブをお願いします。

椙原先生:椙原高文です。担当教科は社会科です。担当クラブは高校野球でニックネームはスギさんです。

西郷:僕もスギさんと呼んでました。

2. 授業について

西郷:先生は今、授業でどんな準備をしていますか?
椙原先生:準備って言われたらかなり広いけど、一番気にしているのは、聞きやすい話をいっぱい持っておこうというのは常に考えています。1個1個のものに対して、1つの項目に対して、色んな視点があって、色んな見方があるので、そういう引き出し、小ネタみたいなものは用意するように工夫はしています。

3. 授業で心がけていること

西郷:授業で心がけていることは何ですか。
椙原先生:担当が社会科なのでどうしても単語が出てきたり、用語が出てきたり、難しい言葉が多いです。それを暗記っていうことにしたくない。物事には前後関係があって、原因があれば結果があるし、なんでも必ず時代背景の中で生まれてきたことなので、そういったバックグラウンドを伝えられたら理解できるかな。その言葉だけ押さえてしまうと面白くない教科なので。
昔、僕が教わっていた頃の先生もそういう手を変え品を変え、色んな手段を使って、引きつけるようなことをいっぱいやってくれていました。例えば目で見たり、音で聞いたり、そういったものがあると、見方が変わる。ちょっとした視覚だったり、聴覚だったり、ちょっと動かしてあげると目線が変わったり、食いつき方が変わったり、そういったものがすごい変化としてあらわれるんです。

西郷:なるほど。
椙原先生:原因とその背景がなんとなく分かるかたちでアプローチをかけていくということと、色んな視覚や、聴覚や、体の色んなところを使って反応したり、分かるようなかたちにしたいなと。そういうふうに理解してもらいたいな。暗記だけだと辛いなというところがあるので。
西郷:僕は中学受験のとき、塾に通っていなかったので、自分で教材買って勉強していました。社会科と理科は誰も教えてくれないので、書いてあることを読んでるだけの暗記科目。社会と理科はやっぱり人に教えてもらわないと繋がらないですね。
椙原先生:社会と理科って苦手な生徒多いですね。
西郷:背景を教えてもらわないとできない。
椙原先生:でも、そういうふうに感じ取れる生徒はたぶん伸びるはずなんですよね。

4. これまでに習った尊敬できる先生

西郷:先生がこれまでに習った、尊敬できる先生を具体的に教えてください。会った人でもいいですし、人生の師みたいな人でもいいです。
椙原先生:これは仕事ともつながりますけど、僕が最初に人に感銘を受けたのは小学校の頃です。小学校の担任の先生とは今でも古い付き合いでずっと繋がっているんですけど、その人は継続することをまず自分で実践してたんですね。例えば日々何かを積み重ねていくというか、そういう作業を身をもって徹底して、積み重ねが大事だということを教えてくれた。あとはものすごく慕われる人だったので、こういうふうに慕われたり、こういうふうに言葉で影響を与えられる人になりたいなっていうのがありました。あとは中学、高校って、僕も明八の卒業生なので色んな方にお世話になりました。


5. 生徒から人気はありますか。

西郷:先生は生徒から人気はありますか?
椙原先生:俺、結構人気あると思うよ。(笑)人気があるっていう定義がどうかにもよるけど。
西郷:厳しく教えて生徒のこと見てくれる人が人気のある先生なのか、ただ都合よく”よいしょ”してくれる先生が人気のある先生なのかって言われたら、その辺は難しいですけど。椙原先生は厳しいときは厳しい。部活も一緒で厳しいところは厳しく、でも授業中とかは結構小ネタを挟んで楽しく授業をやる。
椙原先生:お前、上手くなったな、しゃべりが。そこにびっくりしちゃった、今。
西郷:椙原先生は、生徒から人気のある先生はどんな先生だと思われますか?
椙原先生:後々大人になってからいい先生だったと気づく人もいるし、これはもうそれぞれだと思うんですよね。ただ、学校って適材適所、色んなところで人が必要なわけで、みんながいい人だったら成り立たない。厳しく言うことも必要だし、表立ってものは言えないけど、後ろで支えてくれる人は必ず必要じゃないですか。だから、学校として見たときにはしっかりとものが言える人がいて、それをフォローしてくれる人がいてというふうにバランスがないと、学校って成り立たないだろうなと。必ずそういう部分でどの先生にも適正ってあるじゃないですか。生まれたところから、自分が育った環境も違うし。だから、その中で必ず生徒のためにやれることがあるはず。それが出来るとその学校はいい学校だなと思うし、1人1人を見たときにその先生が人気があるっていうように見られるんじゃないですかね。だから、客観的に見て僕がいい先生なのかっていうのは、自信がないです。正直。


