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母校取材
2016年12月13日

「図書館の存在意義?それはもっといろんな本に触れあうためには図書館が必要なんじゃない?」

在校生インタビュー 母校取材

取材日:2016年12月13日
インタビュイー:司書 和田淳子先生
インタビュアー:東京大学教養学部文科一類1年 岡野源さん

和田淳子先生:生徒からは「ししょ〜」の愛称で親しまれています。

岡野:在庫書籍数を教えてください。

和田先生:約3万冊です。

岡野:それはこの中学部図書館だけで、ですか?

和田先生:はい。ただ、桐蔭学園内の大学図書館、進学棟図書館、女子部図書館、高校棟の図書館、あと法科大学院の図書館など、全ての図書館から本を取り寄せられます。全部合わせると利用できる冊数は39万5000冊です。

岡野:同一書目が1クラス分用意されている本はなんですか?

和田先生:国語や古典、漢和などの辞書。

岡野:辞書のみ?

和田先生:はい。

岡野:一斉読書の授業などで、工夫している事はありますか?

和田先生:逆に、いろいろな本を用意して、たくさん触れ合ってもらう。なので、複本を用意するのではなく、わざと全て違う本を用意してます。同一図書が必要であればもちろん用意しますが、今のところ要望はないです。

全体図

岡野:この図書館の座席数を教えてください。

和田先生:座席数は64席です。ソファーなどは含まれていません。

岡野:私が中学の頃も、それこそテスト前に勉強する時図書館に来ていたんですけれども、その頃からすると個人席ってちょっと減りましたかね?

和田先生:個人席は減りました。2席減って、新しくAVブースを設けました。(笑) 個人机って自習する生徒に大人気なので苦渋の策だったんですけど。

岡野:AVブースはなんで作ったんですか?

和田先生:今、生徒にiPadを貸与してますよね。本だけじゃない情報って様々あるじゃないですか。だから図書館も。私は紙の本が大好きなので、紙の本を中心に置きたいとは思いつつ、図書館はいろいろな情報を発信しなきゃいけない場所だと思っています。生徒はiPadを持っていますけれども、社会人になるとまだキーボード操作が必要。パソコンも年度内に入ってくる予定です。

本の閲覧・AL型授業で使用
自習席 図書館の一番奥に位置し落ち着いて勉強ができそうです。

岡野:学生の利用頻度を教えてください。月に何冊ぐらい借りられているんでしょうか?

和田先生:1ヶ月2000冊強ぐらいですね。一番多い時で、1日700冊ぐらい。

編集部:1ヶ月2000冊が通常で、1日700冊っていう時には、何かイベントがあったんですか?

和田先生:読書祭りのような事を1週間やった初日に、これはちょっとずるいんですけど(笑)、借りると雑誌のバックナンバーを配るよとか、書店から頂いた景品みたいなものを配るよとかやったら、思っていた以上に人が来てしまって(笑)、気が付いたら1日の貸出数が700冊になってました。(笑)手伝ってくれた図書委員が頑張ってくれました。

編集部:そうなんですね。ちなみに、図書館は中等教育学校と中学校男子部・女子部とあるじゃないですか。合わせて1学年で何人ぐらい借りていかれますか?

和田先生:男子部と中等教育学校だけで1200人ぐらいです。

編集部:女子はここを利用しないんですか。

和田先生:そうなんです。女子部の図書館は別にあります。

編集部:じゃあ男子部と中等教育学校が、こちらを使うんですか?

和田先生:そうです。

編集部:そうですか。それで、1200人のうちの何人が図書館で本を借りているのかわかりますか?

和田先生:実は私もそこが一番知りたい。

編集部:(笑)

和田先生:借りに来る人数が知りたいというよりは、本を借りない生徒を把握したいんです。ところが、現行の図書館用のシステムでは、未貸出のデータは出せないという回答なので、今のところ把握出来てないんです。本を借りる生徒って黙っていてもたくさん借りますよね。なので、本を借りない生徒へ呼びかけて少しでも本を手にとってもらうということは、今後大事になってくると思います。

岡野:生徒からリクエストがあった本を発注するサービスというのはありますか?

