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1. 日々の生徒の観察

加登谷:生徒の観察は日々どのようになさってますか?
佐藤先生:中学校では朝礼時に読書をやっているので、彼らが本を読んでるときに、いろいろ様子を見てますね。「今日の様子はどうかなー?」って。読書してると大体分かるんですよね。集中力散漫になっちゃって、「あ、家でなんかあったのかなー」とか。読書終わって朝礼のときに挨拶するんですけど、「声出てるのかなー?」とか、こっち側見てないとか、「ちょっとやべえ」みたいな感じで目をそらすとか。(笑)そういう生徒を見た時に、「何かあんのかなー」という感じです。あとは、「班ノート」という交換日記みたいなのを順番にやってまして。今日は一番前の席の人、次はそのうしろの人。1日ごとに3行書いてね、みたいな
。意外とみんなそれに書きますよ。【※編集部注釈:朝の読書・・・明星中学校・高等学校では、毎朝10分間、全校生徒で読書をする時間を設けている。】
編集部:ほー。
佐藤先生:自分の趣味のこととかね。「SEKAI NO OWARI」が好きなんです、みたいな。
加登谷:ふふふ。特に4月とか5月頃は、他の人のことを知れるので、あれはすごくいいですね。
佐藤先生:個人の交換ノートではなく、班の5人6人で回しているので、僕がそれに突っ込んでコメントを書くみたいな感じです。
加登谷:はい。
編集部:ほほー。


2. いじめへの対応

加登谷:日々、生徒の観察をされてると思うんですが、その中でいじめがあった時はどのように対応をしますか?

佐藤先生:当然、初期段階ではヒアリングですよね。まず被害者から。「どんなことがあったの?」って。次に加害者。あとは情報を客観的に見たいので、傍観者ですね。傍観者からちょっと聞いてみたりしますね。
加登谷:先ほど、佐滝先生に伺った時に、まずは学年の先生全員に報告をして、それで顧問の先生に、両隣の先生にも報告をされるということだったんですけれども、佐藤先生もそうされてますか?
佐藤先生:佐滝先生のいじめの定義は、いじめられた側がいじめって思った瞬間にいじめになる、だと思うんですよね。それが基本的な定義だとは思うんですけど、僕は、事の大小があるような気がするんです。「ここは乗り越えた方がいいんじゃないの?」って。でも、あんまり事を大きくしちゃうと、その生徒が乗り越えるんじゃなくて、やった生徒への処罰や指導が先にいってしまうので・・・。僕の場合は、まず生徒にどういう状況なのかヒアリングします。それをみんなで共有した方がいいのか、対応した方がいいのかを判断してから他の先生に伝えます。


3. 落ちこぼれた生徒・長所のある生徒への対応

加登谷:落ちこぼれた、勉強についていけなくなってしまった生徒には、どのように対応しますか?
佐藤先生:はい。それは声かけですよね。心的に落ちこぼれてるだけなのか、能力的に全然授業についていけないのか、落ちこぼれた理由によりますよね。授業にはついていけないけどやる気があるのなら、補習や追試でのケアができますよね。心がなえちゃった生徒っていうのは、「できるようになったよ」の積み重ねをたくさんしなきゃいけないの
で、時間をかけながらやっていきますね。正直なところ、そういう気持ちはあるんですが、ちゃんとそれ対応できてますか?と聞かれると、最近はできていない部分の方が多いような気がしますね。僕自身の時間的な制約があるので、これをやっておきなさいというアドバイスはしますけど、本当だったら四六時中一緒にいてあげるべきなんでしょうけど・・・。ちょっとそれはできてない環境にありますね。

