開成中学校 保健室インタビュー「運動会は『野戦病院』。伝統を守る、怪我からも守るために必要なこと」

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2016-10-26 保健室 山崎先生 東京大学3年 白濱孝紀

  1. %前置き:

  2. 自己紹介

-ではよろしくお願いいたします。

山﨑先生: よろしくお願いします。

-僕は山崎先生の学年で、運動会の時期とか保健室何度かお世話になったことがあります。下級生を連れて行ったりとかした記憶があります。

山崎先生: あ~そうですよね、はい。

-よろしくお願いします。

山崎先生: よろしくお願いします。

-まず、簡単に自己紹介をしていただいてよろしいですか?

山崎先生: 自己紹介、はい、山崎と申します。開成に来る前は公立の都立の学校で養護教員をしていて、その後に病院で看護師をしていて、ご縁があって開成学園に来ました。9年目ですかね、はい。

  1. この学校に来られた理由

-開成に来られた理由とかは何かあるんですか?

山崎先生: あ、本当に偶然で。タイミング的にたまたま、はい。特に選んでとかじゃなくて。

-特に開成だっていうのはなかったですか?

山崎先生: 全然。はい。むしろああいう運動会やるって知ってたら、来なかったと思います(笑)

-(笑)

山崎先生: 知ってたら来ません、応募しません(笑)知らなくて、何だこりゃみたいな。気が付いたら、何だこれ見たいな感じだったんで。これ知ってたらここには来なかったなって、後悔しました。だから、これ学校じゃないって思ったので(笑)

-確かに、怪我人よく来ますもんね。

山崎先生: 「野戦病院」ってよく言われてたんですよね。

-野戦病院(笑)

山崎先生: ああ~。野戦病院ってこういうことかっていう。床とかにもね、休ませたりとかしてるんで。はい。むしろ知らなかったからっていう感じですね。

-知ってたら来なかった(笑)

山崎先生: 知ってたら、はい(笑)

-なかなかね、そんなイメージないですもんね。

山崎先生: ないですね~。う~ん。

  1. 普段のお仕事を教えてください。

-そうですね、まぁ運動会の時期は生徒たくさん来ると思うんですけど、普段ってどれくらい・・・

山崎先生: 日によってなんですけど、そんなに授業をサボリに来るとかそういう子はいないんですよね。本当に具合が悪いとか、怪我してっていうので来るんですけど。ただ、数というよりは、結構重症なケースが多くて。これは病院に行かなきゃとか、今もちょっと、それは学校から連れて行くとかじゃないレベルなんですけど、ちょっと病院に行かなきゃ心配かなっていうケースが多くて。

あとは私立の学校なので、通学範囲がすごく広いんですよ。開成の場合は、新幹線で来てるとか、あとはなんか特急レッドアロー号で秩父から来てるとか、割とお家がすごく遠い子が結構いるので、まずどこに住んでるんだろうとか、いろんなことを見ながら、保護者と相談して、どうやったらこの子ができるだけ早く、この苦痛が軽減できるか、痛みにしろ具合が悪いにしろ、どうやったらこの子を早く楽にしてあげられるのかなっていう判断がすごく難しい場面があって。

あと、直接私たちが病院に連れて行かなきゃいけない怪我ももちろんありますし、救急車呼ばなきゃいけないようなケースもありますし。

だから、決して何十人も来るっていうことではないんですけど、結構その一人一人のケースっていうのが、結構継続してっていうか、拘束されちゃうっていうとあれなんですけど。途中で頭打ったりとか、運動会の時もそうなんですけど、そのまま入院しちゃったりとか。他の学校ではありえないようなことが、都立にいた頃は経験したことがないような、判断が難しいケースが結構あるので、そういう苦労はありますね。あとは親と連絡が取れないとかそういうのもありますね。

-親御さんも忙しい、やっぱ。

山崎先生: そうですね~。あと、逆にすごい熱があるんだけど、授業受けたいから帰りたくないとか。そういうのがあったりとか。でも大体そういうのはインフルエンザとか感染症だったりするので、欠席にはならないんですけど、ただ、どうしても授業受けたいとかって逆に粘っちゃう子とかもいたりするので。

