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2016年10月26日

最新の研究からより専門的な内容まで素材を吸収し生徒たちに伝えていく

取材日:2016年10月26日
インタビュイー:物理科 山岳部顧問 美術部顧問 金田知之先生
インタビュアー:東京大学3年 白濱孝紀

イントロダクション:開成の教員用書棚にはだいたい専門書があるとのこと。金田先生ご自身も最新の研究からより専門的な内容まで、素材を吸収して、どう生徒たちに伝えていくか、考えられている。“この生徒たちだからこそ”。先生の謙虚な人柄とともに、生徒の個性と能力を尊重し信頼されている姿勢が強く感じられるインタビューです。内容は、運動会をはじめ様々な事柄に。卒業生の白濱くんの開成愛も強く感じられて微笑ましいです。

-まず簡単なプロフィールというか、お名前と、生徒からのニックネームとかがあれば。

金田先生: はい、物理科教員で、今年は広報委員長をやっております、金田といいます。白濱さんとは、多分どこか別な学年でやって…2代下を担当していたと思います。生徒からは直接には、金田先生って呼ばれるのがほとんどです。生徒間では別な呼び方をしていると思いますが…。

-生徒間では何て呼ばれてるんですか?

金田先生:「キンタ」って呼んでると思います(笑)

-音読みですね。音読み好きですもんね(笑)

金田先生: 今年は中学3年を担当しています。開成では、教員は中学・高校どちらも担当します。私は、以前は高校生を教えていましたが、ここ2年間は中学生を担当しています。

-では授業と、その学校の授業についてお伺いしてもいいですかね。今、その、プリントとかってお持ちですか?

金田先生:授業は先生によってそれぞれですね。私は、教科書をベースとして、中学・高校の内容という枠にとらわれずに、大学の内容を含めてやっています。中学を担当するのは、開成に来てこの中2、中3が初めてなんですけれども、教材は結構いろんな文献から取ってきて作っています。ところで、君の学年には学級日誌ってありました?

-学級日誌?

金田先生: 学級日誌って、日直が書く…。

-なかったと思います。

金田先生: 開成では、物理・化学・生物・地学を中学でも四科、それぞれの専門の先生が担当しています。私の授業では、クラスの生徒に授業の内容を学級日誌的な「物理クラスノート」に自由に書かせています。試験前とか、休んだ時とかに、この「物理クラスノート」を自由に見られるようにしてあります。このノートを見てもらえれば、授業内容は分かるかなと思います。ただ、お見せできないようなページが、時々あります(笑)

-ああ(笑)

金田先生: 落書きじゃないんだけど、授業と関係ない話が書いてある(笑)年頃の生徒なので、時々そういう内容が書いてあります。掲載はみなさんに選んでいただいてかまいません。あと面白いのは、僕も詳しくは知らないんですが、このノートの情報を彼らはWeb共有してるらしい…。

-ええ~!

金田先生: 何て名前だったか分からないんだけど、試験対策グループって言ったかな?試験対策ページみたいなのがあって、そこでいろんな情報を共有してるらしい。

-中学生がですか?!

金田先生: はい。

-ええ~!

金田先生: そういう事情もあるんだけれど、ここにある分はじっくり見ていただいていいですよ。

-当番制で?

金田先生: だいたい年間で授業が40~50回あるんで、1年に1回は回ります。もしよかったら、どうぞ。見苦しいところがあったらごめんなさい(笑)

-これは金田先生が?

金田先生: そうですね。これは私個人の指導方針です。開成では、決まった指導方針みたいなものはないんですよ。あるとすれば、大学や大学院というよりも、将来にわたって生徒本人が役に立つことを、今その先生が伝えたいことを、生徒に教えていくっていうくらいです。あとは本当にやり方は百人百様。伝統的なスタイルから個性的なものまで。それぞれ、先生方がご自身で模索していると思います。

-そしたら、どこかの1つの授業の区切りで、どっか一区切り撮らせていただくのがいいかなと。

金田先生: ページに名前が書いてあるんで、この名前が書いてあるところが1回の授業になってます。1ページで収めてくれる生徒もいるし、書きたい生徒がいっぱい書いてくれたり、こういう風に色を塗ってくれたりとか。板書をそのまま書いてくれたり、私が喋ってることをメモしてくれたりいうのもあるんです。探すと「おっ」っていうページもありますね。

-じゃあ「おっ」っていうとこいきますかね。

金田先生: じゃあ探していただいて。

-ちょっとあの、内容が理解できないんで(笑)

金田先生: (笑)これは中学3年の内容です。例えばこの内容は、中学のレベルを超えてます。ここら辺は高校とか大学入試のレベルです。

-それは授業で扱ったってことですかね?

金田先生: そうですね。彼らの授業の様子をみて、これなら彼らにしっかり丁寧に説明すればできそうだなっていう内容です。背伸びをしてるんで、彼らはちょっと難しいって感じると思うんだけれども、それで逆に、これが中学の内容だとか、高校の内容だとか、大学の内容だとか言わないようにして授業をしています。それを意識させちゃうと、ちょっと変なバイアスがかかって、生徒によっては「よっしゃ!」と思うし、生徒によっては「それだったら俺は今じゃなくていいや」と思っちゃう。だから、そういうのは伏せて「なんだか今日は授業が難しいぞ…?」って。

で、すぐにはできなくても、今見ることによって「あっ、こういう世界もあるんだな」っていう、勉強する意欲を刺激しています。もちろん、それで解ける、理解が深まる生徒は、もっとやってこうかなっていうことになっていきます。さっき見学した図書館にも、大学で扱うような本・専門書を比較的多く揃えています。

6/20らへんに、ブリッジ回路の内容が書かれていると思います。ここは授業に僕が「物理クラスノート」を持って行き忘れたから、生徒が自分でこのような紙を用意してくれました。また、授業では一人一人で考えるんですけど、試験の前とかの機会に、何人かが集まってもうちょっと議論を深めたりするっていう慣習があります。こういうのは、いい伝統だと思います。

-中学生でも理解できそうな範囲ってありますか?

金田先生: 積分みたいなのとか、ベクトルとかを勉強してます。

-授業でこういうのをやられたんですか?

