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2016年12月2日

「男子ってこんなにガッツがあるのか!」

取材日:2016年12月2日
インタビュイー:理科 関根明博先生
インタビュアー:中央大学4年生 谷俊輔

谷:先生になった一番の動機は何でしょうか?

関根先生:やっぱり理科を教えているから、「理科は面白い!」っていうことを生徒たちに分かってほしいっていうことですね。谷くんは、授業でそんなの感じませんでした?

谷:だいぶありました。先生の授業は面白いっていうイメージが・・・オヤジギャグみたいなのがあって面白いなっていう覚えはありますね。(笑)

関根先生:それね、今も変わってませんよ。

谷:やっぱり今でも化学がメインなんですか?

関根先生:そうですね。やっぱり化学を極めてきたというのもあるので。ただやはり、理科として自然科学、サイエンスっていうのも考えていかなくちゃいけないので、授業は理科を全般的に担当しています。

谷:先生が今まで授業を受けてきた中で、尊敬できる先生がいらっしゃいましたら教えてください。

関根先生:実際に習った先生っていうと厳しいところがあって。小学校、中学校、高校、それぞれの先生からいろんなことを学んできたし、尊敬はしてるんだけど・・・教員になって先生の先輩方から教わってきたことで今の自分があるので。本当にお世話になった先生方には感謝してますし、今の自分があるのもそういう先生方に育てていただいたっていうのが大きいですね。

谷:1人挙げるってなかなか難しいところがありますよね。

関根先生:特にお世話になった先生としては、久我山の化学の先輩である霜村先生と竹内先生のお二方ですかね。久我山に入った頃から、教えてもらうっていうより背中を見て学んできました。理科だけじゃなく人としていろんなアドバイスをいただいたり、久我山の教員としてどうしていくのかっていうことを多く学んだと思いますね。

谷:先生になっていろいろ変わったと思うんですけど、先生になった頃と比べて大きく変わったことはありますか?

関根先生:若い頃って理想を追求するじゃないですか。「こうあってほしい!」って。若い頃はクラスの生徒全員にこっちを向いて授業を受けてほしいって思ってたんだけど、今は十人十色だからと考えるようになりました。

全てが全て思うようにいかなくても、クラス全体がうまくいけばいいと思ってる。そう思えるようになってから、生徒の個性を活かしていけるようになりました。そういう人間としての幅が広がったという経験は、若い者と年季が入ってる者との違いかなと感じますね。

今は若い先生方の指導にもあたってるんですけど、やっぱり若い先生方は「こうしなきゃいけないんだ!」って理想を追求しがちなんです。でも、「いや、そうじゃないんだよ」と。長年教師をやってきて、若い先生にそういうことが言える時期になってきたのかなと思いますね。

谷:先生の好きな本や影響を受けた本があったら教えて下さい。

関根先生:小学校とか中学校時代は、「ファーブル昆虫記」とか「どくとるマンボウ航海記」とか、そういうものを好きで読んでた記憶があるね。理科だからね。ただ“バイブル”って言われても・・・ちょっと私にはそういうのがなくて。

ある程度年をとってくると推理小説がすごく好きになってね。実は、推理小説は有機化学の勉強と密接な関係があるんですよ。謎を解いていくっていう感じがね。だから今は有機化学の面白さっていうのを、推理小説と掛け合わせて教えていますね。

「ファーブル昆虫記」 ジャン・アンリ・ファーブル著   「どくとるマンボウ航海記」 北杜夫著  

谷:それは最近始めたことですか?

関根先生:谷くんがいたときからやってましたよ。(笑)

谷:(笑)覚えてるような、覚えてないような。

編集部:例えばどんなことを話されるんですか?

関根先生:有機化学の問題には、必ず文章の中にヒントが隠されてるんですよ。そのヒントをどういうふうに見つけて、どうやって関連づけていくのか。その面白さを生徒たちに知ってほしいんですよね。やっぱり何かバックグラウンドがないと「○○が××になって△△で・・・こうだ!」っていう流れの推理が難しい。ある程度勉強が進んでくると、その面白さに気付くようになるのかなって思います。

だから久我山の理科は、なるべく早いうちから有機化学をやるようにしています。有機化学は、意外と化学の分野では得点源なんですね。多いところでは有機化学が化学の4分の1から3分の1を占めますので。有機化学が好きになって化学の得点源になるといいなという考えで、早いうちから有機化学に力を入れています。現状としてはなかなか厳しいところもありますけどね。

谷:生徒から「大学に行くとどんないいことがありますか?」っていう質問をされたら、先生ならどのように答えますか?

