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2016年6月14日

附属中から入ってきた子供たちが高校で一緒になることで相乗効果を狙う。

生徒の進路実現(大学進学)をどう図っているのか? 若泉:まず進学については、昨年度(2015年)東京大学合格者は0人であった。今年は6人と、開校以来最高の合格者数ということになっています。いったい昨年と今年はどういう事情があったのか、東大の進学に限って、何があったのか。合格者はたしか現役ばかりですよね。それと関連して、コンクールでかなり優良な結果を残した生徒が、今年度初めて実施された東大の推薦入試で1人合格したと聞いております。それも踏まえてお話いただければ。 栗原校長:東京大学は6名現役です。一昨年まで3人の合格者を確保していたのが昨年0になって、今年6というのは、外から見たときに相当注目されるなというのは、よくわかります。まず0になってしまったところについては、本校としても大いなる反省はありました。それが修正されたのですぐ6に結びついたかといえば、なかなか難しい。たった1年で戦略の組み換えを完全にできたということではないんですけれども。やはり3年間の育て方のところでの(指導の入れ具合)、学習への向かわせ方というんですかね、それは一つ大きかっただろうと思います。本校の場合、先ほど若泉さんがおっしゃった試行錯誤という言葉がありましたけれども、いろんな意味で試行錯誤をしています。その3年間の中でいかに高いレベルの大学に引き上げていくかという、進学指導、学習指導という部分を、まさに戦略として試行錯誤を積み重ねてきた中で、その前の年にはなかなかそれが形に結びつかなくて、今度は結びついたというのが、一番簡単な言い方にはなります。 今年成果を出した生徒たちは5期生なんですが、5期生は何かというと、1期生の成果を見て入ってきているんですね。大学の結果、要するに(横浜)サイエンスフロンティア(高校)が、海のものとも山のものともまったくわからずに思い切って入ってきたあの1期生たちが、果たして大学にどういう道を開くかというのは、これはみんな、まあまあそう結果は出ないだろうなと思っていたと思うんですね。それが1期生は、東京大学をはじめとして結果を出してきた。その数字を見て入ってきたのは5期生なんです。4期生たちは、自分たちがサイエンスを受験するときというのは、じつは1期生の成果は見えていないんです。 若泉:そうですね。東京大学の合格発表があるのは3月末ですからね。4期生の高校受験は2月にすでに終わっている。 栗原校長:4期生の場合、すでに開校後3年がたとうとしていましたから学校自体は、課題研究をし海外研修も積むという形のアピールを、われわれはしっかりとやってきたわけですので、保護者たちは、教育内容に関する理解は非常に高かった。ですから4期生は本校の学習に非常にスムーズに入ってきて、勉強していく、非常に真面目な生徒たちでした。ただ、私たちが反省しているのは、そこに甘んじてしまってもう一つの、基礎的な学力から始めていわゆる大学に向けての高いところに引っ張っていく部分で、より鍛えなければいけなかったというのはありました。 それに対して5期生は、サイエンス(YSFH)がたとえ公立の新しい高等学校であっても(進学先は)なかなか(実現して)いけるのではないか、なおかつサイエンス(先端科学)としてのユニークな立ち位置を持っているという思いで、選んでくれたということがとても大きかったですね。3年間学習時間の確保であるとか、学習に向かわせるための年次のかかわりなど、4期も非常に丁寧にやっていましたよ。4期生たちは素直で、力を発揮して、私は期待以上のものは出ていたと思っています。が、まあ5期生はそれにプラスして、もともとの地力を含めて、大学に対する向上心が高かったということでしょうか。 若泉:いまの先生のお話で分かることは、4期までに入ってきた生徒には意欲やチャレンジ精神が非常にあって素直である。一方親の理解も、進学実績うんぬんよりも本校の教育姿勢を高く評価する、そういう家庭層が入ってきたんだろうと思います。ところが、1~3期生が毎年3~4人の東大合格者数を出していたところから0に落ちてしまった。 でも考えてみればそれは起こりうることですよ。教育者としての観点から申し上げると、お子さんのそれぞれの個性にしたがって進路を選択していったならば、必ずしも東大に行くことが理想の道筋とは限らないんです。そういう個々人の様々な志望が実現されていったとするならば、(東大合格が0であっても)問題となることではない。ただ反省として、いわゆるトップ層の生徒を、もっと伸ばせる、もっと効果的に、より難関の大学に、という課題があったかもしれないという理解でよろしいでしょうか。 栗原校長:とてもありがたい理解をしていただいています。 