金田先生: 数学で将来こういうのをやるよっていうのを紹介しただけです。物理が苦だけど数学が得意っていう生徒は、こういうので授業に喰いついて来たりするんですよね。

あと、英語での専門用語をできるだけ紹介します。テクニカルタームっていうんですが、大学や大学院に進むと英語の論文が多くて、専門用語に戸惑う。そこで中学・高校でも英語での専門用語の紹介ぐらいあってもいいと思ったんです。専門用語が分かると、ずいぶん違う。科学論文はすごく簡単な文法構造なので、こういうタームさえ分かっちゃえば、結構何とかなる。物理とかは苦手だけど、語学なら好きだっていう生徒は、ここで興味を持ってくれたりしますね。

私が話すよりも、生徒の興味から「こういうのが面白い」って発言が出た時や、「これどうですか?」って聞かれた時に、「そういうこともあるな」って気づかされることは、先生をやっていて、本当に楽しいというか、終わりがないっていう感じがします。

-じゃあさっきの数学が得意な生徒に動機づけするところを。

金田先生: ここらへんかな、積分みたいなところ。これ最初の方ですね。浮力の計算で、アルキメデスの原理は中学でやるんだけれども、こういう直方体の場合の計算は簡単なのでできる。じゃあ、形がいびつだったらどうか?っていうのをやってます。まだ言語化や数式化はやらないんですが、その雰囲気っていうを伝えています。中学生はちょっと背伸びした雰囲気が好きですね。

ちょっと分からなかったけど、「ああそれ俺やったよ」っていうのが魅力的にみえることもあるんですよね。で、実際できる奴もいますが(笑)

-あとは英語の文とか

金田先生:英語のタームは、こういう細かいところにちょこちょこっていう感じで入れてます。教材は日本語で作っていて、穴埋めですね。ここは、朝永振一郎先生の『物理学とはなんだろうか』っていう本から引用しています。このへんもいろんな素材を参考に作ったりしています。私は物理が好きで、その楽しさを伝えたくて教材づくりをやっています。文献をそれこそ、中学生、高校生、大学生、専門家向けのものをいろいろ集めてきて、中学・高校という枠にとらわれずに伝えていけたらいいと思って、ワクワクしながら、それをプリントにちりばめる。そういう風に教材を作っています。

-ほとんど教科書とか使わないですか?

金田先生:もちろん教科書の内容もしっかり入れてます。そこを踏まえた上で、プラスアルファでやっています。授業の流れは教科書の流れに沿っています。

教科書だと、彼らは理解したつもりになっちゃうんです。そこで、教科書に基づいた実験から派生したものまでを扱い、彼らの理解を揺さぶったりします。また、昔の教科書も参考にします。戦前戦後の内容で今よりもっと深く教えてたこと、あるいは昔は中学校でやっていたことで今は高校に移っている内容を、彼らのキャパシティに合わせて中学で教えて、興味・教養を広げてもらいたいと思ってます。そう考えて作る教材内容もありますね。

-高校入学生とクラスが混じるんでしたっけ?

金田先生: 混じります。高校2年から。

-その時って結構ズレがあるかなと思うんですけど。

金田先生: そうですね。英語とか数学とか、あとは古文・漢文かな。古文・漢文だと、1年間でギャップを埋めるのは、結構大変かなと思うんだけれども。

-はい(笑)

金田先生: いろいろな中学校から開成高校に入学してくれてるんで、進度の問題よりも、それぞれの勉強してきてる内容と、開成中学校での内容とを、1年間かけて生徒個人の中でうまく融合させてもらうことに気を付けています。ペースは早いかなと思うんですが、夏休みの補講と、旧高生(中学入学生)よりも1時間多い授業で補ってます。

-はい

金田先生: 7限かな?授業を1時間多くやって「馴染む」という感じですかね。

-高2の段階では揃ってるっていう感じで?

金田先生: そうですね。前回、高校を担当した時は、中学では他の先生が担当されてて高校から私が引き継ぐ感じだったので、高1終了時には揃うようにしていました。そうすると、中学入学の生徒には高2ではちょっとダブっちゃう内容もあるんですが、先生の切り口によって、新しい発見があったりします。全員が全員、開成の中学生が物理を得意とするわけでもないので、苦手な生徒はそこで遅れを取り戻したりとかというのもあります。先生によって、科目によって、高入生にとって新規の内容をちょっと急ぎ足で進度を稼いだり、既習の内容でも切り口を変えて理解の深度を求めたりすることがあります。

物理クラスノート
 
 

-そうですね、次は、学校の制度とかについて。ちょっと伺っていきますが。選抜とかはないですよね。レベル別とか。

金田先生: ありません。

-基本的に中高関係なく全部学習する。5教科だけじゃなくて、芸術とか、体育だとか、技術家庭とかも含めてっていう感じですよね。

金田先生: どうでした、白濱さんの時は?白濱さんは新高生(高校入学生)か。理科は物化生地の4科目の中から3つ選んだり、少しずつ選択をしていくのはあるんですけど、高校からの入学でも基本的には、全てやってました?

-そうですね~。地理以外は全部やりましたね。

金田先生: やっぱりそこで育まれる個性が、生徒の個性が開成の財産かな。多様性みたいなものが開成の財産かなと思うので、できる生徒とこれから伸びていく生徒の進度別とかで切り分けるよりは、ある意味多様な集団だからこそ、一緒に教え合ったりする。雑多な中で育つ。

-そうですね、本当に教え合うっていうのはよくやってましたね。物理とか数学とか、苦手だったんですけど、やっぱり教えてくれる人がいるので、テスト前とか聞きまくって(笑)絶対教えてくれるんで。分かんないことないですもんね、生徒に聞けば。

金田先生: ライバルっていうよりは仲間?生徒300人なり400人なり、あるいはクラスの50人なりがうまく競い合ってはいるんだけど、すごく仲間意識がある。

-一切ライバルっていう認識がなかったですね。

金田先生: なので、そういう定期試験に関しても、あるいはその先の受験に対しても、一緒に乗り切っていこうっていう雰囲気がある。勉強って、一般的に個人種目ではあるんだけど、開成でいうと、団体種目みたいですね。

-基本的にみんな目指す方向が近いんで。そこに向かってみんなでっていうのはありますよね。

-キャリア教育でいうと、結構、校長先生が柳沢先生に変わられてから(2011年~)グローバルな視点がすごく強まっている印象があるんですけれども、僕は卒業して2年目だったんですけれども、結構最近それが強まってて、結構海外の大学に行く学生も増えてますよね?