関根先生:「大学は自主性が重んじられるから、そこには必ず責任が伴う」って話はしてますね。自分で考えて・・・変な話、いろんなことができる訳ですよ。だけど、それは自分の責任の下でやらないといけない、ということを理解しないといけない。

あとは、チャレンジ精神を持っていろんなことをやってほしいなって思います。特に大学を選ぶときには偏差値だけじゃなくて、その大学で教授がどういう研究をしてるのか。生徒たちには「研究室をしっかり見なさい」と伝えています。どんな論文を出していて、どういう研究をやっている研究室なのか。その中に自分が興味を持ってるものがあれば、それでいいと。ちょっと失礼ですけど、「大学の名前だけで大学を選ぶな」ということは言っていますね。

これは授業でも話したんだけど、私は静岡出身なので、家の蛇口をひねると富士山の雪解け水が出てくるんですよ。私が子どもの頃は、東京の水は静岡の水に比べてマズかった。すごいカルキ臭くて。だから、水の研究をしたいって思ったんです。水ってすごい大事じゃないですか。

「おいしい水を提供するにはどうしたらいいのか?」ということを考えて大学に進学したんだけど、自分が入った大学にはそういう研究室がなかった。それで私はどうしたのかというと、大学の中でやりたいことを見つけるわけです。そういうふうにして、大学で自分のやりたいこととか自分の居場所を見つけていったのかな。

大学については、そういうことを生徒に言っています。一つは研究室。教授がどんなことを研究しているのか。自分が興味ある分野の研究をやっているのか。あともう一つは、自分にどういう趣味とか特技とか興味があるのかということですね。

私は水泳部の顧問もやってるでしょ?水泳を教えたり、スキーも2級を持ってるんでスキー教室の引率をしたり。理科の教員だから理科を教えるのは当たり前。でも私は、教員って一つで終わりじゃなくて、何足も教えられるのが資質だという気がするんですね。そういうことも考えて大学を選んでねっていう話はしています。

谷:久我山は中高一貫校ですけど、一般の中高になくて、中高一貫校にあるものって何かありますか?

関根先生:やっぱり、6年間のスパンで教えられることですね。私は中二、高一、高三を教えてるんですが、6年間で何を教えたらいいのかっていうことを考えた上で、中二で何を教えたらいいのかが分かる。それが一貫校としての教育の違いなのかな。

教育は、人間一人一人を見ていかなくちゃいけない。例えば、「谷くんは中二のときはこんな人物で、こういう特徴があって、それが指導の中でどういうふうに成長していって・・・」というのが、高校から入ってきた先生には分からない。生徒一人一人によってどういう指導をしたらいいのかっていうのは必ずあるので、久我山では必ず中学からの教員を高校にも残していくようにしていますね。

谷:そういうことなんですね。

関根先生:中学と高校で教員を全部取り替えてしまうと、そういう情報も伝達できない。逆に全部固定された教員が持っていくっていうのも、面白くないじゃないですか。いろんな先生と接してほしいけど、生徒一人一人のことが分かってる人間も必要だと。

中学校から高校にかけての6年間は、生徒が飛躍的に成長するときなんです。それを保護者の方と一緒に見守りながら・・・。学校では宿泊行事とかいろんなことを一緒にやるじゃないですか。そういう経験が人生というか、社会に出たときに役に立つのかなと。それはもう、6年を見ることの利点だと思いますね。

谷:久我山にあって他の私立にないものって何かありますか?

関根先生:それは男女別学だと思いますね。それぞれの良いところを見て、お互いの良さを伸ばす。女の子には男の子のいいところを見てほしいし、男の子には女の子の良さを知ってほしい。男女一緒にやる「御嶽合宿講習」も、意外とお互い影響を受けてますね。

谷:そうなんですか?

関根先生:女の子たちが「男子ってこんなにガッツがあるのか!」って。久我山の女の子は真面目だけど、瞬発力とかガッツは男子のほうが強い傾向があるので。そういう意味で、男子と女子でお互いのいいところを学んでいってほしいなって思います。

編集部:御嶽合宿講習ってどんなものですか?