和田先生:あります。それプラス、さっきちょっと話した桐蔭学園内全ての図書館から取り寄せができます。もう1つは「KL-NET」を使って、神奈川県内の公共図書館から本を取り寄せる事が出来るので、このシステムの利用も多いです。鉄道がものすごく好きだとか、自動車がすごく好きだという生徒には、桐蔭学園内の本だけだと物足りないので、そういう生徒のために長野鉄道の本とか、しなの鉄道の本とか、琴電(高松琴平電気鉄道)とかっていう本を神奈川県の公共図書館から取り寄せて、それも普通に貸し出しています。「マニア」から将来の道がひらけるかもしれないので、そういうリクエストは大事だと思っています。

【編集部注釈:KL-NET(神奈川県図書館情報ネットワークシステム)とは、自館で所蔵していない資料を他館に借用依頼したり、逆に提供したりする相互貸借のシステムです。】

岡野:それっていつからやっているんですか?

和田先生:3年目ぐらいかな?最初は私の広報が足りなくて、なかなか軌道に乗らなかったんですけれど、少しずつ利用が増えました。あとさっきお話したかも知れませんが、1年生の一番最初に、「探究的な学習」という授業を1時間貰って、オリエンテーションをして、図書館の使い方を説明するのですが、その時にリクエストサービスのこともお話ししています。受けた事ありました?

岡野:受けた覚えがあります。

和田先生:その時に、「みんな欲しい本はない?なんでも用意するよ」って言うんです。週刊ジャンプのような漫画雑誌は入れてあげられないんですけれども。(笑)ただ、読みたい本をリクエストできるって言うとみんなすごく驚くんですよね。「えー?そんなシステムあるの?」って言うので、たたみかけるように、「公共図書館だってやってるよ。君達も、大人になってからと言わず今から公共図書館使うとオトク! 図書館は君達のためにあるんだよ」って言うと、「すごーい!」って中学1年生だから純粋に喜んでくれるんですよね。リクエストサービスには本当にすごい力があるんだなあと思うのは、そういうシステムがあるって言うと、生徒が「ここの人は自分の話を聞いてくれる」って図書館に来てくれます。私自身も4月のオリエンテーションがすごく楽しみなんです。

岡野:このリクエストサービスって、確か私も使った覚えがあるんですよ。

和田先生:ありがとうございます。

岡野:発注サービスをお願いしてたんだけど、なかなかその本が来なかったので、結局その本を自分で買っちゃったというのを覚えています。(笑)

和田先生:その件については申し訳ない。予算や購入ルートの問題もあって・・・。でも今はそんな事は無くなりました。

「タイトルに14歳がつく本」
朝井リョウさんのコーナー

和田先生:「探究的な学習」の授業やそれ以外にも国語の授業で1年生は毎週1回、中学2年・3年生は隔週に1回、必ず来るんです。あと、英語の多読の授業でも図書館を使う時があって、授業での利用がすごく増えたんですね。そしたら、「中学男子は本を読むんだね」という具合で、図書館で使える予算が増えたんです。生徒が図書館をたくさん利用してくれるから、図書館に使える予算が増えて、それでみんなのリクエストにちゃんと応えられるようになって、さらに生徒が「図書館の人はちゃんと話を聞いてくれる」と言ってまた図書館を利用してくれる、という良い循環が出来たので、たくさんの人に図書館を利用してもらう事って大切だなって思いましたね、すごく。それもこれも、本を借りに来てくれる生徒や授業をここでやろうと思ってくださった先生方のおかげですね。

編集部:ちなみに、こんなユニークな授業があったよっていうのはありますか?

和田先生:国語の松永さんの授業は面白いですね。これは松永さん自身からぜひ話を聞いてもらいたいのですが、今、図書館の入り口に「14歳の本」というコーナーと、朝井リョウさんの本がまとめて置いてあるんです。実は今年、桐蔭に朝井リョウさんが講演しにいらしたんです。

編集部:そうなんですか。

和田先生:朝井リョウさんは、まだご自身の年齢がお若いという理由から基本的には講演を断られていると聞いたことがあります。なのになぜ、この縁もゆかりも無い桐蔭学園に来て講演してくれたかというと、実は朝井リョウさんと松永さんが大学時代からの友人だったからなんですよ。それで、中学2年生を対象に講演会を開いてくれたんです。3年生はすごく悔しがってましたね。「なんで2年だけなんだ」って。講演会は「14歳の君たち、14歳だった私たち」というテーマでした。松永さんのその時の授業テーマが「14歳のセルフポートレート」だったので。最近だと「自分ならどんな14歳本を出版するか考える」という授業をしていました。

編集部:それは総合的な学習の時間ではなくて?