金田先生: そうですね。前々からあったんですけれども、柳沢校長になって、海外に直接進学する生徒が増えています。

-どういう取り組みをされてるんですか?具体的に。

金田先生:年に二回、カレッジフェアっていうのを開いて、国内外の大学の関係者の方をお招きして、希望者がいろいろな話をじかに聞くようなことをしています。あとはそういうのをもとに、生徒が自身でサマースクール(夏休みの短期留学)を探してきたりして参加する。カレッジフェアをきっかけに、あとはやりたいなっていう生徒が自主的にどんどん調べて行動する。我々としてはそれまでに蓄積してる情報を生徒が聞きに来た時に、適切にフィードバックしています。

-じゃあ、基本的に生徒が自主的にっていうか

金田先生: 自主的にです。それを我々は、持ってる情報でサポートしています。

-じゃあ開成として留学の制度とかがあるわけではない?

金田先生: 中学には留学の制度がないので、保護者の海外転居に帯同する場合に、一度退学し、1年後に再入学する形になります。高校には留学の制度があります。中学・高校ともに期間は1年です。

-将来とかに関してなんですけど、進路指導とかはそんなにちゃんと、力入れてるイメージないっていうか、それも生徒に任せてるイメージがあったんですけど、そのキャリア教育とかってどういう取り組みとかされてますか?

金田先生:卒業生の話を聞く会っていうのを各学年で設けたり、文化祭の講演会で多方面の専門家の方に来ていただいて、話をしていただいたりしています。そういう先輩の話を聞く、あるいは授業を通じて、あるいは部活動・同好会活動で自分達の好きなものを探っていって、そこから自然と自分のキャリアパスを描いていくことが多いと思います。開成会っていうOB組織を伝ってアドバイスをもらったりするとかがあるようです。

-ありますあります。最近とかはよくfacebookとかもみんな使ってるんで、グループとかで開成会のグループがあったりして、そこにたくさん、いろんな年代の開成のOBが入っていたりして、いろんな集まりしましょうとか、開成のOBでこんな人が活躍していますとか、いろいろ情報が流れてきたりとかするんで、かなりつながりは間違いなくありますね。

金田先生: やっぱり縦横っていうのかな、さっき言ったのは同じ学年で横のつながりで、今度は縦のつながり。白濱さんみたいな立場だと、部活のOBとして在校生に会ったりすることがあれば、そこでいろんな形で影響を与えてもらえるのかなって感じがします。

-結構、企業に訪問したりとかもされてますよね。マネックスなんかに行ってるのを見ました。松本さん(マネックスグループ社長の松本大氏)が開成OBで。いいな~と思って。

金田先生: 本当にOBに恵まれてるなと思います。

-大学に関しては基本東大が多いですかね。学部かかわらず。学部はバラバラですよね。

金田先生: バラバラだね。どっちかっていうと、先生たちから大学・学部をすすめるということはなく、生徒自身がある程度のイメージを持っていて、面談とかの時に、相談があったらアドバイスするくらいの感じです。あとはやりたいことをどうやって自分が実現していくかっていうのを、後ろから頑張れよっていう感じですね。先生によって違うかもしれませんが。

-学生の中でそういう雰囲気が醸成されてますよね。

金田先生: そうですね。それは確か。

-自然と東大に目を向けている人が増えるし。

金田先生: 先輩も多いからね。

-そうですね、自然とそういうのがありますよね。みんな大学行きますよね。

金田先生: ほとんどが大学に行きますね。

-学校の授業も、基本、塾通ってる子多いですよね。

金田先生: 学校全体として統計を取ったりはしていないですが、クラスのアンケートを見ると、塾とか通ってる生徒は結構いるかなって思います。全科目っていうよりかは科目を絞って通う、っていう感じかな。

-英語数学とか、中学から通ってる人もいますよね。

金田先生: いると思います。

-鉄緑会とか。鉄緑会って多いですよね。

金田先生: 学校の勉強もこなして、プラスアルファの勉強もこなすって生徒がね。自主的にやっていても、あまり塾に流されちゃうと心配ですけどね。

-何か塾に通われたりすることに対して何か思われたりすることはありますか。

金田先生: 学校の勉強をしっかりやってもらえれば、特にっていうのはないですけれど。どうです?行ってました?

-僕は行ったし、高校1年生の時は英語だけ行ってて、高三から他の科目も受けました。

金田先生: 例えば開成の授業だけで、何かこう、足りない部分とかはある感じかな?

-まぁ、科目によっては正直あったと思います。やっぱり先生によって教える上手さとかもあると思うんですけど、それで、開成の人って授業が面白いと聞くし、面白くなければ聞かないって感じじゃないですか(笑)てなると、やっぱりその分、足りないところが出てきて、塾に行ったりとかはやっぱりしてましたね(笑)

金田先生: 学校はどっちかというと、受験を意識しすぎない感じのところ、もうちょっと学問的なところがあるので、まぁ、少し大学入試に向けて、塾に行く生徒もいるのかなぁ。あるいは自分の苦手なところをフォローするので、塾に行く。さっき言ったように、科目を絞ってというのもあるのかと思いますね。

-確かに。国語とか、確かに、あんまり受験とか意識してない先生が多いですね。山川先生の授業とか受けてたんですけど、山川先生は特に…(笑)すごい好きなことをやられてて、僕は楽しかったんですけど。

金田先生: いろんな先生が何十人もいらっしゃるので、受験を意識しているように見せかけないで、受験に絡めてるっていう先生もいらっしゃる。受験にはみんな苦心されてますね。

-あと、じゃあ、説明会について伺いたいと思うんですけれども、説明会でよく聞かれる質問とかって何かございますか?