関根先生:6泊7日の合宿講習です。御嶽山(青梅市)の宿坊に泊まって・・・要するに外界から隔離して。御嶽山の山頂に御嶽神社というのがあるんですけど、そこに毎朝合格祈願に行って、それから一日が始まるという合宿講習ですね。

編集部:参加者は何人ぐらいですか?

関根先生:男女合わせて70人ぐらい。理系と文系で分けてやるんですね。勉強漬けなんですけど、ずっと勉強じゃなくて勉強と自習の時間を分けていて。その自習時間、男子は集中してガーっとやってます。女子は遅くまでやるんですけど、迫力っていうかな、そういうのが男子とは違うんですよね。女子がそういう男子の姿を見ると、刺激を受けるんですね。

編集部:高三のどの時期にやるんですか?

関根先生:高三の夏休みです。私も若い頃は2時3時まで起きて質問に対応してたんですけど、だんだんもうね。2時ぐらいになると「ちょっと今日勘弁してよ・・・」という感じで。(笑)なかなか質問から逃がしてくれない。教師冥利じゃないですけど、生徒が「なんで?」って来ると断れないんですよね。だけど、最近はちょっと体力が。(笑)

編集部:女子が男子から影響を受けて、そこからのモチベーションが違ったりするんですか?

関根先生:違いますね。

編集部:男子のほうにも効果がありますか?

関根先生:女の子は真面目にコツコツやりますから、両方のいい面をお互いに吸収していけば、相乗効果で良くなるなって思ってます・・・現実はなかなか厳しいですけど。(笑)

編集部:先生方は男子クラスも持つし、女子クラスも持つという感じなんですね。

関根先生:はい、両方持ってます。男子クラスと女子クラスで授業のやり方は違ってきます。授業で扱う内容は一緒だけど、アプローチの仕方や話し方は違ってきますね。

編集部:それは教師のスキルとして効果がありますか?

関根先生:そうですね。私は水泳部の顧問なんですけど、やっぱり運動部なので部員に対してはバシッと言うんですよね。でも女子を担任したりすると、教室ではバシッとやれないので、女子生徒はあだ名じゃないけど、そういうので私を呼んでくるんです。それで、部活の指導をしている時にも、同じようにあだ名で呼ばれてしまったりすることもあるので、その時は「お前、状況を考えて呼べよ・・・」となりますね。

谷:なるほど。(笑)

関根先生:そういう意味では、我々もうまく使い分けをしています。失礼な言い方かもしれませんけど、女子にはそういう強めの口調っていうのは合わないのかなと。

男子はやっぱり、ガシっと鍛えていきたい。虎の穴じゃないですけど、突き落として「這い上がってこいよ!」って育てていきたい。例えば受験でも、「大学は自分の力で勝ち取るんだ!全員受験しろ!」って。(笑)自分の力はどこまで伸びるか分からないですから。「今までの力で決めるな!チャレンジすればいくらでも伸びるから、みんな受験するんだ!」というかたちで男子はやってます。

でも、女子に対してはそのようなやり方はしません。そういう意味で、男子と女子のいいところを伸ばしていけるというのは、すごくいいと思いますね。

谷:久我山に入学した中学生に、勉強以外で一生懸命取り組んでほしいことはありますか?

関根先生:学校行事と部活動ですね。文化祭はみんなで協力して「やるぞ!でっかいもの作ろう!」って。先生も生徒と一緒になってやるしね。もちろん生徒の自主性も重んじるんだけど、中学生って想像力とか発想が、まだ経験が浅い分、乏しいところもあるでしょう?そういうものを「じゃあこんなふうにしようよ」って、ある程度かたちに表すことが大事なのよ。それは体育祭でも同じだしね。

それと、女子部は職業体験ですね。中二の夏休みに職業体験をさせて、PowerPointでプレゼンを作って文化祭で発表させる。保護者とか外来者を招待して、「こんな職場に行って、こんなことをやりました!」っていうプレゼンをやるんです。

谷:そんなことするんですね。高三の情報の授業でPowerPointを使いましたけど、それ以外で使ったことなかったですね。

関根先生:今は違うんだよ。時代は変わるのよ。

谷:職業体験ってどういう職業があるんですか?