和田先生:国語の授業です。私もいくつか研究発表を見せてもらったんですけれども、池田晶子の『14歳の君たちへ』や、『素顔同盟』などさまざまな教材を取り上げつつ、14歳というテーマに全部結びつくような授業で。

編集部:面白いですね。

和田先生:かなり面白かったです。ただ、「14歳」をテーマにした本って世の中には結構あるんですけれど、なぜ「14歳」というワードをタイトルに用いた本を出したかを、書店を通していくつかの出版社に問い合わせてみても、明確な回答を返してくださったのは1社だけだったんです。

編集部:明確に回答があった出版社からはなんと答えてくださったんですか?

和田先生:「14歳」という年の頃はアイデンティティの問題が芽生えてくる時期であるからということ。あと、未来の帰路に立たされる時でもあるという回答でしたね。

編集部:松永先生は、なぜ授業で図書館を利用するようになったんでしょうか?

和田先生:松永さん本人からちゃんと聞かないと分からないんですけれども。今回の授業に限れば世の中には「14歳」をテーマにした出版物がすごく多い事に気が付いたから理由を知りたいと来室しましたその後、「14歳というワードがタイトルについた本をあるだけ全部集めてもらえないか」という依頼があって、桐蔭学園内の全図書館から、「14歳」がタイトルについた本をとにかく集めるだけ集めたんですが、全部で150冊ぐらいかな? 用意した本は、さきほど話した「自分ならどんな14歳本を出版するか考える」授業で利用されました。もし興味を持たれたら、ぜひ桐蔭学園公式サイトで公開されている「アクティブラーニング公開研究会2016」の当日配布冊子をチェックしていただけると詳しく書いてあります。

岡野:貸し出しベスト3を教えてください。

和田先生:ちょうど朝井リョウさん繋がりなんですが、1位は「桐島、部活やめるってよ」です。(笑)やはり講演会の前後はよく貸し出しされましたね。そうでなくとも朝井リョウさんの本はよく動いて、「何者」もすごく貸し出し数が多かったです。2位が、桐蔭学園っぽいと言えばぽいのかも知れませんが、英検の問題集。(笑)

岡野:みんな英検は受けますからね。

和田先生:受けますね。借りたみんながここに結果を報告しに来ます。(笑)中には、3日前に借りて、英検準1級受かったよっていう生徒もいました。3位は、今度は一転して桐蔭っぽくないですね。「決してマネしないでください。」という漫画です。理系大学を舞台にした漫画なんだけれども、バカバカしい実験のオンパレード。優秀な頭脳の無駄遣いというか・・・あと、実在した奇人変人の科学者の事が多数紹介されています。作中では、知識の無い人が真似をしたらえらい事になりそうな実験がいっぱい取り上げられてるんだけど、巻末にはマネしていい実験も載ってるんですよ。これを実際にやった生徒がいて。何巻かの巻末で、イカを発光させる実験があるんです。実際に光ったんだけどもやっぱりイカなのですごく生臭いと報告しに来ました。これがベスト3です。

岡野:特に「桐島、部活やめるってよ」は、本当に人気ですよね。

「桐島、部活やめるってよ」朝井リョウ(著)

「何者」朝井リョウ(著)

「決してマネしないでください。」蛇蔵(著)

岡野:生徒に読んで欲しい本を教えてください。

和田先生:すごく迷ったんですけれども、宮部みゆきの「魔術はささやく」を選びました。読んでほしいと思う本はたくさんあるので、毎回揺れて毎回変わってしまうんですけれども。選んだ理由は、今中学1年生の国語で、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」をやっているんです。国語教諭の話だと、”主人公の気持ちがよく分かる派”と、”蛾を潰されちゃった子の気持ちが分かる派”で分かれているらしいんです。国語の教員が情報を与えると、考えが入れ替わってくる事もあるらしいんですが。『少年の日の思い出』の主人公や自分たちと同じくらいの年齢の少年が主人公の小説を読もうという課題が出ているので関連本を図書室で展示しています。そのうちの1冊です。

「魔術はささやく」宮部みゆき(著)

「少年の日の思い出」ヘルマン・ヘッセ(著)

岡野:和田さんが好きな本はなんですか?

和田先生:好きな本のジャンルはミステリーです。(笑)「魔術はささやく」もミステリーなんですけど・・・やっぱり、おすすめの本はなんですか?と聞かれると、ついミステリー小説を薦めてしまいがちですね。でも最近は、ノンフィクション作品が好きな生徒も多いので、私も読んで、ちゃんと生徒に薦められるようにしています。司書の好みで薦める本のジャンルが偏っちゃいけないと思うので。

編集部:例えば、ノンフィクションの魅力はなんですか?

