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取材日:2016年12月27日

インタビュイー:国語(古典) 菅沼健児先生

インタビュアー:群馬大学医学部3年 宇津木秀勅


1. 先生になった一番の動機

宇津木:先生になられた一番の動機は何ですか?

菅沼先生:そうですね、ちょっと格好つけているようだけど、もともと仕事は世の中のためになる、人のためになるものがいいなというふうには思っていて。ただ何となく先生の仕事って、教員の仕事っていうのは上から生徒に教えるみたいな感じで、ちょっと偉そうだなという思いもあったんだけれども。やっぱり何て言うのかな、自分自身が小学校とか中学校とかいろんな先生から教わって成長してきたわけだから、その分をやっぱり自分より若い人に伝えるのが義務だなと思うし、そういう仕事は非常にやりがいがあるな、大切だなと。誰かがやらなくちゃいけない仕事だしっていうふうに思って。ただ思ってから実際になるまでが結構いろいろ紆余曲折があったんだけれども、そういう感じで教員がいいなと大学生の頃に。

宇津木:なるほど。開智の先生って僕が入ったときにはいろんな職業を経験してる先生が多いんです、っていうことがパンフレットにもあったんですけど、菅沼先生の場合もそうなんですか?

菅沼先生:大学出て一度製造業でいろいろと。まあ大学のときもいろいろ紆余曲折あるんだけれど。何て言うのかな、普通にがむしゃらに働きたいと。工場とかで働きたいなって大学4年の頃に妙に思って。一旦化学メーカーに勤めていました。10年以上かな? その辺を経て教員に。

宇津木:なるほど。今でも結構開智の先生はそういう先生が多いですか?

菅沼先生:そうですね。特にほかの分野の経験をしてきた人を優先的に採ってきたわけでも何でもなくて。これは! と思った人は教員経験があろうがなかろうがどんどん採るという感じです。

宇津木:はい。あと僕のときには先生の学校っていうのを出してたと思うんですけど・・・。

菅沼先生:先生の学校・・・?

宇津木:何か先生が卒業した大学みたいなのを結構パンフレットとかにも載ってたかなと思うんですけど

菅沼先生:ああ。

宇津木:今とかはどうなんでしょう?

菅沼先生:今も出してるのは出してるかな。ただ具体名挙げてるわけではないから。パンフレットには何々大学出身で、大学では何をやってみたいな。新進気鋭に勉強したとかそんな感じのことを書いてあるけれど(笑)名前は書いていない、今もそうだけど。そこの部分は今でもやってるけどね。先生たちからあんまり評判はよくない(笑)そういうので判断されてもなっていうのはあって。ただあれは今でもやってる。あまり出身大学とかっていうのは自分で言うこともないし、生徒からあまり聞かれることもないかな。あんまりそういうことを意識してやってない先生のほうが多いかなと思う。


2. これまでに習った尊敬できる先生

宇津木:なるほど、ありがとうございます。では、これまでに習った尊敬できる先生を具体的に教えてください。

菅沼先生:具体的ね。いろいろいるんだけれど、小学校のときの先生でもう亡くなられたんだけども。うまくいってるとき、調子がいいときとか成功してるときに怒られて、失敗してるときとかうまくいってないときは怒られない。なんでだ?! ってそのときは。よくわからないなと。うまくいってるときのほうがよく怒られたっていう感じだったので。そのときは何でだろうなって思ったんだけど。別の場面で、人間は調子がいいときが黄信号なんだ、ってこともおっしゃってたから、その先生としてはそういうつもりで調子がいいときほど気をつけなくちゃいけないっていう意味で怒っていたのかな、と。その頃は全然よくわからなくてなんで怒られたんだろうっていう感じだったんだけど(笑)、ちょっと時間がたってみればね、そういうことかなっていうふうに思って。可愛がってくれた部分もあるんだけど、怒られたときは怒られた。それが非常に印象深い小学校のときの先生。もちろん中学、高校、大学でいろいろ影響を受けた先生は・・・そう、影響を受けたから尊敬してるかっていうとまたそうでもない(笑)。予備校時代の国語の先生に影響を受けたんだけど、尊敬できるっていう意味ではないような気が。こんなこと言っちゃいけないのかな(笑)。ということで、影響を受けた先生は本当にいっぱいいますね。


3. 教師になった直後と現在、先生ご自身で大きく変わったこと

宇津木:次に教師になった直後と現在とで、先生ご自身で大きく変わったことはありますか?

菅沼先生:まあ、歳を取ったっていうのが一番の違いだろうけど。そんなに若くして教員になったわけじゃないんだけど。若い頃はやっぱり知ってることとか、こうしたらいいんじゃないかっていうアドバイスとかっていうのを思いついたらすぐパッと。「ほらすぐやらなくちゃ!」「ほら行ったほうがいい!」 と、思ったらすぐにパッと言って、「こうしたらいいんじゃない」「ああしたらいいんじゃない」みたいなことを言ってたような気がするけど。

今は何ていうのかな、思いついたからといってすぐパッと言わない。相手がどういう状況とかどういう思いでいるのかっていうのもよくわからないうちに、こうしたらああしたらって言ってもよくないなっていうふうに思ってきてるので。その辺はちょっと待って、すぐに指示したりとか、こうしたらとかってアドバイスをしたりしないで、グッと堪えてちょっと話してみようかな、ってことを以前よりは心がけるようになったかな、と。保護者もそうだし先生もそうだけど、何せいろんなタイプの人がいるので。それはやっぱりそれぞれ違う考え方・生き方をしてるわけだから、パッと言ってパッと答えるっていうのは相手に対しても失礼かなっていう気もするので。それは話をよく聞いたうえで思うところを述べようと。やっぱりこっちからこうしたほうがいいよ、ああしたほうがいいよって、受け取る側が準備ができてないうちにこっちがいくら言っても、そのまま右から左にいっちゃうだけだから。そこら辺は“相手に届くように”っていうふうに、慌てて言っちゃいけないかな、というようにやるようにはなったかな。