-そっか、帰らせないといけないみたいな。

山崎先生: そうですね。そういうのありますね。

-確かに、授業サボるくらいならグラウンドで遊びますしね。

山崎先生: そうですね。

-みんな仲良くやってますからね。逆にその、運動会のシーズンが特に、一番、生徒は来ますよね。

山崎先生: そうですね。

-どんな感じなんですか?とめどなくいますよね。僕が行った時はもうすでに何人かいて、結構待たなきゃいけない状態だったり。

山崎先生: 様子をみるというか・・・。冷やして様子見ようとかそういうのはいいんですけど、最近本当に、入院しなきゃいけないとか手術しなきゃいけないとか、基本的に格闘技じゃないですか。運動会といっても、駆けっこではないので。ぶつかる、落ちるとかっていう、頭とか顔とか目とか、そういう怪我が最近増えてきていて。

何年か前までは受験する前の段階で運動会とか文化祭とか見学に来ていて、「あっ、開成の運動会ってこういうのだ」っていうのを分かった上で入学している子がほとんどだったんですけど、親も含めて。最近は「全然こんな運動会だとは知らなかった」っていう、私と同じで、生徒もそうだし、親もそうなので。だから、例えば練習期間中にも骨折とかあるんですよね。そうすると「なんで運動会の練習なのに骨折するんですか」っていう親への説明も必要だったりとかして。

やっぱりあの、この学校は卒業生も多いので、ああいう大きな怪我に慣れちゃってるというか、麻痺しちゃってるところがあって、多分公立の学校でこういう怪我が起きてたら、大事件になっているっていうことが、日々起こってるっていう状況があって。 今年の運動会から、運動会の練習期間あるじゃないですか、約1か月あるんですけど、そこに卒業生のドクターが待機してくださることにやっとなったんですよ。いや、そのくらいのレベルの怪我が日々起こっているので。

-へ~すごい!

山崎先生: 本当、私たちの手に負えないというか、難しい判断を、私たちは医者ではないので、当日は元々、待機の校医さんとかドクターが3人救護テントにいてくださって、当日は本当に安心して見ていられたんですけど。そこまでの1か月間が毎日が本当にあの緊張感は、本当、なんていうのか「筆舌に尽くしがたい」というくらい私は毎日毎日がそのくらいの気持ちでいて、来年ここにいるかなってずっとそういう気持ちでやってるんですよ。

そのくらい毎日が本当に厳しい時期なので、で、実際そういう怪我が起こってるんですね。だから、今年の練習期間は毎日交代で、校長先生の、卒業生のOBのドクターが交代で来ていただいて、だいぶ安心して、判断・指示を仰ぐというか。

これ急いで連れて行かなきゃいけないとか、これ救急車呼んだ方がいいとか、これはお家に帰ってからで大丈夫とか、そういうのは私たちが保護者に「お家に帰ってから」っていうよりも、「ドクターもそう言ってますから」って言う。医者がそういう風に言ってるっていうのが、親にとっても安心感があるので。

-しかもOBっていうのがいいですよね。

山崎先生: そうですね。経験している人たちなので、「あ、あの競技でこういう怪我だったら、この程度だな」っていうのが。そう、そこなんですよね。なので、そういう意味で大きな一歩で。

ずっと言ってたんですけどね。最初の年に、この学校の運動会はちょっとって思って、「ちょっとこれは」っていうのがずっとあったんですけど、なかなかやっと。

-どう思われますか?運動会に対して。やっぱり危険なのは間違いないじゃないですか。

山崎先生: そうですね~。なんか、伝統を守るっていうのはすごい素敵なことだし大事なことだとは思うんですけど、ただ時代も変わっていて。で、その競技に参加する子供達も変わったじゃないですか。体格とかいろんなそういうの。で、親も変わってきていて、世の中も首から上の怪我っていうのはすごく大きなこととして扱われていて。

最近なんかは組体操は中止するとか、世の中はそういう動きになってきている中で、「開成はこういう運動会やってます」っていうのは、すごく開成の運動会としては歴史もあっていいと思うんですけど。ただ、やってるだけではダメだと思うんですよね。「こういう準備をして、だからこういう球技をやってます」っていうところが、やっぱり必要なんじゃないかなっていうのもあって。

ドクターにもやっぱりそういう意味で、待機してやってますというような、ちょっと言えるようになったかなと思っているんですけど。今まで本当に何かあった時に、ただただ「これが伝統です」とか、やっぱそれだけじゃやっぱり、時代も昭和から平成になっていますから。そういう意味でも大きな一歩だったかなとは思うんですけど。