金田先生: アンケートでいただいて、勉強についていけるでしょうか?とか、控えめな子なんですがやっていけるでしょうか?という質問がよく聞かれるかな、という印象ですね。

-結構運動会とかのイメージが強いんですかね。

金田先生: 説明会でビデオを観ていただいたり、話を聞いていただいたりすると、運動会でぶつかる場面が強く印象に残ったりするようです。あるいは、文化祭や運動会に来ていただいて、そこでの印象で、自分の子は大丈夫かなって心配をされる保護者の方がいらっしゃいます。

-死んじゃうんじゃないかって(笑)

金田先生: やっぱり親御さんとしては心配があるんだと思います。例えば、運動会に関してはみんな初心者だと思うんですよね。「俺は運動会向きだ~」って入学してくる生徒は、少ないと思うんです。でも実際にやってみて、なんていうか、誰でもこなせるって言うと言い過ぎかもしれないけど。結構、楽しめちゃう。

-そうですね、なんか棒倒しとか特にそうだと思うんですけど、やっぱ適材適所があって、走れる人は走れる場所に行くし、走れない人は棒を支える側とか。その人の能力に応じていろんなポジションがある、だからみんながちゃんと力を発揮できるように設計されてて、それがすごくいいなと思いますね。

金田先生: 確かにそういう感じです。

-だからみんな活躍できるように、うまくできてますよね。

金田先生: よくできてる。運動会も、文化祭みたいなものも、リーダーシップがとれる生徒だけじゃなくて、縁の下の力持ちみたいなのとか、地味な作業ができる生徒とか、いろんな生徒がいて支えられてる。

-借りた資材を返却する際、例えば刷毛や筆などに付いたペンキとかをメッチャちゃんと絞ってチェックを受けるんですけど。資材の係の人とかに、水が透明になるまで絞れみたいな、厳しく言われたりとかしてましたからね(笑)

金田先生: いろんなものを長く丁寧に使うって、質実剛健の一言で表していいのか分からないけれども、結構、大雑把に見える割には、長く伝えてこうっていうのが根底にありますね。

-うんうん。確かに、伝統はありますね。そういう意識は。

金田先生: さっき、僕の方から言ったんだけど、控えめな性格なんだけど…っていう生徒にとって、開成はどんな風に映るんだろう?卒業生の目から見るとどうだろう?

-そうですね。それに関しては、引っ張ってくれる人がちゃんと引っ張る力があるので、それこそ、その人が一番活躍できるところはどこなのかって言うのを、リーダー・チーフとかが見極めて、ちゃんと指導したりとかをちゃんとやってますよね。

金田先生: 上級生がね。

-リーダーシップのある人がいるので、ちゃんとその子が引き出してくれるので、あんまりそこの心配はないんじゃないかと思いますけど。

金田先生: 勉強についていけるか?っていうのも、よく聞かれるんですけど。そこらへんはどうだろう?

-勉強ですか?勉強は、してないですもんね。(笑)

金田先生: 余力がある(笑)

-大丈夫ですよ、って感じですけどね(笑)

金田先生: なかなか、こうですよっていうお答えはしにくいですね。本当に必要なところを頑張ってもらって、開成生活をトータルで一生懸命楽しんでもらえると、そういう不安っていうのも自然と払拭できるのかなって思うんだけど。

-本当にね、入ってみなって言いたいですけどね(笑)

金田先生: (笑)やってみないと分からない、伝わりにくいなってところがありますよね。 やっぱり、卒業生の感想っていうのが、一番ストレートに伝わるのかなっていう感じがします。

-そうですね。 -まぁ、結構だから説明会とかに関しても、未だ開成に入っていない生徒さんとか保護者さんとかとイメージ乖離している部分も結構あるじゃないですか。ここを伝えたいっていうのはやっぱりあるんですか。ここを推していくようにしてるとか。

金田先生: やっぱり最初にも言ったけど、個性とか多様性とか。今、開成を目指してきてくれてる受験生の、その自分自身の興味とか関心、好きな事を、勉強もそうだし、体を動かす事もそうだし、いわゆる一般的にいうと勉強以外の事なんかも全部大事にしてほしいって思います。

開成に入学してきてくれるような生徒っていうのは、すごく抜きん出たところをそれぞれ持ってると思うんだけれども、他の生徒、周りに対して見劣りするようなところは、そこをマイナスに考えるっていうよりは「個性」ととらえてほしい。パーフェクトにできる人間もいないわけじゃないと思うんだけど、いろんな得意苦手があって、そういう生徒がいっぱい集まって開成が支えられてるっていうのがあるんだよね。

-そうですよね。うまく調和していますよね。みんなそこを尊重できるので。

金田先生: 入ってきたら上には上がいるっていうのが、本当にみんな素晴らしい生徒が集まっているからこそ分かる。そこで、上には上がいるって知った時は、じゃあ自分の本当の個性って何だろうっていうのを考えるきっかけになる場でもある。ネガティブには考えなくて、お互いを尊重するからこそ、じゃあ自分はどういう存在なのか。自分で発見することもあるし、先生とか友達を通して自分の長所とか適性みたいなものが見えてくることもあるんじゃないかと思いますね。

-それはありますね。勉強ができることが個性というか、特性じゃなくなったっていう時に、自分について考えることが多くなったことはありますね。

金田先生: 今ある自分を本当に自由に伸ばしていけるような気持ちを持った子供たちが、将来開成の財産っていうか、支えてくれるっていう感じがあります。

運動会
棒倒し

-じゃあ、学校行事について、結構これまでも話してきたと思うんですけど、一番盛り上がる行事は…運動会ですよね(笑)

金田先生: そうですね(笑)僕がっていうよりも、卒業生から見ても多分そうかなと思います。運動会、文化祭、あとは行事じゃないけど部活も盛んです。

-そうですね。運動会って、結構みんな部活も引退した段階で運動会の準備始まるんですけど、本当みんな本気でやりますよね。

金田先生: クラスを中心としてね。それまではこう、いろいろな部活、委員会、例えば運動会とか文化祭の準備委員会とかに散ってたメンバーが、高2の夏秋くらいから、運動会での下級生指導の基礎固めっていうので、クラスに集結するっていう感じかな。

-そうですね。

金田先生: 選挙から始まるんですよね。係を選ぶ選挙が始まる前に、選挙規則を定める選挙管理委員長ってのをクラスで一人決めることから始まる。で、選挙管理委員長が委員会を組織して。で、選挙管理委員会が選挙取りまとめやって。組積とか、団長とかを決めてくって感じで。

それは生徒の内部でやるんだけど、クラスごとによるんだろうけど、そこで多分いろんな人間同士の、ある意味クラスメイトなんだけど、もう一回自分のいいところ、もうちょっとこう変えてこうってのはどういうとこかっていうのを、そこで一から見直す。

-そうですね。

金田先生: そこはもう卒業生にしか分からない。私は開成の卒業生ではないので、その場を経験していません。いろいろあるんだろうっていうのは察します。

-そうですね。どうしてもなんか、何人か選ばないといけないので、そういうところで、しっかり「自分はクラスをこうしていきたい」とか言うし、人間も見られるし、かなり厳しい面もあると思うんですけど、そこで団結が生まれるっていうのはあると思いますね。