宇津木:なるほど。開智って中高一貫で中1から高3までいると思うんですけど、その中でも教え方は変わっていきますよね。

菅沼先生:生徒はどんどん変わっていくからね。宇津木くんも1年の頃と6年の頃とで大分ね。1年の頃いろいろあったよね。なんて余計なこと言わないほうがいいのかな(笑)

宇津木:カットで、カットで(笑)

菅沼先生:ということでね。そこはだからある瞬間であんまり判断しちゃいけないなって。その瞬間、次の瞬間にはまたね、特に中学生高校生っていうのはどんどん変わっていくわけだから。ある瞬間でいいなって思っていることが次の瞬間にはよくないということもあるだろうから。そこはあんまり慌てて指示を出したりアドバイスしたりしないほうがいいかなって思っていますね。


4. 好きな本・影響を受けた本

宇津木:菅沼先生の好きな本や影響を受けた本を教えてください。

菅沼先生:好きな本でいうと歴史が好きだったから、歴史小説とかを中学生ぐらいからすごく面白くて読んでいたんだけど。影響を受けたっていうと浪人してるときに、高校3年で大学受験で落ちて浪人してるときに読んだ現代文の文章。あまり詳しい細かいところまでは覚えてないんだけど。要するに問題を解くときに現代文を読むじゃないですか。読んでるときに何か面白いなと。その問題が解ける解けないとか、答えられるとかじゃなくて、問題文が思想的な、哲学的な文章だったんだけど、それを読んでるときに、これ面白いなと。問題解けるとか解けたとかじゃなくて、書いてることがこれ面白いな、もうちょっと読んでみたいなっていうようなことが何回かあって。ちょうど浪人のときって、まあ勉強しなくちゃいけないんだけど、勉強しないといけないときほど読書の意欲が上がったりするじゃないですか(笑)

宇津木:あります(笑)

菅沼先生:期末の前に勉強しなくちゃ、でも「本読みたくなってきた!」みたいなね。だけど試験があると時間ができなくなっちゃったりとかすると思うんだけど、浪人のときって時間がないようであるから。そのときにいろいろ古い、今あんまり読む人いないだろうと思うんだけど、戦前の日本の哲学者の文章とかを読んだりしてこれ面白いなと。それまではあんまりそんな文章読んだことなかったので。そこでいろいろ読んだ三木清とか西田幾多郎とか、かなり古い人、戦前の哲学者なんだけれど、文章、本を読んでこれは面白いなと。大学に入ったらこういうのもいいなというふうに考えるようになったっていう点ではその辺がきっかけになったかなと。

【編集部注:三木清(みき きよし)・・・哲学者。1897年生まれ、1945年没。主な著作として『哲学ノート』『人生論ノート』などがある。/西田幾多郎(にしだ きたろう)・・・哲学者。1870年生まれ、1945年没。主な著作として『善の研究』などがある。】

『哲学入門』『人生論ノート』 『善の研究』

宇津木:なるほど、ありがとうございます。中学入学前の子どもたちに国語の先生からおすすめする本は?

菅沼先生:そうだね、最近は本を読まない人は読まないからね。おすすめの本か。そういうタマできたか(笑)

宇津木:ここから(事前に渡していた質問)ずれるという(笑)

菅沼先生:いやいや、さすが宇津木くん(笑)。おすすめのね。自分がこれいいよって人からすすめられて面白いと思ったことがあんまりない(笑)。本をすすめるってことがあまり・・・。

宇津木:難しいですかね(笑)

菅沼先生:そうだね。まあでも自分の好きな分野のことじゃないと読む気がしないと思うので、野球が好きなら野球の本を読めばいいと思うし。だからやっぱり、小学生中学生ぐらいだったら、もう自分の興味があるのを読んでみたらいいかなと思うけれど。もうちょっと上になってくると自分の将来を少しずつ考え始めるだろうから、そのときにこれと思ったものを読めばいいかなというふうに思っているので。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:本っていうのはすすめられないと、こういう本があるよって教えられないと読まないっていう部分もあるんだけれど。機が熟さないとね、いくらおすすめしてもあんまり入っていかないだろうなっていうふうに思うので。本はすすめられて読むんじゃなくて、自分で見つけるものだと勝手に思ってるので。すみません(笑)。答えになってないかな。

宇津木:いえいえ、ありがとうございます。


5. 大学に行くとどんな良いことがあるか

宇津木:生徒に「大学に行くとどんないいことがあるんですか?」と質問されたらどう答えますか? 学年にもよると思うんですけど。

菅沼先生:そうだよね。その聞いてる人がどういうつもりで聞いているか。「大学なんて行ったって意味ないよ」っていう意味で言ってるのか、目を輝かせて「大学にはどんないいことがあるんですか?!」っていうふうに聞いてるのかによってもね、ちょっと答え違ってくると思うんだけれど。よく言うことだけど、時間があるからね。時間が、まあ医学部はそうでもないけど。一般的には時間があるから、中学生高校生よりも、あるいは社会人よりも比較的時間があるから、何かをやろうと思ったらできる。でも何かをやろうと思わなければ、ただ漫然と時間は過ぎていくわけだから自分次第なんだけど。自分次第でやりようによってはいい大学生活にもなるし、そうでない大学生活にもなるし。だからそこは自分次第なんだけど、いろいろやりようがあるよと。お金はいっぱいないかもしれないけど時間はあるから。だから何をするかよく考えて有効に使ったほうがいいよとは言いたいけれどね。