編集部:何か環境の変化があったのですか?
佐藤先生:仕事の量が多すぎるので、四六時中一緒にはいてあげられないですね。あと、幸い、僕は優秀な生徒がいるクラスの担当が多かったので、選抜クラスの生徒たちだと、自助努力で学習できるんですね。僕がねっとりといろんなことをしてあげてクリアさせると、僕がいなくなった時にどうなのかな?と思ってしまうんですけど、僕がポロッと言ったことに気づいて、あとは自分でできますみたいな方法の方が教育っぽいなとも思うので、あまりつきっきりでやらない部分もあります。
加登谷:では逆に、ある部分においてすごく秀でている、長所がある生徒にはどのように対応されますか?
佐藤先生:とりあえず環境を与えるっていうぐらいですかね。きっと。
加登谷:環境を与える?
佐藤先生:例えば、数学だけが得意だけど、生活態度は全然だめですみたいな生徒には、できていない部分に関してはちゃんと指導すると思うんですけど、さりげなく「数学オリンピックっていうのがあるんだよと」という話をしたりしますね。
加登谷:ふふふ。
佐藤先生:「数学オリンピックはこんな問題が出るんだよ」「今度1月に予選があるね」、という感じで話を持っていったりしますね。(笑)
編集部:なるほど。
佐藤先生:きっかけを与えるだけですね。好きなものは自分で見つけてどんどんやっていった方が絶対いいからね。これをしなさいとかじゃなくて。
加登谷:あくまできっかけづくりということで?
佐藤先生:それで僕は充分だと思ってますけど。


4. 先生は人気あると思いますか。

加登谷:自分のお気持ちでいいので、先生は人気があると思いますか?
佐藤先生:ないです。僕は人気があまりありません。(笑)
加登谷:それは、どうしてでしょう?とお伺いしてもいいんでしょうか?
佐藤先生:そうですよね。聞いてくれないと困りますんで。(笑)
加登谷:ふふふふ。
佐藤先生:ふふふふ。僕が思う、人気のある先生とはどんなものかという定義ですよねきっと。
加登谷:はい。
佐藤先生:生徒がその先生のために、自発的に行動する。そういう生徒が多いというのが、僕は人気だと思います。
加登谷:なるほど。
佐藤先生:今ので伝わります?例えば、高校1年2組の担任をした時に、「○○くんが大変なんです」ってわざわざ呼び出されたことがあるんです。「何があったの?」という感じで行ったら、委員長が来て「はい、ハッピーバースデイトゥーユー」って誕生日を祝ってくれたんです。だまされたんですね。(笑)なので、当時は人気があったと思うんです。僕のためにそういう行動をしてくれたみたいな。そういうことをたくさんの生徒たちがしてくれるんだったら、多分人気があるんじゃないかなと思いますけどね。総じて、教師になってからの十何年ぐらいの歴史を考えると、あんまり人気ないんじゃないかなと思います。
編集部:人気は必要だと思いますか?
佐藤先生:まあ、あった方がいいですよね。
編集部:ふむふむ。
佐藤先生:はい。お金とかと学歴とかと同じぐらいの感覚ですかね。
編集部:ははは。
佐藤先生:あっても損はしない。
編集部:はー、なるほど。
佐藤先生:うん。でも、なくても生きていけるんじゃないかなと。


5. 学校の好きな点、もっとこうしたらいいのにという点

加登谷:明星学苑の好きな点がありましたら教えてください。
佐藤先生:面倒見の良い、優秀な先生が多い。他の学校は知らないですけど、この学校にはものすごく多いと思います。・・・・さっき尊敬する先生についての質問があって、ちょっとまだドキドキしてるのは、あの先生のこと言ってないなとか思ってて。(笑)
一同:はははは。
佐藤先生:質問には二人の先生のことしか答えてないけれど、「あれ?なんで俺の名前出てないんだ」とか、「俺お前にいろいろやってあげたよな?」と言われそうなぐらいお世話になったし、尊敬できる先生はたくさんいるので。(笑)
編集部:ははは。
佐藤先生:それ考えてみたら、すごくいい先生が多い。
編集部:ほー。
加登谷:逆に、もっとこうしたらいいのにという点はありますか?
佐藤先生:この学校のちょっと残念なところ、もっとこうしたらいいのになっていうのは、そういう優秀な先生が多いので、できるだけそういう先生が生徒と絡める環境をたくさん作った方がいいんじゃないかなって思うんです。
加登谷:うーん。
編集部:先生の数は、生徒の数に比して、いかがですか?
佐藤先生:正直なところ僕が最初明星に来たときには、もっと多かったんですよね。多い人数で手塩にかけて育てよう、みたいなイメージがある学校だったんです。職員室も、なんでこんなにでっかいんだろう?みたいな。勤め始めたときには、こんなに先生必要?って。生徒の数を見たら、当時は男子部だったんで3、4クラスしかないのに、すごい数の先生がいるなという感じだったんです。でも、今はそれほどではありません。


