取材日:2017年1月12日 インタビュイー:司書教諭 国語科 土橋朝洋先生 インタビュアー:卒業生 35回生 立花美枝さん
立花:図書室の在庫書籍数を教えていただけますか。 土橋先生:数字だけで言うと、約3万6000冊になります。おそらく中学の単独の図書館としてはかなり多い数字になるかと思います。
立花:図書室で同一書目が一つのクラス分用意されているものはありますか? 土橋先生:例えば、星新一の本やO・ヘンリーの本、福永武彦の『古事記物語』や小泉八雲の『怪談』を用意しています。中等部で作成している『読書のすすめ』(後述)の一部のものになりますが、どれも名作ですから、堅い本ばかりになります。東野圭吾など、現在人気がある本の中では揃えていません。
立花:座席数はどのくらいになりますか? 土橋先生:座席数は、オープンスペースにある6人掛けテーブル9つと個人ブースを含め、全部で54席あります。一クラス全員が集まって授業するスペースは十分取れているかと思います。
立花:生徒の図書室の利用頻度を教えてください。月に何冊くらい本が借りられているかも教えていただければと思います。 土橋先生:月ではないのですが、年間だとここ最近は約1万3000~1万4000冊の貸し出しがあります。1万3000~4000冊が多いか少ないかは分かりませんが、まあまあ読まれているほうかなと思います。それから、図書室に本を借りに来ることはもちろんですが、勉強をするために利用している場合も多いです。試験の日は、朝から図書館に来て勉強する生徒もいますよ。 立花:そうなんですね。ちなみに、一番多く読んでいる生徒は月にどれくらいの本を読んでいるのですか? 土橋先生:そういう生徒は1日一冊ではきかないですね。1日2、3冊借りていって次の日に返すということを繰り返しているような感じです。
立花:生徒からリクエストがあった本の発注サービスはありますか。 土橋先生:リクエストカードという制度がありますので、できる限り応えられるようにはしています。ただ、本を個別に精査したうえで内容的に所蔵図書としてふさわしくないとなれば、残念ながら入れることはできかねますので、100%というわけにはいきません。例えば、本校の図書室では基本的にマンガやライトノベルなどは置いておりません。
立花:人気のある本はどういったものですか? 土橋先生:少し授業と連動しているところがあるのですけれども、新入生に『読書のすすめ』という読書のガイドブックを渡しているので、その中に載っている本が上位を毎年占めています。昨年度で言うと星新一さんの『妄想銀行』が貸し出し数トップで、2位がイギリスのSF作家、ハーバート・ジョージ・ウェルズの『タイムマシン』、3位が同じくウェルズの『透明人間』でした。 【編集部注釈:『読書のすすめ』とは、中等部の教員が手分けして書き下ろした読書のガイドブックのことです。 この本は、入学の記念として1年生に配られ、読書指導に活用されています。】
立花:生徒にぜひ読んで欲しいという本を教えてください。 土橋先生:私の独断と偏見ですが、『グッドラック』という本をぜひ読んでもらいたいですね。100ページちょっとしかない本当に短い本なので、だいたい30分40分で読めると思います。内容をかいつまんで言うと、主人公と友達が再会するところから始まり、一方は成功していて一方は少し落ちこぼれた人生を送っているのですが、どうしてそういう差が出たのかというのが最後に 分かる話です。これは努力と運について考えさせられる本なので、勉強の合間にでも読んでもらいたいと思います。それから、もう一つ読んでほしい本が『かもめのジョナサン』というこれまた有名な本なのですが、こちらもぜひ読んでもらいたい一冊です。考え方が異端だという理由で群れから追い出されてしまったジョナサンという名のカモメがこの本の主人公なのですが、ジョナサンは周りからどんなにばかにされても、「普通のカモメよりもすごいスピードで滑降したい」という夢に向かってチャレンジし続けているのです。この後、ジョナサンにいろいろな試練や出会いがあるのですが、それはぜひ自分の目で見てもらいたいと思います。
立花:土橋先生の好きな本を教えてください。 土橋先生:私は大学で国文学をやっていたので、近代文学の中ではオーソドックスなところで、芥川龍之介や中島敦、堀辰雄などの作品が好きです。今になって読み返すと、語彙力、文章力はもちろん、作品の奥深さに圧倒されるところがありますね。
立花:土橋先生から見てこの学校にはどんな生徒が多いですか? 土橋先生:中等部には自分なりのポリシーやこだわりがある生徒が多いと感じます。勉強ができる生徒、部活で活躍している生徒、芸術が得意な生徒、さらに言えばお調子者のお笑いキャラでクラスを盛り上げている生徒など、多様なこだわりや長所を持つ生徒達が集まり、それをお互いの良いところとして尊敬し合い、また刺激し合い成長していける学校だと思います。
立花:生徒にはこういう風に育ってほしいという思いはありますか? 土橋先生:こちらの敷いたレールにただ乗るだけではなく、こちらが蒔いた種を自分達で拾って成長させていってほしいです。一つのことに真剣に向き合っている生徒は、本当にこちらが驚くほどの力を持っていますので、彼らが自分でその長所を伸ばしていくための手助けができればいいなと思っています。
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