関根先生:第三次産業というのかな、サービス業が多いね。「自分の身の回りにあるものは何?」っていうことで。今年だと面白かったのはユニクロかな。3日間、ユニクロで働かせてもらいます。

谷:働いてるんですか?職業体験で。

関根先生:そうそう。男子部は5月に校外学習の博物館めぐりで佐倉に行くでしょ?女子部はその時に、グループ別職場訪問をやる。5月の訪問先はANAだったり学校側で決めたところなんだけど、夏休みは自分の行きたいところに行く。自分で訪問先を探してアポイントを取って、職業体験をしてプレゼンまでやる。

この前卒業生が「就職先が決まりました」って言いにきたんだけど、ちょうど職業体験のプレゼンをやってたから見ていってもらったの。そうしたら「あの中学生すごいですね。僕らのときと全然違いますよ!」って言ってましたね。

久我山ですごくいいのは、いろんなところで活躍してる卒業生が多いのよ。職業体験で楽天に行ったりもしてるんだけど、楽天には僕の教え子がいるの。それで職業体験の前にちょっと連絡してあげて。「後輩が職業体験に行ったらよろしくね!」と言うと、やっぱり違うじゃないですか。

谷:それは違いますね。そんなことを中二からやってると、高校生になってからが楽しみですね。

関根先生:でもね、高校になってそれをどう繋げて広げていってくれるかは別問題。こちらはお膳立てしないから。じゃあ高校生になって今度はどうするかっていうと、大学を選ぶってことになるんですよ。自分が興味のある職業を見つけたら、「それを学ぶんだったら、どういう大学に行ったらいいのか」って。そういう理由で、今の高校一年生には男女共通で大学訪問をやらせてる。

谷:それはオープンキャンパスに行くんですか?

関根先生:オープンキャンパスも合わせて。理系を考えてる生徒には、研究室に行かせます。(笑)

谷:生徒からの相談で印象的なものがありましたら教えてください。

関根先生:30年くらい教員をやっていると、いろいろありすぎてね。(笑)何が印象に残ってるかな・・・持ってくる相談っていうのは生徒一人一人で違うじゃないですか。だから私が必ず言うのは「決めるのはあなただよ」って。

いろいろ相談に乗るけれど、親からのアドバイスも私たちからのアドバイスもあるんだけど、「最終的に決めるのはあなただよ」って。「あなたが決めるんだよ。それを言うからには、自分でそれをやるんだよ!」って言うようにしています。我々から「こうしたほうがいい」っていう路線は引かないように、そこは常に気を付けていますね。

谷:私も受験のときにそういうことを言われていたので、よく覚えてます。先生が担任されている理系クラスにいながら、勝手に文系の大学を受験することにして。先生と親も交えながら何度か相談したんですけど、そのときにこういうことを言われましたね。最終的に自分で選択した進路なので後悔はしてないですけど、選択の余地を与えていただいたのはよかったなと思います。

編集部:先生は選択肢を与えることを重視してるんですか?

関根先生:そうですね。私はベストっていうものはないと思ってるので。ベターな、より良い提案をして、「この中でいいと思ってるのはどれ?」と。私だけじゃなく他の教員や親御さんに相談すると、生徒にとっても選択肢が増えていくので、その中で自分にとってのベストを選ぶと。それが生徒にとっていいのかなと思ってます。

化学の授業の板書

谷:先生はどんな教材を使って授業をしてますか?

関根先生:教材はいろいろ。

谷:実験のときにはプリントっていうイメージがあります。

関根先生:実験はね、プリントは使ってますけど、時と場合によります。例えば、実験は黒板にフローチャートを書いていたじゃないですか。どういう流れで実験をやっていくとか。でも実験内容についてはプリントを読めばいいだけだから、プリントで済ませる。実験の流れとか、注意しなければいけないポイントだけ板書して説明する。本当はプリントをよく読めば分かるんだけど、困ったときにパッと黒板を見れば次に何をしたらいいのかが分かるような授業展開をしたり。

プリントを使うのには2つ理由があってね。1つは資料の量が多い場合とか、早く進めなくちゃいけない場合。ゆっくりじっくり授業をやるときには、ちゃんと板書を使ってやるからね。もう1つは、図が細かくて板書できない場合。ちょうど今、生物で人体をやってるんだけど、人体は図が細かいんですよ。これはちょっと板書できないので、プリントを配布して「この部分はこうだよ」という話をしながら授業をします。そういうときにはプリントを使わないと、板書だけっていうのはなかなかできないからね。