和田先生:最近は仕事絡らみで読書をする事が多いので情けないんですが・・・中等教育学校1年で「探究的な学習」の授業をやっているんですが、今やっているテーマが「日本の先端技術」なんです。それに合わせて関連書籍をあつめるために、私もたくさん読んだんですけど、驚きと発見の連続でした。まず、先端技術の研究自体は何年も前から進められていたという事がいろんな本を読んでるうちに分かってきて。出版年が90年代なんだけど、発表されたばかりの最新技術についての研究内容が書かれていたり。研究者ってすごいなーという新鮮な驚きがありましたね。そういうところがノンフィクションの魅力だと思います。

編集部:ちなみに先生が中学生の時に好きだった本はなんですか?

和田先生:3つ子の魂100までじゃないけど、やっぱりミステリーが好きです。最初は赤川次郎から入って、次はアガサ・クリスティに行ったんですけど、あれ?赤川次郎の本で見た事のあるトリックがアガサ・クリスティの本にも書いてあるぞ、みたいな。(笑)そこからミステリー小説に傾倒していって、その後にもエラリー・クイーンや、もっとさかのぼって「新青年」という国内外のミステリー小説を集めた雑誌を読んだり、その過程で幻想文学をかじってみたりという感じで、どんどん飛び火していって今に至ります。生徒自身にも、最初はライトノベルでも漫画でもいいので何かをきっかけに、いろんなことに興味を持ってどんどん自分で見聞を広げられる人になってもらいたいなと思います。

岡野:和田先生から見て、この学校にはどんな生徒が多いでしょうか?

和田先生:部活や勉強で忙しい生徒が多いイメージですね。だから、中学1年生ではたくさん本を借りてくれるんですけど、上の学年に上がって部活の主軸になったり、勉強が忙しくなったりしてくると読書量はガクッと減ってしまうんですよね。それが私の悩みの1つではあるんですけれども。ただ、中1の時にいつも来てくれていた生徒は、3年生で部活を引退したり、受験勉強が終わったりした後にまた戻ってきてくれるんですよ。中学のうちに読書経験を身に着けて、大人になっても本を開くような人になってもらいたいなと思っています。

岡野:私の中学時代を思い返すと、やっぱり中学1年生の時って、勉強について行けないっていうか、与えられた課題をこなしていくだけで精一杯なんですよね。なので、ここの図書館で良いなあと思ったのが、中学と中等の共通図書館だということなんですよね。本を借りるだけでなく、全然縁が無い中学生と中等生が交流出来る良い機会にもなるというか。前に中学生と中等生がカウンターに来ておしゃべりしていたんですけど、「俺さー、今課題多くて辛いんだ」と言う中等生の生徒に対して中学生の生徒が、「でもお前頭いいんだから頑張れよ」って返してて、なんだか飲み屋みたいな会話をしてましたね。(笑)

一同:(笑)

和田先生:そこで交流が生まれるんですよね。そういう意味では中等・中学共通の図書館というのは、本当に良い交流場所だなと思います。ここではみんな無邪気にダンゴになってる感じだし、私もわざと成績の話は聞かない。生徒を評価して優劣を付けるような場所にはしたくないので。何冊読んだから偉いというわけでもないし。ただ、読書をいっぱいしてくれる生徒にはいつも来てくれてありがとうって言ったりはしますけど。

漫画・漫画のノベライズ本のコーナー

岡野:そういえば、私が中学にいた頃と比べてなんですけど、割とポップな本が増えたなと思いました。

和田先生:増えました。それも結局、実績というか、いっぱい図書館を利用してもらえるから裾野が広げられたっていうのはあります。予算が無いと、授業で使う本や絶対図書館に置かなきゃいけないっていうものしか買えないんですよね。それが、授業で図書館を頻繁に使ってくれた事で、裾野の部分の本が買えるようになったのは、大きいと思います。