-確かに、これまでも、ルールが棒倒しも何度かルールが変わったりとか、まぁありましたけど。もっと細かいケアっていうか、怪我からどうやって守ろうとか、そういうのが進むといいですね。怪我していいことは絶対ないと思うんで。

山崎先生: そうですね。

-出られなくなっちゃうし。それが一番辛いと思うんで。それはいいことですね。かなり。

  1. 開成学園の生徒について

-開成の生徒に対して、入られる前に持っていたイメージとか、あとは逆に入ってから生徒はこういう生徒だと思うとか、こういう学校だなっていう印象ってのはありますか?開成に対して。

山崎先生: いや、全く。別にどんなイメージとかもない、真っ白な状態で来たので、「あ、こういう学校なんだ。まだこういう運動会やってるんだ。」とか、全てが私にとっては新鮮な、驚きというか、はい。

でも一人一人は自分の子供みたいな感じで、みんな2100人の息子みたいな目で見てるので、だから、厳しいことも時には言うんですけど、「健康調査カード出しなさい!」とか(笑)

-(笑)

山崎先生: そういうことはうるさく言って、生徒には結構、うるさいとか嫌われてるかもしれないんですけど、なんか、お母さんみたいな目で、見てる感じですかね。

-やっぱ生徒はかわいいですか。

山崎先生: かわいいですよ、はい。

-中学生とか特にかわいいですよね(笑)

山崎先生: そうですよね~。

-純粋な子多いですよね。高校から入ったんですけど、中一とか見て、かわいいなと思って。

山崎先生: そうですよね。多分今まで怪我をしたことがない子たちが増えてきてるので、だからいきなりああいう怪我だと親も戸惑っちゃうんですよね。また運動会の話に戻っちゃうんですけど。だからやはり、いろんな準備をして、歴史とか伝統とかを守っていかないと。時代の変化に合わせて。伝統を守るっていうか、そこを考えてですね。

-確かに、守る為にはそういうところをちゃんとしていかないと、守るものも守れないですね。

山崎先生: そうですね。対策とか練ってかないと。

-そっか、これまでいらっしゃった都立の学校と、生徒の違いとかってありますか?

山崎先生: う~ん、もうずいぶん前なので、都立にいたのは。まぁ、半分女子がいたので。ここは男の子ばっかりじゃないですか。だから単純に怪我がすごく多いし。でも、逆に男の子ばかりだから、楽な部分って言ったらアレですけど、例えば、女子がいたりすると、健康診断なんかもがっつり場所を分けてとか、プライバシーのところとかもすごくいろんな意味で準備が必要なんですけど、まぁ男の子ばかりなんで、小講堂でバーって感じでできたりしますし。(笑)

-(笑)

山崎先生: 怪我してもちょっとズボン上げてとかズボン下ろして、とかそういうことはできますし。男の子の方が単純というか分かりやすいというか。(笑)

女の子は、怪我というよりかはお話をしたいとか、もしかしたらこの子は私よりもカウンセラーさんの方がいいんじゃないかなとか、そういうメンタルな子たちもよく来るんですけど。

そういうのは、多分最初からそういう子は、保健室じゃなくてカウンセラーさんのところに行くんでしょうし、私のところに来るのは、本当に怪我しちゃったとか、そういうことを求めてくる子たちなので、すごく分かりやすいかなっていうのはありますけど。

-なるほど〜。

5開成を受験する生徒にメッセージ

-最後に、保健室って、やっぱ運動会とかあると思うんで、世間のイメージと一番違う現場というか、そんな怪我してると思わないと思うんですよ、世間の人って。

山崎先生: 開成の保健室がってことですか。

-はい。そういう現場にいらっしゃって、これから開成に入ってくる子供とか保護者の皆さんにお伝えしたいことって何かありますか?(笑)

山崎先生: (笑)難しいですね。やっぱり、見学はしてもらった方がいいのかなと思いますね。学園説明会とかそういうのだけじゃなくて、本当にこういうのなんだとか知っておいてもらった方がいいと思いますしね。

-そうですね。一回来てみないと分からないことがありますよね。 運動会なんて、本当こんなはずじゃないってなりますよね、見たことない人からしたら。 いいギャップだとは思いますけど、そういうのは、あると思うんで。来てもらうっていうのは大事ですね。

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