金田先生: いいことだけ、楽しいことだけで済めば楽でいいんだろうけれども、そういうことはなくて、伝えにくいことだけれども伝えなきゃいけないことがあり、場面がある。それによって伝える側も、伝えられる側も成長するところがあったりして、それがまた最終的に団結っていうのを生むんだろうなって思います。

-やっぱ全体的に尊重してるっていう根っこがあるので。言うことに対してためらいもないと思うし、そういういい関係性っていうのがあるんじゃないかと思います。

金田先生: そうですね。

-文化祭の話も少ししておきますかね。

金田先生: (笑)

-文化祭はどうなんですかね、どれくらい参加してますっけ?みんな…

金田先生: まずは部活の参加団体がメインでだですね。、これも全然、強制はないのでね、部活でやりたいなっていうところをがまず参加する。してもらって。あとは中1一と高一、1の新クラスが組単位で参加する。あとはで、あとは有志団体が参加する。教室数にも限度があるので、ね。どうしてもそこから先は文準による選抜、最後は抽選になる感じだよですね。随分計画なんかも練られたものがあがってきてるきますのかな~。

実際にその、選抜するの先発してるのは文化祭準備委員の生徒がやってるんで、教員はほとんど最後に上がってきて、こういう風に決めましたっていうのを了承するくらいのことしかない。感じなので、その途中経過は、クラスで携わってる生徒からチョコチョコ聞くくらいのことしかわからない。でも、だいたいみんなが納得している。がここは出せますとかダメでしたとかいうのを聞くくらいなのでね。あとはあれかな、少し文文化化祭っていうのは特別感があるのではあるけれども、放課後とかね。部活でやっていることを来場者の皆さんに伝えたいっていうね、そういう気持ちとかそういう精神はすごく強いかなとは思いますね。

日常とかって、学校見学とかがないので、運動会は運動会でまず独特な雰囲気なので、があって、日常を感じられるのは文化祭かな。もうちょっとこう、生徒の放課後の活動の延長戦みたいな雰囲気がある。のが一番伝わって来やすい。

-より素に近い気がする(笑)

金田先生: そうだですね。

-そういう感じがありますね。文化祭は。みんな気合い入ってますけどね。別の意味で(笑)

金田先生: そうね、気合いは(笑)やっぱりね、女子にも見てもらいたいっていうのはがあるし、もっと大人の人から受験生みたいなといった子供も含めて、楽しんでもらいたいっていうサービス精神はすごくあるのかな~と思いますね。

-コンテンツも多いですよね。バンドの演奏もあるし、ミスター開成とかミス開成とか。あ、ミス?!(笑)

金田先生: そこらへんも本当に多様性があるんで。、部活の展示なんかも、あんまりこう、そのままよりも一捻りしてあったりして、すごいなぁあるのかな~っていうのはありますね。

-来ていただくのが一番分かりやすいかなとは思いますね。

金田先生: それは間違いないですね!(笑)

-結構その、文化部とか展示がクオリティー高いですよね。

金田先生: そうだですね! 高いかなって思いますね。

-鉄道部とか、ジオラマ見た気がするんですが、すごいクオリティー高かった気がします。特別面白いのとか他にあるんですか?

金田先生: 文化祭で?文化祭だと何かなあ。~

-目玉みたいな

金田先生: それは難しい…ね、。どこかを立てるとそこばっかりっていう風にもなっちゃだけに人が集まってしまうんでね~。

-学生の目線からしたら、やっぱその、前夜祭じゃなくて後夜祭ってのがあるんですけど、終わった後に食堂のホールがあって、そこにみんな集まって、暗くしてめっちゃお客さん入れてバンドのが練習ライブしたりとか。そこが生徒からしたら一番盛り上がるところかなっていう風に思いますね。そこが見せ場みたいな。そういうのに憧れを持つ時期っていうのも…ありますよね(笑)

金田先生: そうですね。気合い入ってますね。まぁね、本当に一般の方や受験生が、生徒の活動と直接ふれあえるのは、やっぱり文化祭しかないかな。

-そうですね。

金田先生: 運動会は本当にね、自分たちの競技に集中してね、る。文化祭はやっぱり、来場者の方を迎えて、っていう感じなんでねです。結構話をしたり、自由な雰囲気があるんでりますね。うん、いろいろ質問していただいたり、話を聞いてみたりっていうのもねいいと思います。、あの、生徒にとってもプラスになるのかなってと思いますね。

金田先生: (保護者に)いろんな資料・説明会資料でお渡ししてる中では伝わりにくいところ(課外授業)は、合宿が結構多いことですね。

-水泳学校とか

金田先生: あと部活も。

-あっ、部活もありました。

金田先生: 部活は何かやってた?

-部活はボートやってました。

金田先生: ボートの合宿は何泊何日だった?

-一週間ありましたね、確か。

金田先生: そうですよね(笑泊まり込みの合宿っていうのが、だいたいの部活にあるんです。

-そうですね~。めちゃくちゃキツかったですけどね。

金田先生: (笑)

-死ぬかと思いました(笑)

金田先生: それが経験として大きいと思います。

-引退は早いですけど、確かにそれまではちゃんと、合宿とかもガッツリやりますね。

金田先生: ボート部はどれくらいまでやってました?

-ボート部だと3年の4月ですね。他の高校って3年の夏とかじゃないですか。

金田先生: ああ。

-でも、サッカー部とか2年の秋で終わるし、野球部だけ3年の夏なんですけど、他はだいたい3年の春か2年の秋なんで、引退は早いですね。

金田先生: そうか。他の学校だとどうなんだろう…。

-あ~。でも同じくらい、多分部活にもよる~

金田先生: 大会がどこまであるかっていうのもあるんで、普通くらいという感じかな。

-行事はそんな感じですよね。あとはマラソンとか。

金田先生: マラソンもありますね!

