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2016年12月2日

「『はてしない物語』をお薦めする理由は何でしょうか?」

取材日:2016年12月2日
インタビュイー:司書教諭 髙橋知尚先生
インタビュアー:教育図鑑編集部 田口亮太 

 編集部 田口:在庫書籍数を教えてください。

髙橋先生:約7万5千冊です。

編集部 田口:どういった分野の本が多いですか?

髙橋先生:文学が35パーセントぐらいを占めています。

[絵本のコーナー]
 
[英語本のコーナー]
[図書委員のオススメ]

編集部 田口:同一書目で1クラス分が用意されているものはありますか?

髙橋先生:そういうかたちで用意しているものはございません。

編集部 田口:座席数を教えてください。

髙橋先生:108席です。

編集部 田口:それは下のフロアの自習室と合わせてですか?

髙橋先生:図書館のスペースだけで108席ですね。

編集部 田口:生徒の利用頻度を教えてください。月に大体何冊ぐらい借りていますか?

髙橋先生:多く借りる生徒は、それこそ月に30冊ぐらい借りる生徒もおりますし、もちろんゼロ冊の生徒も多くおります。これは集計を出したことがないのですが。

編集部A:ゼロ冊の生徒ってどのぐらいですか?

髙橋先生:数字で出したことはないですけど、かなり多いですね。

編集部A:先生は図書館にお勤めになられてどのくらいですか?

髙橋先生:20年・・・23年ですかね。

編集部A:23年でその傾向は変わってきていますか?

髙橋先生:大きく傾向としては変わってないです。昔からの問題点でもあるんですけど、図書館ってすごく利用する生徒とそうでない生徒の差が激しいんです。もっと広く多くの生徒が図書館を使うようにしていきたいんですけども、そこがうまくできてない、ずっと変えられずにきてしまっているかなとは思ってますね。

編集部A:特に文学が借りられなくなったとか、そういった傾向はありますか?

髙橋先生:今(このインタビューの時間)も図書館を国語の授業で使っておりますように、本校の場合は国語の授業での利用が多いんですね。ですから、借りる内容としても半分以上が文学という傾向です。

[生徒による本の紹介]

編集部 田口:生徒からリクエストがあった本の発注サービスはありますか?また、リクエストがあった本をどれくらいの割合で購入されますか?

髙橋先生:もちろんリクエストは受け付けています。これも集計を出してないんですけれども、割合としてはリクエストの半分ぐらいを購入しています。少ないかなとは思いますが。(笑)

編集部 田口:どんな本だと購入されないんですか?

髙橋先生:リクエストの基準は“この学校の図書館にふさわしいか”というだけなんですね。私だけじゃなくて、図書館担当の他の先生方も含めてそれを判断しています。ただ、担当される先生が変わってくると、またその判断にもズレが出てきます。ですから、そのときの先生方でよいと思えばよいし、ダメと思えばダメということなんですね。今の状況ですと“適切かどうか”っていう判断基準が大きいですかね。

あとは、挿絵が学校にとってあまりよくないとか、そういう基準で判断されることもあります。(笑)生徒が希望してくる本の中には、あまり学校らしくない本もありますので。生徒が一番読むジャンルなんですけども、いわゆるライトノベルと呼ばれる本ですね。ストーリーより挿絵についてなんですけど、あまりに崩した表現が多いようですと購入はしないですね。まあ、多くのライトノベルがそれに該当してしまうんですが。

編集部A:ライトノベルっていうことは携帯小説も。

髙橋先生:はい。ほとんど入ってないです。

編集部A:なるほど。それを抜いても文学が大半を占めてるってすごいですね。

髙橋先生:そういう読書指導をしておりますので。

編集部A:具体的にどういった読書指導をされているんですか?

髙橋先生:国語科で本を100冊選びまして、その中から読んで読書ノートにまとめていくようなかたちです。

編集部A:その100冊は独自で選ばれているんですか?

髙橋先生:はい。読書ノートに書いた感想を発表させて、いろいろ話を膨らませて、同じ100冊の中から違う本に目を行かせたりということもやっていますね。

編集部A:その取り組みはどのぐらいやられているんですか?

髙橋先生:もうずいぶん長いですね。(笑)100冊で読書ノートというかたちになったのは、10年ぐらい前からですかね。

編集部A:その100冊は毎年変わるんですか?

髙橋先生:今のところは固定ですね。何年かに1度、ちょっと差し替えをする程度です。100冊のリストは国語科で作っているものですから、私もそこまで感知はしてないんですけど。

編集部 田口:貸し出しのベスト3を教えてください。

髙橋先生:年によって変わるんですけども、今年の1位は重松清の「ナイフ」、あと人気なのは「空想科学読本」ですね。

編集部A:「空想科学読本」はシリーズで出てますけど、最近のやつですか?

髙橋先生:はい。今年は流行っているのか分からないですけど、古いものからシリーズ全て人気です。貸し出し上位には、先ほど申し上げた「ナイフ」と「岳物語」に・・・これはびっくりですね。カフカの「変身」が入ってますね。(笑)

ほとんど読書ノートの100冊に入ってる本ですね。「空想科学読本」以外は。

編集部A:やっぱり「変身」が凄いですね。(笑)

髙橋先生:「変身」は私もちょっと驚きましたね。 (笑)これはめずらしい年ですね。「変身」は私も好きな小説の1つですけど、ちょっと独特な世界に惹かれるんですよね。

「ナイフ」 重松清著

「空想科学読本シリーズ」 柳田理科雄著

「岳物語」 椎名誠著

「変身」 フランツ・カフカ著  

編集部 田口:生徒に読んでほしい本を教えてください。

髙橋先生:これは毎回同じものを紹介するですが、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」ですね。

編集部 田口:「はてしない物語」をお薦めする理由は何でしょうか?