宇津木:なるほど。ちょっと僕の個人的な質問にもなるんですけど、今僕は大学っていうものを将来の職業のためになるものとして使っているんですけど、一方でやりたいことを探す時間でもあると思うんですけど。

菅沼先生:まあそうだよね。

宇津木:そういう今、僕は大学に入って友達としゃべったのが「僕らもう医者になるしかないんだね」っていうものがあったんですけど。どうですかね、何だろう自分でも・・・。質問っていうかモヤモヤしてるだけなのかもしれないですけれども、大学に行ってから決めるのがいいか、それとも高校の中で探して、大学はそれのために進むほうがいいのかみたいな。先生の主観でも全然構わないと思うんですけれども。どうなんですかね、僕も家庭教師とかをやっていて。

菅沼先生:聞かれる?

宇津木:「勉強って何が楽しいんですか?」って。将来のために、選択肢を増やすためには今しておくんだよ、っていうふうに言うんですが。でも僕は今選択肢を既に一つに絞ってる状況で、ここの質問にはないんですけど、大学に行くとどんないいことがあるかに近いんですけど、中高生でなんで勉強するんですかっていうふうな質問をされたらどう・・・先生ならどうしますか?

菅沼先生:僕はね、覚えてないかもしれませんけど、君たちが中2のとき、なぜ勉強するのかっていうのを考えてみようって言って、みんなに書いてもらったり、先生たちにも書いてもらったりっていうのをやったんですよ。覚えてないだろうけど。

宇津木:ええ(笑)

菅沼先生:中2の頃だったので、「道徳? 何それ?」みたいな感じだろ(笑)。そのときにね、書いたんですけれど。要は何が人生に、中学生高校生だったら、例えば宇津木くんみたいに医学部に入ったらもう医学を勉強するっていうのは目的がはっきりしているわけだけど、そういうわけではない中学生高校生に対して言うっていう前提なんだけど、要はその生徒が将来どういう方向にいくかってのがわからないわけじゃないですか。わからないわけだから、当然何が役に立つかっていうのも・・・人生がこうやって、20歳ではこうなります、30歳ではこうなります、40歳ではこうなりますって決まってるんだったらね。決まってるんだったら、じゃあその人生、決められた人生に対してこれが役に立ちますよ、って提案できると思うんだけど。わからないわけだから。わからないってことは何が役に立つか役に立たないかってそもそもわからないと。だからあなたの人生に役に立つかどうか、これを勉強することがあなたの人生に役に立つか立たないかは、あなたの人生がどうなるか決まってない以上役に立つか役に立たないかはわからないと。わからないんだけれど、役に立つ役に立たないだけで判断しちゃうと、何て言うのかな、いいことはないよと。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:それで、そこで書いたのが今でも覚えてるんだけど、あれだよ、わらしべ長者。わらしべ長者って、お祈りしたら最初に手につかんだものを持って行きなさい、そしたらいいことがありますよってお告げがあってその人はつかんだと。つかんだのがわらしべだったと。

宇津木:いざつかんだら、わらだったと。

菅沼先生:そう。それで「何だよこれ、何の役に立つんだよ?」って言ってポイッって捨てたらそれまでだったわけだ。でもそのあと、そのわらしべが何かになり、何かになり、何かになり、っていって長者になったわけだから。長者になるのが幸せな人生とは必ずしも言えないかもしれないけど。やっぱり何の役に立つかなんてわからないんだからとにかくつかんだら持っててみようよと。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:というふうに言うようにはしてるんですが。

宇津木:やっぱり中2のガキんちょではなく、今成人してお話聞くとわらしべ長者の深さが・・・。

菅沼先生:わらしべ長者が単にラッキーな人の話って言っちゃうと、そうなんだけど。やっぱりそこはね。

宇津木:何があるかわからないから。

菅沼先生:そう、人生何が役に立つかってわからないよと。だけどつかんでたおかげで。役に立つものを手に入れようじゃなくて手に入れたものを役立たせようというふうに思わないと。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:と言っても、なかなか中2にはわかんないけど(笑)。「とは言われても、わらしべつかんだってねー」みたいな(笑)一生持ってろとか、わらしべの仕組みをしっかり覚えろとか言われても意味わからないですよ、ってなっちゃうけどね。

宇津木:なるほど。ありがとうございます。ちょっとすみません僕の私的な質問で申し訳ないです。

菅沼先生:いえいえ。何でもどうぞ。


6. 中高一貫校にあって一般の中学校にないもの

宇津木:では、中高一貫校にあって一般の中学校にないものといったら何ですか?

菅沼先生:それは単純にいうと3年間か6年間かっていうのが大きくて。それは私立じゃなくても公立の中高一貫もあるわけだから。そこも同じかもしれないけど、やっぱり6年間って長いよ。3年間だと最後に受験があったりすると受験勉強に集中せざるを得ないし。3年間での人間関係と6年間の人間関係って全然違うなと。その間にいろいろな道に逸れちゃうと、勉強が全く手につかなくなってとかいろいろあるけれども。やっぱり6年間ってかなり長いので、そこで人間はどんどん変わっていくっていうのを。自分も変わっていくし、同級生もどんどん変わっていくし。中1の頃お互い小っちゃかったのが、生徒によって成長のスピードって個人差あるわけだから、なんか幼いなと思ってたやつが急にボンと成長するってあるわけじゃないですか。12期生でも中1の頃とか中2の頃とかね、あんまり具体名は出さないほうがいいか(笑)。中2の頃はよくね、脱走したり何だりっていう人たちが(笑)

宇津木:脱走(笑)