-荒川を走るんですよね。荒川を高校生が8km走るっていう。

金田先生: マラソンはもっと長い学校もあるんで、学校それぞれという感じではあります。あとはスキー学校や水泳学校がある。中1対象に水泳学校が夏休みに、あと冬休みと春休みにはスキー学校を開催してます。参加は希望制です。でも水泳学校は、ほとんど全員参加しています。

-いろいろ(笑)考えてみたらいろいろありますね。

金田先生: 水泳学校は私も行ったことがあって…。

-ふんどしつけてね。

金田先生: ふんどし!水泳部のOBの方に指導してもらうといった感じで…それぞれのスキルにあった形でやってますね。

-OBとのつながりが強いですね。

金田先生: そうですね。すごくOBの方が学校っていうか、後輩に対しての思いやりがすごく厚いって思いますね。なんか大家族みたいな感じがあります。私学だから、先生の出入りがあんまり多くなくて、管理職で授業から離れる先生もいないですからね。教員は女性もいるんですが、基本、男ばかりの三世代、四世代、五世代くらいの大家族って感じで、普段は兄貴的な存在に指導され、時には父親的な存在からだったり、今度はおじいちゃんからって感じで、いろんなチャンネルがあります。優しい事も厳しい事も、家族だから言える。もちろん、先生と生徒っていう立場もあるし、大人と子供っていう立場もある。でも、今言ったみたいに家族的な何かがあるんだねと思います。

-そうですね。距離感が比較的近いのかな

-では、入試について伺っていいですかね。

金田先生: はい。

-面接はないですよね。

金田先生: はい。

-入試の特徴というか、中学入試はこういうものっていうのを。

金田先生: 基礎的な力から、その応用発展的な力まで。教科にも偏らず、満遍なく。知識だけじゃなくて、思考力を含めて備えてるかっていうのがあるかなと思います。

-奇問みたいなの少ないですよね。難問奇問っぽいの。東大とも近いと思っているんですけど、本当に基礎ができてて、それをうまく利用する力があれば解けるっていう、そういう組み合わせみたいなのがやっぱ、多いんですかね。高校だとそういう印象でしたけどね。

金田先生: 中学もそういう感じなのかなと思います。

-算数とかすごい難しいですもんね、あれ(笑)

金田先生: そうですか。

-僕、解ける気がしない(笑)

金田先生: でも、受験生のみんなはそれをクリアして入ってきてくれるということですね。

-なんか、どういう対策をするといいよ、みたいなのって、ありますか?

金田先生: やっぱり満遍なく、教科を満遍なく、基礎を大事にしつつ、発展応用的な知識や思考力を大事にしてほしいです。

-やっぱり基礎が一番大事で。みたいな感じですよね。なんか過去問とか解くとイメージとか掴めますよね。

金田先生: そうですね。

-じゃあ、開成に受かった子供が、そのまま勉強できるトップクラスの子が集まってくると思うんですけど、その学校生活は勉強だけじゃ、特に開成もそうはやっぱしないと思うんで、勉強以外でこういうとこ頑張れるよとか、こういうとこ一生懸命取り組むといいよっていうのはありますかね。

金田先生: 自分の勉強も含めて好きな事を見つけてもらって、その中でそういう自分の好きな事・興味のある事・関心のある事を大事に持っていてほしいと思います。(好きな事が)ない生徒は開成でそれを見つけてもらってもいいし、そういうのがある生徒はそれを開成で伸ばしてもらったらいいと思うんです。受験勉強中ではなかなか取り組みにくいような事も、開成に入ってたら取り組んでほしいです。また、いろんな事を食わず嫌いじゃなくて、アンテナを幅広く張って、自分の好きなものは何だろうとか、自分の長所とか適性って何だろうとかっていうのを、常に意識をしていくのがあるといいと思いますね。

-そうですね。いろんな経験が入ったらできますもんね。

金田先生: そういうのを楽しみにして勉強に取り組んでもらうっていうのもありかなと思います。

-本当に勉強だけじゃないですもんね(笑)

金田先生: そうですね、入ると分かります(笑)

-そうですね。間違いないですね。

-どこの中学を併願している生徒が多いというのは…

金田先生: どうなんですかね。開成では併願校を調べていないので…。

-高レベルの学校…

金田先生: 日にち(受験日)が重なっていないところで、受験生の居住地によって埼玉だったり千葉だったり神奈川だったりに住んでいる人は、自宅の近くの学校っていうのはあると思います。

-確かに、自分高校からだったんですけど、千葉だったので渋谷幕張とか、都内の早稲田の学院とか、筑波の付属とか併願してましたね。

金田先生: うん、それぞれあると思います。

-最後は、先生の個人的なお人柄とか、これからの目標について、お伺いできればと思います。

金田先生: はい。

-先生になられた理由とかってありますか?

金田先生: うーん。最初研究者を目指した時期もあったんですけれども、若い世代に自分の知っていることを伝えたり、そのきっかけを作ることで、自分一人じゃできないことを次の世代がやってくれる。私が学生だった頃に、尊敬できる先生に出会ったり、研究者を目指していた時期にそういうことをその先生に言ってもらったりして、それで教員を目指すようになったんです。

-じゃあ結構今も参考にされている先生とかいらっしゃるんですか?こういう先生になりたいとかいう目標…

金田先生: モデルっていうわけじゃないけど、きっかけを作ってくれた先生がいます。

-あ~。それはどういう意味で、きっかけとなったんですか?

金田先生: 大学院で研究がはかどらなかった時に、自分一人でできることもあるんだけれど、大きな学校に自分が携わることでできることもある。そういうことを教えてくれた先生でした。実際、開成には学年に300人いるんで、本当に凄いことができる。それを感じています。

-根底には、物理をもっと発展させたいみたいな、思いがあって・・・

金田先生: そうですね。

-ちゃんとした研究者よりは、先生の方がより影響力が大きいだろうっていう意味で・・・

金田先生: 専門の研究者でなくても、物理を世の中に還元していける。あるいは基礎研究はすぐに役立つものじゃないので、そこらへんの理解とかが生徒・卒業生の中で、少なからず残ってくれて、自然とそれが広がっていく。物理っていう学問自体が少しでも広がるかな、物理に対する理解が広がるかなって。

-開成にはいつ頃からいらっしゃいますか?

金田先生: 8年目になります。2009年から。

-僕が入る1年前からですね。

開成に入る前は、どこかでやられてたりするんですか?

金田先生: 女子校で教えてました。その前は共学で教えていました。

-3校目ですか?合計で、何年くらい?

金田先生: 合計だと20年くらいです。

-開成、もともと開成のOB…?

金田先生: ではないです。

-なぜ開成に来られたんですか?