谷:人体で板書しては相当厳しいですね。中学生の理科は、生物化学と物理地学を分けてるんですよね。

関根先生:一般的に、中学だと全部一緒に理科として教えるんですけど、久我山は、「生物化学」という科目を生物専門または化学専門の教員が、「物理地学」という科目を物理専門または地学専門の教員が教えるようにしてるんですよね。高校からは4科目の専科になりますから、化学は化学、物理は物理、のようにそれぞれ専門の教員が教えるということでやってます。

私は化学が専門なので、生物については知ってることしか言えない。生物は化学に比べるとバックグラウンドが少ないので、いろいろと勉強しながら教えているんですね。「こういうことを授業で言ったら面白いな!」とか。

編集部:丁寧に授業をやるときには板書とおっしゃいましたけど、板書というのは教育的に他の勉強法とは違う効果がありますか?

関根先生:板書は、「なんでそういうところを説明するのか」を自分で書き加えることができます。

谷:先生は板書だけじゃなくて、それにいろんな話を肉づけして授業するじゃないですか。そんな肉づけされた話、「あっ、ここはこうなのか!」って話を、板書だと自分でメモを入れられます。

関根先生:僕は、そういう「なるほど!」っていう感覚には個人差があると思うんです。知ってる生徒は書かなくていいし、「なるほど!」って思った生徒はメモをする。先生は黒板を書きながら説明をして、生徒と一緒に図を描いていくっていう授業がいいような気がしますけどね。

だから電子黒板とかそういうのじゃないけど、パッと結果を与えちゃうと、そのプロセスが体験できないわけですよ。私が古い人間だからなのかもしれませんけど、それってどうなのかなって思います。

編集部:最近ではPowerPointなどでやる授業もありますけど、それのスピード感と、板書をしながらリズムを取ってやるスピード感とが、どうもな・・・って感じていたところで。特に自分が得意としてないような科目だと、板書のスピード感っていうのが理解のタイミングと合ってるのかなと。

関根先生:電子黒板でバンバン授業をやるのもいいと思うんですよ。だけど、地道に考えていくっていうことをしたいのであれば、私は板書でゆっくりも大事だと思うんですよね。図をどうやって描くのかっていうところから。

例えば、数学なんてどこに補助線を1本引くのかとか、それを最初から提示しちゃったら答えを言ってるのと同じなので。「ここに、こういうふうに・・・ここが大事なんだよ!」っていうのがあるじゃないですか。それを学ぶには板書が最適だと思います。だからそういうときには、私は絶対にプリントは使わないで板書ですね。

谷:生徒の観察ってたくさんすると思うんですけど、日々どのようにしていますか?

関根先生:やっぱり一番は朝の読書ですね。読書の時間に全体を見ると、生徒のことが分かるんだよね。「あ、この生徒は何かあったかな」とかね。

谷:へー、そうねんですね。

関根先生:そう。試験のときとかも、教室全体を見ていると分かるんだよ。変な話ね、カンニングしそうな生徒も分かるわけ。視線とか、それがもう感覚で。残念ながらそういう生徒もいないわけじゃないんだけど、我々はカンニングを咎めるんじゃなくて「カンニングをやらないようにするにはどうするか?」ってことを考えなくちゃいけない。テスト中の巡視だったり、その生徒の前に立ったりね。

谷:なるほど。みんなが同じことをやってるときに全体を見るっていうのが・・・

関根先生:そうそう。あとは、教室掃除。教室掃除を一生懸命やってたのって誰だっけ?

谷:全然覚えてない・・・。

関根先生:私ですよ。(笑)みんなと一緒に掃除をしながら、様子が変わってたら声をかける。「なんか今日調子悪いんじゃないの?」とか。今は女子部の担任だから、そういうのができなくてちょっと寂しいんだけどね。女子のクラスだと、部活の着替えは教室だから追い出されちゃう。(笑)

谷:いじめがあったとき、先生ならどうしますか?