4期生も、たとえば京都大学に入学した者がいる。これは私たちは絶対そういう戦略はとらないんですけど、上位層を集めてとにかく東大で勝負させるということをすれば、私は数字は出せたと思っております。0ではなかったなと。それだけの生徒は4期生の中でも育っていましたし、育てられた。ただ、生徒たちと学びたい場所(大学)と学びたい内容(研究課題)についていろいろ話していくと、それは東京大学ではないという生徒たちが明らかにいました。京都大学をはじめとして地方に向かっていた子もいましたし、東京工業大学という生徒もいたわけですね。ですから最終的な0という数字がどうしても残ってしまうことは、これは結果としてやむをえないと思いながら、私たちは、サイエンス(YSFH)の進路指導、サイエンスの学習指導を伝えたという自負はありました。 5期生の場合には、より上位層が厚みを増した部分があり、東工大合格者もずいぶん出ました。推薦であるとかAO(アドミッションズ・オフィス入試)であるとか、自分の課題研究のアピールをして入学していく生徒、それは初期からいたわけですけれども、それが東工大で確かに認められ、あるいは初めての東大の推薦で女生徒が理学部に入りました。じつは私たちが狙っていた部分、私流の表現をすればですね、ささやかながらに、と思っていた部分での動きが見え始めた。これは私としては非常に嬉しいところですね。 若泉:「ささやかながらに」と思っていた。なるほど(笑) 栗原校長:相当面談を丁寧にやっていますし、いろいろなデータを駆使しながら年次が進路指導部と一体になって進めていますので、おおむね満足できる形で進められているのではないかなと思っています。当初は初代校長の佐藤先生から、私もそれは言っているんですが、第一目標をあきらめない。結果として浪人に結びついても、それはやむをえない。とにかく1年歯をくいしばってやっていくことで、次の目標につながっていくとしてきました。佐藤先生は、1/3は現役で国公立、1/3はいわゆる有名私学、1/3は浪人と目標を立てられて、1期、2期生は相当な浪人を出しております。校長の思いを、生徒たちは非常にわかり、保護者たちも応援して、1年浪人し、あるいは医学部狙う子は年数重ねながら到達ということもあります。これは、卒業してからもバックアップしてきたところなんです。ただ生徒の状況を見て、1年浪人することがベストなのか、それよりも、現役のときにどれだけ力を精一杯発揮させながら次の目標に向けていくかという進路指導もあるというような議論はいろいろしています。それは保護者も含めてですけれども、ケースバイケースの進路指導をある程度徹底できているでしょうね。1期生に比べると浪人率は下がっているんです。 若泉:1、2期生の浪人率(卒業生数に対する浪人生の割合)はどれくらいでしたか。 栗原校長:1、2期は、おおよそ3割は浪人になっていましたね。 若泉:先ほど、浪人を相当多く出してしまったというお話がありましたが、公立の進学校では、全国見ましても5割、昨今は浪人する生徒の割合が減りつつありますが4割程度はある。3割というのは、少ないほうではないかな。 栗原校長:私どもの感覚からすれば、伝統校なり、私学なども含めて進学校は、ある部分の浪人は当然あるということなんですが、いま入試の形態が変化する中で、保護者の感覚も変わってきていますのでね。ただそれによって進路指導を変えたわけではなくて、それぞれの適性を見るということです。たとえば細かい話になりますけれども、理学を勉強したい生徒にとって、たとえば北里という大学の魅力であるとか、東京農大でバイオをやることの魅力であるとか、そこまでわれわれはきちんと視野を広げて講ずることができる。それを本校の一つの特性にしていかなければいけません。こういう学校を作った以上は、単純に大学のいわゆる既成の評価、名前で選ぶということではないということですね。 若泉:教育者として、一人ひとりの生徒がその子に応じて進路実現を果たしていくことが理想であるし、それが当たり前なんだという気持ちは強くあります。 栗原校長:それは徹底しています。ある新聞社の記者のかたが来られて、よく公立の高校は、国公立にこれだけ合格者を出すという目標を立てているけれども、あれはいかがなものか?という批判を正面からぶつけてこられたことがありました。横浜サイエンスフロンティアも、1/3国公立と、何がなんでもとにかく国公立(の合格者を出して)、その数字で学校の当初の目標を果たしたように言っているのはおかしい、という言い方をされました。 まあ、そういう見方もあるかもしれないけど、うちの場合は見ていただければわかる。全国展開をしていて、(地方大学は)入りやすいから数を稼いでいるとあなたは見るかもしれないけど、そうではなくて、どこで何が勉強できるか、それを考えて、たとえば島根を選んだり、鹿児島に行く生徒がいたり、という進路指導をしている。