菅沼先生:最後は何かね、立派な顔つきになって。

宇津木:(脱走したのは)僕っていう・・・(笑)

菅沼先生:自分で行きたいとこに行ってるわけだから、そういうのがさ、モロにわかるわけじゃないですか。実感として。同級生が、正直ちょっとばかにしてたようなやつが急にグワーっと伸びて、なんていうこともあったりするじゃないですか。そういうのを目の当たりにできる。あるいは先生だってやっぱり入ってきたときにはそれなりの若い先生だと思ったけど、卒業していく頃には「わー、だいぶおじさんになってきたな」みたいなね。そういう6年間の成長は大きいから。大人は中高生ほどは成長しないけれども、やっぱ6年間あれば随分変わるし。やっぱ人ってどんどん変わってくんだなっていうのが、3年の単位か6年の単位かっていうのでだいぶ違うなと。人の成長を見て「自分も頑張らなくちゃ!」って思うようになれるっていう経験は、3年よりかは6年のほうがよりたくさんできるかなっていう気はするので。もちろん3年ごとにリセットして、新しい学校に移って高校で、全く新しい自分をそこで創り出すっていうよさももちろんありますよ。だから6年間のほうが絶対よくて3年間っていうのがあんまりよくないっていうわけではないんだけど。6年間っていうのはそういうよさがあるかな。


7. 貴校にあって他の私立にないもの

宇津木:じゃあさらにその中高一貫校っていうのは開智以外にもたくさんあると思うんですけど、ほかの学校にはなくて開智にはあるものと言ったら?

菅沼先生:それはね、お利口さん発言だと思うけど、エネルギッシュなチャレンジングな生徒と個性豊かな先生っていうことじゃないですかね。

宇津木:やっぱり「探究」ですね。

菅沼先生:まあそうだね。

宇津木:さっきインタビューした1年生も「探究」っていうふうに言ってくる子もいましたし、保護者さんとお話させていただいたときには、3人のお子さんが開智を卒業されてる方なんですけど、やっぱりお母さんの中でも「探究」っていうのが。しかもそれが最初の一人目よりも三人目になってどんどんよさがわかってくるっていうことをおっしゃってたので、やっぱり「探究」ですかね。

菅沼先生:まあ、そこはね、さらによりよいものを、今ちょうど開校から20年たつということもあって、「探究」をもっともっといいものにしたいなと思って。先生たちの中で「探究検討委員会」っていう委員会を作って、どうすればよりよいものになるかって日々考えてはいろいろ試行錯誤しているんだけどね。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:そこは生徒も一生懸命やってくれるし、先生たちも一生懸命担任やってくれて。やっぱよりよいものにしていきたいなと思ってるから。そういうところは非常にいいんじゃないかなと思いますよ。

宇津木:なるほど。結構「探究」っていう言葉は僕が卒業生だったこともあって使っちゃってたんですけど、今から入る新しい1年生に「探究」を説明するとどう説明されますかね? 説明されるとみんなもわかりやすいかなと思うんですけど。

菅沼先生:まあそうだよね。「探究」とは何か・・・なかなか鋭い質問してきますね(笑)。そうだね、開智の人だったらだいたい「探究」っていったら「ああ探究ね」ってわかっちゃうからね。どうだろうかね。最近アクティブラーニングだ何だってことで、探究的な学習っていうのがよくクローズアップされるから、よく言われることではあるんだけど、答えを見つけるっていうよりかは、疑問を見つけるところがまずは一番で。その疑問っていうのはやっぱり「さあ疑問を考えよう」って言って、机と椅子に座って考えてもなかなか生まれるものではないから。やっぱりいろんな体験なり活動をしている中でいかに疑問を見つけるかと。かつ最近は何せパソコン、インターネットの進歩でほとんどの疑問が・・・。

宇津木:解決しちゃう(笑)

菅沼先生:解決する。「ちょっと知恵袋に聞いてきます」って言って(笑)。例えば、中学生高校生が知ってるレベルよりかは数段上のような情報が知恵袋で。もちろん、よく言われるけどインターネットにはいいかげんな情報も多いんだけれど。でも中学生高校生が考えられるようなことではない相当な高度なレベルで返事が返ってくることも多いじゃないですか。Wikipediaが確かにいいかげんだって言っても、でもかなりわかりやすくまとめられてるから便利は便利だよね。

宇津木:そうですね。

菅沼先生:もちろん、う呑みにはできないけれども、でも全然いいかげんっていうわけではないし。だから、今どきの子どもはある意味かわいそうで。昔は何か疑問を見つけても「さあどうしよう、どこで調べよう。図書館行って図書館に膨大な本あるけど、その中からどうやって調べるの?」と。で、本の題名は調べればわかるけれど、その題名がわかったところでその本の中に何が書いてあるかってわからないわけだし。目次見ればある程度わかるけれども、目次なんていうのは本を取って見るまではわからないわけだし。だからそういう意味では、今はもう一瞬でピッて。それで、自分で聞くまでもなく、思いついた疑問っていうのは既に誰かがやっている、問い合わせていて、答えられてるんだよね。その中でいかに疑問を見つけるかっていうのはすごく難しいことだと。疑問は大事なのは大事なんだけど、簡単に疑問の答えがわかっちゃう時代になっちゃったので。そういう意味では本当にすぐにわからない、答えがわからない疑問を見つけるっていうのはすごく難しい時代になっちゃってる。その中であえてそれでも疑問を見つけることにこだわるっていうのはとても大切なことだし、答えがすぐにわからないっていうもどかしさに耐えるっていうのが、現代では逆に非常に貴重なことで。だから「探究」とは何かと言われると、答えがすぐに出ないようなもどかしさにいかに耐えられるようになるか、と。まあ、疑問を見つけないと始まらないんだけど。疑問を見つけた瞬間に答えがわかっちゃうことが多いから、その中で答えがわからないような疑問をいかに見つけるか。かつ答えがわからないような疑問を見つけたあとに、その不安に、もどかしさに耐えられるかどうかと。そういう試みなんだって今思いついたんだけど。わかりにくいよね、中学生に言われてもわかなんないか(笑)