6. 生徒を褒めて育てた方がいいと思いますか、それとも、厳しく育てた方がいいと思いますか

西郷:先生は生徒は褒めて育てた方がいいと思う?厳しく育てた方がいいと思いますか?
椙原先生:結局ダメなものがダメって言えなかったらダメかなって思います。その線引きはやっぱり生徒たちは成長過程だから、柔軟にとってあげないといけないと思うし、ある程度そういう中でこれ以上の線を超えた場合にはダメっていうことを教えていかないといけない。 それを厳しいって捉えるのか、いや甘いって捉えるのか。必ず限度があってそれを超えたら、必ず戦争が起きるんですよ。必ずそれ以上やったらダメですよっていうところがあるんですよ。そこはやっぱり教えないと、多分大人になって必ず苦労する。だから、そこが出来ていない場合は厳しく指導します。それと、褒めることについてですが、これもコツがあって、僕は何かを改善する努力をしたときに褒めるように心がけています。何かをやったから褒めるのではなくて、やったことの努力に対して褒める。過程に対して褒めたり、あるいは限度を超えたら厳しくしたりということだと、自分の中ではイメージしてます。


7. 日々の生徒の観察

西郷:先生は生徒の観察はどのようにしていますか?
椙原先生:とにかく生徒に声をかけますね。機会を見てちょっかい出したりするのは、君たちが高校生の頃から変わりません。その最中の反応を見て、ちょっと機嫌が悪かったり、ちょっと今日暗いなと思いながら様子を見たり。そしたらその原因が、例えば人間関係だったり、家のことだとか、その日はわからなくてもそのあとも意識して見るようにはなります。あとは、一緒に掃除をやったよね?それで何気なく、掃除を一緒にやってく中で話が出来たりするとか。


8. 先生になった理由

西郷:先生はなぜ先生になったのですか?
椙原先生:まずは、自分が学生だったときにクラブ活動で成果を出せなかった。だから、クラブ活動に関わって、自分ができなかったことを生徒たちと一緒にやっていきたいと思っていました。あとは、自分の中で深く印象に残っているところって、中学高校なんですよ。中学時代もいろんなことがあって、高校時代もいろんなことがあって、いいこともあれば悪いこともあるし、その都度その都度で色んな人に指導してもらったり、いろんな人に成長させてもらったり。その時はイメージにはないけれど、後々大人になっていったときに、やっぱりこの時に自分の中で変われたなっていうターニングポイントが高校の時にはいくつかあるんですよ。ですから、今度はそれを生徒達に伝えていきたいなと、高校卒業したときから思ってました。


9. 好きな本・影響を受けた本

西郷:先生の好きな本や影響を受けた本。
椙原先生:本はいっぱいありますけど、小泉さんの本はよく読みましたね。あとはスポーツ関連の本も読みますけど、今は人格書みたいなのをよく読むな。言葉の影響力みたいな本で、たった一つの言葉に影響受けることが非常にある。
西郷:小泉さんっていうのは小泉純一郎?
椙原先生:はい、小泉純一郎さん。自民党を壊す、自分の中の壁を壊す。僕が高校生から大学生の頃、2001年に小泉さんが政権を取ってから、いろんなもんを壊して、議席を取ったという影響が僕の中で結構強くて。その中での壁をぶっ壊すというか、そういう違った世界へ連れていってくれる人っていう影響力をすごく感じた。というところで、よく読みました。

10. 趣味・特技

西郷:先生の趣味、特技は何ですか?
椙原先生:趣味?趣味は何だろう?寝る。食べる。食べることが楽しくなりました。食べることしか楽しみがなくなりました。なんかね、昔は食べるならいっぱい食べたいって思わなかった?
西郷:なんか最近ストレスたまると食べちゃいます。
椙原先生:なんかさ、いっぱい食べたいって思うじゃん。でも最近さ、食べれなくなったの。(笑)
西郷:年ですか?
椙原先生:ちょっと食べるともうそれで満足しちゃうの。