金田先生: そうだなぁ。志高い生徒を教えたいというのがあったかな。もちろん、これまで教えてきた学校も同じく志が高いので、どうして開成かって言われると難しいんだけれども。これまでのところも含めて、教育に携わるっていうことで、未来を作ってる、社会を作ってるっていうのもあるし、私の専門は物理なので、物理の未来を創っていけるような生徒、物理を使って社会を変革していけるような生徒を教えたいというのがあって、開成に来たというのがあります。

-開成って本当にそういう生徒いますよね。そういう(笑)

金田先生: いますね!さっき図書館でも言ってたけど、あらゆる興味を持ってる、その個性というか多様性っていうのかな。物理が本当に好きっていう生徒も、そんなに得意でない生徒もいるんだけれども、それぞれの個性がある。授業でも、得意じゃない生徒からの質問で、刺激を受けることもある。専門的な生徒の質問とか、もう一歩引いたところでの質問にも、すごく刺激を受ける。とても楽しいです。

-視点もバラバラですよね。

金田先生: いい意味で、バラバラ。本当にそうそうなんだよね。

-物理部ってありますか?

金田先生: あります。

-それは顧問されてるんですか?

金田先生: いえ。僕は、山岳部と美術部を担当しています。開成の顧問は、先生がやりたいものに手を挙げるシステムなので、「(顧問を)やれ、やらされる」っていうのがない。顧問に限らず、ある程度そういう自由が認められてる。もちろん、しなきゃいけない仕事はあるんだけれど。生徒も、部活は兼部も含めて自由だよね、強制的に何かやらなきゃいけないってわけでもない。そういう意味で、好きな生徒の集まりで、教員も興味で集まる先生なので、うまくかみ合ってる。

-生徒の自由はよく聞きますけど、先生が自由にやられているというのは聞いたことがなかったので

金田先生: そうですね。僕も部活の顧問は、生徒が「顧問やってください!」と来られると、断りにくい(笑)やりたいっていう生徒が自分を訪ねて来てくれると、なかなか…。

-嬉しいですよね。

金田先生: そうですね。顧問をしていると、そういう接点を通じて、興味が深まっていくってこともあります。また、同好会活動は結構頻繁に結成できるので、授業を担当してる関係で顧問やってくれっていうのもあって、それから私の方も興味が深まっていくっていうのもありますね。

-それ僕もやったかもしれない。フットサルやろうとして…

金田先生: 誰か先生にお願いしました?

-桜井明先生かな、お願いした記憶があります。高一の時の新高(高校入学生)で担任の人で。

金田先生: 受けてくれました?

-確か受けてくれました。

金田先生: 心意気を買ってくれたのかな(笑)

-そんな気がしますね。

金田先生: 私は同好会は、アニメ研究同好会、エコカー同好会の顧問をしています。

-エコカー同好会?

金田先生: エコランっていう競技があって、自分たちでエンジンとか車体とかを作って、で、燃費を競う。(ガソリン)1リットルで何百キロ走るっていう大会なんで、そこで記録を出すのを目指して、今、やっています。

-僕がいた頃に比べて、すごい、いろんな活動をしている人が増えているイメージがあって。結構ロボットなんか作ってる人いますよね。ユカイ工学っていう会社と、開成のOBの人がいるんですけど、その人の会社で高校生か中学生か忘れたけどロボット作って、その大会に出ようとしてるみたいな。私的に。

金田先生: そうか、有志でやってる人もいるんですね。

-なんか、すごいなと思って。

金田先生: 白濱さんの時にも自由な雰囲気があったんだろうと思うんです。白濱さんも同好会を結成したわけだし。ただ最近は、表に出るような結果が出てきてるだけっていう感じがします。活動が目立ってきてる。

-そうですね。何か、好きな本・影響を受けた本、何か、教師生活においてこういう本が良かったとか…

金田先生: だいたい物理の本は好きですね。専門書から啓蒙書みたいなものまで。まぁ、本当に他に趣味があればいいんですけどね、本当に物理のこれ一冊っていうのは難しいんですが、いろいろな本、物理の本が好きですね。教員室はお見せできないんですが、先生方の棚を見ると、だいたい専門書が並んでいます。私がここに赴任してきた時にびっくりしたことの一つがそれです。自分も、常に物理に関する教養は深めないといけないと思うんで、自分自身が興味持って最新の研究から、昔の教育課程の素材を読んで、それをどう生徒たちに伝えていくかを考える。本当に一冊一冊、驚きがあることが多いので、できるだけいっぱい読むようにしてます。

-昔から好きなんですか?そういう本。小学生からとか

金田先生: いや、そういうわけじゃないですね。物理が好きになったのは高校3年くらいから。

-へぇ~。それも教わってた先生の影響とかですか?

金田先生: そうですね。物理の先生の影響ってのもあると思いますね。それまでは、まったく別な科目が好きだったんです。最初のきっかけは、僕が高校生の時に「高温超伝導」というのが話題になって、その超電導に関して最初興味を持ったんですね。でも大学入ったら物理全般をやって、超電導の研究をしたってわけではないんですけれども。

-なるほど。少しプライベートなところでいくと、普段の趣味とかございますか(笑)

金田先生: 物理が好きなんですけれど、見聞を広める意味で旅行だとか、あとは絵を描いたりすることだとか。あとは自然の中、山とか海とかね、そういうところで時間を過ごすのが好きですね。

-山岳部と美術部…

金田先生: そうそう、そこに繋がりますね。プライベートでもそういうのは好きです。

-なるほど。ありがとうございます。

-では、先生としての目標というか色々お伺いしていきたいんですけれども。まずは、勉強とは何のためにするのかっていうのを先生なりにご説明頂ければなと。勉強をする意味というか。

金田先生: 僕は社会に出て、教養がすごく大事だと感じています。専門も大事だし、専門外の教養も、いろんな視点、いろんな人たちの教養の深さを見て。やっぱり学生の時に教養を深めるっていうのはとても大事なんだって思いましたね。私が今の自分にたどり着くまで、それまでに勉強した教養とか専門に支えられてたんだと思います。何の為っていうよりは、自分の為かな(笑)

-うーん。すごいっすね。

金田先生: 開成は満遍なく授業があるんです。教養としては、そういう部分が大きいです。

-そうですね。まったく数学できない文系結構大学生でいるじゃないですか。ず~っと、なんか、分からない部分が多いですよね。

金田先生: 僕は見聞が狭いんですけれども、専門ができる人っていうのは世の中にはたくさんいると思うんですが、幅広く教養を持ってて、なおかつ専門が深い人っていうのは、そんなにはいないと思うんですよね。でも社会で、自分が「これだ」って人についていく時、あるいは周りの人から「これはお前にやってもらいたい」っていわれる時、他と違う存在っていうのは専門の深さもそうだけど、教養の広さ・深さが鍵になると思います。そういう人ってそんなに数は多くないかな。生徒にはそういう風に、それくらい教養を深めていってほしいっていうのはあります。 開成でみんな個性が強いところが360度それぞれあるので、それがこう、和集合っていうの?全部含めて、生徒同士でフィードバックし合う感じが、教員としても個人としても魅力ですね。