宇津木:中学生はさっきのわらしべ長者も然りですけど、でもお父さんお母さんや保護者様は「なるほど」って思ってくださると思います。

菅沼先生:まあ、ある意味ではかわいそうな時代だなと思うけどね。何でもかんでもすぐわかっちゃうからね。

宇津木:すごいですよね。

菅沼先生:それで「簡単にわかっちゃうの? じゃあこれ以上何をすればいいんですか?」って思う生徒もいるだろうから。

宇津木:ある意味難しいですよね。

菅沼先生:難しいけれど、でもだからこそやらなくちゃいけないんだろうなと。一生懸命先生たちの間でどうやったら疑問を見つけられるかっていうようなことは、今、一生懸命先生たちで話をしてるんだけどね。

【編集部注釈:探究テーマとは、身近な事柄に対する素朴な疑問から出発して、その疑問の答えをまずは自分なりに考えて仮説を立て、実際どのようになっているのかを実験や観察などの方法で検証し、発表・発信していく学習です。こうした一連の流れを繰り返すことによって、思考力および課題解決能力を育成します。】


8. 勉強以外で一生懸命取り組んでほしいこと

宇津木:はい、なるほど。わかりました。ありがとうございます。次の質問ですが、中学に合格した子どもに勉強以外で一生懸命取り組んでほしいことはどんなことですか?

菅沼先生:何でもいいんだけどね。それは部活であってももちろん探究であっても、用事でもいいんだけど。まあ一生懸命取り組むっていうのと、これはなかなか中学生にはいきなりは難しいのかもしれないけれど。今は違うんだけどずっとバスケ部の顧問をやってたから、何となく部活の練習するんじゃなくて、「どうやったらうまくなれるのかな?」とか「ほかの人はどうやってるのかな?」とか考えて練習してほしいなと。部活に限らなくてもいいんだけど、考えて行動できるようになってほしいなと。そのうえで何も考えずにがむしゃらに、余計なこと考えずにひたすら打ち込むのもいいんだけれど、やっぱり考えて「どうやったらうまくなるかな」とか「どうしたらもっと面白くなるかな」っていうのを考えながらできるような取り組み方をしてほしいかなと思いますね。


9. 生徒からの相談で印象的な内容

宇津木:生徒からの相談で印象的な内容があったら教えてください。

菅沼先生:印象的ね・・・。「学校の先生って何でそんなにおせっかいなんですか?」って(笑)。まあ相談じゃないかな、あれは(笑)っていうことが12期(宇津木さんは12期生)にもあったな。

宇津木:おお!(笑)

菅沼先生:なかなかそんな質問がくるとは思わなくて、答えに困ってしまいましたが(笑)。そもそも学校っておせっかいだからね。別におせっかいじゃないんだったら学校って造る必要ないわけで。学校造ってるってことは「おせっかいしますよ」と言ってるようなものだからね。だから「何でおせっかいなんですか?」って言われちゃうとなかなか答えが難しいなって。「そういうもんだよ」じゃ答えになってないし。

宇津木:なるほど、難しい。

菅沼先生:というのが印象的かな。


10. 授業で使う教材について

宇津木:普段の授業ではどんな教材を使って授業をしてますか? オリジナルプリント等があれば見せていただけますか? 結構開智ってプリントを使う授業が多いじゃないですか。教科書とかもオリジナルだったりとか・・・。

菅沼先生:国語科はね、国語科は国語科で教科書も使うし。これ中1中2でね、こういうのを副読本として昔は使ってなかったけど。何年か前にここの先生たちで話し合って、中1だったらこれを読ませればいいんじゃないかなとかっていうことでね。2年生だったらこんな感じかなって言って。こういった副読本を使って授業をやったりすることがありますね。こういうものを作って教材でやったりとか。

宇津木:ふーん、なるほど。

菅沼先生:私は宇津木くんに対してもそうだけど、3年生以上はだいたい古典をやってたんですけども、ここのところ3年間は中1、中1、中1って3年連続中1ということで、基本的には現代語じゃないですか。だからこういったテキストを使ったり。あとは別に時流に合わせてというわけではないけども、やっぱりその表現、もちろん読解も大事なんだけど、それを読んだうえでこう思うとか自分の考えはこうであるとか、あるいはこう書いてあるっていうことをいかに表現してもらうかというようなところをちょっと重要視してて。12期のときも、1年のときは多少は作文とか書かせていたと思うけれども、それをもうちょっと増やしたりとか。あるいは班で話し合った結果を紙にまとめて黒板に貼るとかね。ホワイトボードシートみたいなものを各班ごとに準備して、各班ごとの考えをまとめて、それをマーカーで書いて黒板に貼って、それを使って発表するとか。あるいはその発表に対してただ聞き流すんじゃなくて発表に対して必ず質問をするっていうような、質問ゲームみたいな形式を取って、生徒が発表したことに対してどんどん質問する。それに答えていく。そのされた質問のうちどの質問がよかったかっていうのを、質問された側の感覚としていい質問はこの質問だったとか、そういうのを言ってもらうとかっていうことをやったりとか。なるべくそういうふうに、<表現>すると。頭の中で考えただけじゃなくて、それを紙に書いて表現する、あるいは口に出して表現する。あるいは絵に描いて。あ、これは12期でもやったね。今でもやってるんですよ。故事成語を絵で描こうって、1年生に。覚えてる?