11. 明八の生徒の特徴

西郷:この学校の生徒の特徴を一言で言うと?
椙原先生:真面目、一生懸命。合言葉覚えてる?
西郷:「みんなで仲良く真面目に精一杯」。
椙原先生:真面目だし、一生懸命だし、素直ですね。あとは、みなさん挨拶ができる。ここまで挨拶ができるというのはなかなかないんじゃないかな。これは誇れるところです。自信を持って誇れるところですと言えるところがあるのはすごく幸せとだと思います。この前も学校説明会で、学校のバスから降りてくる小学生の案内をしたんですよ。そしたら、中学1年生の女子2人が、バスから降りてくる小学生たち、60人ぐらい、バンバン来るその一人ひとりに頭下げて、「こんにちは、こんにちは、こんにちは」ってずっと言ってるんですよ。それも最初から最後まで。あの生徒たちは変な話、そこまでする必要はないわけで、帰りのバスに乗っちゃえばいいわけ。でも乗らなかったんだよ。乗らずにずっとその小学生に「こんにちは、こんにちは」って言ってて感動しちゃった。そのあと、その生徒に「感動したよ」って言ったら、「こうしたほうがいいと思ったんです」と言うんです、中学1年生が。それって指導してもなか出来ることではないです。ある意味、先輩たちから繋がってきていることなんです。こうやって先輩たちがやってるから、最初はやらなきゃいけないんだなって思うけど、それを実際にやることによって、中学1年生とかでも身に付くようになる。意識は違えども、そういったことが出来ている姿を見て、感動したなっていうのはあります。だから、そういった部分で魅力あるなって思いますけど。

西郷:当たり前ですけど、僕も明八に入って挨拶はできるようになりましたね。
椙原先生:そこはやっぱりびっくりするところじゃないですかね。

12. 入校直後と大きく変わったこと

西郷:先生は入校直後と大きく変わったことはありますか?
椙原先生:僕自身は何か根本的に大きく変わったというのは、いろんな経験をさせていただく中で、マイナーチェンジはありますけど、大きく何かを変えたっていうのはないですね。僕は変わってないと思います。

13. 学校・生徒たちのもっとこうしたらいいのにという点

西郷:先生自身からみて、学校や生徒たち、もっとこうしたらいいのにっていう点はありますか?
椙原先生:自己紹介が苦手な生徒が多いよね。だからどっちかと言ったら、学校側から何かを指示すると、みんなが「はいっ」て素直に言うこと聞いちゃうんですよ。昔は、「いやだー」とか、「え、何でですか?」っていう反応がある中で僕たち教師も学ぶことがあった。僕らが学生だった時は、「え、何でですか?」っていうのが同級生の中でもいっぱいあったし、自分はこうなんだ、ああなんだっていうことを発せられる生徒が多かった。自分はこれだけは譲れないっていう、ギラギラしたものがもっとあってもいいんじゃないですかね。例えば東大に行きたいって思うんだったら東大目指せばいいし、甲子園に行きたいんだったら甲子園に行きたいですって発せられる生徒がほしいね。でも今年はいるんだよ。僕はビル・ゲイツになりたいって言ってる生徒が。

西郷:クラスにですか?
椙原先生:ビル・ゲイツになるためにどうしたらいいですか?って面談で話しました。ビル・ゲイツになるために文系・理系どっちがいいですかって。どっちがいいと思う?
西郷:ビル・ゲイツになるため、それ難しいですね。
椙原先生:難しいでしょ?俺も困った。だけど、結局、その生徒は純粋に世界一の金持ちになりたいんだってさ。だけど、そのような目標があるということを堂々と言える生徒っていうのが今は少ないからさ。それは、学校側からのもうちょっといいアプローチがあれば変わっていくことかもしれませんけど。目標設定法とかそういうのと繋がって来るとは思うんですけど。

14. 自分の子どもをこの学校に入れたいと思いますか。

西郷:自分の子どもを明八に入れたいと思いますか?
椙原先生:嫌ですね。(笑)理由を言った方がいいですか?
西郷:お願いします。椙原先生:あんまりこういう姿を見せたくないから。

西郷:じゃあ、もし自分がこの学校の先生ではなかったら?