もちろんそれは本人たちの客観的な力をわれわれが見なければいけないし、そこ(地方の大学)だからこそ学べる学問があったり、(高校時点の自分の課題研究の)その次に続く研究があったりというところまで見た上で(受験する大学を決めることを)やっているので、われわれは胸を張って、北は北海道、南は九州という言い方をするんですと、笑って答えを返したことがあるんです。 今回琉球大学に合格した者が3名います。琉球は初めてですね。いままで鹿児島まででしたので。冗談のように、私は北は北海道、南は九州、沖縄までと胸張って言えるねと笑ったんです。地域に根差し、バックグラウンドを持っている理学や工学の研究はありますので、そういうものを視野に入れて進んでいける生徒を、私たちは育てられていると考えています。 若泉:なるほど。ローカルの大学で昨今非常に注目を浴びている大学はいくつかありますが、たとえば、秋田県立国際教養大学というのがございますね。 栗原校長:秋田には、最初に行った生徒がいましたね。上智大ではなくて国際教養大に行くという女生徒でした。勇気のいる選択だったと思いますが、大学の高い評価、学部の教育プログラムが非常によいとわれわれも受け取っています。 若泉:それから私立ですが石川県にある金沢工業大学というのが就職率100%という。お隣にある福井大学が、国立大学の中ではNO.1の就職率を出し続けているとか。そういうことがありますよね。地方独特の研究課題、あるいは様々な特色がある大学というのは、生徒が調べてくるんですか。それとも先生方が、こういう大学もあるよということで、生徒たちに紹介しているんですか。 栗原校長:どちらかというと、どういう研究ができるか、ある程度の生徒たちはマスター(大学院前期課程修士)まで当然視野に入れながら、そこを研究する場として見ていますので、一番は生徒自身が開拓してくるということが多いです。 もう一つは、本校は課題研究で大学(横浜市立大学等)の先生のサポートを受けられるということがあるので、そこで生徒たちが、こういう研究をもっとやってみたいということがあれば、その先生は、たとえばこういう大学でこういう先生がいる、とか、こういう分野でやっていくと次のチャンスが出てくるかもしれないとか、アドバイスがいただけるんですね。 若泉:なるほど。そのようなアドバイスは本格的で、実効性の高い進路指導になりますね。 栗原校長:これは非常に本校にとっては大きな力です。それで担任なり進路指導部が話を受けたときに、今度は若泉さんがおっしゃった、大学からの出口(就職)ですよね。生徒たちはなかなかそんなところに目が行きませんので、そこもあわせて見たときに、ここは期待できるねというような話になる。最終的には一体化した進路指導になっていきますが、学校が先に、こういうのがあるよと見せるようなことはあまりないですね。 若泉:それが普通だろうと思います。そうしますと、昨今言われておりますキャリア教育における主体性という点でも本校は注目していい。生徒が自ら自分のしたい研究課題を定めた上で、将来の自分の目標や目的が達成できるような道筋を主体的に訴えたときには、学校は幅広い見地から子供たちに応えることができるよと。そういうふうに考えていいのでしょうか。 栗原校長:そうですね。 若泉:そうすると本校は、他の高校と差別化できる有利なシステムを備えていることになりますね。 栗原校長:応援団という言い方を私たちはするんですけど、これだけの専門的な応援団(大学や研究機関)をいただいていて、生徒にとって遠い存在ではないですね。それは非常に大きな力になっています。また、保護者の方の理解といいますか、サイエンスフロンティアのような、こういう学校があれば自分が来て学びたかったと、そのように考える保護者の割合が非常に高いわけですね。そうしますと、ではここで得た力を次にどう伸ばしていくかというふうに、まさに生徒たちと同じレベルに立って保護者が考えてくださる。かたくなにこの(有名)大学でなければダメだとか、この(高い偏差値)ランクでないとうちの子供は、という話ではなくて、本当に生徒が将来に向かっていく上では、保護者の方と我々が一体となる進路指導ができていく素地があるな、と感じていますね。もちろん全てとは申しませんけれども。 若泉:来年度以降中高一貫化された場合でも、この保護者の理解や考え方というのは学校運営に側面からの支援になるだろうと思います。 私は適性検査の調査を10数年ずっとやってきました。私立中学受験の学力検査とは異なると言われていますが、公立の適性検査において、ガツガツとそんなにトレーニングを積んできたのではない、まだ磨かれていない原石の受検生の中に、将来の日本を背負って立つ子どもがいるんじゃないか。その子たちをしっかりとすくい取れるような、よりよい検査問題を公立一貫校は作ってほしいなと、訴え続けてきました。 