宇津木:ありましたね。

菅沼先生:これなんかもね、個性が出てきて。みんなにどれが一番いい? って投票してもらったらこれとか。

宇津木:おおー、格好いいのが。

菅沼先生:あとね、これ。これリアルだって言って。

編集部:玉石混交・・・。

菅沼先生:玉石混交で、先生がロッカーの中ぐちゃぐちゃになってるっていうようなのを自分で考えてね。

宇津木:こういう人いますよね(笑)

菅沼先生:こういう人よくいる。「あ、俺のことだ!」みたいに言ってる人もいて(笑)っていうようなことで、こういったこともね、なるべく表現をするということを意識して。それで、表現しっ放しじゃなくて、それに対して先生がコメントするっていうこともあるけども、ほかの人がいろいろ意見とか質問するっていう流れをなるべくやりたいなと思って。それを心がけてますね。

宇津木:あれですよね、探究のところだけじゃなくて普段の勉強も探究に近い・・・。

菅沼先生:そうそうそうそう。それはね、探究のさっき言ったのにもかかるけど、やっぱり探究は探究、授業は授業って切り離すんじゃなくて、別に別個のものじゃないよね。で、授業の中でいろんな疑問を見つけるっていうことだってあるし。探究は別に疑問だけじゃなくて、仮説立てて検証してっていうこともあるから、その考え方を国語なら国語の授業で、ある小説を読むときに登場人物がなぜこういうふうなことを考えたのか、こういう行動したのかって考えるときに、疑問・仮説・検証みたいなアプローチをすることもあるし。そこは別個のものと考えているわけじゃなくてそういった探究的な試みを授業の中でもやっていこうとはしてるんですけど。

開智中学校副読本(一年生)①
開智中学校副読本(一年生)②
開智中学校副読本(一年生)③
開智中学校副読本(二年生)①
開智中学校副読本(二年生)②
開智中学校副読本(二年生)
故事成語「漁夫の利」を表現したイラスト①
故事成語「漁夫の利」を表現したイラスト②
故事成語「矛盾」を表現したイラスト③
故事成語「矛盾」を表現したイラスト④
11. 日々の生徒の観察

宇津木:はい、ありがとうございます。生徒の観察を日々どのようにしていますか?

菅沼先生:観察。まあ観察が仕事みたいなもんなんだけどね。もちろん目で見るっていうのはやりますけれど、先生がこうジーっと見てると「あ、先生に見られてる」ってちょっと警戒したりするじゃないですか。だからもちろん見るのはさりげなく、見ないようで見るっていうのはするんだけれど。やっぱり大事だなと思うのは聞くことかな。さりげなく。生徒も見てるとしゃべらないけど、休み時間なり掃除のときなり、低学年だったら食事してるときに見るとはなしに聞いてる。それで、いろんなことを言ってる。そこにいろんな本音だったりいろんなのものが出るので。それが大事かなと。もちろん見るのも大事だけれど、さりげなく交わしている言葉とかを聞く。そこで人間関係なり何なりを捉えるっていうのが大事かなと。それをちょっと心がけてますけど。


12. いじめへの対応

宇津木:イジメがあったときどう対応しますか?

菅沼先生:まず聞く、だね。初期段階に限らないけども。まず話をよく聞く。その最初の段階の人間関係のごにゃごにゃってしたところで、イジメなのかイジメでないのかもよくわかんないような状態だから、最初はだいたい。そのときに、あまりこちらが決めつけて判断するのではなくて、よく聞く。何かしら生徒がする行動には生徒なりの言い分なり何なりがあるから、まず聞くっていうところだね。そのときに、一方的な決めつけとか先入観を持って聞くのではなくて、それぞれの話を聞くっていうことを心がけてますね。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:だいたいややこしくなるのは最初の段階でボタンのかけ違いみたいなところがあったりすること。よく考えてみれば、あとで振り返ってみれば「ちょっと決めつけて聞いてたかな」ってことが話をややこしくすることが多いので。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:やはりよく話を聞かないと。そのためにも日頃、さっき言ったように日頃から何となく聞いていくっていうのが、それがそのヒントっていうか。今みたいに、その二人を会議室に呼んで「さあどうぞ話して! 聞くよ」なんて言っても話してくれないから。

宇津木:そうですね。

菅沼先生:何となく聞いていて、そのうえで何かあったときには話を聞くっていう。そこで慌てずに判断していくっていうのが大事かなという気がします。

宇津木:はい。そういったときの対応は先生方のチームで対応されるのですか、それとも個人で対応されるのですか?

菅沼先生:いや、基本チームですね。もちろんチームといっても担任は担任の役割があるし、学年主任は学年主任の役割があるし、生徒部主任は生徒部主任の役割があって。常に一人に対して集団で、というわけじゃなくて。

宇津木:それは(笑)

菅沼先生:直接話をするのは一対一だったりするわけだけども、ちょっと気になることがあれば本人たちから何か申し出がない段階から、学年なら学年で気になることは情報共有していって。12期でもしょっちゅうそういうことがありましたけれども。そこは基本的にはチームで当たるけれど、個人の力に頼るっていうことではなくてチームで。ただその場面場面に応じて誰が話をするのか、っていうのはよく考えたうえで相応しい人にやってもらう。学年主任が出ていくっていうときももちろんあるけれども。


13. 落ちこぼれた生徒・長所のある生徒への対応

宇津木:落ちこぼれた生徒にはどのように対応しますか?