関根先生:いじめって、周りから情報が来る場合と、本人から訴えがある場合があるじゃないですか。だから、そこはしっかり状況判断しなきゃいけないかな。つまり聞く。いろんな話を聞いてあげる。いじめをやってる人間は、要するに分からないからやっているんだよね。いけないことはいけないって教えなくてはいけないし、やっぱり弱者の立場に立って物事を考えるってことだよね。

「いじめられる側にも理由がある」という考えもあるかもしれないけど、まずはやってる行為をなくす。それに付随して、社会に出て突っ込まれてしまうようなこと(=いじめられる原因)があれば助言してあげる。そうしないと、同じことの繰り返しになるからね。まずは自分が強くなろうと。だからいろいろ話をして、相談をしながらやっていくしかないのかな。でもね、これはなかなか難しい問題ですよ。

谷:難しいですよね。先生は個人で対応されるんですか?それとも先生方のチームですか?

関根先生:もちろんチームで。一人の先生で対応するのはまず無理だしね。そういうのは全体でバックアップする。ベテランの先生も若い先生もいらっしゃるので。チームとしてどこのクラスにどの先生が行ってもいいようにしてあるし、何かあったら全体でバックアップする仕組みでやっていますね。

谷:チームで報告する仕組みとか、具体的な事例があれば教えていただきたいんですけど。

関根先生:何かあったら、すぐ学年主任に報告することになっています。学年主任は男子部長または女子部長に報告し、よく協議して対応します。時と場合によってですが、指導しなくてはいけないものについては男子部長・女子部長を中心として指導をしていきます。

谷:落ちこぼれた生徒ってやっぱりいると思うんですけど、そのような生徒にはどういうふうに対応しますか?

関根先生:毎日声をかけるね。「勉強した?」から始まって、「何時に寝たの?これは何時にやった?」とか。

谷:なるほど、日々の声かけみたいなものですね。

関根先生:そうそう。でも生徒たちはやっぱり「大丈夫ですよ」って言うじゃないですか。そうしたら、「やったものを見せて」ってね。そういうやったものをきちっと確認をするのが大事かなと思ってます。

谷:そういうのもチームで対応する仕組みがあるんですか?

関根先生:そうそう。それはもう担当の先生とタイアップしないと。担当の先生1人だけでも無理だし、そこは学年全体でバックアップしてやっていくっていう感じかな。

谷:落ちこぼれじゃなくて、ある部分において長所がある生徒にはどういうふうに対応されますか?

関根先生:教育には“褒める”と“叱る”があるじゃないですか。伸ばしていいところは「いいね!いいね!」って褒めてあげる。そうやって伸ばしてあげて、題材がほしければ与えていくっていう感じですね。なかなか、褒めて育てるって難しいんですよ。だから、チャンスを活かすっていうこと。ちょっとでもいいところがあったら「お前頑張ってるじゃん!」って褒めてあげることが大事ですね。

でも、それが上手な人もいるしそうじゃない人もいる。久我山にはそういうのが上手な女性のベテラン教員がいるんだけど、それを僕が真似するわけにもいかないし、とても真似できないと。だからそういうふうにやってもらう先生もいて、そうではない別なやり方の先生もいて。いろんなタイプの先生が1人の生徒をサポートしていくのがいいのかなと思います。

編集部:先生方の配置っていうのは、そういうパーソナリティというかキャラクターを考慮して構成されるものなんですか?

関根先生:それもあると思いますし、他にもいろいろ・・・どういうクラスにはどういう教員をつけるべきなのかとか、伸ばしていくにはどの教員をつけるべきなのかということも考えてやってるんじゃないかと思います。

谷:先生は生徒から人気があると思いますか?

関根先生:どうなんですかね・・・どうですか?(笑)

谷:自分たちの代は、特に女子からすごい人気があるっていうイメージ。

関根先生:困るなー。男子クラスの担任だったのに。(笑)

谷:かわいいって。(笑)

関根先生:かわいい?!そんな年じゃないのに。

谷:やっぱり授業が面白いですし。真面目で分かりやすいだけの先生より、時折冗談を交えながらのほうが興味を持ちますし。そういう意味で、すごい人気はあったと思います。

関根先生:人気があったかどうかは我々が判断するんじゃなくて、生徒が判断するからね。

谷:人気のある先生ってどんな先生だと思いますか?