6. 6年後の生徒の姿

加登谷:明星中学に進学した生徒たちが、6年後、大学生になった時に、どのように成長していると思いますか、または、どんな成長を望みますか?
佐藤先生:当然、周囲から信頼される人物になってると思うんですね。
加登谷:はい。
佐藤先生:もうそれにつきますよね。あの人に任せておけば大丈夫とか。
加登谷:今の明星の教育といいますか、全体的な教育で、そのような人物に育つ確信はありますか?
佐藤先生:うん。加登谷さんの代までは自信があったね。
加登谷:私の代までですか?
佐藤先生:加登谷さんの代までは、相当自信があったね。今も自信を持ってやってますけど、今は無駄を省く教育もする必要があるので・・・。でも、僕は、情操教育は、どれだけ無駄なことをしたかが重要だと思うので、(受験社会の方向とは)「逆かなー」って思いながら、自己裁量の中でできるだけ無駄を与えてるっていう感じなんです。とりあえずそれができてる間は、自信を持ってやっていけると思います。これがもうちょっと裁量がなくなってきたときに、ちょっときついかなって。
編集部:なるほど。


7. 自分の子どもをこの学校に入れたいと思いますか。

加登谷:先生のお子さんを明星学苑に入れたいと思われますか?
佐藤先生:僕自身が思う思わないというよりも、それは子どもの人生なので、子どもが望めば、どうぞご自由にという感じですね。
加登谷:ではお子さんが望んだら、ここに入れても良いというお考えで。
佐藤先生:いいんじゃないですか。面倒見の良い先生が多いんで。僕の先輩たちも、たくさん自分のお子さんを明星に入れてる方がいらっしゃるんですけど、何々先生の子どもという付加価値がありますよね。その付加価値をちゃんとクリアできれば、というところですかね。
加登谷:分かりました。
佐藤先生:プラスもあるでしょうし、マイナスも当然あるでしょうね。
加登谷さん:はい。分かりました。
佐藤先生:それを乗り越えられれば別にいいです。


8. 内部進学生と外部進学生への対応の違い

編集部:明星では、小入生と中入生と教育を変えていることはありますか?
佐藤先生:いえ、一緒に扱おうと思いますね。ただ、安心していただきたいのは、本校は、内部進学生が人数的に半分ですね。中学から入っても高校から入っても、半分ぐらいです。その半分の生徒たちは、もうみんな最初から仲間なんです。一方で他の生徒たちは、一人一人が単品なので、一瞬寂しいかもしれないですけど、内部進学生は6年間で慣れ切っちゃっているので新しい出会いに飢えてるんですね。
加登谷:ふふふふ。
編集部:なるほど。
佐藤先生:新しい仲間いないかなーみたいな。だから内部進学者が外部進学者にすごい積極的に声かけてくれて。とても優しいんです。
編集部:なるほど。でも、学年によって、その優しくない学年もありますよね?
佐藤先生:色が出るところはあるかもしれないですね。結構やんちゃだなーっていう学年は、大体3年に1回ぐらいありますけどね。
編集部:でも基本的に、優しい。
佐藤先生:基本的には。はい。