菅沼先生:まあ補習っていうかたちになるよね。国語の場合だったら一番わかりやすいのは漢字テストで。そこが不合格点が続くと補習になってというようなことで。それはもちろんそうやってフォローはしていくわけですけど、気をつけているのは補習とかがペナルティっていうか、罰でやってるわけじゃないと。

宇津木:確かに子どもだと感じやすいですよね。

菅沼先生:罰でやってるわけじゃなくって、例えば漢字なら漢字テストのためにかけた時間が多いか少ないかで決まる部分が圧倒的に多くて。開智に入ってきてるわけだから、漢字もそれなりに中学入試で勉強してるわけだし、できるはずなんですよ。ただ、だんだん漢字テストにかける時間が減っていく人がいるんですよ。

宇津木:そうですね。

菅沼先生:減らない人もいるし。減っていく人はやっぱり自分でも「いけないな」って思ってるんだろうけども、ついほかにやることがあるとか、面倒くさくなっちゃうとか、いろんな理由でその時間をかけていないわけだから。じゃあ、その時間を学校で確保しましょうと。放課後50分一生懸命頑張りましょう、と。あるいは昼休み15分だけでも集中して頑張りましょうっていうことでやると、成果は出るわけですよ。だから補習に出てればいいっていうわけじゃなくて、最終的には自分でできるように。ただ漢字テストの勉強をどうやっていいかもうわかんなくなっちゃったっていう、勉強の仕方がわからなくなっちゃった人に対して時間と場所を用意しましょうと。そこで一緒にやってるうちに「これだったら自分でもできるな」っていう方向になってほしいなと思ってやってるんですけれど。

宇津木:なるほど、ありがとうございます。じゃあその逆の場合で、中には本当にすごい、僕らの代にもいたと思うんですけど、すっごいできる子もいるじゃないですか。そういう生徒に対してはどういう対応をされますか?

菅沼先生:あー。

宇津木:難しいですよね。

菅沼先生:そこはそうだね。できる子に対してこちらが何かしてたかっていうと・・・。そこはあれだねなるべく、できるっていってもでき方にもいろいろあるし、その子なりの興味、あるいは関心の方向っていうのはいろいろだから。ああしろこうしろって言うのはよくないなと思うけれど、やっぱり授業内では話にしろ何にしろちょっと高いレベルの話をちらっと振ってみる。私は古典をやってたから、古典でちょっと難しいような話をあえて振ってみて、乗ってくるなら乗ってくるし、乗ってこなけりゃ乗ってこないで別に構わないんだけども。多分多くの先生があえて難しい話を時々ちらっとして。乗ってくるか乗ってこないか、乗ってきたらいいし、乗ってこなかったら乗ってこないでいいやって感じで。そういう話ばっかりだったらみんなも辛くなっちゃうけども、時々ちらっとひゅっと混ぜていったりするのはどの先生もやってると思うので。それで知的好奇心を刺激して、でもそこから先は自分でやりなさい的な感じになってるかな、開智の場合だったら。

宇津木:(知的好奇心を刺激するような話を)みんな一斉に振ってみることによって意外なとこで引っかかることもあって。

菅沼先生:そうそうそういうところもある。

宇津木:それこそ狙ってる「この子は引っかかるだろう」と思った子はもちろん引っかかったけど、でも「あ、この子もできるんだ」って子も引っかかったり。

菅沼先生:そういうこともあるし、だからそこら辺は意図的、あるいは無意識のうちにいろんなことを散りばめている先生が多いかなと。それに食いつく人もいればそうでない人もいるし、ある教科では結構食いつくけどある教科ではそうでないっていう生徒も当然いるだろうから。開智の先生は、やっぱり受験指導は一生懸命やるけれども、受験のための勉強だっていうふうに割り切られるのは嫌だって思ってる先生が圧倒的に多いので。受験ももちろん越えなくてはならない関門だから受験指導的なことは言うけれど、それで満足してもらったら困ると思っている先生が多いから。やっぱりそれなりのことは散りばめると思うんだよね。あとそれに食いつくかどうかは生徒次第と。


14. 先生は人気あると思いますか

宇津木:次の質問ですが、どういうニュアンスなのかちょっと難しいんですけど、先生は人気あると思いますか?

菅沼先生:いやーどうでしょうね、よくわからないですね。人気・・・まあ水とか空気のようではありたいと思うので。

宇津木:ああー。

菅沼先生:ないとアレだけど、いても別にそれが当たり前だっていうふうに思われるほうがいいかなと思っているから。あまり意識してないかなそれは。

宇津木:なるほど。じゃあ人気のある先生とはどんな先生でしょうか?

菅沼先生:どんな先生なんでしょうね。中学生の段階で人気ある先生、高校生と違うじゃないですか。

宇津木:確かに変わりますもんね。

菅沼先生:あるいは卒業してからっていう場合もあると思うし。そこはステージごとに違うような気がしますね。でもやっぱり厳しさとユーモアと、あと信頼関係を結べるのかとか、その辺がポイントなんじゃないかと。


15. 学校の好きな点、もっとこうしたらいいのにという点

宇津木:先生の立場から見て開智の好きな点と、もっとこうしたらいいんじゃないかなという点を教えてください。

菅沼先生:開智の好きな点はやっぱり、気づいたら20期生とか入学してて、20年たってるわけだけれども、まだまだ発展途上なところかな。やっぱり学校とか先生がこうしたい、だから生徒にはこうしてほしいって言って、こちらからもちろん提案していくわけだけども、一番変わるのは生徒がガッて食いついてきたときで。それは先生がいくら仕かけても乗ってこないけれども、やっぱり生徒が「やるぞ!」ってなったら急にガーッとなってっていう。例えば、合唱コン(合唱コンクール)とかって、君たちが1年生の頃はそんなにね。