-そうですね。和集合もめちゃめちゃ広いですね(笑)確かにそれはすごいいいところですよね。確かに、文系も、高三に入っても文系と理系も混ざって受けるクラスとかもありますけど

金田先生: 開成では、高2・高3でクラス替えをしないですよね。それが卒業後も続いていくわけです。同窓会なんかも活発に開かれています。社会に出てから、例えば理系の卒業生がいて、何か仕事をする上で文系の意見を聞きたいなって時に、クラスを辿っていけば意外とその専門の奴がいて相談できる。開成としても、そういう関係が保てるように、できるだけ文理や個性がバラバラになるよう高2の段階でのクラス分けを考えてますね。

-ちょうど僕の学年が就活してて、(大学)4年生で終わるんですけど、うちのクラスも官僚になる人もいれば理系で院(大学院)に進む人もいるし、あとは普通に企業、ベンチャーから大企業までバラバラだし、本当に進路バラバラなんで、それでみんなすごい活躍していくんだろうなって、思いますよね。

金田先生: 同窓会で話が出た時にも、仲間がお互い頑張っていることをリスペクトするというか、尊重し合いながら「お前そんなことやってんのか」「頑張ってんな」っていう感じですね。

-お医者さんもいるし(笑)

金田先生: そうですね。(笑)

-命の安全も守られますしね!いいですね。

-なるほど。ありがとうございます。あとは、開成の好きなところと、開成の子供たちの好きなところってなんですかね。

金田先生: 開成の好きなところは、授業でも行事でも自由にできることですね。その分、自分の責任で一生懸命考えて、上手くいけばそれは嬉しいし。上手くいかなかったことも正直あるんですが、その時はどうして上手くいかなかったのかなって次の励みになりますからね。開成の生徒のいいところは、元気なところかな(笑)

-(笑)元気ですね。

金田先生: うん、そこはやっぱり、この年代の・・・何ていうかな・・・人間として、勉強とかもちろんいっぱいやってほしいなって思うのだけれど、現状元気であれば、いろんなことに取り組めるかな。

-意外と、素直な人が多いですよね

金田先生: そうですね!私が開成に赴任するまでは、先入観があったんです。先入観っていうか、ステレオタイプのイメージがあって、実際はそんなの関係なく元気でよかったなって(笑)まぁ、元気すぎて困っちゃうんだけどね(笑)でも本当にそういう感じです。いろんなところで至らないところもあるけれども、礼節をある程度、年齢に、学年に応じて、身に付けていくところもいいと思いますね。

-僕も思いますね。結構先生に反発したりするけど、なんか、なんていうか、悪い人はいないっていうか。友達の中ではすごい、いい奴だって思う奴ばっかりだし。めちゃくちゃやる人いるけど、根本はやっぱ、みんないい人なんだろうなっていうのは、すごくあって。それは、なんか、好きですね。それは僕もやっぱり好きだと思ってましたね。

金田先生: うんうん。

-悪い人はいないっていう。

金田先生: そうですね。うん。

-まぁ、開成の特徴もそんな感じですよね。自由な校風とか、主体性とか。

金田先生: そうですね。

-自分の子供も開成に入れたいと思いますか?

金田先生: そうですね(笑)でも、それは本人次第だね。本人が行きたいと思えば、頑張ったらいいと思う。

-そうですね、あとはなんだろう。開成に入って、生徒がどんな感じで巣立っていくっていうか、どういう風に成長を遂げて、大学とかに行って、とかっていうのはありますかね。

金田先生: そうですね。随分変わるのは確かだと思います。何が変わったかって言われると、いろんな、上手くいったこといかなかったことを含めて、開成でいろんな経験をしていくので、高1に比べて高3の方が、やっぱり人間味が増えたかな、人間的な厚みが増えていったかなと感じます。それが勉強であったり、礼儀みたいなものであったり。 人間としてっていうと大きくなりすぎちゃうんだけど、人として、やっぱり成長しているなって感じはありますね。

-確かに。高校に入って変わるんですかね。僕が思ったのは、旧高って相当中三までめちゃくちゃやるわけじゃないですか。その、新高が入ることによって、変わったりしますよね。

金田先生: それはあるんじゃないかと思います。やっぱり一貫校であっても、中学を卒業して高校に入学する。新高で入ってきてくれた生徒もそうなんだけれども、やっぱり義務教育から義務教育じゃなくなる。それまで中学で最高学年であったのが高校1年になるっていう仕切り直しっていうのが、一貫の中でも一つケジメになっています。また部活では中学、高校と同じ部に所属することが多いと思うんだけど、ここでは指導を受ける後輩としての中学生と、翌年は指導者になる高1生ではだいぶ雰囲気が変わります。下級生の目を気にするとかもあると感じますね。

-結構自由じゃないですか、開成って。で、人間関係とかも自由だと思うんですけど、中学の時ってそれがいきすぎたりする場面がまぁ、なくはないと思うんですけど、なんかそこらへんの先生の制限するところと、しなくて自由にさせるところの見極めとかってどうされてるんですか?結構難しい…

金田先生: 結構難しいですね。私は高校の方は卒業生を出していて分かるんだけど、中学の担任をやっていないんでね。学年の先生が、自由な中でも丁寧に見たり話を生徒とコミュニケーションをとったりしているのは間違いないですね。

-自由にやらせつつ、見るべきとこは見てるって感じですかね。

金田先生: そうですね!指導すべきところは指導します。私も教科の担当として、気づいたところは学年の先生にフィードバックしています。

-やっぱり自由ならではの難しさとかありそう

金田先生: それは、あると思います。

-最後、メッセージというか、開成を受けたいと思っている子たちに。

金田先生: 最初の方に言ったかもしれないですけど、やっぱり勉強が大事です。それ以外の自分の大切にしているものもしっかり持って開成に入ってきてほしいと思います。開成に入ったら、それを追究していってほしいです。開成では多様な個性を待っています。頑張って下さい。

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