9. 生徒の特徴

編集部:サンプルがちょっと少ないんで、あまり自信を持っては言えないんですけど、こちらの生徒は、やはりまじめだという方が多いです。周囲から信頼される人物というのを輩出できるのには、何か仕組みがあるんですか?
佐藤先生:明星の93年の教育の中で、先輩たちがやってたこと見て、それを引き継いでやってるというのが大きいんじゃないでしょうか。
編集部:なるほど。
佐藤先生:同じようにやっていれば、そういう人物は育てられると思います。ただ、それと同じことを継続することは大変なことですが。
編集部:そこにあるシステム、伝統を生んでいるルーティンを顕在化していきたいと思うんですが・・・
佐藤先生:うーん。すごい難しいですよね。それ。
編集部:ルーティンは、ルール化するよりも自発的で強い行動だと思うんですよ。“凝念”も、先程お話くださった先生の授業パターンも、先生方が生徒に声をかけることも、良いルーティン。明星で6年間刷り込まれるルーティン。そこが明星学苑の強さなのかな、とだんだんと思ってきて。ほかにそういうルーティン化されてる要素は、どんなものがあるのかなと思ったんです。
佐藤先生:なるほど。明星に入って最初にびっくりするのは、校則がうるさいんですね。まあ私立だから当たり前だと大人は思うと思うんですけど、結構細かいです。例えば、頭髪にしても、眉にかからない、耳にかからない、襟にかからないって。
編集部:確かにさっきの生徒さんもそうだったですね。
佐藤先生:身だしなみを整えるとか、うるさく言ってる部分があるのでね。男子の制服なんて、絶対外れるのになんでホックにしたの?みたいな。(笑)
編集部:はい。
佐藤先生:先輩から伺った話だと、明星の制服は外れやすいようにできてるらしいです。ただ、ちゃんと着こなしたら世の中で一番格好いい制服なんだって。だから見えないところに関しても常に気を配ると。凝念する時にも生徒たちはちゃんとできるかを手探りして確認しながら凝念してますね。自分に対する気づかいができれば、当然他人にも注意しやすいですよね。ホック開いてるぞみたいな。そこから、愛情が生まれてきたりとかするかなとも思いますけども。
編集部:なるほど。
佐藤先生:注意すると「おー!やべえ、やべえ」みたいな。生徒たちはそれが悪いことだと分かっているので、お互い注意しやすく、受け入れやすいですよね。多分それで優しい人間ができるんじゃないかなと思います。
編集部:やっぱりこの学校にたぶんあるだろう“真面目さを育てる仕組み”を知りたいです。明星中学校にはあんまり顕在化されてないようなルーティンがきっとあって、伝統として継続されている。ホームページに書かれていない部分。だけど、そういうところには象徴的に学校の考え方、先生方の考え方、生徒の育て方が表れているような・・・。一言ではいえないのですが・・・
加登谷:今日ずっとインタビューしてきて、はっきりはしないんだけれど・・・
編集部:みなさんには自然なことかもしれないですけど、こちらはすごく特徴があると思うんですよね。でも、外部の人間、特にすぐに理解したい人、それで判断をしたいという人たちには、伝えづらい気がします。
加登谷:そうですね。
編集部:はっきりすべきじゃないのかもしれないですし、はっきりさせるような単純なことじゃないかもしれないけど。そう思いました。
佐藤先生:僕はおっしゃる通りだと思いますけどね、やっぱり単純化できないじゃないですか?うん。まあ逆に単純化できるんであれば、その親御さんが学校行かせなくてもできちゃうんじゃないですか、きっと。
編集部:なるほど。あとそうだ。面倒見が良いという裏返しで、先生方が忙しそうだとも思いました。朝7時半からの0時限もそうだし、部活動にも入ってる率が高い。しかもそこで、もう1つ授業をすると、それほとんど先生方がされているので。大変だと。
佐藤先生:はい。
編集部:それは、みなさんから不満が出ないものなんですか?
佐藤先生:出ますよ。それは当然出ますよ。
当然不満は出ますけど、みんな好きなことやってるんですよね。仕事は多いけど、部活をやりたい先生がたくさんいるんです。

編集部:ほう。
佐藤先生:部活やりたいから、じゃあこの仕事もやっとくみたいな。感じですかね。
編集部:なるほど。先生方みなさん、いい意味でワーカホリックですね。(笑)

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