ところが、昨年あたりから国の教育の流れが大きく舵を切って、大学入試を変えるということになった。その大学入学新テストでは、①知識・技能、②思考力・判断力・表現力、③主体性・多様性・協働性や学びに向かう力など、21世紀を生きる子どもたちに必要な3つの力を、記述式の問題を中心にして測定するという。しかし、考えてみればこんなことは10数年以上前から、公立中高一貫校では適性検査という形で実行してきているんですよね。ようやく世間が追い付いてきた、という感はぬぐえません。まあ、公立中高一貫校にとっては6年後の大学入試の前哨戦のような適性検査をして入学者を決定するのだから、チャンス到来という状況になった、と私は見ます。 そこで、その3つの力をいかに適性検査を通して測っていくのか、そして入学した生徒をどう育成していくのかという点も含めつつ、2つ目のお話、本校の設立の経緯とその後の経過や中高一貫化の課題に入っていきたいと思います。

2016年6月14日

「私はただいい大学に入りたいだけであれば、別の学校に行くことをお勧めします」

併設型中高一貫教育校のメリットとデメリット? 若泉:高校で(高入生と中入生を)一緒にするメリット、デメリットもいろいろあります。中学から6年間かけてサイエンスの考え方を根付かせるっていうことからすると、少なくとも高1段階までとか、あるいは高校3年生まで6年一貫できちんとしたもの(教育課程)を作り上げるんだという考え方も当然あるわけですよ。でもフロンティア高校では、そうじゃなくて、高1の段階で外部から入った生徒も中学から内進で来た生徒もいっしょくたにしちゃうんだと。ただ併設型の若泉:一つの困難性がそこではいつもつきまとうわけですね、とくに学力面で。附属中の3年間で築いてきたものが高校から入学したものとでは違うだろうという考え方があるわけです。そういうところを議論の中でどのように解決してきたのか。このへんをもう一言お話しいただきたい。 栗原校長:そうですね。あまりそこに踏み込んでいくと怒られちゃうかもしれませんけど。ずっとかかわってきた者からすれば、若泉さんがおっしゃったようなメリットデメリットは全部出したところでの、判断というのがあります。 たしかに6年間のあいだに純粋に育てていけば相当な成果が出せる子供たちがいます。ただ、この学校自体の特性といいますか、もちろん、出口(高校進学)のところがサイエンスフロンティア高校であるという部分で、小学校6年段階で(本校を)選択してきた子供たち、男女の問題ももちろん出てきますけど、そういったことを考えて、純粋に6年間育てていく魅力と、その危うさ、それはずいぶん話題になったところです。さらに、この学校がここまで成果を出せたというのは、やはり中学時代にいろいろな目覚めがあって、中学時代のベースになる力と興味関心をいだきながら、この学校に憧れをもって入って来て、それが、先ほど言った大学の選択であるとか、進路につながっているということは、われわれはここ数年確実に見てきたところです。つまり横浜の学校として、中学生をしっかりと受け入れる準備もすべきということがありました。 もう一つ、学力の点では非常に議論がありました。さきほどの東京大学の話からすれば、数字を出すには、とにかく6年間鍛え上げれば、この学校はいま成果が出ているんだから、より以上のものになる。それで行けという声もどこからか聞こえてもきましたが。ただそれがすべてではないし、じつは私たちが考えている進路指導、将来というものは、最初に話したような考え方に立っています。 そうすると、より多様なものが出会って、そこで切磋琢磨しながら考えていくことのほうが、はるかに有効です。まさに、異なるものと出会って、お互い協働しながら、認め合いながら、批判批評もしながら行くことが、将来にわたる力になる。それをサイエンスフロンティアで達成させるには、中学から来る者、高校から来る者、ぶつけさせることがとても大事だなと思うんです。いまの本校も、いろんなところでそういう面は重視しているんですけれど、それをより活性化させる、いい手立てになるんじゃないかという、私の思いがあります。それがいままさに求められているものだと。 若泉:それが今まさに国レベルで検討している、高大接続(大学入試)や高校と大学の教育改革の新しい方向性とすごくマッチしている。 栗原校長:そうなんです。自分もそうだなと思っています。 若泉:私も大賛成ですけれど、保護者がそこまで理解しているかというと、そこはギャップがあるんじゃないでしょうか。 栗原校長:そうですね。 若泉:しかしそこを、しっかり打ち出していくことには意義がある。いま先生がおっしゃったような、多様な中でいろんなものをぶつけ合いながら、より価値の高い、新たな創造性というものを、イノベーションを起こしていくんだ。このほうが、世界を視野に入れて、いわゆるサイエンスの人材を輩出するんだと謳っている本校としては意味があるというか、これが当たり前の水準だよと訴えていかれるんじゃないか。 