宇津木:そうですね。

菅沼先生:それが12期生も最後4年のときはすごい一生懸命やってたし。合唱コン自体のレベルが他と比較してどれくらいかはわからないけど、あの数年で一気にガーッと上がって。その前はもっと普通な感じだったのが、一つ上の11期生が異常に合唱コンに執念を燃やしてたっていうこともあって。

宇津木:すごかったですね。

菅沼先生:結局あれって先生たちがそう仕向けたわけでも何でもなくて、生徒が変えていったっていうところがあって。それは開発(開智発表会)でも部活でもそうで。最初の頃、水泳部なんてなかったしね。どちらかというと水泳部を作ろうって先生たちが言ったわけではなく、君たちのほうで宇津木くんが中心になってとかって。そういう力が結構いっぱいあるところが開智のいいところかなと。こちらの予想を超えるような感じで生徒が動いてくるというようなところがまだまだあるので、そこが非常に開智のいいところかなと、いい意味で発展途上だなという気がする。よくない点は多分よく言われるだろうけど、もうちょっと設備が・・・(笑)

宇津木:1年生も保護者も「ちょっと設備が・・・。ちょっと壁が・・・」って(笑)

菅沼先生:もうちょっと・・・って思いますが。

宇津木:先生も(笑)

菅沼先生:はい。まあお金をかければいいっていうわけでもないのかもしれないけど。それなりには・・・って(笑)


16. 6年後の生徒の姿

宇津木:開智に進学した子どもは6年後どのように成長していますか? またどのような成長を望みますか?

菅沼先生:いやー、こういう生徒(宇津木さん)じゃないですか(笑)

宇津木:いえいえ(笑)

菅沼先生:あれ、1年生の頃から医学部、医者になろうと思ってたの?

宇津木:違いますね。

菅沼先生:いつぐらいから?

宇津木:僕は中3から高1ですね。

菅沼先生:高1ぐらいね。

宇津木:3年から4年で、はい。

菅沼先生:だからやっぱり6年間で変わるので、そこは本当に。そう考えていろいろこう・・・単に自分でやりたいことを言うだけじゃなくて、それを実現するにはどうすればいいかっていうのを考えて行動してたよね。まあ宇津木くんだけじゃないと思うんだけれど。水泳部を作ったり、開発でかき氷とかって言ってね。「だめだめ」って、だめ出し食らいまくってたけど、最後は実現しちゃうっていう。そういうところがだんだん中学生高校生と成長していく段階で、先輩のいろんな姿を見て「あ、なるほど。ああやればいいのか」みたいな感じで学んでいって。単に言いたいことを言うだけじゃなくてそれを実現するにはどうすればいいかっていうのを考えて実行できるような人が増えているなっていう気がしますね。

宇津木:なるほど。

菅沼先生:そういったことも学んでくれてるのかな、6年間でね。そういう先輩もいるから先輩のやり方とか見て学んでるんだろうなとは思うんだけど。それはさっきも言ったように先生たちがそう仕向けてるっていうよりかは、生徒が持ち前のエネルギーとかそういったところでそういうふうになっていったというのが大きいと思うんだけど。


17. 自分の子どもをこの学校に入れたいと思いますか。

宇津木:なるほど、ありがとうございます。では、最後の質問になるんですが、自分の子どもも勤務されている学校に入れたいと思いますか? その理由は何ですか?

菅沼先生:それは家が遠いので自主的に通うのは難しいですけど、自分の子どもは入れたくないとかそんなふうには思っていないから、入れてもいいような学校にしたいなと思うし。自分自身が中学生高校生だったら、今の開智だったら楽しく過ごせそうだなっていう気がしてるので。子どもをっていうよりは、自分自身が仮に中学生高校生に戻ったときにどうだろうかってことはたまに考えることがあるので。何か楽しそうにしてるなって思うと、ああこういうところだったら楽しいかなっていうふうに自分でも思ったりしますけどね。

宇津木:なるほど。でも(自分のお子さんを開智に通わせている先生が)結構いらっしゃいますよね。

菅沼先生:ああ、そうそうそうそう。多いですよ開智だと。


18. この学校に合う生徒・合わない生徒

編集部:ちなみに、この学校に合う生徒、逆に合わない生徒とかってありますか?

菅沼先生:合わない生徒はですね・・・。何か学校のイメージとして先生の面倒見がいいって言われることは別に悪いことではないし、それを別に否定しようとは思わないですけど、何もかも先生たちがやってくれるって思っちゃってるとそういう学校ではないので。イメージ的にはひたすら学校が勉強だけやらせて、6年間の間に成績がよくなって、いわゆるいい大学に行ける学校っていうふうに思われてる部分もあるようなんですけれど。そういうふうに何が何でも勉強勉強じゃないじゃないですか。だからそういうふうに思ってる子は「あれ、そんなに・・・」と感じるんじゃないでしょうか。宿題も出ないわけじゃないけれど、「もっともっと宿題出してくれると思ってたのに」みたいなことを言われることもあるので。そういうことを期待してるんだったら、「ひたすら勉強ばっかりやらせて伸ばしてくれる」って思ってると、入ってみるとそんなに勉強勉強言われないし、「こんなんでいいのかな」って思っちゃうってことはあるかもしれませんね。

編集部:なるほどですね。じゃあ、ある程度自分でやっていける力がないと。

菅沼先生:そのほうがいいと思いますね。

編集部:なるほどですね。

宇津木:勉強だけに限らず全体的に。

菅沼先生:限らず、もちろん勉強も一生懸命頑張るのはいいんですけれど、やっぱり、やらされてやるほうがいいっていうふうになっちゃうと。そういう子にとってはちょっと物足りなさがあるかなっていう気はしますね。

編集部:なるほどですね。ありがとうございました。

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