椙原先生:そうですね、考えますね。ちょっと想像つかないけどね、まあ来てもらいたいですよ。

西郷:お願いします。
椙原先生:あんまりこういう姿を見せたくないから。
西郷:じゃあ、もし自分がこの学校の先生ではなかったら?
椙原先生:そうですね、考えますね。ちょっと想像つかないけどね、まあ来てもらいたいですよ。

15. いじめへの対応

西郷:先生はイジメが発覚したときにどんな対応をしますか?
椙原先生:まずは話を聞いて、その生徒の状況、その背景を洗わないとわからないので、その中で対応していきます。1人じゃ無理なので。そこは、他の先生とも連携しないといけないと思います。学年全体で対応していかないと必ずどこかでぼろは出る。その背景、前後関係、色んなものを洗いながら、色んな先生たちと協力して、全体としてやろうっていう姿勢を見せないと、たぶんなくならないと思うんですよ。その中でどこかしらに解決のキッカケがあったりとか、どこかしらにいじめをストップさせるような要素が出てきたりする。

西郷:日々生徒を観察していて、こういうイジメの芽っていうんですか、そういうのは感じたりするんですか?
椙原先生:いじめって言うと難しいですが、生徒同士が話しているところに耳を傾けると、「あ、ちょっとここは怪しいな」とか、ちょっと端から見たときに、「あ、こういうときにこの生徒はこういう対応を取るんだな」とか、この生徒とはうまくいっているんだ、この生徒とはうまくいってないんだというのがよくわかるんですね。あとは、うまくいっていないと思われる生徒の話を出したりすると、明らかに表情が変わったりすることがありますね。そういった意味で、生徒たちの会話や普段の様子を見ていると、いじめの兆候に気づくことはできます。

西郷:そういう時って積極的に声かけたりしますか?
椙原先生:声かけます。あとはいじめにならないように。完璧にできるかって言ったらそうじゃないですけど、自分としてはその前に抑えたいですよね、理想ですけどね。それをするためには、普段の生徒達の様子をよく知っていないといけないんです。知らなきゃいけないってことは、先取りをしなきゃいけないんですよ。先取りをしないとわからないんです。じゃあ先取りをするためにどうするかって言ったら、いつもよりも前に教室に来るとか、いつもよりもちょっと遅く教室を出ていくとか、その生徒たちがどのように動いているのかを見たりとか、あとは一緒に掃除をしてみたりとかという何気ないことが大事だと思います。そこで、感じることってすごくあります。

西郷:確か椙原先生、帰りのホームルームをするときに、ひょこっと「もう教室にいたんだ」みたいな感じのときが結構ありました。そういうときに生徒の本音で話しているところを聞いてるのかなって思ったことはありました。
椙原先生:窓からのぞいて、誰が誰にちょっかいを出しているとかを見たり。間違いなくそういうときは、こっちの目線が気になったりするからね。そういう目線が何かを隠してるなと思ったら、「あれちょっと違う、怪しいな」とかっていうことが出てきたときに、例えば生徒全体に向けて話をしたりだとか、あとはピンポイントで、「大丈夫か?」と言って呼んで、全然関係ないことを言ってみたり、そういう感じでちょこちょこ話かけたりしていますね。

16. 携帯電話について

西郷:生徒が学校に携帯を持っていくことを禁止した方がいいと思いますか?それとも許可して健全な使い方を教えた方がいいと思いますか?
椙原先生:携帯はもう使わなかったら、今はやっていけないんじゃないですかね。でも、ある程度経験している大人だって、携帯での犯罪があるわけで、生徒にそれをやるなよって言うのは、なかなか苦しいよね。だから、きちんと使い方を指導していかないといけないと思いますね。今の時代、学校に携帯を持ってきてはいけないとは言えないので。

西郷:逆に持ってない方が、いじめの話じゃないですけど、いじめの原因になってしまうこともありますしね。
椙原先生:そうですね。例えば今は、ガラケーだってことで、「まだガラケーなの?」と言われちゃう。そのときに、例えば中学生とか高校生、特に中学生が、ちょっとしたふざけあいの延長線で、誰かの感情を傷つけるってことにも繋がるもんね。

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