岡野:それこそ、漫画のコーナーとか漫画のノベライズ本とかって、私の頃には無かったと思うんですよ。

和田先生:私も、漫画は選書として悩む部分はあります。例えば、本校は帰国生がすごく多いんですけど、「僕はね、日本語の本を読むのが苦手なんだ」という相談をしてきた生徒がいたんです。それで、中高生や大人が読めるような本だけ置いていればいいってわけじゃないんだという事に気付かされました。そういうわけで、日本の文化が分からない生徒達のために私が一番最初に入れた漫画が「よつばと」。6歳の女の子の日常が描かれた漫画なんだけれども、読むと日本の文化が分かるんですよ。1ケ所だけにスポットを当てて選書するのはすごく楽なんですけど、帰国生で、日本に久しぶりに帰って来た生徒や、英語はすごく得意なんだけど日本語はあんまり得意じゃないという生徒に対しても開けた図書館でないといけないと思っています。

岡野:そうですね。私も帰国子女クラスだったんですけど、国語が苦手な生徒って結構いて、そのうえ本も読まないってなると国語の成績がますます低迷しちゃうから、そこでつまづいたりもするので、そういう取り組みはすごく大事だと思いますね。

和田先生:最初、その生徒がせっかく身に着けた英語を手放さないために洋書を薦めていたんだけど、よくよく話を聞いてみたら、日本語の本が読めないコンプレックスをすごく感じているみたいで、一方的にこれが良いと決めつけるんじゃなく、ちゃんと話を聞かないとだめなんだっていう事を学びましたね。

岡野:本が読めるって当たり前の事じゃないんだなっていうのを感じますよね。

和田先生:日本の文化を知ってるのも、意外と当たり前ではない。その生徒にとっては海外の文化が当たり前の事で、日本人ならみんなが知ってる日本の歴史1つとっても当たり前の事じゃないんですよね。だから、簡単に読める歴史の漫画だって必要になってくるし。もう1ついえば、ここに受験して入ってくる生徒たちって、読書経験があまり無い生徒もいます。重松清は受験で出るからたくさん読むんだけど、それ以外の本は読んでいなかったり。この図書館には「それいけ!ズッコケ三人組」シリーズが入ってるんです。よく中学なのに?って言われるんだけど、小学校の高学年であまり本を読んで来なかった生徒たちにとっては、娯楽小説なんですよね。懐かしい!って言って読んでくれます。帰国生たちも、自分が経験した事の無い日本の小学校生活をこの本で学ぶんですよね。その本がここにあるのにはちゃんと意味があるって事を知ってもらいたいなとは思いますね。それにはコミュニケーションを取ることが大事だなと思います。

「それいけ!ズッコケ三人組」那須正幹(著)

岡野:あと、個人的に疑問に思ってるんですけど高校になると、図書館って勉強するスペースで、本を読むスペースじゃないという感覚が芽生えてくるんですよ。先生方にも、図書館は勉強するのにぴったりだよってすごく言われるので。そうなると、読みたい本を図書館で借りずに書店で買うようになるんですよね。だから、図書館で本を借りることと書店で本を買うことはどう違うか?というのは、ありますかね?

和田先生:そこは私も悩む部分ではあるんですけれども、私立に通っている生徒って、ある程度教育費にかけるお金があるイコール本を買えるって事ですよね。でも、買える生徒に対しては、「買える本の数にだって上限があるし、もっといろんな本に触れあうためには図書館が必要なんじゃない?」って言います。買うとなるとどうしても自分の好きなものにばかり集中しがちだけど、図書館だと別にそこまで興味があるわけじゃない、お金を出すほどじゃないという本にも触れられる機会があって、読んでみて面白ければその本を無料で借りる事ができるっていうのがすごく大きいと思うの。図書館はいろんな人が無料で本を手に取れる空間でないといけないと思うんです。本を借りなくても書架をウロウロして、こんな本があるんだ!と新たな発見をしたり、一風変わった本を見付けて面白がったりする、それでもいいと思うんです。背表紙を眺めることも大事な情報の1つだと思うので。それが図書館の役割かなと思いますね。ちなみに、大学の図書館では本を借りますか?

岡野:いや、大学もやっぱり勉強するスペースになりがちですね。

和田先生:だったら、たまに伸びをして書架をぐるっと回るだけでもいいと思います。回っているうちにそういえばこんな本あったなとかこの本面白そうだなとか、いろいろな発見があるかもしれませんよ。図書館には、ブラブラしながら本を探す良さがあるかなと思います。多分、ここを卒業してからたくさん勉強していますよね。図書館をどう利用されていますか?やっぱり勉強かな?

岡野:そうですね。それこそ、自分が楽しむために図書館へ行くという機会があまり無いんですよね。

和田先生:そうかあ。でも、大人になってからも気軽に使ってもらえればと思うので、ぜひまた図書館に遊びに来てください。

岡野:ありがとうございます。

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