髙橋先生:やっぱり、成長物語だからですね。主人公が成長していく物語で、何度読み返しても違う面白さを感じられる、違う読み方ができる本だと思っています。中学生でも読みやすいですし。

編集部 田口:先生自身も何度も読み返されていますか?

髙橋先生:実は私、「はてしない物語」を大人になってから初めて読んだんです。大人になってこの仕事を始めてから読んで、「こんないい本があったんだ!」と思いましてね。大人になってから繰り返し読んでも、毎回違うところにいいシーンが見つかるんです。読むたびにここがいいなとか、また違うところがいいなと思います。あとは数年前の本なんですが、「社会の真実の見つけかた」という本です。最近はこれを推していますね。

編集部 田口:それはどんな本ですか?

髙橋先生:メディアの報道やインターネットで手に入れられる情報を読み解いて、その裏側にあるものを見つめることの大切さを紹介している本です。舞台はアメリカが中心なんですけど、アメリカのいろいろな事例を通して、情報を読み解くことの大切さを紹介してる本です。中学生にも読める本だと思いますので。

編集部A:著者の堤未果さんは政治家の奥さんですよね。内容も結構入り込んだ記事が多い。これもジュニア向けの本なんですか?

髙橋先生:そうです。中学生にも読める本だと思っていますので、中三ぐらいにも紹介しますね。もう1つ挙げると、「生きて帰ってきた男」。これは慶応義塾大学の小熊英二先生が、90歳のお父さんに直接インタビューをして書いた伝記なんですね。シベリア抑留、戦後の混乱期から高度成長期、現在までをまとめられているので、普通の方の昭和史をよく表した本だと思っています。戦争に行った方の最後の証言かなと思っていて、高校生ぐらいに読んでほしい本ですね。

「はてしない物語」 ミヒャエル・エンデ著

「社会の真実の見つけかた」 堤未果著

「生きて帰ってきた男」 小熊英二著

編集部 田口:髙橋先生の好きな本を教えてください。

髙橋先生:大きな存在だった本は、三浦綾子の「塩狩峠」かもしれないですね。あとは、「氷点」。その2つかもしれないですね。

「塩狩峠」 三浦綾子著

「氷点」 三浦綾子著

編集部 田口:髙橋先生から見て、久我山の生徒はどんな生徒ですか?

髙橋先生:すごくいい生徒が多いです。とても元気で明るい生徒が多くて、もうエネルギーがみなぎってますね。(笑)   編集部 田口:図書館は男女が共通で使用する場所ですよね。普段とちょっと違う特別な空間だと思うんですが。

髙橋先生:そうですね、楽しそうですよ。(笑)ただ、元気なんだけどそのエネルギーをうまく使えてないかなって思うところはありますかね。勉強もそうなんですけど、すごくよく勉強して持ってる知識も多いんですけど、まだそれをうまく使えてないかな。だから我々も、もうちょっとその辺はアドバイスしなきゃいけないかなとは思っています。持ってるものはたくさんあるし、それを学校の中でいっぱい吸収している生徒がたくさんいると思っているんですけど、もうちょっとうまく出してほしいなって。そこは我々のアプローチを考えなきゃいけないところですね。

編集部A:みんな遠慮されてるんですかね?

髙橋先生:そうですね。ちょっと小さくまとまっているかなっていう、そういう生徒がいるかな。もうちょっと、どんどん踏み出してもいいかなとは思うんですが。

編集部A:様々な学校で、同じように生徒が遠慮している、あるいは積極的でないっていう声があります。

髙橋先生:そうですね、積極的でないというのはあるかもしれないですね。言われて行動することに慣れちゃってる。もちろん言われなくてもできてる生徒もいるんですけども、与えられることに慣れてしまっているかな。

編集部A:あと、男女別学という仕組みがとても面白いと思ってます。今まで男子校にも女子校にも共学校にも取材をしているのですが、男子校だと男子校の良さがあって、女子校には女子校の良さがある。もしかしたら男女別学って、両方のいいとこ取りができるのかなと思うんです。男女別学によって特徴づけられるような、学校や生徒のシステムはありますか?

髙橋先生:私も久我山に長くいすぎて、あんまり見えてないかもしれないですね。今おっしゃったような、男子校、女子校のいいところはもちろん併せ持ってます。中学時代はどちらかというと男子と女子で離れた感じがあるんですけど、高校に入ったぐらいから部活も含めて横の繋がりが増えてくるんですね。文系と理系が分かれる高二高三ぐらいになると知り合いも増えてきて、共学まではいかないんですけども、進路に関してお互い刺激も受けているようです。そういう意味で、男子校、女子校、共学校のいい部分を6年間の中で体験してるんじゃないかなと思います。

編集部A:別学の悪いところって何ですか?

髙橋先生:あまり悪いところは感じないんですけども、ちょうどいい距離感といいますか・・・やっぱり距離がありますね。(笑)中学生のほうが、そのちょうどいい距離感をつかめてないと思うんですね。「もう男子がイヤ。絶対イヤ!」っていう女子もいますし。かと思えば、男の子の知り合いができるとすごく連絡とったりして仲良くなる生徒もいますので。

編集部A:図書館は中学女子、中学男子、高校男子、高校女子というようにセクション分けされているんですか?

髙橋先生:図書館の中は全然やってないです。

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