関根先生:やっぱり、生徒のことを第一に考えてくれる先生。教えることが第一という教員じゃなくて、どうやって生徒たちを育てていこうかと考える教員。その中での教科指導だと思うしね。あとは、生徒一人一人のことを認めてくれる先生が人気だと思いますね。

谷:久我山のいい点を教えてください。

関根先生:なんでも一生懸命させるところじゃないですかね。いい点であり悪い点でもあるんだけどね。息抜きができないでアップアップしてる生徒もいるから。先生の仕事は、それをどうやってサポートしていくかだと思うのね。

今の学年もそうだけど、一つ一つの学校行事については「一生懸命やろう!」と。例えば女子の合唱会だと、本番までの過程ってあるじゃないですか。女の子だから人間関係の問題とかもいろいろあるんだけど、やっぱり「一つのことを達成するためには、みんなで協力しなくちゃいけないよ!」ということを言わなくてはいけない。だから、そういう学校行事ってすごく大事だと思うんです。ただ、やることが多いなっていうのも感じるね。

谷:久我山の「もっとこうしたらいいのに」という点はありますか?

関根先生:いろんな部署から「こういうふうにしたい!」という声は出てくるんですけど、それを全部やると生徒主体じゃなくなるわけだよね。夏休みの課題にしても「これをやりたい、これも要求したい、これだけやってほしい」って山ほど振られちゃって、結局調整をしなくてはけない。だからそういう意味で、もう少し1年間のバランスを考えて調整をしてあげないといけないと思います。行事とかテストについても、曜日とか日程的なことも含めてね。全体的にバランスを考えてやってくれるといいかなって思うけど。

谷:久我山に進学した生徒は6年後どのように成長していますか?

関根先生:谷くんを筆頭として、立派にね。(笑)この6年間・・・っていうよりも中学の3年間って、すごく大きく成長するときなんですね。僕はこの前まで中一男子の担任をしていて、彼らは今高一なんだけど、もう中一のときとは全然違う。中一のときには本当にわんぱくで、こっちをこうやったらあっちが動いて、あっちをこうやったらこっちで騒いでっていう子たちが、今は立派な高校一年になってビックリって感じ。

本当に中学の3年間って大きいなと思います。それを踏まえて中一から高三なんていうと、本当に子どもから大人という感じで、逆に面白いね。それが教師冥利に尽きるのかなって思うんだけど。だからそういう意味で、教師はやっていてすごく面白いなって感じますけどね。

谷:生徒たちにはどんな成長をしてほしいって思いますか?

関根先生:やっぱりもう、心身、頭すべて成長してほしいなと。一番は自己解決能力をしっかり身につけてほしい。今はどうしても「こうしたらどう?」って言われないと動けない生徒が多いから、自分で考えて判断できる、自分で解決していく生徒になってほしい。そのためのアドバイスはしていくんだけどね。逆に自分だけで解決していっちゃうと、我々がいらなくなっちゃうからそれも困るけどね。(笑)

ただやっぱり、そういうアドバイスをするのが教員なのかなって。だから文化祭なんてそうですよね。中学生は結局自分で何かをしたいっていう新しい発想ができない。でも高校になると、中学校で培ってきたものを発揮して自分たちで考えてやれる。そういうふうに仕向けていければいいなって思いますけどね。

谷:いろんな成長をしていくこの学校に、先生のお子さんも入れたいと思いますか?

関根先生:そうですね・・・厳しいな。(笑)今私がいなくなってというのであれば、それは入れたいと思います。担当される先生方がどういう方々かも分かっているので。これからの成長過程の中で久我山の根幹は変わらないと思うんですけど、要するに担当されてる方々がどういう方々か分からないようになると、ちょっとどうなのかなっていうのはあるかもしれない。だから人っていうのがすごく大事かなって思うんです。人によって僕は変わるなって。

私が久我山に就職したときの校長の佐々木周二先生が「人は石垣、人は城」と仰っていたんです。私はそれを聞いて、「人を大事にする学校だな」って思ったんですよ。國學院久我山っていう学校の名前じゃなくて、どういう方々によって学校が支えられているのか。そこが大事だと思うんです。

だから、学校説明会ってすごく大事だと思うんですよ。先生方を見るチャンスですから。小学生にはぜひ学校説明会に来てもらって、「ここだったら勉強したいな、ここだったら入りたいな」って思ってくれる生徒にどんどん入ってきてほしいですね。

やっぱり生徒にとっても合う合わないってあるじゃないですか。久我山は規則が厳しい。当たり前のことをしているだけなんですけどね。それに順応できなかったら、やっぱり苦しいんですよ。せっかく入学しても転校せざるをえない生徒もいるので、やっぱり学校を見にきてほしい。先生方を見にきてほしいと思います。熱弁してしまいました。(笑)

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