栗原校長:そこが、うちの生命線ですし。うーん、ここまで言っていいのかというのがありますけど、普通に大学受験を、形は変わりつつあるとは言いながらも、やはり上位の大学を目指して、ある種の結果を求めるならば、本校ではない有力な素晴らしい学校がいくらでもあると思うんですね。そちらに行くことを、私はお勧めする。これは説明会でも言っています。本校に来て何を学びたいのか、本校を経てどう生きたいのか、そこを考えてくださるかたでなければ、逆に不幸になってしまうと。保護者のかたにそこまで理解をしてお子さんを送ってもらわないと、ミスマッチが起こる。一番かわいそうなのはお子さんなんですね。そんな例が当然いままでなかったわけではないので。そのこともふまえて、これだけ次に大きな改革をしていくという点では、より明確なアピールをしたいと思います。 ただありがたいことに、国の方向がそちらに向かっています。安西祐一郎先生(前中央教育審議会会長)が和田先生や校長の話を一緒に聞きたいということで、本校においでになり、ざっくばらんに話をしていかれました。まさにサイエンスフロンティアで育てている生徒たちが、進学をスムーズにできるように、その力を測れるような形にする高大接続なんだ、一緒に頑張ろうという話までいただくことができました。 若泉:そうですか。私も安西先生のお話は、改革のお話を3回くらい伺いましたけれど、まさに明治の学制以来の教育改革だとおっしゃっていました。それくらいの、世の中の価値観や教育の仕方をがらりと変える意義を持った教育改革なんだなと実感しますし、非常に説得力のある、幅広い視野のお話を聞いたなと思っていますよ。 栗原校長:本当に素晴らしい素敵な先生ですね。 若泉:これを歪んでとらえようとする教育界の動きがまだまだあります。その中で安西先生は大変な苦労をされているんだろうと思いましたね。 栗原校長:それはなかなか、波が高いし、という話はされていました。ただ、私はたまたまこういう個性的な高校を任せていただいているのでこの改革はありがたいかぎりです。 本校は3年でも課題研究の選択の科目があり、本当はそれを続けて、さらに大学につないでいくのがまさに接続であり連携だなと思うんですが、でも結局いまの制度ですと2年生のほとんどが研究を辞めるんです。3年になったらセンター試験があるし、(受験中心の)勉強してという形に多くの者が変わっていく。それでも本校には横浜市立大学へのチャレンジプログラムがあったり、先ほど言いました東工大とか東北とか、筑波などの大学に自分の研究の成果やいままで探究してきたものを一生懸命アピールしながら、アドミッションオフィス等(AO入試や推薦入試)で行く。東大も、推薦入試で認めていただいた。というようなことが少しずつですけど、出てきている。本校としては、ある部分それもメインストリームにしていきたい。もちろん、(一般入試で)着実に勉強していく生徒たちの力も大事にしたい、ということなんですけどね。 若泉:まあ、安西先生のお話を聞いておりますと、新しい教育改革の流れの方向性で、教員はもちろん、子供たちや親が、考え方、見方、生き方をも変えていくような土壌をいち早く作っておかなきゃいけないかなと。その中で、どちらにも対応できるのが、より強い基盤を形成することになる。下村博文(元文部科学大臣)さんも言っていたように、もうこれまでの偏差値の輪切りでなされた学校序列化の体系は、早晩崩れるよと。それは塾業界のわれわれ仲間はなかなか実感持てないんですけど・・・。本校のほうではそういう下地づくりをすでに進めやすくなっているんじゃないか。その中での附属中学の開設ですから。これはぜひ上手く成功させていただきたいと強く思いましたね。 栗原校長:ありがとうございます。まあ、その安西先生の話なども含めて、大学の先生がたも改革については非常にいろんな立場があり、なかなか難しいところもありますね。しかし改革に向け頑張っている先生がたもいらして、私もまさにそうなんですとある大学の先生に話したところ、ただね、栗原さんみたいな校長って珍しい、あんまりそういう校長いないよって言われました(笑)。やはり学校っていうのはこうであって、部活があって、こういう時期にはこうしてと、みんなある部分横並びでキチッと測られなければ、どの尺度で見るんだって言われますが、私はもう世の中自体がいろいろな形で評価される世の中に変わっている以上、学校だって変わるべきだと思うんですけれど。その先生にあなた少数派だからねって、言われました(笑)。当然そうだろうなと思いますけど。 でも、ぜひ全国の中でも本校が中核となるべく、新しい人間をこういう形で作ってきたんだよって、邁進していただきたいなと思っています。

編集部
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